2019年11月28日

EVFセミナー案内:これからのエネルギーとCO₂活用の道

11月28日 EVFセミナーのご案内

演題:「これからのエネルギーとCO₂活用の道」
 〜メタネーション(*)、化学原料転換などの可能性〜

sem2019112801.png講演概要:

 地球温暖化問題で化石燃料利用に制約があり、原子力にも厳しい目が向けられる中、再生可能エネルギーや水素社会への転換が求められている。しかしながら、IPCCなどが期待する程、CO₂排出削減は進まず、厳しい状況が予想されるが、これが実態なのかもしれない。現実的には化石燃料は非常に使いやすく、今後も需要は伸びていくと考えられ、発生するCO₂を効率的にリサイクル活用できれば、温暖化問題も解決できる可能性がある。エンジニアリング会社の技術者の視点で、これからのエネルギーのあるべき姿とCO₂活用への道をご講演いただきます。
  (*)メタン化触媒を用いて,CO₂からメタンを製造し発電用燃料や都市ガスなどとして再利用する技術
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講師:保田 隆 様 日揮グローバル株式会社 シニアフェロー
日時:2019年11月28日(木)14:30〜16:30
場所:品川区立総合区民会館「きゅりあん」6階大会議室

 JR大井町駅東口正面
 〒140-0011 東京都品川区東大井5-18-1
 Tel. 03-5479-4100
http://www.shinagawa-culture.or.jp/hp/page000000300/hpg000000268.htm
参加費:個人賛助会員・ネット会員 1,000円、一般 1,500円
  (当日受付で申し受けます)
定員:96名(定員になり次第、締め切らせていただきます)
講演終了後、2階「K-ラウンジ」にて懇親会(実費3,000円程度)を予定しております。
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お申し込みは下記のURLをクリックして必要事項を記入し送信をお願いします。
セミナー・懇親会の申込み : https://www.evfjp.org/postmail_semina/
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2019年10月24日

EVFセミナー報告:津波リスクと可動型防波堤による減災

演 題 :津波リスクと可動型防波堤による減災
講  師 : 平石哲也 様 京都大学防災研究所教授
開催場所 : NPO法人新現役ネット会議室
 
1.講師略歴: 
・1976年 3月 兵庫県立兵庫高等学校 卒
・1980年 3月 京都大学工学部交通土木工学科 卒
・1982年 3月 京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻 修了
・1982年 4月 旧運輸省入省 旧港湾技術研究所 海洋・水工部 波浪研究室
・1996年 3月    同 上           波浪研究室長
・2008年 4月 独立行政法人 港湾・空港技術研究所 海洋・水工部長
・2010年 4月 京都大学防災研究所 流域災害研究センター 教授


2.講演概要:
国土交通省港湾局による「防波堤による津波防災ガイドライン作成」時の委員を担当され、津波対策の第1線で活躍されている京都大学防災研究所の平石哲也教授から、「津波リスク(専門家がどのように評価しているか)」、「津波被害とその特徴」、「津波対策事例:(コンクリート式防潮堤における)カウンターウエイト工法の仕組み」、「流起式可動型防波堤」などを解説して頂いた。
今までの大津波のデータを専門的に評価し、近い内に大津波が起きる可能性に基づき、そのLEVEL2の大津波を設定して対応を行うことが必要であることを述べられた。次に、海外の大津波の事例などに基づき、大津波の分析がどのように進んでいるかの話があった。その後で、日本で行われているカウンターウェイト工法の仕組み、利点、欠点の話があった後、近年研究されている流起式可動型防波堤のご紹介があった。形式ばらず親しみやすいお話しで、津波関連の土木技術を良く知らない参加者にも分かり易い内容でした。

3.講演内容:
平石先生は、運輸省入省後、港湾技術研究所畑で28年研究をされた後に、京都大学に戻られて8年以上経っているご経歴で、ずっと港湾技術研究の第1線を歩まれています。
今回のセミナーは津波に焦点を当ててのセミナーでした。
先ず、基礎知識として、津波高の評価の仕方が「浸水高」(東京湾中等海面(T.P.)を基準面として地表上で津波が浸水した高さ)、「浸水深」(浸水高から地表面高さを引いたもの)、「遡上高」(丘や山に遡上して乗り上げた浸水高さ)に分かれていることから入りました。
次に津波リスクとして、東北、南海地域でマグニチュード9から8の大地震が100年おきかそれ以下のインターバルで起きて大津波が伴っていることから、今後30年以内に例えば南海地域に大地震が起きる可能性は現時点では70%以上(京都市民新聞での記事に基づき)であって、そしてその時に大津波が伴うリスクがあるとのことでした。
津波の被害とその特徴に関しては、人的な被害の他に、船舶、道路、橋、防波堤などへの津波の被害があって、防波堤や建物が壊れるメカニズムの中に専門的な分析(Piping,Scouring,液状化によるもの等)を行い、対策に繋げているとのことでした。
津波対策事例としては、津波対応強化のために古い設備の補強の必要性があって、堤防を高くするかさ上げが行われてきているが、基礎も新たに作る必要もあるし、できても海へのアクセスが困難というような問題も解決していく必要がある。海側に幅広となる堤防を作って面的な防御をすることが望ましいが土地等の制約があってなかなかできないのが課題である。 又、現在の堤防は、「防波堤に作用する(津波などの)波の力」の分析の下に、地震に対してのスライディングを考慮してコンクリートブロックをマウンドと呼ばれる土台の上に載せているのが一般である。この方式では杭で止めていない。その理由は高くつくからだそうです。
その後、長周期波浪による水平移動が問題視されるようになってから、後方にカウンターウエイトと呼ばれる重りをおく工法がとられており、前面に置く消波装置と併せてレジリエンシー(粘り強さ)の向上が図られている。京都大学は日建工学と共同でサブプレオフレームという商品名でカウンターウエイト工法を提供している。
もう一つ紹介されたのが流起式可動型防波堤で、港の入り口や河口などの開口部での津波の浸水を防止するもので、通常時は水底に邪魔にならずに設置してあり、その上部を津波の浸水が通る時の流れによって起き上がって、防波堤として機能することを特徴としている。この流起式防波堤は既に実験を含め開発はほぼ完了しており、マニュアルの作成段階に入っている。現在、適切な適用場所を検討している段階である。(大阪には高潮防止のための水門が3つ河口にあるが、これらは津波には対応できないことから、その前方に置くような実験を行ったこともある。この時は、流起式防波堤と水門を組み合わせるより流起式防波堤のみの方が経済的との結果が出て、実験の成果は活用されなかった。)

まとめとして、下記の4点を強調された。
・今後の防波堤はレベル2津波の設定・対応を行っていかねばならない。(今まではレベル1津波が中心)
・既存の防波堤は消波及び透水性構造物を有する構造物を用いて粘り強く津波を減災し、津波の到達時間を遅くするような機能を持たせなければならない。(レジリエンシーの向上)
・カウンターウエイト工法による減災を図ることも有用で重要である。
・可動型防波堤を有効に活用することで、減災を図ることができる。 
(文責:濱田英外)

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講演資料:津波リスクと可動型防波堤による減災
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2019年09月26日

EVFセミナー報告:エネルギー・ミックスの問題点

演 題 :エネルギー・ミックスの問題点−再生エネルギー主力電源化への道−
講  師 : 橘川 武郎  東京理科大学大学院経営学研究科教授。東京大学、一橋大学名誉教授
開催場所 : NPO法人新現役ネット会議室
 
1.講師略歴: 
・1951年生まれ。和歌山県出身。
・1975年東京大学経済学部卒業。
・1983年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。同年青山学院大学経営学部専任講師。
・1987年同大学助教授、その間ハーバード大学ビジネススクール 客員研究員等を務める。
・1993年東京大学社会科学研究所助教授。1996年同大学教授。経済学博士(東京大学)。
・2007年一橋大学大学院商学研究科教授。
・2015年より現職。東京大学・一橋大学名誉教授。総合資源エネルギー調査会委員。前経営史学会会長(在任期間2013〜16年)。
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2.講演概要:
講師は、専門は経営史で(前経営史学会会長)、大手のいくつもの電力会社・石油元売りの社の社史編纂をされたとしながらも、総合資源エネルギー調査会委員であり、長年携わってこられたエネルギー産業論の立場から再生可能エネルギーを主力電源とするためにはどうすればよいかについてお話し頂いた。

人類が直面する二つの危機/飢餓・地球温暖化を同時に解決することの困難性、そしてその答えは、「省エネルギー」と「ゼロエミッション」しかない。

「省エネ」は、日本では経済性の追求により、産業部門と運輸部門では取り組みが進んでいるが、民生部門の省エネは、まだ余地がある。「再生可能エネルギー」には、筋の良い「タイプA(地熱・水力・バイオマス)」と、ややネックがある「タイプB」(風力・太陽光)があるが、大幅な拡充を前提に、技術的・制度的ネックを一つ一つ克服する必要がある。タイプBには、送変電網がネックである。

原子力発電所原子炉の現況は、3.11時点での合計57基(既設54基/建設中3基)のうち、稼働中9基/廃炉決定は21基。少なくとも廃炉決定の21基の送電線が余る勘定となる。2030年想定の政府の電源構成案、原子力20〜22%の実現は難しい。

電力業界には3つのビジネスモデルがあるが、「原子力依存型」、「大型電源依存型」ではなく、「分散型電源・ネットワーク重視型」経営が中心になれば、この業界の将来はある。

再生可能エネルギーのコストダウンには、二つの方法がある(蓄電池やバックアップ火力は高コストに繋がる)。
(1)Power to Heat(電気を熱で調節):デンマークでは再生エネ(風力/バイオ)+CHP(コジェネ)で、電気が余るときは熱を生産し、熱で温水を作り、貯める。日本では温水パイプラインの敷設がネックとなるが、2050年なら可能性があり、カニバリゼーション(共食い)が生じるガス会社ではなく電力会社がやれば現実味がある。
(2)再生エネを再生エネで調整:太陽光/風力+ダム式水力。送電線の高い託送料がネック。電力会社自身がやれば、ビジネスモデルとして可能性がある。

第5次エネルギー基本計画の問題点は、(1)元々の15年策定のミックスに問題があり(原子力が高すぎ、再生可能エネが低すぎる)、(2)最近の変化を反映していない=再エネコストの劇的な低下、原子力再稼働の実進捗など、(3)「総合資源エネルギー庁エネルギー情勢懇談会」の2050年見通しと平仄が合わない=再エネの主力電源化は、30年目標をそのまま据え置いている、「脱炭素の選択肢」としての原子力では、リプレースを回避している。

再エネ拡大により低需要期にはベースロード電源でも出力調整が必要であり、ベースロード電源としては天然ガスと「原子力and石炭」ではなく「原子力or石炭」が合理的、現実的である。

2030年度の電源構成案(橘川案)は、現行計画と比較すると、
原子力:15%・現行計画に比し△5〜7%、
石炭 :19%・現行計画に比し△7%、
LNG:33%・現行計画に比し+6%、
石油等:3%・変更なし、
再エネ:30%・現行計画に比し+6〜8%、

エネルギー事業者の未来は、「熱を制した者」「分散型を制した者」「再生エネ主力電源化に真剣に取り組んだ者」が生き残る。

Q&A:<非常に多数の質問があり、活気ある質疑応答となった>
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Q:ジェット燃料のCO2削減は?
A:飛行機と船舶が注目される。これからバイオ燃料が増えていき、将来的にはガス船か。飛行機の方がより難しい。

Q:地熱発電の問題点は?
A:温泉業者が反対。温泉業者が、地熱発電を自らやるのが良いのでは(温泉業者を当事者にする)。また、発電後地中に戻す蒸気の一部を地元に供給することも有用。

Q:バイオマス発電は、リアルベースでは、カーボンニュートラルと言えないのでは?なぜ再エネの一つとしてクローズアップされるのか?
A:植物は成長過程でCO2を吸収しているという考え方。最近では植林を義務づけるケースも。国際会議で多数の票を持つ欧州諸国がバイオマスを押すからという側面もある。

Q:再エネの発展には地産地消が有効であり、より規制緩和が必要なのでは?
A:規制緩和はそれなりに進んでいる。アプローチの仕方が大切。例えば東北の場合、3、11の後、コミュニティーに中心人物がいるかどうかで復興の差が顕著に出た。中心人物とは、地元の事業者であり、大企業の出先の社員では権限がなく無理。規制緩和より、そのような人の存在が重要と言える。
Q:電力会社の投資は、電源50%+送配電40%+メーター10%と記憶しているが、電源のみの議論ではないか?ベストミックスは時代によって変わるが。
A:本日は送配電の重要性についても大いに言及したはず。例えば、東京の地下にある高圧送電網は、ネットワークとして大きな資産。又、直流の技術も進んでおり、2050年までにロシア、韓国と送電線をつなぐには超高圧直流送電を使う。

Q:Power to Heat(電気を熱で調節)は、日本では蓄電池もあり、通用するか?
A:蓄電池の技術の進展には時間がかかる。余剰買取制度終了後の屋根の上の太陽光発電については、可能な限り、自宅で使うのがベスト(余剰分はEVに蓄電するやり方も)。蓄電池がどこに落ち着くかはこれから。

Q:省エネの民生部門が進んでいないとあるが、FIT(固定価格買取制度)の価格を上げては?
A:ドイツのようにFITの負担を産業に軽く、民生に重くする考え方もある。

Q:日本の宇宙技術を核廃棄物の処理に活かすことはできるか?
A:宇宙での核廃棄物の廃棄は危険すぎる。宇宙開発は大切。それに比べて、原子力は話作りが下手。原子力は、ストーリーが無さすぎる。

Q:P.6の3つのビジネスモデルで、10電力会社は生き残れるか?
A:原発が再稼働すると収益効果が働くので、(1)の原子力依存経営が主流となっているが、長期的には希望がもてない。(3)の分散型電源・ネットワーク重視型経営が未来のあるべき姿。

Q:竹村公太郎氏の著書によると、水力発電用にダムを活用できるのではないか。
A:その通り。多目的ダムの再評価について国交省の姿勢が変わるとすると、水力発電ができ、町おこしに使える。ネックは、縦割り行政であり、突破するには地元から経産省ではなく国交省への提案を。国交省の出番を作る。

Q:各個人の家に蓄電池の設置がなぜ進まないのか?
A:エネファームの普及に見られるように、設置の方向に時代は流れている。又、VPP(仮想発電所、小規模の再エネ・蓄エネ・省エネをまとめて制御・管理することで、一つの発電所のように機能させる)の様に統合型で可能性がある。又、エストニアでは、スマホにより(デジタル化で)P2Pで殆んど解決。2050年へ向けて、P.6の分散型電源・ネットワーク重視型へ。 
(文責:三嶋 明)

講演資料:エネルギー・ミックスの問題点
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2019年08月22日

EVFセミナー報告:グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来展望

演 題 :グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来

実施日:2019年8月22日(木)
講師:圓山 博嗣 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部長
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
1979年3月 早稲田大学 機械工学 学士課程修了
(職歴)
1979年4月 日産自動車株式会社 入社
1993年1月 同 エンジン実験課 課長
1995年7月 米国 日産リサーチ&デベロップメント会社 出向管理職
1999年7月 日産工機株式会社 出向管理職
2001年4月 日産自動車パワートレイン実験部 主管
2005年4月 同 パワートレイン実験部 部長
2008年4月 同 パワートレイン品質監査室 室長
2009年4月 同 環境・安全技術渉外部 担当部長
2015年4月 同 グローバル技術渉外部(改称) 担当部長
2016年7月 公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団 調査役
2017年4月 同 現職
(外部組織)
2009年7月〜2016年6月 日本自動車工業会 環境委員会温暖化対策検討会 主査
2.講演まとめ
講師は日産自動車で主にパワートレイン開発を担当されていましたが、2016年からは交通エコロジー・モビリティ財団(略称:エコモ財団)に転職されて多くの交通環境対策事業を推進中です。
セミナーは、エコモ財団の紹介から始まり、高齢化する地域社会において公共交通の“衰退”による移動困難の高まりに対処する打開策の一つとして、グリーンスローモビリティ(GSM)の可能性に着目し、その普及推進に向けた調査・研究のご説明をいただきました。GSMとは電動車両で、スピードは20Km/h未満、定員4人以上の車のことで、低床で屋根が高く、手すりはあるがドアはなく、座高が高いため高齢者が乗降しやすいという利便性があります。目標のGSMは自家用車よりも公共交通の手段に重きを置いて開発されています。
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3.講演概要
(1)交通と環境の歴史
・1972年 ローマクラブ
・1992年 リオ 地球サミット  「アジェンダ21」・・・気候変動条約と生物多様性条約
・1995年、1996年 OECD  「ESTの定義・基準」〜健康と生態系に害がなく、基本的に再エネを利用する輸送方法
・1997年 欧州 「EPOMM」 「ECOMM」 European Platform/Conference of Mobility Management
・2006年 日本 「JCOMM」・・・一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議

(2)グリーンスローモビリティの歴史
・2014年 石川県・輪島商工会議所が初の公道での無償運送を開始。
・2016年 「電動小型低速車の活用推進委員会」を設置し、事業開始。
・2018年 輪島・松江・横浜等、6地域で実証実験および試走
・2019年 環境省と国交省が連携して車両購入費半額補助事業を開始、対象車両にヤマハ・日立・シンクトゥギャザを認定。

(3)主要な使用シナリオ
1)ニュータウン :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
2)地方都市の中心市街地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
3)地方都市郊外、中山間地 :シニアや主婦等免許保有者が自家用に運転するため。
4) 同 上 :だれでも利用できる既存のバス、タクシーの補完的公共交通として。
5)中山間地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。

(4)豊島区が2019年にグリーンスローモビリティを導入
 池袋は“特定都市緊急整備地域”として指定されて再開発が進んでいます。四つの公園を周遊する新しい乗り物を導入しようということで、e-COMIO(立ち席を含めて27人乗りのシンクドゥギャザのマイクロバス)が今年中に運行される予定との由。デザインはJR九州の「ななつ星」などで有名な水戸岡鋭治氏によるもので、実現したら試乗してみてはいかが、ということでセミナーが締めくくられました。
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4.質疑応答
1)Q1:実証実験・試走は1か所何台の車で行っていますか?
−1か所1台だ。期間は3か月とか1週間が多い。
2)Q2:勝浦あたりでゴルフカートのガレージ付き別荘を見たことがあるが‥。
−私道ならナンバープレートなしで走れるが、公道ではナンバープレートも車検を受ける必要がある。
3)Q3:GSM専用の走行レーンを設けられないものか。
−GSMは幹線道路を走行することは想定していない。
4)Q4:GSMを早く購入したいと思ってきたが、価格が最低でも250万円〜300万円もかかると聞いてがっかりしている。
−今は大量生産の自動車に比べれば少量で安くはないが、今後の生産台数、販売台数いかんでは安くなっていくと思われる。

(文責:佐藤孝靖)

講演資料:グリーンスローモビリティの価値と将来展望
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2019年07月25日

EVFセミナー報告:近未来の食料・農業と地域社会:新潮流と変わらぬ本質

演 題 :「近未来の食料・農業と地域社会:新潮流と変わらぬ本質」

実施日:2019年7月25日(木)
講師:生源寺 眞一 福島大学食農学類 教授・学類長
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
・1951年愛知県生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。農学博士。
・農林水産省農事試験場研究員・北海道農業試験場研究員を経て、1987年東京大学農学部助教授、1996年同教授。
・2011年名古屋大学農学部教授、2017年福島大学食農学類準備室教授、2019年4月から福島大学食農学類長。
・これまでに東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長、日本フードシステム学会会長、農村計画学会会長、日本農業経営学会会長、日本農業経済学会会長、日本学術会議会員、食料・農業・農村政策審議会会長などを歴任。
・現在、樹恩ネットワーク理事長、中山間地域フォーラム会長、地域農政未来塾塾長など。
・近年の著書に『日本農業の真実』ちくま新書、『農業と人間』岩波現代全書、『農業と農政の視野』農林統計出版、『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる・新版』家の光協会など。
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2.講演概要
 若手の新規就農者の半数近くが非農家出身となり、企業の農業参入も活発化するなど、日本の農業にはさまざまな新潮流が現れている。他方で、農業用水をめぐる共同行動など、農村社会に連綿と継承されてきた伝統も存在する。両面を視野に、近未来の食料・農業・農村のあり方について、日本の農業を再生させるためにはどうしたらよいか、という視点を見据えてお話しいただきました。

3.講演の内容
(1)経済成長と食生活の変化
 ・海外への依存度を高めた日本の食料
食料自給率は、米の消費が減少する一方、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化で、長期的には低下傾向が続いてきたが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移している。
生産額ベース総合食料自給率:66%(2015年)
カロリー(供給熱量)ベース総合食料自給率:39%(2015年)
   ※生産額ベースとカロリーベースで大幅に差が生じるのはレタスを考えれば納得がいく。  レタスはカロリー数と関係なく経済的価値があるが、レタスのカロリーは少ない。
   穀物自給率:約27%
 ・伸びていた1980年代までの農業生産
  1960〜1964年を100とすると、5年間毎の統計では、総合では、117、120、129、129、134、と推移し、全体として伸びていた。その中身を見ると野菜、果実、畜産物が伸び、畜産は3倍、果実2倍を達成していた。1961年の農業基本法ができた際に掲げたスローガ ンを実現した。
 ・経済成長で激変した食生活
  食料自給率の三つのデータの全てが、この50〜60年間低下傾向にあった。         しかし、1955年と比べて、肉類は10倍であり、米やイモ類は半減している。経済の成長にともない大きな食生活の変化が生じたからである。1980年代の自給率の低下は、基本的には食べた方の変化が生じ、食べる量が増えた結果と言える。分母(消費量)と分子(生産量)で、分母が多くなれば自給率は低下するからである。
  平成時代に入ると、生産指数は1980年代後半の134をピークに後は急速に小さくなっている。野菜、果実、畜産物も縮小傾向になり、米、麦などの縮小も続いている。高齢化や人口減少で消費は全体として減少傾向に転じており、農業生産が同じならば自給率は上昇するはずだが、実際は下がっている。平成時代の自給率の低下は農業生産の縮小によって生じている。その縮小の背景には、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加、外国産の輸入がある。
・食料自給率と食料自給力
 2013年の日本の穀物自給率は28%、インドは111%、バングラデシュの105%であるが、栄養不足人口が2割に近い南アジアの食料事情は日本よりはるかに劣悪である。即ち、自給率を比較して論議することには無理がある。
  問題は約40%の自給率がどれほどの絶対的な供給力に対応しているかである。日本の農地面積にカロリーが最大になるように作付けをした場合のカロリー供給力を試算した結果、栄養バランスを考慮した米・麦・大豆のパターンで、1441キロカロリー、イモ類中心で2361キロカロリーである。健康維持できるぎりぎりのカロリーが1日2000キロカロリーで、その状態に何とか対応しているのが、約40%のカロリー自給率である。食べ方によって自給率は変わってくる。

(2)存在感を増した食品産業
 ・買い方・食べ方も変わった日本の消費者
飲食費の最終消費額は76.3兆円(2011年)。
内訳:加工食品38.7兆円(50.7%)、外食25.1兆円(32.9%)、生鮮品12.5兆円(16.3%)
  農産物・水産物:国内生産 9.2兆円、生鮮品の輸入 1.3兆円 輸入加工食品の原料費を考慮しても、15兆円に達しないであろう。金額配分は2割程度か。
  食品関連への配分は製造業、外食産業、食品流通業(食品スーパーを含む)で8割。
・生鮮品への支出は減少している。
・外食の増加から中食の増加へ。両者を合わせた食の外部化率は45%程度。
外食産業は資本の自由化によって急成長した。ケンタ、マック、ミスドーなど
コンビニが支える食の外部化率。単身世帯ほど外部化率が高く、現在の世帯の3分の1は単身世帯である。そのことが、日本全体の外部化率を引き上げている。
・就業者数の約6000万人のうち、食に関係する仕事の就業者は1103万人(2010年)。   食品産業の働き手は大幅に増えているということは、食に関わる産業が増えていることになる。しかし、農業・水産業に関わる就業者は大幅に減り、309万人(2010年)であった。
・安定した雇用力を日本社会の基盤にする必要がある。リーマンショック直後の業況感をみても、長期的に見ても、食品産業は安定性が高く、フレが小さいことがわかる。

(3)一律に論じられない日本の農業
 ・水田農業に代表される土地利用型農業は、兼業農家が多数派で高齢化が顕著である。
土地利用型農業でも、北海道の畑作や酪農は規模拡大を通じてEU農業に比肩しうるレベルを実現している。稲作の面積当たり労働時間は施設園芸や畜産などに比べて、大幅に短い。昔は10a当たり200時間だったが現在は20時間。一方、施設園芸では2000時間が普通。
・施設園芸や畜産などの労働多投型農業では、若者や働き盛りを確保している。
 ・高い生産額自給率は強い農業を反映している。
美味しさについて日本人はうるさい。品質の高さを求める。カロリーのほとんど無いレタ  スにも経済的価値があり、野菜は近年でも8割近い自給率を維持している。消費者に評価されている和牛の価格は外国産の牛肉よりも高く、国内生産はカロリー自給率より生産額自給率に大きく貢献している。
  ・カロリー自給率は、畜産物自体は国産であっても、飼料の自給率の割合だけを国産とみなす計算方式である。卵は96%が国産であっても、エサの9割近くは輸入である。その結果、カロリー自給率を下げる結果になっている。養豚のエサの自給率も同様に低い。
・貸し出される農地は確実に増加している。農業就労者が高齢化し、1㏊未満の規模の農家では農業所得は低い。こうした兼業農家を引き継ぐ人がいない。そのこともあり、耕作放棄地が増えてきている。他方で企業参入も広がってきている。

(4)農業経営の新潮流
 ・食品産業にウイングを広げる農業経営。食品産業との良好なつながりは、水田農業のみならず、日本農業全体の課題である。
 ・加工による付加価値を確保するだけでなく、小分け包装と情報添付により、農家が売値を決めることが出来るようになる。農家レストランも共通。農家が販売と加工を手がけ、フードチェーンの川下をカバーすることで、農業経営は消費者に接近することができる。
 ・自ら情報を発信出来るようになった現在、農業経営には生産現場からの情報発信力のレベルが問われる時代になっている。例えば、環境に配慮した農業であることのメッセージが生産工程の品質の高さを伝達することになる。
 ・職業として選ばれる農業になってきている。2017年の44歳以上の新規就農者のうち、40%が雇用就農者、13%が起業型の新規就農者である。そのほとんどが非農家出身である。
  農家の長男以外が就農するケースも珍しくなくなった。
 ・新規就農者は若者だけではない。47%を占めた60歳以上の新規就農者の大半は自分の家で農業を取り組むかたちで、典型的なのは定年帰農の方である。
 ・参入企業の総農地面積の割合は、0.2%であり、現時点ではマイナーな存在である。
 ・おじいちゃん・おばあちゃんの農業に触れて、農業の面白さを知り農業を目指す若者も増加した。

(5)地域の共同行動は文化遺産
 ・農業インフラの保全も重要な課題である。共同行動の典型は農業用水の維持管理活動や公平な用水配分のルール、農道や公民館の維持管理など、共同の力が大きい。農村の文化的資産でもある。
 ・水田農業は日本型のコモンズだ。利己的な行動によって自壊することはなかった。「自分さえ良ければ・得をするならば」と取った行動では長期的な持続はできないからである。悲劇を克服する人間の知恵として、「囚人のジレンマ」というゲーム理論が示している。仲間全体の最大利益を得るには、自分だけの利益追求では逆に得られることは小さいことになる。
 ・メンバーが固定された閉鎖型の農村社会は過去のもの。「よそ者・新住民」として仲間に入れない社会では農村社会を維持することはできない。新たな共助・共存関係が求められる時代になった。クローズドな側面が濃厚であった従来型の農協組織も、変化を始めている。
 
(6)農村空間の特色を生かす
・隣り合わせの都会と農村(ちかいなか:近い仲:近い田舎:農村が都会から比較的アクセスしやすい距離にあることがポイント)で、農業の多面的機能が関心を呼んでいる背景には、地域外から多くの訪問者を受け入れる農村空間の構造があればこそ。
 ・農業・農村に触れることの意味には、教育的側面もある。人間の思い通りにならない生き物を相手にする農業の難しさ、面白さ、達成感などを学ぶことができる。これも、近隣にアクセス可能な農村があればこそ。
 ・農業の多面的機能は金銭に換算できない価値がある。農林水産省が1998年に6兆9千億円との試算を公表しているが、コスト評価は政策的判断には重要だが、金額に換算されなければ価値を実感できないとすれば、それも情けない話しである。

4.質疑応答
Q1;食料自給率の分母にハイキ食品も含まれるのか。
A1;ロス=余裕との考え方もある、との考え方もある。自給率の計算は供給ベースが基本となっているため、食卓で廃棄されるものも分母の消費量に含まれている。
Q2:フルーツ狩りの収入は、生産額ベースの自給率に反映するのか。
A2;統計上あらわれない。
Q3;福島県の復興はあり得るのか。
A3;放射能値が問題なくなり、耕作できるようになっても、人々は戻ってこない。内陸部では加工品や花などが生産されるようになったが、食品の製造は弱い。時間がかかるであろう。
Q4;耕作放棄地が増えている。纏った農地(大規模農業)が進むのか。企業参入は増えるのか。
 A4;2009年の農地法改正後、2014年に農地中間管理機構法が成立した。しかし、成果はでていない。その直前の2012年に新たに設けられた制度に農協が関与していたこともあってか、農地をめぐる制度が短期間に変更される事態が生じている。企業参入はモデルが出来て来れば、広がってくるであろう。
Q5;外国人労働者の雇用なしに、農業は成り立たないのではないか。
A5;地域性がある。
(文責:大山敏雄)

講演資料:近未来の食糧・農業と地域社会
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2019年06月27日

EVFセミナー報告:中国の一帯一路、そのバックにあるもの

演 題 :「中国の一帯一路、そのバックにあるもの 権力集中は何のため」
   〜さらなる相互理解のために〜


実施日:2019年6月27日(木)
講師:布施玄祥 中国/石油エコノミスト
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
1949 奈良県生まれ、小中高と大阪  1971学生時代訪中
1973 出光興産入社 (神戸大経済卒・中国経済ゼミ)主に海外(原油輸入・事業計画)と販売業務 担当
1983-87 出光・北京事務所勤務
1993-96 出光・香港勤務
1996-98 メキシコ石油輸入協議会出向
2000-2007 大連出光中聯石油 勤務
2007-2009 経産省エネ庁シンクタンク(財)石油産業活性化センター(現(財)石油エネルギー技術センター)出向
2009末 退職 北京に在住(石油エコノミストとして研究調査、経営コンサル、講座講師など)
2016 拓殖大学 「世界の中の日本」講座 客員教授 就任
〜2019 各所での講演、調査支援など多数
2019全国石油商業組合連合会上海モータ−ショウ視察にアドバイサー招請参加
   石油化学工業協会講演
*趣味:中華グルメ(ラテン&シーフードも)、車評論
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2.講演の概略
講師の布施氏は、元出光興産勤務で、その折3度合計13年間中国大陸に駐在(北京・香港・大連)。2009年勇退後、北京に在住し、石油エネルギーを中心とし中国経済の観察をしている。同氏には3年前にEVFセミナーで講演、今回が二度目となる。
今回のご講演では、現場感覚での中国の実態をお伝えするとともに、大きな政策である一帯一路の背景にある、一党独裁的な権力集中を成し遂げつつある政権トップに垣間見える古代からの中国意識から我が国としての対応を考えたいとのこと。例えば、バスの中のスマホで熱心に乗客が見ているのは大半がトランプが悪いと言った内容(=今後予想される経済後退は中国政府が悪いのでない)であるし、文革によっても消えなかった儒教・道教・仏教など中国人の信仰の篤さや中国の伝統を肌身感覚で伝える、などであった。
一帯一路で個別にどうこうなったという話はしない。「近き者説(よろこ)び、遠き者来(きた)る」(論語)の文脈でお話したい。中国を理解するために、出来上がった事実とその背後にある中華文明論を織り込んで中国理解を進めるというものであった。

キーワードは7つである
(1)中華文明と四書五経 中国を知る手掛かりであろう
(2)中国の夢 宋の時代は世界の60%GDPシェアーであった。しかも、 人口は50百万人(鎌倉時代の日本は7.5百万人)漢族の作った最強の国への復帰をイメージしている。
(3)一帯一路 BRICS+上海協力機構+中国アフリカ会議+AIIB
(4)海洋大国 軍事化 (牛の舌+真珠の首飾り)
(5)中国製造25 AIを活かしたインダストリアル4.0
(6)中国独特の社会主義
(7)「徳」を説く習近平主席
 
 講演内容のレポートは、(5)(6)(7)の項目については別途項目を設けずに、全体の中で消化した。
以上、講演は120分近くに及んで活発な質疑応答で終えた。

3.講演の内容
3−1概略
中国は2001年にWTOに加入後、国際貿易の中では一人勝ちである。
1990年の中国のGDP世界シェアーは1.7%(日本13.7% 世界第2位)、2017年のそれは15.0%(日本6.1% 世界第3位)である。この間、中国の名目GDPは日本の2.5倍になった。
人口で見ても中国は三国一(中国・インド・日本)の桃太郎でもある。2015年で世界188ケ国=72億人のうちアジアの人口は54.3%で、中国が抜き出て14億人もいる。
結果として、中国の強い経済は米中貿易戦争を惹起して、東洋思想対西洋思想もしくは農耕民族対狩猟民族の対立と言われるまでになっている。
  
3−2中華文明と四書五経・・・中国を理解する基本として
中国的発想には世界の非常識=中国の常識と言われることもあるが、人類の知恵は中国の知恵でもある。布施先生のレジメには、中国理解のためのプリゼンが並びます。
大数原則・・・経験を山ほど積んで上達する。作りまくった製油所建設技術は世界一・新幹線技術・原発は第四世代で欧米の技術を完全体得。
漢字・・・・・「財経」雑誌を漢字で読むと一ページ、日本語にすると五ページ。
日本の当用漢字が1200字に対し、康煕字典は47000余字の多彩な表現力と簡素な構成の点が漢字の特徴。
世界の四大文明で言葉が残ったのは黄河文明の漢字のみである。
漢字の知恵・・田中角栄と周恩来のやり取り 「言必信、行必果」行ったことを守るだけでは小人で、実行してこそ大人の意
四書五経・・四書:論語・孟子・大学・中庸   儒教・政治の基本で科挙の原点 
五経:詩経・易経・礼記・書経・春秋 
儒教・・・・仁・義・礼・智・信 (参考:中国の人脈世界は地方政府+地縁+血縁が要素である)
科挙・・・・・598〜1905年まで行われた官僚登用試験で儒教を学ぶ
中華思想・・・中国を世界の中心に据え、遠方に済む民族を野蛮人とする。しかも、普遍性を持つ中央の文明を夷狄の地で教化していくことをミッションとする。
華外の地:台湾・沖縄・朝鮮半島・新疆・チベット 
余談だが、中国との軋轢回避して、日中協力関係を築く私案がある。南・東シナ海を地中海的入会地として、周辺国が共同利用する。元々、北京中央政府と折り合いの悪い広東省と福建省は、それぞれ香港及び台湾を橋渡しさせる。
中国人・・・・日本人との違いは2点で、強烈なリアリズムと自己防衛本能
中国人の強烈なリアリズム  対語は安っぽいヒューマニズム
生きることに大変熱心で、桜花のようには散らない。
そんな人を御する方法・・・時には強権を用いる必要がある。
ただし、強権行使には徳は必要条件
日本的な死ぬまで戦うことが理解できない
究極の人民民主主義の実現には
1.人民を強く抑え込み
2.人民に適度のガス抜きをさせ
 3.人民の地雷を踏まず
4.人民の一致団結はさせない
中国人の強烈な自己防衛本能

賄賂とパクリの中国的解釈・・・中国の伝統では肯定的側面もある。
賄賂は安易で合理的な受益者負担の考え方
パクリも経験の積み重ねで成り立っている漢方の世界や儒教百家争鳴では相互の切磋琢磨する競争の世界がある。また、現代の深圳のソフトウエア―会社ではお互いが手の内を見せあって技術・技量を磨いている。

「学び」は「真似び(まねび)」であり、真似ることが中国の文化であろうか。
「日本と中国」GDPの正規分布概念図を見て欲しい。この分布図を貧富もしくは能力分布とみても良かろう。中国にはA・Bに属するどうしようもない層が幅広に存在しているに対し、究極のリーダー層もいるのが中国だ。絶対数はかなり多くの賢く・リッチなリーダー層が存在する。
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3−3中国の夢
地球の中心は中華の地であり、中国の狙いは漢民族が最も繁栄した宋時代への回帰
で、モンゴル族の元や満州族の清でもない。漢族王朝の宋時代は人口で50百万人、
GDPは世界の60%を占めていたと言われる。そのような世界及び世界の繁栄を中
国主導で再度作り上げたいというのが「中国の夢」であろう。

3−4一帯一路
(1)一帯一路
 2013年に習近平が提唱し、世界150ケ国以上が参加。海と陸でヨーロッパと中
国が結ばれる広域経済圏構想である。確かにスリランカのような債務の罠が生じ
たことはその通りである。
 勝つか負けるかのゼロサム・ゲームでない「ウィン・ウィンの関係」を目標。
 下記の三者が重要な構成者である。
  中国アフリカ協力会議 向こう50年のアフリカのGDP成長率期待。
    中国製原発をてこに、シンガポールのようにクーラー天国化をすると資源もあるアフリカであり世界経済工場の礎になる。
  BRICS ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ この5国で世界人口4割強
  上海機構 陸の一帯一路でシルクロードに沿う8ケ国 中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン、ウズベキスタン・インド・パキスタン  2001/6設立
一帯一路裁判所 西安で設立 「国際商事裁判所」 2019/5/29
 「フェアネッス」「プロフェッショナリズム」「コンビニエンス」の標語を唱っているが、中国人裁判官のみで公平な裁きができるか?
思想の背景:近き者悦び(よろこ)び、遠き者来(きた)る」(論語)

(2)中国国内経済発展の跛行性から中所得国の罠は出現しないだろう。
      各省のGDPを国の規模でとらえてみる。
山東省・江蘇省=スイス  北京=フィリピン
      広東省=インドネシア   マカオ=パナマ
      香港=エジプト
中国はまだらな発展をして、先進国・発展途上国・後進国で成り立っている。
 (3)経済発展の重視から全面発展の段階は4人の指導者が登場した。
   1992年 ケ小平 先富論 チャンスを掴み続け、思い切った改革を成し遂げよ。
   2002年 江沢民 小康社会 いくらかゆとりのある社会 朱鎔基が有能
   2007年 胡錦涛 和諧社会 調和の取れた社会 大気汚染の抑制・平等
   2012年 習近平 政治面の習、経済面の李克強とバランス
   ともかく経済政策面では正しいマクロ選択がなされた。四代にわたるブレない経済政策を続けたことは称賛できる。
(4)一極集中
順調に成長した中国経済だが、習近平=中国共産党への一極集中が課題である。
問題は権力の一極集中は腐敗を招くかある。権力の最大の物は「中国共産党とそれが牛耳る国家財政で、数百兆円が意のままになる。健全な精神を持った強権なら理想的な運営ができる。一極集中により理不尽な抵抗勢力を抑え以下に述べるような「正しいこと」ができる。つまり環境改善や汚職追放ができる。そして今までできなかった「善いこと」が進行している。
習主席は習大大(毛主席と同じ尊称)と呼ばれることを拒否している。
   環境汚染対策がうまく回っている
 汚職追放 虎もハエもたたく
   やくざ社会一掃
   地方債務の圧縮
 軍務の横暴を退治
   貧困層支援対策
   国営企業改革
   一帯一路・中国製造25・中国の夢・海洋大国推進の一連施策は、
世界の貧困層をGDPベースで引き上げることを意図しているのでないか?
(5)環境に見るキーワード
権力一極集中だからできる大転換の環境保護対策
国務院のスピーチライター楊偉民氏に接触する機会があった。同氏は謙虚で、中国の最近の四大発明はすべてパクリであると認識して、これを脱した中国オリジナルの発展が必要と説く。経済成長を犠牲にして も善政が大事だ。「善政=善いこと」とは汚染対策だ。環境汚染改善は   
環境査察チームによる地方巡回
       ドローンを利用した環境観察
       汚染工場の強制移転・閉鎖
       地方幹部の評価基準の強化などである。
中国は習近平の発言にある通り、世界ではそれを放棄したトランプ氏に代わり温
暖化防止の旗手、自由貿易の旗手でもある。
参考:中国古代の四大発明:羅針盤・火薬・紙・印刷
    中国最近の四大発明:eショップ・レンタバイスクル・キャッシュレス・新幹線



(6)中国の石油 
今は石油と石油化学一体化の第三世代製油所の時代で先進的である。燃やすためだけでなく、エチレン・プロピレンの石化製品材料への転換が進んでいる。
石油精製能力は世界第二位で15,655M b/d(2018年)は、日本の4.7倍であるが原油は約72%が輸入である。中国シェールガスの埋蔵量は世界一だが、インフラのない僻地に存在し、技術を要する深い地層にあることや、水圧破砕に使われる水の大量確保が困難で実際の生産には距離がある。

また、上海モーターショーでの印象だが、EV化は一服したのでないかと感じられた。石油屋の目から見て、軍事用の石油(ディーゼルや航空機用)を確保するためには、連産品であるガソリンの需要を一定量保持する必要があり、現在も量的な余剰現象が起きているのでないかと見ている。
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3−5海洋大国 軍事化 
南海の牛の舌(九段線)・インド洋の真珠の首飾り(スリランカ・パキスタン)・西太平洋のハワイ以西・東海の尖閣諸島が中国の防衛線。中国の覇権主義は、イスラエルのシナイ半島やヨルダン川西岸ガザ地区に対してのトラウマと同じで、放っておいてはエルサレム本体を侵略される意識に近い。
中国は石油の70%以上を輸入に依存して、その60%がホルムズ海峡及びマラッカ海峡を通る。
中国海軍は「近海防御」戦略で、南シナ海など近海の海上航行を確保し、遠海護衛戦略として太平洋やインド洋に作戦展開する。これは、空母建造のみでなく潜水艦の活動範囲の拡大と民間船に加えた軍用船も利用できる海外での港湾建設も含んでいる。

講師は、一帯一路に対する我が国のスタンスとして、注意しておく点として以下をあげた。
(1)第三国支援について、中国との協働を是々非々でという安倍首相のスタンス中国は自民党/二階氏の北京会議出席を高く評価している。
(政府でなく、自民党である)
(2)第一回一帯一路東京フォラム(6月15日)では、一部「中国よいしょ派」の曲解させかねない言動には盲目的な一帯一路への追従、同時にAIIBへの加盟主張が見られるが、警戒すべきであろう。 AIIBの顧問に鳩山元首相がいるのではあるが!
(3)世界GDP向上のため、日中が南アジアやアフリカの潜在力を共同で掘り起こすことは、欧米にできない東洋の復権に繋がるだろう。
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質問1
ある自動車メーカーが数億円をかけて中国で排水処理装置を完成した。これを見て「日本人はなんと無駄なことをするのか。ここでは役人が水質検査に来る時、新たなコックを作っておき切り替えれば良い。」また、新疆ウィグル自治区の人が回教巡礼をして喜びの声を上げたという話も聞いたが一方では多くの弾圧されている人がいる。こういった状況が心の芯から変わっていくことがあるのか?
〜布施先生
 虐げられた人が存在する強烈なリアリズムの世界がある。日本人は、「TOO MUCH」に遵法するところがある。上海で儲けられない漢族が、一旗揚げるために新疆やチベットに行ってそこに住む人を虐める。新疆・チベットの人は漢族が大嫌いで、宗教的(中華思想・回教・チベット仏教)な軋轢も大きい。お互いが非寛容だ。チベットでは、鳥葬の有様を日本人には見せるが漢人には見せない。

質問2
 中国は毛沢東の築いた共産主義が残った。ロシア共産主義もなくなり、中国共産党のパワーを感じる。この点についてどう思われるか?

〜布施先生
 中国共産党の強権が凄いし、プーチンの比でない。中華思想では、正しい王様が中央に座っている。インドがそうであるように、レベルの低い人に一票を与えてしまったという恐怖心がない。中国の人民は、今の共産党を信じているが共産主義を信じているわけでない。この意味ではマルクス・レーニン主義をパクった中国王政という似非共産主義と思う。

質問3
 香港について尋ねたい。中国は人民が13億人、監視カメラが25億台といわれている。習近平さんの徳を重んじる政治との整合性はあるのか?

〜布施先生
 香港人のマジョリテイはそれほど中国化に抵抗がない。中国の繁栄と資本主義との「とりもち」で利益を得ることを身に染みて知っている人たちだ。カメレオン的な生き方だ。
 また、ハイテクを活かしたコントロールに対しては、エリート層は深刻に考えていないし、中間層は「上に政策あれば、下に対策あり」と対処するだろう。上海デイズニーランドは顔面認識だし、中国人の識別も顔面認識になるらしい。慣れてきたら慣れるのでないか。
(文責:羽岡)

講演資料:中国一帯一路
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2019年05月23日

EVFセミナー報告:人工知能の光と影

演 題 :「人工知能の光と影」

実施日:2019年5月23日(木)
講師:室山哲也氏 日本科学技術ジャーナリスト会議副会長、大正大学客員教授/東京都市大学特別教授、元NHK解説主幹
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
・1976年NHK入局。
・「ウルトラアイ」などの科学番組ディレクター、「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」のチーフプロデューサー、解説主幹を経て、2018年定年。
・科学技術、生命・脳科学、環境、宇宙工学などを中心に論説を行い、子供向け科学番組「科学大好き土曜塾」(教育テレビ)の塾長として科学教育にも尽力した。
・モンテカルロ国際映像祭金獅子賞・放送文化基金賞・上海国際映像祭撮影賞・科学技術映像祭科学技術長官賞・橋田壽賀子賞ほか多数受賞。
・日本科学技術ジャーナリスト会議副会長。大正大学客員教授。東京都市大学特別教授。
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2.はじめに
人工知能は、急速に人間の脳に肉薄し、やがて独自の意識を持ち人類を支配するのではないかと心配する科学者まで現れている。いまや、世界規模で医療経済教育社会に大きな影響を及ぼす人工知能。元NHK解説主幹であり、日本科学技術ジャーナリスト会議副会長である室山哲也氏に、人工知能について明確に解説していただいた。

3.講演概要
すべては脳が作った!
人間の脳は、おおざっぱに言って、体のセンサーからの情報を脳の後ろ半分に入力し、前半分で運動野などを経由して体に情報を出力し、運動している。人類(ホモサピエンス)は20-30万年前に出現し、肉体の弱さを、二足歩行で脳の巨大化を支え、脳の知恵を武器に生き延びてきた。その結果さまざまな道具や機械を作り、肉体の能力を拡大してきた。見る機能は望遠鏡・顕微鏡で、話す機能は拡声器や放送通信で、動く機能は自動車や飛行機ロケットで、そして今や考える機能をコンピューターを使って拡大してきた。その文脈でAIが出現したわけであり、ある意味で必然的現象ともいえる。

人工知能(AI)とは
従来のコンピュータは、何に注目するかは人間が決め、それに従って作動してきた。AIのひとつ、ディープラーングなどは、人工知能がなにを注目すべきかを探ることができるようになってきた。とはいえまだまだパーフェクトではない。
ヒトの脳には3匹の動物が住んでいると言われている。生存を司るワニの脳、感情を司る馬の脳、最後に知能(知性)を司るヒトの脳である。AIは脳の働きのうちの知能(知性)の一部を実現した。囲碁や自動運転、病気の診断等特に知能の一部を特化して人間の能力をしのぐ優れた力を発揮する。また人工知能が小説や音楽を作ることができるともいわれているが、その内部にある意味を把握しているわけではなく、ものまねをしているだけということを押さえておく必要がある。

人間の脳とAIの違い
人間の脳はビッグデータなしでもなんとか問題解決が可能であり、しかもどんな領域でもほぼOK。これは脳が生きていると言うことであり生き物の不思議さである。
他方AIが活動するためにはビッグデータが必要。基本的には、ヒトがインプットした限りのデータをもとにしかアウトプットできず未知のことについては対応不可。ルールが定められている限られた領域で大変な能力を発揮するが、汎用性という意味ではまだまだである。。

さて本日のテーマの二番目として、AIの延長線で最近特に話題になっている自動運転について言及したい。
自動運転の前提知識
まず、自動運転とはなにか。自動運転のレベルは5段階ある。
自動車走行の動きの二つの要素、つまり「左右の動き」(ハンドル操作)と「前後の動き」(アクセルとブレーキの操作)がどれだけ自動化されているかで決まる。
レベル1は二つのうち、一つが実現した状態(自動ブレーキやACCなど)。
レベル2は二つが実現された状態。例えば、高速道路でボタンを押せば、車線を超えて車を追い抜くことも可能。レベル3はレベル2がさらに進化した状態で、基本的には、システムが運転するが、緊急事態が起きた時は、ドライバーが運転代行をする。
レベル4は限定条件(場所、時間、スピード、天候など)のもと、システムによる自動運転(ドライバーなし)が可能。
レベル5は、どこでもいつでも、ドライバーなしの無人運転で走行できる段階である。

自動運転の課題は?
結論から言うと、AIの進歩のスピードに、法律や人間社会のルールや人間の特性が追い付けない構図から、様々な課題が生まれている。
@法律問題
自動運転の場合、車線消失による事故、道路にゴミがあった場合の事故、ナビの地図未更新による事故等々のケースがあり得る。その場合、自動車所有者、メーカー、ナビなどの情報提供者、道路管理者など係る主体が多岐にわたるため、事故の責任の所在が判然としない。責任の所在に関して、法的責任はまだ検討中という状況である。
A人間と混在
社会のすべての車が自動運転になれば、交通事故や渋滞が減り、エネルギー効率も高まり、社会的利益は大きい。しかし、人間のドライバーと混在するとき、様々な課題が発生する。ドライバー同士ならコミュニケーションし合える短いクラクションの合図等、ニュアンスが複雑な状況を、AIではまだ理解できないといった問題がある。
Bレベル3の壁
レベル3以上は、システムが運転主体となる。しかし、システムが運転不可能な緊急事態が発生した時は、人間のドライバーに運転代行を要求してくる。この時の安全性をどう確保するのかが大きな問題となっている。解決のためには、AIが、常にドライバーの健康状態や意識の状況を把握して、ドライバーの状況に応じてサインを出すシステム(HMI)が必要になってくるが、実際にはまだ達成可能な領域に達っしていないのが現状。
C「トロッコ問題」といわれる究極の問題。
たとえば、無人走行中の車が、ハンドルを右に切っても左に切ってもだれかが死亡し、急ブレーキをかければ、車内の人が死亡するような場合、AIはどのように判断すればいいかという問題である。
人間のドライバーの場合、ケースバイケースでとっさに判断するが、自動運転の場合は、事前にその場合どうするかという判断をAIにインプットしておかなければならない。
この悪魔のような判断は、いわゆる「生命の選択」であり、事前には当然、社会的合意が必要となる。私達は、このような判断基準を、事前に決めるなど、日本社会が合意できるのかという課題も横たわっている。

AIをどう育てるか
AIで人間の仕事がなくなるといわれているのは、仕事をパターン化しやすい工場労働者やオフィスワークの事務等である。正解が難しい創造的仕事、例えば精神科医や広告ディレクター等は消えにくいと言われている。
「人間の雇用がAIによって奪われるのではないか?」「AIが人類を支配するのではないか?」といった不安はある。しかしAIは人間がデータをインプットして作り上げるモノ。「正しいビッグデータを与える」「プロセスの可視化」等によって人工知能を育て共存していかなければならない。
20万年前にホモサピエンスが誕生したが、19万年は狩猟時代で獲物はみんなで分け合い平等社会であったといわれている。そして1万年前に農業が生まれ200年前の産業革命により「大金持ち26人の資産が世界の下位半分の38億人の資産と同じ」という不平等な格差社会になっている。このような進化のプロセスも射程に入れて、人間と機械の関係を考える必要がある。豊橋技術科学大学 岡田美智男教授は人に頼る「弱いロボット」を開発し、ロボットやAIと人間の共存の仕組みを考えている。このような時代だからこそコミュニケーションの大切さ、「人間としての幸せとは何か」を研究しながら、人間とAIの共存の解を見つけていく必要があるのではないか。
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4.質疑応答
(1)Q1:AIが仕事をしてくれれば人間は何もしなくてもよくなるのではないか。
ヒトの仕事はなくならない。産業革命においてラッダイト運動という機械破壊運動が起こったが仕事はなくならなかった。アテネでは奴隷に働かせたが市民はそれなりの幸せを求めた活動をしていた。要は何が幸せかという問題。
(2)Q2:AIの時代に人間はどんな仕事をすることになるのか
  人間にしかできない仕事を模索する必要がある。
(3)Q3:アルファー碁などはものすごいエネルギーが必要としてるが、、、
  AIもエネルギー問題とリンクしている。AIを考えるときエネルギー問題も検討も必要。
(4)Q4:自動運転の時にサーバー攻撃からどうして守るのか
  心配ではあるが、専門家のヒトが考えて前に進んで欲しい。
(5)Q5:アシモフの3原則では3番目にロボット自らを守るとなっているが自動運転ではどうか。
  日本では議論されていないが議論を深めていく必要。

(文責:桑原
講演資料:人工知能の光と影
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2019年04月25日

EVFセミナー報告:「2030年自動車産業の競争軸を考える」〜MaaS、EV、自動運転〜

演 題 :「2030年自動車産業の競争軸を考える」
   〜MaaS、EV、自動運転〜

*MaaSとはMobility as a serviceの略で日本語では「サービスとしての移動」と訳されます。個々人の移動を最適化するために様々な移動手段を活用し、支払い手段の一元化を含めたパッケージサービスにより利用者の利便性を高めることを言います。

実施日:2019年4月25日(木)
講師:轟木光氏 アビームコンサルティング株式会社シニアマネージャー
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル
   
1.講師略歴:
1999年:九州工業大学大学院設計生産工学専攻 修了
同年:日産自動車入社 主としてR&Dにて開発及び商品投入戦略に従事、ドイツに駐在
2017年:アビームコンサルティング株式会社入社 日本の自動車産業を中心に戦略策定、調査などコンサルティング活動に従事 現在に至る
(著書)「EV・自動運転を超えて”日本流”で勝つ‐2030年新たな競争軸とは‐」
    日経BP社(2018/6/18発売)
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2.講演まとめ:
世界は効率化の追求だけでなく、持続性や循環型経済を意識した構想へ変化し、デジタル化やスマートフォンの普及によって顧客の声が顕在化し、顧客は100%満足できるモノ・サービスを探すようになった。こうした社会の変化はモビリティにも到来している。
自動車産業は、100年に一度の変化期に直面している。その変化を促すのが、パワートレインの電動化(環境)、自動運転(安全)、シェアリングエコノミー及びコネクテッド(ネット接続)である。この4つの内何が2030年の競争軸となるのか?下記講演概要に記述した3つの視点からご講演をいただいた。
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3.講演概要
(1)何故、EV拡大が必要なのか?+燃料電池EV(少しだけ)
・環境問題を背景に各国でCO2規制、ICE(ガソリン車)台数比率規制、ゼロエミッション車台数設定が実施される。
・EV拡大施策は、政府・地方自治体による補助金など優遇策がメインだが限界がある。
・規制対応にはEVは10〜15%の販売シェアが必要。そのためにはバッテリーへの莫大な投資が必要だが回収の見通しが立たない。また、課題も多い。
・リチウムイオンバッテリーについても熱を抑える技術開発、コバルトの調達の社会問題などが存在しコスト削減が困難。
・EVは課題が多く決して楽観できないが、マスコミがネガティブ情報を消している。
・その中でFCEV(燃料電池車)がブーム、排ガスやCO2を排出しないFCEVでないとゼロエミッションを達成できない。
・各国は環境規制への対応とエネルギーセキュリティの向上を見据えFCEVの普及政策を定めている。2024年からルマン24hでFCEVが採用予定。
・トラックはOEM、バスは行政主体で導入伸展、また、高出力、長航続距離が要求される商用車での採用が拡大の見込み。
・乗用車は、BEV(バッテリー式EV)は走行距離が短く充電時間も長いが現状は航続距離500Km以上の領域でFCEVと共存。
(2)完全自動運転後の世界は?
・自動運転技術とはドライバーをロボットに置き換えることである。さらにAI(人工知能)も必要。
・技術開発に関しては、人や他車の動き、天候などの再現性とドイツアウトバーンや日本の多信号などの極限環境の側面から今までのやり方での開発は非常に難しい。
・モノによる開発からバーチャル開発へ移行。試作車をやめてバーチャル認証になる。
・マスのモノづくりが終わり新しいモノづくりの始まりの予兆。
・IT人材不足で優秀な人材獲得が今後の競争軸のひとつになり、特徴としては高収入、日本では東京一極集中。
・自動運転レベル4(特定の場所ですべてを操作)レベル5(場所の限定なし)の拡大は、工場内の自動運転、高速道路での隊列トラックなどのステップを経て、法整備、ユーザーのアクセプタンス向上があり、そしてプライベート車の完全自動運転が達成できる。
・自動車産業が自動運転技術を活用したサービスへ参入拡大。将来キーポイントとなる。例えば工場内輸送・倉庫業、宅配業、シェアリング業など
(3)モビリティシェアリングは4つの変化(電動化・自動運転・シェアリングエコノミー・コネクテッド)の要+MaaS
・モビリティシェアリングサービスにはカーシェアリングサービスとライドシェアリングサービスの2つのタイプが存在する。
  -カーシェアリングは自動車OEM(ダイムラー/BMWなど)の参入後着実に成長。
  -ライドシェアリングはUber及びDiDiなどにより爆発的に普及。
・すでにダイムラーはモビリティサービスを乗用車・トラックに並ぶ事業とし、分社化、増資しながら提携先を拡大することを実施あるいは計画中。
・自動運転実現後の各事業コストはタクシードライバーがいなくなり、タクシー、カーシェアー、ライドシェアー、レンタカーのコストはほぼ同一となり競争が始まる。
・多くのユーザーは自家用車を持たなくなる可能性がある。その結果、マスブランド車が減少し、相対的にプレミアムブランド車の割合が増加する可能性がある。
・モビリティシェアリングサービスが変化の要で、それを通してEVの急速な拡大や、自動運転技術導入がされていき、コネクテッド技術も拡大する。
・この姿がMobility as Service (MaaS)である。
・MaaSは社会最適のための手段で、2014年にフィンランドで誕生。移動/輸送というサービスを統合し、情報・予約・決済を統合する「あらゆる人々の移動/輸送ニーズにこたえるサービス」また、これには周辺サービスが含まれる。
・MaaSは5つのレベルに分類され、現在はレベル2及び3が主戦場だが、社会の最適化というレベル4になると過当競争の発生から国や自治体のガバナンスが必要となる可能性がある。
  -MaaSプラットフォームはアプリケーションとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)連携で成り立つシンプルな構造で自社開発の必要性は低い。
  -米国ライドヘイリング2社(Uber、Lyft)の売上は順調だがずっと赤字。従って、周辺サービスにチャンスを見出す必要がある。(車両、燃料、駐車場、メンテ、保険、システムなど)
・未来の自動車産業は、航空産業のように車両の供給会社はグローバルで数社に集約され、部品供給はグローバルサプライヤー、エンドユーザーの窓口はMaaSプロバイダーと極めて少数の企業となる可能性がある。
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4.質疑応答
(1)Q1:日本のFCVの状況は
-水素に関しインフラの設置費が高く数が少ない。法律の改善の必要がある。
(2)Q2:アンモニアと水素を混ぜて燃やすのは駄目か
-燃やすとNOxが問題となる。
(3)Q3:ヨーロッパで盛んなディーゼルの見通しは
-絶滅はしない。重量物且つ長距離に有利。NOxはゼロと言い出す。
(4)Q4:カーシェアリングと車(運転)の楽しみの関係は
-わずかには残ると考えられるが、現在でも世代間格差は大きい。将来は車の買えない低所得者が増えると予想される。
(5)所有車が減少する中で新興国も車が増えないか。MaaSについていけるか
-MaaS専用車両が増加する。MaaSは各地域に適応する仕組みなので普及してしまう。
(6)世界を席巻するUberみたいな会社は増えるか
-Facebookは消滅の危機にある。Amazonは世界的には知られていない。現地に税金を払わなければ残れない。
(文責:冨野)
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2019年03月19日

EVFセミナー報告:福島第一原発の廃炉技術とロボット−廃炉作業ロボットの研究開発の現状と課題−

演 題 :福島第一原発の廃炉技術とロボット
   −廃炉作業ロボットの研究開発の現状と課題−

実施日:2019年3月19日(火)
講師:新井民夫氏:技術研究組合・国際廃炉研究開発機構(IRID) 副理事長、東大名誉教授
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル
   
1.講師略歴:
・福島第一原子力発電所廃炉事業の技術研究開発を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)の設立時(2013年)から副理事長に就任し、ロボット技術、設計システム、人材育成を中心に機構の運営に携わっている。
・1970年に東京大学工学部精密機械工学科を卒業、1977年同大博士課程修了、工学博士。
・複数移動ロボットの協調制御、クレーンとロボットによる重量物ハンドリング、ホロニック自律分散生産システムの研究など生産システム研究を進めた。
・2000年より東京大学人工物工学研究センター長としてサービス工学を提唱した。
・2008〜10年精密工学会会長。
・2012年、東京大学名誉教授。
・2012〜16年サービス学会を設立、初代会長。
・日本学術会議会員(第22〜23期)。
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2.講演まとめ:
2011年3月11日に発生した東日本大震災により福島第一原子力発電所の3つの原子炉では全電源を喪失し、結果、炉心溶融が起こり、これに加えて水素爆発が発生した。これらの炉を廃炉にするには、内部の状況調査、放射線量測定、除染、がれきの除去、燃料デブリの取出し、解体という一連の作業が求められ、人が近づけない高放射線量過酷環境の中でも働けるロボットの開発が必須である。
この講演では、事故炉の中で放射性物質の閉じ込めを確保しながら、遠隔操作で数百トンにもおよぶ燃料デブリの取り出しから、収納・移送・保管までを実行するロボットの開発の現状と展望について、ビジュアルな資料を用いつつ語っていただいた。
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3.講演概要
(1)IRIDの発足
2011年3月に炉心溶融を起こした東京電力第一原子力発電所の3つの原子炉は廃炉とすることが決められている。そのため、溶融燃料並びに燃料と周囲の物質とが入り混じって固まった燃料デブリを取り出さなければならない。この技術課題を解決するために、2013年に「廃炉技術を集中して研究開発する技術研究組合(IRID)」が発足した。IRIDのミッションは次の3点にある。1)世界に例のない原子炉内の燃料デブリ取り出しロボットの技術研究開発、2)長期に亘る廃炉事業の技術維持・発展のための人材育成、3)廃炉に関わる世界の英知を結集するための国内のみならず海外の研究機関との技術交流・技術協力の推進。

(2)廃炉作業の特徴
・過酷環境下、かつ未踏分野での仕事であり、開発の⽴案と変更の機敏性が求められる。
・多分野複合技術が要求され、多方面の⼈材参画と連携作業が必須である。
・長期に亘るダイナミックな計画と、それに関わる⼈材育成と開発技術の実用化が必須。
・廃炉は社会的課題であり、研究開発は国の仕事である(全体的に宇宙開発との類比)。

(3)廃炉の手順
廃炉の手順は通常なら下記の手順で行われる。
1)使用済み燃料の搬出、2)炉設備の系統除染、3)一定期間の安全貯蔵で放射能減衰を待つ、4)建屋内部の炉等の解体撤去、建屋除染、5)建屋解体、燃料は譲渡、汚染物廃棄。6)建屋内部からの廃棄物処理処分。
しかしながら、福島の炉は通常ならざる状態であり廃炉工事内容と手順を策定するためにも、まずロボットによる内部状況の調査から始めなければならない。そして最終的な炉解体工事に至るまで、全面的にロボットの活用に依存せざるを得ない。

(4)ロボットに求められる要求とロボット開発
1)ロボットの開発目的は現場観察、環境測定、燃料デブリサンプリング、燃料デブリ取り出し、等々多岐に亘り、それぞれで要求される機能、性能、大きさ、パワーが異なる。
2)高放射線環境での作業のため、電子機器を長期間使用することが出来ない。また、無線の信頼性が低いため、電源供給をも含めた有線による遠隔操作ロボットとなる。しかし、有線では高度なケーブルマネージメントが求められる。
3)炉内では、炉内構造物の落下、瓦礫、たまり水等の障害物があり、外部から遮蔽壁を通って、炉内作業ポイントまでのロボットの持ち込みに、移動の確保が必要となる。
4)使用場所、使用目的に合わせた駆動機能、形状変化機能、運動機能が必要であり、開発が進んでいる。
・クローラタイプ・ロボット(階段、段差、ガレキ走行等の高い運動機能を持ち、映像撮影、環境モニタリング、軽量物のハンドリングに威⼒を発揮する。)
・磁気吸着移動ロボット(磁力で鋼鉄製壁面に吸着し、移動可。サプレッションチェンバ(S/C)やベント管上の漏えいなどの調査を⾏うために開発。)
・⽔上ボート(漏洩箇所調査用)
・⽔中ロボット(トーラス室壁⾯の⽔没したペネ貫通部の漏えいを調査する。超⾳波ソナーによるドップラ計測機能を装備。)
・今までは、炉内調査のため、外部から炉内へ小径の貫通穴(ペネトレーションと呼ぶ)を通過でき、内部で運動性能を発揮できる超⼩型ロボットを開発してきた。今後は耐放射線性、保守性、環境に応じた駆動⽅式を有する重作業のできる⼤型ロボットの開発が必要となる。

(5)現在までに行われた原⼦炉格納容器(PCV)内部調査
・(1号機)溶融燃料は、ほぼ全量が圧力容器(RPV)下部へ落下、炉⼼部には殆ど燃料が存在せずと推測。⇒・燃料デブリのペデスタル外側までの拡散の可能性から、ペデスタル外側の調査を優先。形状変化型ロボットを使用。グレーチング上を移動し、カメラ付き線量計を⽔⾯下に投⼊して調査。降下ポイントの⾼さ⽅向の線量率分布、地下階床⾯の燃料デブリの広がり状況の確認。
・(2号機)溶融した燃料のうち、⼀部は下部プレナムまたは又は格納容器(PCV)ペデスタルへ落下。燃料の⼀部は炉⼼部に残存と推測。⇒ペデスタル外側までの拡散の可能性低く、ペデスタル内側の調査を優先。クローラ型遠隔操作ロボットを使用。CRDレールを経由して直接ペデスタル開⼝部へ侵⼊を試みたが、粘性の高い物質のためとの干渉のため、途中停止。先立つ長尺竿先に付けたカメラによる画像では、ペデスタル底部の全体に,⼩⽯状・粘⼟状に⾒える堆積物を確認。燃料集合体の⼀部(上部タイプレート)がペデスタル底部に落下しており,その周辺に確認された堆積物は燃料デブリと推定。
(3号機)溶融燃料の存在形態は2号機に近いと思われる。PCV内の⽔位が⾼く、水中遊泳型ロボットを使用。着⽔後、潜⽔によりペデスタル⼊⼝から内部へ入る。底部に砂状、小石状の堆積物を確認。

(6)今後の展開・課題
IRIDの研究開発プロジェクトとしては次の3分野に関して、合計15プロジェクトが進行中。そのうち、9プロジェクトはロボット技術がベースになっている。
(1)燃料デブリ取り出し技術、(2)圧力容器補修、止水技術、(3)炉内調査、分析、評価技術

福島第一原発の廃炉は、人類が未だ踏み込んだことのない社会的・技術的分野であり、多分野複合技術とリソース(人材・予算)を必要とする長期プロジェクトである。この未踏分野における複雑かつ巨大システム技術を持続的進化させるためには、その考え方の基盤において、「認識科学」と「設計科学」を融合させながら推進することが重要。「認識科学」として観測⇒分析、その結果を使っての「設計科学」としての設計⇒適用があり、これらが循環することで持続的にシステムの進化が進む。

(7)講演の最後に講師は「君に何を期待するか」と若い人へのメッセージを発信された。
・福島第一原発の状況を科学的に理解せよ。
・社会の技術としての科学技術を広く眺める⼒を持て。同時に、社会科学的視点を理解せよ。
・部分最適化を避け、全体最適化を図れ。多分野複合技術者たれ。
・未踏分野の技術成功率は低いことを理解せよ。そして、技術の適⽤、失敗、その後の対応を深く考え、失敗例を的確な情報として残せ。

そして、「廃炉は世代をまたいだ⻑期事業。理解し、記憶し、⼿助けしよう」と呼びかけられた。

質疑応答
Q1;廃炉の達成は大変に難しそうであり、ダメな場合は、石棺もありうるか?
A1;ないと思う。国は石棺という手段を選択しないように考えている。
Q2;作業環境から無線は適さないとのことであるが、放射能耐性の高い材料もあると思うが?
A2;宇宙用にICが開発されているが、価格が高い。つまり、実用的な電子機器が使えるかどうかである。材料的には可能性がある。
Q3;IRIDは技術研究組合法に基づいての設立で、活動期間は10年と聞いている。プロジェクトの長さを考えると、それでは困るのでは?
A3;福島第一原発の廃炉技術開発をオール日本の態勢で立ち上げる必要があり、技術研究組合という枠組みを使った。組合故、時限で設置している。しかし、それで終わることはなく、必要に応じて、形態は変わっても何らかの形で技術開発の継続がなされよう。
Q4;お話の中で日本では技術伝承がないとおっしゃったが、自分の経験ではそうではなかった。
A4;一般論としては、日本はシステム的な技術について伝承が弱いと思う。また、日本ではリスクアセスメントが弱い。原子力はリスクに敏感な産業だけに進んでいると思っていたのだが、実際にはそうでもなかった。
(文責:橋本升)
講演資料:福島第一原発の廃炉技術とロボット
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2019年02月21日

EVF総会記念セミナー報告:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

演 題 :クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

実施日:2019年2月21日(木)
講師:廣田壽男氏 早稲田大学環境総合研究センター客員教授 工学博士
開催場所:JICA地球広場 セミナールーム202AB 
〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)   
1.講師略歴:
1972年、北海道大学工学部原子工学科(学部)卒業
同年、  日産自動車入社。中央研究所にて、電気自動車、燃料電池の研究開発
水素エンジン、メタノールエンジンの研究開発
1990年、エンジン開発部門にて生産車エンジンの開発 
1994年、米国駐在。パワートレーン開発、EV実用性試験
1998年、総合研究所にて、燃料電池システムの研究開発
1999年、工学博士(機械工学)
2001年、米国駐在。コネチカット州に燃料電池研究室開設。燃料電池車を開発
2005年、技術企画部。電動車両など環境・エネルギー研究開発戦略
2014年、日産自動車退職
2008年、早稲田大学。先進電動バス、EVバッテリ活用V2Hの研究
2011年、リチウムイオンバッテリの性能および耐久性に関する研究
2015年、燃料電池ゴミ収集車の研究
2018年、国際エネルギー機関(IEA) 太陽光発電 TASK17
     運輸部門における太陽光発電の活用に関する研究
現在に至る
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2.講演まとめ:
クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?というテーマにつき以下の3つの視点からご講演をいただいた。
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り、静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は1.5万基に達する
(3)将来展望
−EVのクルマとしての魅力により置き換わる。しかし時間がかかる。
−現在のEVはまだまだ重すぎるため、大幅な軽量化、コスト低減が必要
−太陽光エネルギーでどこまでも走ることができるクルマを作りたい
−PV(Photovoltaic:太陽光発電)セルの変換効率向上とモジュールコスト低減によりPV搭載EVの実用化を近づける
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3.講演概要
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−最大の市場は中国で米国、欧州(フランス、ノルウエーなど)が続く
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
−欧州では2030年〜2040年に内燃機関エンジン車の販売を禁止する動き
−中国では新エネ車を2019年に10%義務付け
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り:モーターは低速トルク大で変速機なしでクルマの要求トルクを実現できるため、変速ロスが無い。
−モーターの応答性の良さを生かして、コーナリング時のトルク制御により操縦安定性を改善することが可能
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−市街地のゴーストップの多い走行で運転が容易。上り下りやカーブの多い山岳走行でも直感的にコントロールできる
−回生ブレーキのエネルギー回生量を増大できる
−静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−長野市EVバス実証実験では「静かにお話ができる」「音楽の聞こえ方が違う」「オイルや排気ガスのにおいがしない」「長く乗っても車酔いしない」などの声が聞かれた
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−最近ではセル容量の大きい三元系(Ni,Co,Mn)やニッケルリッチ三元系が増加している
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は15,000基に達する
−現在の急速充電は50kWだが、150kW、350kWへの拡大が検討されている
−充電器へのバッテリー内臓により大容量電源化無しでも超急速充電が可能となる
−仮に日本国内の保有乗用車7,000万台すべてがEV化されたとするとEVによる消費電力は全体の11%に相当する

(3)将来展望
−クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
−置き換わる。しかし時間がかかる。
−EVのクルマとしての魅力が置き換えを促進する
−ただし、大幅な軽量化、コスト低減がないと急速には普及しない
−Chevrolet VOLTもNissan Leafも1,600kg以上、1,000kg位の車が理想的。
−トヨタ、東工大が全個体電池を開発。実用化が待たれる。
−In-Wheel Motor、SiC半導体などの技術革新がEVの性能向上を促進する
−太陽光エネルギーでどこまでも走るクルマを創りたい
−PVセルの変換効率は22%(1977年)⇒46%(2015年)と進化している
−コストは$100/W(1976年)⇒$0.55W(2017年)まで低減された
−Nissan LEAFに1kWのPV搭載で試算すると、27回/年必要だった充電が5回/年に削減可能となり、消費電力量は732kWh⇒202kWhに低減される
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4.質疑応答
(1)Q1:運行費用はEVとエンジン車でどの程度違うのか?
−ガソリン車が約¥7/km、EVが約¥2.5/km(昼間電力)
(2)Q2:中国の技術レベルはどの程度なのか
−数年前は大したことは無かったが、ここ数年見ているととても高い。開発投資の投入量が莫大。日本の優位性は楽観できない。
(3)Q3:トラック、バスのEV化はどうなっているのか
−欧州、中国を中心に積極的に開発されている。日本は遅れている。
−EVバスは世界で40万台が走っている
−温暖化に対する国民に意識の差が原因か
(4)Q4:日産がEVシフトした理由は何か
−トヨタの後追いでHEVをやるよりはEVシフトしたほうが、勝算があった
(5)Q5:中古バッテリーよりも新品バッテリーの方が安くなるのでは
−新品は額面では¥10,000/kWhとなっているが現実には大量発注でないとこの値段では買えない。量が多くない場合は中古バッテリーは十分価値が有る。
以上 

(文責:深井吉男)

講演資料:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
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