2018年08月23日

EVFセミナー案内:「インドはカーストよりコスト」

8月23日 EVFセミナーのご案内
演題:「インドはカーストよりコスト」
    〜あなたの既成概念は、インドビジネスの敵〜

講師:島田 卓様 株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長
日時:2018年8月23日(木)15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット会議室
 〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル9F、Tel 03-5730-0161
 https://www.shingeneki.com/about/office
参加費:ネット会員・個人賛助会員 1,000円、一般 1,500円
  (当日会場で申し受けます)
定員:45名(定員になり次第、締め切らせていただきます)
講演終了後、会場近隣にて懇親会(実費3000円程度)を予定しております。

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ご注意ください!! 今月からセミナーの申し込み方法が変わりました。
お申し込みは下記のURLをクリックして必要事項を記入し送信をお願いします。
セミナー・懇親会の申込み :http://www.evfjp.org/postmail_semina/ ?
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(セミナーの概要)
インドをモノにしようとするなら、インドに関するカーストを含めた既成概念を一旦捨て、一対一のビジネスマンとして、差し違えるくらいの気概で取り組む必要があります。その訳をインド駐在時代の経験も含めてお話しさせていただきます。
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2018年07月26日

EVFセミナー報告:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察

演題:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察
講師:結城 隆様  中国ウォッチャー 荒井商事常勤顧問 
日時:2018年7月26日(木) 15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
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講師略歴:
•1955年生まれ。福島県出身。一橋大学経済学部卒。
•1979年旧日本長期信用銀行入行。調査部、ロンドン支店、マーチャントバンキンググループ、パリ支店、ニューヨーク支店勤務。
•1999年ダイキン工業経営企画室、大金中国投資有限公司(北京)勤務。
•デンロコーポレーション常務執行役員を経て2013年より現職。
•現在、荒井商事の常勤顧問として新規事業開拓を担当する傍ら、東日本大震災事業者再生支援機構業務委託、柳沼プレス工業顧問を務める。
•中国ビジネス研究会会員。
•主な著書:中国市場に踏みとどまる(2009年草思社)、中国羅針盤(2009〜2010年)日経ビジネスオンライン、ジョークで読み解く省別中国人気質(2012年草思社)、その他四半期毎に中国観察レポートを発行。
•座右の銘:百年生きて、百年学べ。
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講演概要:
本年の全人代政府報告からここ数年の習政権中国の発展の実績を数値をいれて紹介された。2014年の「新常態」(景気下降、政治的乱気流)から2017年「新時代」(中華民族の偉大な復興の夢)への移行が謳われている。GDP年平均成長率7.1%、高速鉄道総延長2.5万キロなど目覚ましい発展を遂げている。北京市の地下鉄の年間利用客はなんと述べ30億人に達しているとのこと。
従来の投資+輸出による成長から消費が投資を上回る消費主導の成長に転換。その陰では消費者金融の利用も大きく伸びて、違法金利などの問題も出ている。
携帯電話普及台数は14億台、内スマホは9.7億台。スマホを使用したネット予約タクシー、自転車シェアリングなど新しいサービスが次々に登場。スマホ支払サービスが急増した背景には100元札で5%とも言われる偽札率もある。
一方、過当競争により企業の生き残りも厳しく、各種規制も追いつかない現状がある。
自動車分野ではEV市場世界No.1を目指す戦略で2020年までに新エネルギー車生産比率10%以上を目標としている。
「不動産は住むものであって投機の対象ではない」と明言し、不動産市場は本格的な調整局面に入った。
環境問題取り組みが本格化し、環境対応コストが上昇するが、逆に言えば、環境対応が企業価値を高める時代になっている。
綱紀粛正は継続し、2017年規律検査委員会調査件数127万件、うち52.7万件を立件、44万人を処分。省部級処分58名、庁局級3,300人。結果、高官専用の泰城監獄がスペース不足に。
新たに1)資産効果縮減 2)新農民工問題 3)「ミンスキーの時」(金融崩壊の危険) 4)「トゥキディデェスの罠」(パワー・ゲームの中で、軍事的な争いに発展しがちな現象)等4つのリスクが挙げられる。
日本にとっては2007年に対中貿易は対米を超えており、最も重要な隣国となっている。積極的な環境対応、旺盛な消費市場への商品供給、シェアリングビジネス等の新しいビジネスモデルへの積極的な取り組みを図るべき時にある。
(文責:深井吉男)

講演資料:中国「新時代」
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2018年06月26日

EVFセミナー報告:クルマを捨ててこそ地方は甦る

演題:クルマを捨ててこそ地方は甦る〜自立・分散・協調型国土の形成に向けて〜
講師:藤井 聡氏 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、内閣官房参与 
日時:2018年6月26日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
講師略歴:
京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長、ならびに2012年より安倍内閣 内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。
1968年奈良県生駒市生。 京都大学卒業後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。 専門は都市計画、国土計画、経済政策等の公共政策論のための実践的人文社会科学研究。
著書「プライマリーバランス亡国論」「国民所得を80万円増やす経済政策」「国土学」「超インフラ論」「凡庸という悪魔」「大阪都構想が日本を破壊する」「大衆社会の処方箋」「巨大地震Xデー」 等多数。
朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、文化放送「おはよう寺ちゃん」「週刊ラジオ表現者」に解説者としてレギュラー出演中。 表現者クライテリオン編集長。
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講演概要:
冒頭、講師がその日に携わった仕事にどんなことがあったか順次紹介があり、聴衆は講師が関心を持たれているワールドに引き込まれた。今年は5年に一度の国土強靭化計画策定の年であること、南海トラフの大地震が来ると1400兆円の被害を被るとの予想がある一方、予め30兆円の対策が打てれば500兆円の被害縮小の効果がある説が存在するなど、大まかな問題提起がなされた。
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後半は、昨秋発売されてベストセラーになっているPHP新書の「クルマを捨ててこそ地方は甦る」の本題に入った。刺激的な言葉を使っているが主旨は「クルマ利用はほどほどに!」であり、講師の研究の本源である“コミュニティ・マネジメント”を論じたものであるとの由。クルマ社会の進展によって大型のショッピングモールが郊外に出来て都市が郊外化し、それにつれて公共交通機関が衰退、クルマによる移動で運動不足となって住民の健康が劣化し、一方地元商店街で買い物をしないために地域のマネーが流出、コミュニティの劣化、医療費等の行政支出の拡大、ついには地域の魅力が劣化し、行政サービスが劣化して地方都市が消滅していく。
どうすれば都市に再び人を呼び集められるか、それがこのセミナーの最大のテーマである。講師は都市の中心部からクルマを締め出し、空間を作れば人の賑わいは呼び戻せるとして、京都・四条通の歩道拡大工事の効果、富山市の駅前の事例を具体的にわかりやすく説明された。講師の提言は、日本全国にもっともっと新幹線網、高速道路網を整備する一方、地方都市の中心部からは車を締め出して人々が集まる工夫をすべきとのことであった。

なお、コミュニティ・マネジメントのついでにお話しされた際、織田信長が天下人になれた理由についてのお話が興味深かった。信長は土木工事でインフラを整備し、農地をしっかりと築き上げて石高を増やし、道路の機能を、敵の侵入から守ることよりも利便性を高めて生産力を増強したことにより強大になったのだとの由。講師から特別に提供いただいた「歴史の謎はインフラで解ける」の資料を末尾に掲載します。
(文責:佐藤孝靖)
講演資料:
配布資料 :クルマ利用はほどほどに!
講師からの特別提供資料 :歴史の謎はインフラで解ける
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2018年05月24日

2018年5月24日EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設

EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜

演題:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜
講師:吉見昭司氏、元日揮株式会社理事、元東京大学工学部大学院プロジェクトマネジメント講座講師 
日時:2018年5月24日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット会議室
講師略歴:
1941年;岩手県盛岡市生まれ
1966年;東北大学工学部化学工学科卒業、日揮(株)入社、基本設計部門勤務
1975年;国内プロジェクト部門にて合成ガス製造装置のプロジェクトエンジニア
1977年;ブラジル営業事務所責任者(ブラジル、アルゼンチンの営業活動)
1980年;帰国後、国内プロジェクト部門に復帰、更に海外プロジェクト部門に移籍。大型プロジェクトに携わる。
1995年;基本設計とエンジニアリングマネジメントを業務とする新設本部に異動、副本部長
1997年;基本設計と詳細設計部門が合併した新設本部の副本部長、理事
2001年;EPC委員会(業務改善・改革、競争力強化委員会)副委員長
2010年;東京大学工学部大学院のプロジェクトマネジメント講座講師(〜2011)
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講演概要:
アフリカでの製油所建設プロジェクトを、厳しい経済情勢と自然・労働環境の中で如何にして成功に導いたか、そのご苦労の実態をご講演いただいた。お話は(1)プロジェクトマネージメントとはどのようなものかについての解説と、(2)プロジェクトの実例の紹介 の2部構成であった。後者においては、大型プロジェクトの中身と完成までの間に発生した生々しいトラブルとその解決への取り組みにつき臨場感溢れるお話を伺うことが出来た。

(1)プロジェクトマネジメントとは;

1)プロジェクト組織に求められるもの
世界的に大型プロジェクトの受注は、極めて厳しい競争環境(リスクの顕在化で赤字転落の危険性を孕んでいる)の中での受注が普通であり、従ってプロジェクト完遂のためには各種の問題が発生しても、絶対条件である品質と納期の確保、及びコストダウン・追加獲得のためのノウハウを持ったプロジェクト組織およびエンジニアーの存在が大前提となる。そのためにプロジェクト組織に求められるものは、1)複雑に絡む諸々の因子を俯瞰的に捉えることが出来る洞察力 2)緻密な計画力 3)諸々の事情で計画からの乖離が発生したときの解決への調整能力 4)組織の強化力 等々である。

2)プロジェクト運営手法
プロジェクトは、あるプラントでものを作ろうとするプラントオーナーがプロジェクトを計画することから始まり、それを実現するプラント建設をコントラクター(プラント建設会社)に発注する。受注したコントラクターは、納期、コスト、品質の確保をしながら契約に基づき基本設計、詳細設計、機器調達、建設、試運転、引渡までの一貫した複雑な作業を行う。ここで採用されるのがプロジェクトマネジメント手法であり、その中でも重要なのが、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれるものである。これは、プロジェクト全体を細かな作業要素に分解(Work Breakdown)し、全作業を階層構造(Structure)として組み立てる手法であり、これによりプロジェクトの全ての作業が事前に明確にされ、全体が統合的に管理できる。最も重要な事は問題を発見しそれを解決しようとする姿勢である。
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(2)プロジェクトの実例紹介;

1)プロジェクトの中身
アフリカにおける日量150,000バーレルの原油を処理するガソリン最大収率型製油所建設プロジェクトの受注から完成に至るまでの間に、講演者が遭遇した諸々の出来事について、問題点とそれぞれの解決策が映像と共に詳細な説明がなされた。言及された出来事は、それらが解決しないとプラントの納期、品質、コストに多大の影響を与える事象であり、キーワードを挙げればファイナンスの組み方、パートナーとのコミュニケーション、設計から建設に至るまでのプロジェクトライフサイクルに係わるプロフェッショナルエンジニアの確保とコミュニケーション、現場作業員の確保、現場労働環境、等々である。
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2)プロジェクトライフサイクルの中で解決してきた諸々の課題
・プロジェクトの受注活動―客先の現地事情や会社状況の調査。客先作成の膨大な量のプロジェクト指示書を読みこなした上での見積作業。
・ファイナンス準備――信用度の低い開発途上国へのファイナンスの難しさ
・基本設計、詳細設計――客先側のコンサルタントの自己PR・保身のための過剰な質問、コメントによる混乱、時間の無駄使い
・客先の姿勢――客先や、パートナーのプロジェクト理解の差、あるいはコミュニケーションの欠落等からの混乱、
・調達――急激な円高から海外発注へ切り替えたことによる海外ベンダーの発掘と品質管理、工程管理に苦労
・建設――建設マンパワーの質の問題(日本人125名に対し、7000名を超える現地およびアジア人労働者の技能教育、管理)、現場における盗難、ストライキ、暴動等々。労務管理上の問題は、人的関係、技能等に関するトラブル早期発見と早い対応(辞めさせることも含め)が肝要。
・作業環境保全――安全上の問題、現地風土病への対応(罹ってもすぐ適切に対処すれば命を救える)

3)プロジェクトマネージャーに求められること
・プロジェクト業務が好きであること。
・ストレスに強いこと
・洞察力と想像力、リーダーシップ。
・困難から逃げない意志。改善・改革の意識。
・自分および人を(経験によって)育てる。

(3)質疑応答:

講演後、活発な質疑応答があったが、その内の数例を以下に記す。
・Q:開発途上国と契約をするときの難しさは何か?(A:リスクヘッジは当然考えるが、契約時に読み切れない事象は必ず生じる。その解決はプロジェクトチームの総合力による。)
・Q:なにかとプロジェクト遂行の困難さが予想できる国と仕事をしようとした理由は?(A:相手国が資源保有国であり、将来性が期待できたから。)
・Q:ヨーロッパ人や日本人技術者の作業環境維持はどうしたか?(A:居住環境、特に食べ物への配慮。ヨーロッパ人、中国人の冒険心とタフさには学ぶべきところあり。)
(以上 文責:橋本 升)
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2018年04月26日

EVFセミナー報告:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」

演題:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」
講 師 : 山崎 琢矢様 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課長
日 時 :  2018年4月26日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
1996年  東京大学法学部卒
1996年〜 通商産業省(現:経済産業省)入省
電力事業制度改革(第2次改革:小売りの部分自由化の導入
ベンチャー企業育成政策
サイバーセキュリティ対策を担当
2006年〜 米国ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院にて修士号取得。同大学客員研究員として活動。
2008年〜 インフラ・システム輸出の制度設計を手掛ける。
2012年〜 東日本大震災を契機に検討が本格化した電力システム改革の制度設計を担当
2015年〜 経済産業大臣秘書官
2016年10月〜現職(新エネルギー課長)

〔講演概要〕
・日本ではFIT制度導入以降、急速に再エネの導入が進んでいるものの、発電コストは国際水準と比較して依然高い状況になっている。
・また、系統制約の顕在化や調整力の確保、事業環境の整備など、新たな政策課題も浮き彫りになってきている。
・再生可能エネルギーが置かれた現状として現状再エネの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方について、エネルギー基本計画での検討状況も含めた再エネの現状と今後の課題について講演をいただいた。
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〔講演概要〕
1.再生可能エネルギーが置かれた現状
・世界での再エネの導入状況:世界では2012年頃までは再エネは発電量が変動しかも価格が高いことから、扱いに疑問が持たれていた。 最近は変わってきて、再エネは当たり前になってきた。
(i)2015年には再エネの発電設備容量が石炭火力を超えた。
(ii)2016年には太陽光の新規導入量が石炭火力の純増分を超えた。
(iii)2008年には太陽光発電が約40円/kWhであったが、現在世界での太陽光・風力発電の価格は約10円/kWhになっている。洋上風力も、2016年には落札額が10円/kWhを切る事例や、ドイツでは市場価格(補助金ゼロ)の事例が生じている。
・日本での再エネの導入状況:日本では再エネの割合が原発の多いフランスと比較しても小さい、2030年度のエネルギーミックスでは、ゼロエミ44%、火力発電
56%である。 
・エネルギーミックス実現への道のり:既に、特に太陽光において多くの認定が出ているが、いろいろな障害があり、現在認定されているものすべてが稼働する保証はなく、2030年度のエネルギーミックス実現に向けて、引き続き政策を打っていかなければならない。
・太陽光発電:(i)設置に関する地元とのトラブル、(ii)小規模の発電所の適切なメンテナンスや再投資をどう確保するか等の問題がある。
・エネルギーミックスと国民負担:2030年度の再エネの目標は22〜24%であるが、それを達成するためにはFIT買取費用総額は4兆円となる見込み。今後、再エネ比率プラス9%(15%→24%)を、約1兆円の賦課金で実現しなければならない。

2.エネルギー基本計画での検討
・2030年の議論は総合エネルギー調査会(基本政策分科会)、2050年の論議は情勢懇談会でやっている。
・2030年の目標では再エネを「主力電源とする」ことを位置付ける。主力電源とすることでの課題は、(i)発電コストの低減、(ii)事業環境の整備,(iii)系統制約の克服、(iv)調整力の確保。

・太陽光発電:2019年にFIT買取期間が終了する住宅用太陽光発電の案件が生じ始める、影響は150万kWに及ぶ。太陽光パネルは25-30年の耐久性があるので、自立型として継続できないか?
・風力発電:陸上での建設は限界がある、洋上風力の立地制約を解消することが必要
・地熱発電: 採掘リスクや地元との調整などの課題あり。
・中小水力発電: 新規が少ない
・バイオマス発電: 期待大、国内材と林業をペアで考えられないか?

3.今後の課題
再エネ政策の検討の状況
・太陽光:入札制の導入。過剰な流通構造などでコスト高になっていることの解消。
・洋上風力:立地制約の解消 海は国有財産→1人が長期間占有はできない(都道府県の占用許可は3-5年と短期)→海域を指定し、長期占用を可能とする制度を創設。
・バイオマス:今年度より入札制導入 木質系入札量180MW、液体燃料系20MW
液体燃料はパーム油に限定。
・非化石価値取引市場の創設
・太陽光パネル廃棄問題
・系統制約への対応:既存系統の最大限の活用のため、従来の運用を見直し。(日本版コネクト&マネージ)
・グリッド・コード(系統連系技術要件)の整備:今後は、再エネ自身も調整力の機能を持つことが重要。

以上
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2018年03月22日

EVFセミナー報告:最先端技術で探る、道路構造物の欠陥

演題:「最先端技術で探る、道路構造物の欠陥」
講 師 : 株式会社テナーク代表取締役 内間 満明様
日 時 :  2018年 3月22日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
・横浜生、育、在の65歳
・東京大学大学院博士課程終了(農学系研究科水産増殖学専攻) 
   農学博士号取得(東大博農第855号)
   (水産、海洋生態学研究に従事)
・株式会社パスコ (航空測量関連事業主体)
  (水陸環境系調査コンサルタント、技術開発業務等に課長、部長職にて従事)
・株式会社テナーク(高速走行式赤外線熱計測、画像解析技術開発)
  (2013年4月設立、代表取締役:設計及び建設コンサルタント分野)
・技術士(建設部門)
・本技術関連取得特許 6件、
・道路舗装専門誌発表 2編
・関連学会発表 国内(日本土木学会)10回 海外 1回

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〔講演概要〕
■赤外線熱計測とは
・すべての物質は赤外線を出している。
・赤外線には、熱い物質ほど多量の赤外線熱量を放出し、冷たいほど少量になるという特性がある。
・また熱計測可能な波長帯というのも決まっている。
■道路診断としての赤外線熱計測
・「道路診断としての赤外線熱計測」は、この特性を利用して赤外線熱量を温度変換し、各部位の相対的な温度差により、外観では見えない道路の健全部と不健全部を識別するものである。
・例えば、道路内部に空気層があれば、昼間の当該部位の表面温度は健全部より高くなり、道路内部に滞水層があれば、逆に低くなる。外気温の上昇、下降局面では当該部位と周辺部の温度差が増幅される。
・「目視観察」や「打音検査」など、構造物検査の従来技術を転換し、赤外線熱計測により内部損傷変状を検出するものである。
■高速走行式赤外線熱計測
・特徴は
1)交通規制しない
2)通常の法定速度走行、高速道路ならば高速走行するだけで
3)道路構造物の外観で見えない不健全な内部損傷変状を検出する
・熱画像、可視画像、GPS情報の同期取得システムを構築し、道路走行中に1車線幅領域の熱画像を取得する。
・熱計測用のカメラはアメリカ/FLIR(フリア)社製の超高性能冷却式赤外線サーモグラフィカメラで、このカメラにより微小な温度差の走りながらの計測が可能となっている。
・広範な領域を短期間に調査する一次スクリーニング検査、即ち健全と不健全を識別する概略検査としては、高効率、低コストであり、最先端技術である。
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■道路点検診断の必要性
・まず必要性の背景として、建設分野全体の問題である“3不足、1増問題”がある。即ち、
〇3不足
1)技術力不足
2)技術者不足
3)財源不足
〇1増
1)点検診断や補修対象の老朽構造物増加
・このシステムを開発しようと取り組んでいる目的は、「3不足1増問題」の早期解決、道路構造物の日常・定期点検診断の円滑実施、災害緊急時等の迅速対応などのためである。
■赤外線による震災影響の検出
・この方法を用いて、東日本大震災後の三陸地方の橋で、舗装路面下での層間剝離や内部滞水の発生を検知することができる。
・また地盤液状化による路面下の空隙/空洞を検知することもできる。
■今後の展望
・今後の赤外線熱計測事業の展開としては、道路管理者との連携、地方と中央の連携により、社会へ技術供与、技術移転を図っていきたい。
・またさらなる技術開発として、解析診断の自動処理化(人工知能AI開発)が必要と考えている。

〔質疑〕
講演中にも、
Q:車載カメラの高さは?
A:1車線幅4.0mほどの領域を撮影するために、現状のカメラの広角レンズではカメラの高さを3.5mとすることが必要である。
Q:同期は車で走るときもか?
A:熱画像、可視画像、GPS情報を5m走行ごとに同期取得している。なお高速を80kmで走っても、写真画像が流れない。
Q:自動で温度差が出るのか?
A:そこをビジネス化しようと考えている。カメラはミサイル迎撃用に元々は軍開発されたもので、-200度に冷やすことで雑音を除いており、微小温度差を検知できる。この高精度の検知温度差に基づき、内部損傷変状抽出の自動処理化に取組み、一部できている。なお、昼、夜それぞれに測定のための好適時間帯がある。
Q:超音波探傷にとって代わる可能性はあるのか?
A:超音波探傷は細かなデータ取得に適していて、本方法は1次スクリーニングに適している。
など活発な質疑が行われた。

より詳細な説明は講師提供の下記資料をご覧ください。

以上 文責 山田和彦

講演資料:
最先端技術で探る、道路構造物の欠陥
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2018年02月15日

EVFセミナー報告:AIとの付き合い方

演題:AIとの付き合い方

講師:DeepZenGoプロジェクト代表 加藤英樹 様
日時:2018年2月15日(木) 15時30分 〜 17時30分
場所:JAICA市ヶ谷ビル201A/B会議室
参加:63名

[講師略歴]
1953年 東京都出身
1977年 東京工業大学工学部電子物理工学科卒業
1980年 東京工業大学工学部情報工学専攻修了
1980年 東京工業大学工学部助手
1982年 (株)富士通研究所にてエキスパートシステム、ニューラルネットなどの研究開発に従事
2005年 東京大学大学院創造情報学専攻博士課程にてモンテカルロ碁を研究
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[要約]
囲碁AIの第一人者である加藤英樹氏から、自ら開発されたプログラム「Zen」の紹介と「囲碁AIの進歩」の状況から入って、「AIを巡る混乱」として問題点や課題を指摘して頂き、「ディープラーニング」と呼ばれるAIを大きく発展させた機械学習方法の説明の後、「何に使えるか」と題してAIの効用の分析を行って、AI全般の「今後の展望」までを講演して頂いた。
幅広く豊富なAIに関する知見や経験に基づき、1時間半の長丁場を一気に講演して下さり、聴講者を飽きさせることなく、AIに関する混乱や問題点を分析して不安を解き、AIの今後への展望について知識を向上させて頂いた講演でした。

[講演概要]
加藤氏は、東工大で電子物理工学と情報工学を専攻した後、富士通研究所でエキスパートシステムやニューラルネットなどを研究・開発したことが背景にあって、囲碁AIに取り組まれるようになられた。
何故囲碁AIであったかと言うと、2つ理由があって、一つは、AI研究には人工認識やパターン認識などがあって多くは一人でできないものであるが、囲碁AIは一人できること。もう一つは、客観的に出来/不出来が分かるということで、その世界に進むようになった。一方、囲碁AIは研究当初コンピューターゲームのような扱いを受けており、日本では学問領域としての認知が進んでおらず、博士号が取れないなどと言った課題があり、苦労の多い領域であった。
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加藤氏は2008年に独立プログラマの尾島陽児氏と知り合ってから二人で組んで囲碁AIの開発を大きく進ませ、その成果であるZenは2009年にスペインで行われたコンピューターゲームオリンピックで初参加初優勝した。また、2012年に武宮正樹九段に4子で勝ったことも大きな話題になった。 その後も囲碁AIは浮き沈みがあったが、Zenは世界一を維持していた。2015年頃から囲碁AIにディープラーニングを取り入れる動きが始まり、そこで開発されたDeepZenGo(同名プロジェクト中のZenの公式名称)が、2017年8月に内モンゴルで行われた第1回世界電脳碁オープン戦で優勝して囲碁AIのチャンピオンとして認められた。
AIの専門家でない人が混乱していることは、AIには「人類を滅ぼす・人類の敵」という側面と「人類を手助けする道具・技術」という側面がある点で、この混乱には、2つのAIがゴッチャになっていると思われる。それらは、一般にAIとして実用化されている「専用AI」と、SFや映画に登場する人間のような「汎用AI」で、後者の研究は最近始まったばかりである。
現在のAIは、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる人間の神経系を模した情報処理技術で大きく発展してきている。結果として人間の真似が上手いのが特徴であるが、膨大な実例(訓練データ)が必要である点が難点と言える。現在のAI(ディープラーニング)は人間の視覚や小脳と同じ役割で、それ以上はできず、人間並みのAIはまだ当分先の話である。
AIを何に使えるかを考えると、普通の人間が0.5秒でできる情報処理をすることと同等であり、画像認識、顔認識から食べ頃の果実を選ぶとか、車の自動運転などまでが考えられる。予測やプランニングも得意であり、限られたゲームのような世界で活用されている。しかしながら、実世界で問題なく使えるようになっているかというとまだ無理と考えられる。その理由は、情報の質が悪く、扱う量が膨大であることに対して十分な状態ではないと言うことが挙げられる。
今後のAIの長期的な展望としては、「AIと人間の共存」が第一に挙げられるが、人間並みのAIが出現はまだまだ(なので、安心して良いとも考えられるし、なかなか楽はできないとも考えられる)。
留意すべき点は、「AIは人間が設計するものであり、悪用するのも人間」ということである。将来的なAIとの付き合い方の選択肢は2つあって、「労働を全てAIに任せる」のと、「人間も一緒に働く」のがある。
AIが人間の労働を分担していくことになると思われるが、それによって得られた富をどのように分配するかという問題がその裏に存在し、その点を解決していくことも必要となる。
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お薦め図書
1.「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子 (東洋経済新報社)
2.「棋士とAI ‐ アルファ碁から始まった未来」 王銘? (岩波新書)
3.「よくわかる囲碁AI大全」大橋拓文(日本棋院)
4.月刊碁ワールド2017年11月号「加藤英樹氏が語る囲碁AI」(日本棋院)
5.数学セミナー2017年11月号「コンピュータ将棋・囲碁のこれから」(日本評論社)
6.日経サイエンス2018年2月号「AIの新潮流」(日経サイエンス社)
7.別冊日経サイエンス「AI人工知能の軌跡と未来」(日経サイエンス社)

以上 文責:浜田 英外

講演資料:
AIとの付き合い方
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2018年01月25日

EVFセミナー報告:ワイヤレス給電の現状と将来の展望

演題:ワイヤレス給電の現状と将来の展望

講師:早稲田大学 電動車両研究所 招聘研究員 高橋 俊輔 様
日時:2018年1月25日(木) 15時30分 〜 17時30分
場所:新現役ネット事務局会議室
参加:44名

[講師略歴]
1972年 早稲田大学大学院 理工学研究科 卒業
1972年 三菱造船株式会社 入社
2003年 昭和飛行機工業株式会社 入社、EV関係の開発に従事
2003年 早稲田大学 環境総合研究センター参与、電動バスの開発に従事
2012年 早稲田大学 参与兼客員上級研究員、非接触給電の開発に従事
2014年 京都大学 生存圏研究所研究員、ワイヤレス給電および大電力給電の研究に従事
2017年 早稲田大学 電動車両研究所 招聘研究員、車両電動化の研究に従事

[要約]
最近NHKなどで取り上げられる様になったワイヤレス給電について、昭和飛行機や早稲田大学などで、実際に電気自動車や給電システムの研究・開発・実証実験に携わって来られた第一人者に、以下の項目についてお話し頂いた。
1.ワイヤレス給電システムとは?
2.EV用ワイヤレス給電の動向
3.汎用機器向けワイヤレス給電の動向
4.ワイヤレス給電における課題
5.将来の展望
CIMG6426-2.JPG

[講演概要]
ワイヤレス給電について以下の順序で幅広く網羅的にお話し頂いた。

1. ワイヤレス給電システムとは?
電磁誘導や電波を利用して、離れた場所へワイヤレスで給電するシステムである。
●ワイヤレスで給電(電力伝送)方式は以下の様に分類される。
(1)非放射型
  1)磁界結合方式
   ・電磁誘導方式
   ・磁界共振方式
  2)電界結合方式
(2)放射型
  3)電波方式(マイクロ波など)
  4)光方式(レーザーやLEDなど)
(3)その他の方式
  5)エバネセント波方式
  6)超音波方式
  7)回転磁石方式
●各方式の特徴などを簡略に述べると以下の様になる。
IMG_0266-2.JPG1)磁界結合方式
・電磁誘導方式:
 19世紀にファラデーの発見した電磁誘導(トランス)の原理を利用した方式。
 非接触化ギャップによる漏れ磁束発生で結合係数k<1となり電力伝送効率が下がる。
・磁界共振方式:
 2007年6月のMITの発表以降多くの会社が発表し注目を浴びている方式。
 送信側と受信側のコイルを高い性能係数QにしてLC共振させる磁気共鳴技術を活用。
2)電界結合方式
 送信側と受信側に電極を設置して電極が近接した時に発生する電界を利用する方式。
 基本的に小さなギャップしか許容されないので未だ出力が小さい。
3)電波方式(マイクロ波など)
 19世紀にマクスウェルが予言した遠方にまで伝搬する電磁波を利用した方式。
 効率が高くない上にマイクロ波の放射は法律で認められていない。
4)光方式(レーザーやLEDなど)
 THz帯の面発光タイプレーザーで送信したエネルギーを太陽電池で受取る方式。
 人体防護の観点からビームエネルギー密度の減少が必要なのが難点。
5)エバネセント波方式
 全反射を起こす壁に挟まれた領域内にマイクロ波を注入し一方の壁から滲み出るエバネセント波を利用する方式。
 基本的に小さなギャップしか許容されないので出力が小さい。
6)超音波方式
 20kHz以上の超音波を利用する方式。
 人体に対する影響はないが壁などの遮蔽物に弱いのが難点。
7)回転磁石方式
 送電部磁石の回転で受電部磁石を回転させ発電するカナダのUBCが開発した方式。
 高周波の電磁界が発生せず人体に対する影響はないが機械的作動がある。
DSCN5913-2.JPG

2. EV用ワイヤレス給電の動向
●国内
 2014年頃まで日産自動車やトヨタ自動車、三菱自動車、本田技研工業が出力3kw程度、周波数85kHzの磁界共振式のものを自社のEVやPHEVに搭載して展示・実証試験を行っていたが最近では発表が殆ど見られない。
●海外(欧州)
 パリモーターショー2016でダイムラーが3.6kWコイルを搭載し、VW社も受電コイルをEV向け新プラットフォームに搭載するコンセプトを発表。一次下請けのボッシュも2017年にBMW用に7 kWコイルを搭載、2018年にはダイムラー車に搭載し市販予定と活発。
●日本でのワイヤレス充電バス
 2004年以降、早稲田大学が電動化した7m長のバスで長野市や川崎市で長期の実証運行。
 国交省や東京都も2008年以降12m長の路線バスで羽田空港や東京駅などで実証運行。
 この結果50kW以下では充電時間が掛かり過ぎてダイヤを確保出来ず、実証試験止まり。
●欧州でのワイヤレス充電バス
 殆どの事例が大電力ワイヤレス給電システムを採用して実運用している。
 2014年から英国ミルトンキーンズ市は8台の電動バスに120kWを搭載して運用続行中。
 ロンドン市も2016年から11kmの路線で電動2階建てバスに100kWを給電して運用中。
 ボンバルディアは200kWシステムを連接バスに搭載しドイツやベルギー各市で実運用中。
●中国でのワイヤレス充電バス
 通信機器大手ZTEが120kWを搭載し各市で最長1充電で44 kmなどの長距離運用中。
●米国でのワイヤレス充電バス
 カリフォルニア州モントレー市で50kWシステムを搭載し2016年6月から実運用開始。

3. 汎用機器向けワイヤレス給電の動向
●家庭・オフィス機器への応用
 1980年代から電話子機などで電磁誘導式が使われていたが機器の小型・薄型化につれ充電コネクタ不要のワイヤレス給電化が進み自宅、店舗、車内充電の相互互換性が図られた。
●モバイル機器への応用
 2017年末のiPhoneX搭載でQi規格(ワイヤレス給電の国際標準規格)が優位に立った。
 現在では家具・店舗・自動車車内などでの給電にQiワイヤレス給電が導入されている。
●水中機器・ロボットへの応用
 水中でも漏電しないで充電出来るという特性から水中機器やスプラッシュ域、フィールド機器などへの応用が増え、警備や介護などのロボットへの応用も実施されている。
●工場内機器等への応用
 レール搬送システム、AGV(無人搬送車)、電動工具などで1990年代から使われている。
●回転機器への応用
 コイルを向かい合わせるだけで回転体に影響を与えずに、軽量、接触抵抗無しで給電。
 防水型給電ソケット、劇場の回り舞台、CTスキャナーなどへの応用が可能である。
●医療機器への応用
 電磁波にセンシティブな医療分野でペースメーカーや人工内耳などに実用化されている。
 人工眼やコンタクトレンズ使用の検査機器、カプセル内視鏡などで臨床試験実施中。

4. ワイヤレス給電における課題
●電磁波の課題
 電力供給ワイヤの制約から解放される反面、他システムへの影響や人体防護の面が課題。
 人体防護に関しては総務省電波防護指針やICNIRPの人体防護ガイドラインがある。
●異物の侵入への課題
 通電中にコイル間に鉄やアルミなどの金属製品が入ると誘導加熱により高温になる。
 これを防ぐために異物の検知や生体検知のシステムなどがいろいろ考えられている。
●標準化などの課題
 EV用ワイヤレス給電システムの相互互換性を確保するための国際標準・規格化進行中。
 標準化を2019年までに実施しないと合意済み内容もリセットされるので鋭意取組み中。

5.将来の展望
●技術開発の方向性
 特許出願から見たワイヤレス給電の技術動向を踏まえ特許庁が下記3提言を行った。
 ・EV用ワイヤレス給電技術およびそのFODやロバスト性向上技術
 ・コイル、コアなどの構成部品とモジュール化、実装技術
 ・エナジーハーベスティング、回転体、医療機器、検査・診断機器
●EVへの走行中給電
 EV分野でいろいろ調査検討した結果、提言以外で走行中ワイヤレス給電があげられる。
 海外では標準化コイルによる静止中も走行中も給電出来るシステムの実証を実施中。
 日本では自動車会社は静観し大学のみ独自の方法やコイルで取組みガラパゴス化の恐れ。
●新たなコイル・デバイス等の構成部品
 電線のブレークスルーが必要でカーボンナノチューブとプリント基板コイルが有望分野。
 デバイス材料としては高周波化と高出力化に対応するためGaNなども非常に重要な技術。
●新たな応用分野
 ワイヤレスキッチンと言ったホームユースの大電力化、ドローンなどの空中移動体への給電、極小インプラントや人工心臓への給電、検査・診断機器への給電などが挙げられる。
●市場規模
 2030年の充電設備必要とするEV、PHEV用のワイヤレス給電の市場規模は3,600億円。
 モバイル用ワイヤレス給電モジュールだけでも2030年には1.75兆円になる予測がある。

6.その他
 質疑応答の中で、EVや電動バスへの給電方式としてCHAdeMOの120kWタイプの試作や欧州でのEVバスへのパンタグラフ式接触給電の検討の例を挙げ、実用的方式の最終的な決着までにはまだまだいろいろな検討が行われるだろうとのお話があった。

以上 文責:岩崎力
講演資料:
ワイヤレス給電ワイヤレス給電の現状と将来の展望
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2017年12月21日

EVFセミナー報告:「これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?」

[演題]:これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
日時:2017年12月21日(木) 15:30〜17:30
場所:新現役ネット事務局会議室
講師:小枝 至 氏 日産自動車株式会社 相談役
参加者:36名
DSCN5848-2.JPG講師略歴:
1965年 3月  東京大学工学部機械工学科卒業
1965年 4月  日産自動車株式会社入社
1993年 6月  日産自動車株式会社取締役
1998年 5月  同社常務取締役
1999年 5月  同社副社長
2003年 6月  同社代表取締役
       同社取締役共同会長
2008年 6月  同社相談役名誉会長
2015年 4月  同社相談役
講師役職 :
2009年 6月  HOYA株式会社 社外取締役
2013年 6月  (一社)企業研究会会長

講演内容:
縮小版 CIMG6385-2.jpgEVF設立10周年記念セミナーの第4弾(最終回)として開催されました。
記念セミナーの最終回としてふさわしく、自動車のこれから10年について自動車産業の真っただ中からの展望をお話いただきました。
小枝講師には、まことにご多忙の中EVFのために時間を割いていただき心から感謝の意を表します。

1.自動車産業の状況
世界では人口の増加(現在73億人から2050年には97億人に)と新興国の普及率増に伴い自動車の需要は伸びる。
韓国、中国、ロシアの業者が製造の実力を伸ばし、電気自動車の普及による他産業(IT関連など)からの参入もあり、業界コンペティターが増える。
日本では国内保有台数(7700万台)は飽和状態、かつ買換え需要は減る方向であるが、自動車産業は日本の産業のかなめであり、輸出の拡大に期待している。このためには、「日本ブランド(故障少なく、中古でも人気)」の維持、拡大が必要であり、国内での先進技術を含む開発が不可欠。
軽自動車需要の動き、新興国の国情に合わせた車の開発、低価格車の実現に注目している。
2.自動車を取り巻く課題とチャレンジとしては、地球温暖化に影響の大きいエネルギー削減と交通事故対策が挙がった。
(1)CO2排出量の17%が自動車からのものとの認識から、燃費の最良点でエンジンを働かすe-Power(日産NOTE)や、ゼロエミッションを目指す電気自動車が示され、さらなる改善への方向が示された。
電気自動車に使う「電気」の生産に化石燃料を使用する場合があり、ゼロエミッションの難しいところについては、再生エネルギーへの転換が世界的に大きく進められている状況が示された。世界的に石炭発電への抵抗大きいことや、太陽光発電が技術開発と普及により単価が低下したことにも言及があった。
(2)自動車事故や渋滞の多くがドライバーのミスに起因することなどから、これを防ぐための車の知能化(自動運転)に取り組んでいる。10年後の完全自動運転(無人化)に向けて段階的に開発が進んでいる。
レベル2(部分運転自動化)について、日産の開発したシステム「日産プロパイロット」が搭載されたセレナが販売されている。ドライバーと共存するレベルであることを示すために「プロパイロット」と名付け、他社の「オートパイロット」のように自動運転に過剰な期待を持たせて事故が起きることの無いようにしている配慮も示された。
自動運転に向けた課題技術のアイテムについて説明があった。ヘッドアップディスプレー、画像解析技術(判別ばかりでなく、死角や予測の技術を含む)、外部情報不可欠なため避けられないサイバーセキュリティなどである。
3.完全自動運転が実現した後の状況についても話があった。
事故責任については、完成車メーカーが責任を持つのが筋だろうが、今後の社会受容性や法律の整備にかかっている。自動運転対応の特約設定を始めた保険会社がある。
車の所有にこだわる人が少なくなる。既にライドシェア(相乗り)事業が始まり、拡大を期待する向きも多い。
公共交通機関もあるので、車不要にならないかとの質問もあったが、公共交通機関の不便なところには車は不可欠だろうとの講師の見解である。
機械に依存し過ぎた結果、故障した車の対応に困る人をどうするか、運転する楽しさをどう残すかも考えなければならない課題である。現時点で、自動運転車を買いたいと思う人は半分以下との報告もあるという。

縮小版 CIMG6386-2.jpg演題に沿う多くの内容を休憩時間も惜しんでお話しいただいたが、参加の方々は熱心に聞き入っていました。
お話を聞いて業界の開発の現場に投入されている莫大な努力を感じるとともに、日本の誠実なかつ緻密なモノづくりへの信頼とこだわりを感じました。講師には、その後の懇親会にも参加していただき意見を聞かせていただきました。

更なる詳しい説明は、講師提供の資料があるので参照してください。
(報告者:EVF正会員津田俊夫)

講演資料:
これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
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2017年11月30日

EVFセミナー報告:「驚きの中国、大丈夫か日本」

[演題]:驚きの中国、大丈夫か日本
 〜急速に展開するI oT、Fintech、EC関連経済〜

日時:2017年11月30日(木) 15:30〜17:30
場所:JICA市ヶ谷ビル大会議室
講師:古林 恒雄氏 華鍾コンサルタントグループ 董事長・総経理
参加者:57名

IMG_0106-2.JPG講師略歴:
1965年東京大学工学部卒業、鐘紡(株)入社。ポリエステル直接連続重合法を開発、大河内記念生産賞、科学技術長官賞など各種受賞。75年初訪中、78年技術プラント輸出契約より84年引渡しまで上海石化で現地契約総代表。85年より中国事業開発に従事、20数社の合弁会社を設立運営。94年上海華鐘コンサルタントを設立、董事長・総経理。

DSC_2939-2.JPG講演要旨:
講演は中国に関する知識のブラッシュアップからスタートした。私たちが抱く中国のイメージには講師が携わってきた繊維産業のように、日本からの技術や設備の移転による成長があってこそという意識が、払拭されてないことが大きい。
また中国の自動車販売台数は3,000万台/年(日本の約10倍)を超え、EVでは世界のリーダーにと、まだ増加する需要を抱える中国がEVにかじを切ったことの意味は大きい。
特にGDPの成長は目を見張るものがあり購買力平価でのGDPは2014年に米国を抜き、名目GDPも2030年前後には米国を抜くという予測もあることを紹介。ピュー研究所(PEC)の意識調査は、世界の中国観と私たち日本人の中国観の差を感じさせるものであった。

本題のIoT、Fintech、EC関連については、中国におけるスマホの普及率(54.3%)、インターネットの利用率(96.3%)が急速な発達を可能にした。
ECの普及は阿里巴巴、テンセントによるQRコードを利用したスマホで完結する決済手段の開発によるところが大きい。典型的なのはシェア自転車…利用者認識、料金支払い全てスマホ(携帯)でOK。街の風景が激変した。
また爆発的に増加するEC利用額とスマホ決済額は、2016年に中国GDP74.4兆元(1,265兆円)の2倍以上に達し、さらに増加ピッチは上がっている。
RFID(近距離無線タグ)による商品認識とスマホ決済による無人店舗実験が進む。
お金を入れずに決済する自動販売機が急速に普及し、レストランの無人化も進み(接客は商品をテーブルに届ける人くらいしかいない)、これらの大量情報の蓄積と分析により個人の格付けも進む。また市中では監視カメラの設置も急速に進められており、顔認識技術の進歩により通行している人の特定も行われて信号無視の警告がされたりしている。
中国では身分証番号とスマホ番号がリンクしており、スマホでの自動決済は自動的な個人認証と不可分である。スマホ番号を個人情報と認識している日本と意識の差は大きい。日本はこれらのスピードについてゆけるだろうか。

DSC_2950-2.JPG<質疑応答>
Q.農村と都会の格差は広がっているのではないか?
A.EC(電子取引)で都市と農村の区別がつかなくなりつつある。ECで買い物をしてドローンで配達するようになればこれ以上格差が広がることはなくなるだろう。

Q.ピュー研究所のアンケート「中国はアメリカに替わり世界をリードするか。」に対する回答の世界平均は半数近くがYES。日本は77%があり得ない。この差に対しては情報統制があるとか、道徳観等から私も77%側に近い感情を持っているがどう理解すればいいか?
A.このアンケートは世界中で行われたもので、日本人の中国観が特別なのはマスコミが作ったと私は思っている。また欧米では経済的な事象の判断に道徳観や倫理観を持ち込むことは少ないので差が出やすいこともある。日本のマスコミも近時は肯定的に報道することが多くなってきたが、末尾にただ…と従来の流れの否定的判断を添えることを忘れてはいない。
ただしドルに元が取って代わると考える人は10%もいないだろうとは思う。


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