2019年01月24日

EVFセミナー案内:COP24で見えてきた世界の大きな潮流

1月24日 EVFセミナーのご案内

演題:「COP24で見えてきた世界の大きな潮流」
〜決まったパリ協定のルール化、強化される方向のCO2削減目標〜
講演概要:

2018年12月15日、ポーランドで開かれていたCOP24(第24回国連気候変動枠組み条約締結国会議)は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を運用するルールブックを採択して閉幕しました。
今回は非国家アクターとしても現地で活動してこられたWWFジャパン山岸尚之氏におこしいただき、会議で何が達成され、どのような問題が課題として残されたのかなどを詳しく語っていただきます。
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 案内ポスター:「COP24で見えてきた世界の大きな潮流」

semi1901243.jpg講師:山岸尚之様

 WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)自然保護室 気候変動・エネルギーグループ リーダー
日時:2019年1月24日(木)
    15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット会議室

 〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル9F、Tel 03-5730-0161
 https://www.shingeneki.com/about/office
参加費:個人賛助会員・ネット会員 1,000円、一般 1,500円
  (当日会場で申し受けます)
定員:45名(定員になり次第、締め切らせていただきます)
講演終了後、会場近隣にて懇親会(実費3000円程度)を予定しております。
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お申し込みは下記のURLをクリックして必要事項を記入し送信をお願いします。
セミナー・懇親会の申込み : http://www.evfjp.org/postmail_semina/
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2018年12月20日

EVFセミナー:リチウムイオン電池の再利用への取り組み

演 題 :「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
実施日:2018年12月20日(木)
講師: フォーアールエナジー株式会社代表取締役社長 牧野英治様
演題:「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室 
〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル   
1.講師略歴:
講師は1983年に日産自動車に入社し、開発部門で技術渉外、技術企画等を担当、1994年〜98年、2004年〜07年の2回に亘り米国駐在を経験した。その後経営企画室、電気自動車リーフのプロジェクトメンバー、等々を歴任し、2014年4月から現職を務めている。

2.講演概要:
まず冒頭に電気自動車(EV)導入の社会的必然性と、その実現方策について以下のような説明があった。
・IPCCの第4次報告に基づくと2050年までにCO2排出量を2000年比で90%の削減が必要。
・この実現のためには走行中にCO2排出ゼロのEVを広く普及させることが必要。
・使用済み電池の活用まで計算に入れたEVの生涯コストを考えると、現行のガソリン車の生涯コストとほぼ同等になり、EVの普及が進む。
・このためには使用済み電池の活用が必須となる。
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次にフォーアールエナジー社の概要について以下のような説明があった。
フォーアールエナジー社は、日産自動車と住友商事の共同出資により2010年9月に設立された。同社はEVで使用済みとなったリチウムイオンバッテリーを2次利用し、エネルギー貯蔵の解決策として「4R」事業と銘打った事業を手掛ける。「4R」は社名のフォーアールの語源にもなっている。EVで使用済みのリチウムイオンバッテリーは、まだ高い残存容量を持つためこの有効利用を図る。「4R」とは、次のような事業を指している。
・再利用(Reuse) : 約60%〜80%と高い残存容量を持つバッテリーの2次利用を行なう。
・再販売(Resell): バッテリーを様々な用途のために再販売する。
・再製品化(Refabricate): バッテリーパックを分解した後、顧客のニーズに合うよう再度パッケージングを行なう。
・リサイクル(Recycle): 原材料を回収するために使用済みバッテリーのリサイクルを行なう。

4Rビジネスはゼロエミッション車の普及のみならず、再生可能エネルギー分野でさらなるCO2削減を行ない低炭素社会の実現に貢献する。電池の残存容量に合わせて使用対象を使い分ける
・性能が優れた電池   : EVの交換用電池、他
・性能が中程度の電池  : フォークリフト、ゴルフカート、他
・性能が少し低下した電池: 定置型蓄電池・電源、工場電源バックアップ設備、他
 
日産のリチウムイオン電池は、新品製造の段階でセルごとに詳細な情報をすべて記録保存してあり、万一の事故発生時に原因を特定できるようなトレーサビリティーが確保されている。4Rエナジーでの使用済み電池製品の製造過程についても全く同様な情報を記録保存してあり、日産の新品製造時の記録とも連結しているため、2次利用での不具合発生時にも原因を新品時までさかのぼって特定できる仕組みとなっている。

最後に同社が今年3月に建設した福島県浪江町の新事業所の機能について以下の紹介があった。
使用済み電池の2次利用ビジネスに関する、
(1) グローバル開発センター機能
    ・使用済み電池を使った製品の開発と、グローバル展開
    ・製造技術の開発と、グローバル展開
(2) 国内向け製品製造機能
   ・使用済み電池を使った国内向け製品の製造

今後太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度)が切れて来るので、売電の代わりに自家使用するための蓄電地としての需要増が期待されること、またEV用電池の高容量化を受けて充電速度の高速化技術を開発中、との説明があった。
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3.質疑応答:
講演終了後、聴講者と講師の間で活発な質疑応答があった。Q&Aの例は以下の通り。
Q.街路灯用電源として現在「ソーラーパネル+鉛蓄電池」を使っている。この鉛蓄電池を中古リチウム電池に置き替えたいが販売して貰えるか?  
A.相談に乗ります。
Q.リチウムイオン電池はどこの部分が劣化していてどう修理しているのか?
   A.電池の中身はいじらない。残存性能を正確に把握し再利用の仕方を判断する。
Q.フォーアールエナジー社の業務内容はいずれ中国にコピーされるだろうが、その先の収益策は?
   A.使用済み電池がこれから急増するのでこれを使った商品で収益を上げていく。
Q.非常用電源としての利用可否は?
   A.現在商品を開発中なので期待してほしい。
Q.他社車の電池でのリユースはできるのか?
    A.検討を進めている。
Q.中古バッテリーの価格のレベルは?
    A.同等性能の新品バッテリーに比較して1/2〜1/3の価格レベル。
Q.中古電池の回収の仕組みは?
    A.電池は中古といえども取り扱いを誤ると非常に危険なので、回収業者への資格制度、認証制度などの制度整備を政府に働きかけている。
Q.モンゴルの移動住宅「ゲル」などへの適用は?
   A.現在は未検討だが$700程度の価格なら事業化できるかもしれない。
以上
(文責:小栗武治)
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2018年11月20日

EVF拡大セミナー報告:「第三の危機」VS 鳥類学者、あるいは(外来生物の功罪)

演 題 :「第三の危機」VS 鳥類学者、あるいは(外来生物の功罪)
開催日:平成30年11月20日(火)18:30〜20:30
場 所:きゅりあん6F大会議室
講 師:川上和人氏 森林総合研究所主任研究員

講演概要:
T 生物の多様性を保全することがなぜ必要なのか?
生物多様性基本法(2008年施行)では、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、豊かな生物多様性を保持し、その恵沢を将来にわたって享受できる自然と共生できる社会を実現し、地球環境の保全に寄与することとあり、人類共通の財産である生物多様性を引き継いでいく義務があると明確に記されています。そして、生物多様性がもたらす恵沢は生態系サービスと呼ばれ、いくつかの種類に分類されています。
1.供給サービス・・・何かを供給してくれる。例えば、農産物・魚介類・
水・医薬品
2.調整サービス・・・気候や水質、農地環境などを調整する。例えば、
洪水などの制御や受粉など。
3.生息・生育地サービス・・・多様な生物が生き、遺伝的多様性が維持
できる生息地を提供する。
4.文化的サービス・・・レクレーションや文化の発展、芸術的インスピ
レーションを得る。
次世代に生物の多様性を残すためには、保全のためにできることをして行くことであり森林を守る、寄付をする、研究、行政色々な立場での保全活動があります。
また、生物多様性の国家戦略で、基本法は生物多様性を阻害する四つの危機を示しています。
1.第一の危機・・・開発・乱獲の利用しすぎる危機
2.第二の危機・・・里山の放置などの利用しないことによる危機
3.第三の危機・・・外来種の侵入等、人間が何かを持ち込んでしまう危機
4.第四の危機・・・地球温暖化で世界的レベルでの気候変化の危機
中でも、このセミナーのテーマは第三の危機:外来生物の侵入です。

U 外来生物の問題
1.世界の侵略的外来種ワースト100、同様に日本の侵略的外来種ワースト100もあります。ブラックバス、ミシシッピアカミミガメ、繁殖力の強いグリーンワームそして意外なのは日本のわかめです。我が国や朝鮮半島でのみ好まれるわかめですが、船のバラスト水として世界の港に運ばれて繁殖しています。
2.侵略的外来生物による影響はどんなところで問題になっているのでしょう
か?

日本でも南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島の島嶼と陸上の池・湖・
川などの狭い面積の中で周囲から取り残された領域です。島嶼は面積が小
さいので、狭い所で生物が進化すると移動性が低く防御力が低くなります。
また、これらのエリアでは個体数が少ないので絶滅しやすい環境でもあり
ます。島は地球全体の5%しかなく、しかも鳥類絶滅種の83%は島嶼で
起きています。

3.余談ですが、オーストラリア大陸以上の大きさの陸地を大陸とし、それより面積が少ない陸地を島と表します。また、この島は二つに分類できます。
A.海洋島(小笠原諸島)・・海洋プレート上にあり、海が深く孤立する。
  地上哺乳類は遠くまで泳げない。捕食者であるキツネ・イタチ・テンは海洋島にはいない。海洋島では生態系が簡単で種が少ない環境になっています。
B.大陸島(本州・沖縄)・・大陸プレート上にあり、海面レベルの上下で      
  陸続きになる可能性が大きい。

V 世界自然遺産/小笠原諸島をモデルとして侵略的外来生物の影響を観察しま
す。
1.小笠原固有種の鳥類は四種(メグロ・オガサワラカラスバト・オガサワラガビチョウ・オガサワラマシコ)で長い時間をかけて進化し、島の環境に適合していると考えられます。メグロ以外は既に絶滅しています。
2.メグロはメジロより一回り大きく、小笠原村のマークになっている絶滅危惧種IBで約15000羽が生息していると推定されており、個体数は決して多くありません。本州では、木の幹にキツツキ、地上にツグミと空間を分割利用しているが、小笠原ではメグロは競争者や捕食者がいないので全体を使って生きています。
さて、メグロは母島・向島・妹島にのみ生息しているが、DNA分析で島ごとに独自の遺伝的パターンがないかを調べました。そうするとミトコンドリアDNAに、母島や妹島にしかない配列が見つかり、島間の移動がほとんど生じていないことが分かりました。
 島という環境では、しばしば移動性が低下することがあり、メグロもその
典型例と言えます。

W 小笠原諸島の外来種生物対策
1.聟島列島でヤギ被害
  人間が持ち込んだヤギが、森林そして草原化した小笠原固有植物を食い荒 
  らした上、荒れ地になってしまいましたが、ヤギの根絶対策を施した結果、オナガミズナドリなどの海鳥が増加しました。
2.東島でクマネズミ
  クマネズミはもともと植物食を中心とした雑食性であったが、海鳥を食べ
るようになってしまっていたのです。ネズミ駆除の結果、海鳥の営巣が増
えました。
3.トクサバモクマオウ(オーストラリア原産の植物)
  落葉が10pもたまると他の植物が生息できないし、しかも土地が乾燥しま
す。トクサバモクマオウを駆除することで、水分量が増加して在来種のウ
ラジオエノキが増加しました。
 
*外来種はなぜ増えるのか?移入先には、もともとの生息地にいたはずの天敵がいないため、増加しやすい場合があります。また、進化の歴史が違うことで強い競争力を持っている生物や、低コストで生きられる生物は侵略的外来種になりやすい性質を持っています。

X 外来種の駆除には良いことも悪いこともある
1.算数では1プラス1−1(駆除)=1で元に戻ると考えられるが、生態系ではそうはなりません。駆除の影響から違った生態系になることもあります。そんなことで駆除でなく、侵入を防止することが生態系の保全には肝要です。
*トクサバモクマオウを駆除したら生物多様性は回復したが、その葉がカタ
ツムリの絶好の隠れ場所となっているような場合もあります。
*また、ネズミを駆除するとネズミを捕食している在来種のオガサワラノス 
 リ(鷹の一種)の生存が危惧されます。

2.外来種対策は生態系に対する影響があるからやるのだが、不測の事態が起きることを恐れすぎては駄目でしょう。何が起きるか予測して、特定種の排除・保護を目的とするのではなく、在来種による安定した生態系を作ること・保全することが上位に位置する目標であります。

3.定着した外来種は、生態系の中で機能を持ちます
A.外来生物対策
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B.外来種生物問題の変遷
   STAGE1 認識外
   STAGE2 問題の認識
   STAGE3 対策開始
STAGE4 新たな課題
  以上、外来生物対策は「悪対善」の図式で考えるものでなく、もっと複雑な問題であります。大切なことは種間作用をキチンと把握して、生態系全体で考え対処することであろう。
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質疑応答
1.メグロに興味があります。メグロのご先祖は遠くへ飛べない姿だし、海鳥 
でもない。何百キロもどうして飛んだのか?また、もしくは、フィリピン・プレートの上に島が乗っていて、昔はもっと南に位置していたのか?
答:鋭い良い質問です。フィリピン・プレートは少しづつ北に向かって動いています。プレート上の島はもっと南にあったと考えられます。
 サイパンに居るオウゴンメジロはメグロの祖先に近いもので、メグロは南方起源と考えられます。カワセミが1000キロも飛んで小笠原諸島にやってくることが確認されているので、小さい鳥でも頑張って飛べるのです。
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2.飛翔力のある鳥がどうして北と南を往来しないのか?(渡りをしないのか)
答:渡り鳥の進化は食べ物の量に影響を受けます。北の方は寒くなると、昆虫が動かなくなり、両生類・爬虫類は冬眠します。小笠原諸島は亜熱帯で食べ物が豊富だから渡りをする必要がないのです。この「渡り」というのは鳥にとってリスクのとても大きいことです。行ったことのない所へ渡って、食べ物を新たに見つけそして危険を冒して戻ってくる。そんな危険な渡りをしない方が生き残りやすくなるのです。海洋島だから渡り鳥がいないのでなく、亜熱帯で季節的な変化が小さいから渡りをする必要がないのでしょう。

3.小笠原諸島の200〜300年前と現在、そして200年後を考えると、進化を
止めているのでないか?
答:人が持ち込む外来種が生態系の脅威となっているので、これを管理するこ
とは自然の進化を止めることではありません。また、全ての外来種を管理す
るのは現実的には不可能で、対象となっているのは侵略的な外来種のみとな
ります。 
 ただし、小笠原は世界自然遺産なので、基本的には生態系に対する人為的干
渉は最低限にすべきと考えられます。また、保全の目標となるべき人間が影
響を与える以前の環境はわかっていないので、在来種を中心に自律的に維持
される安定した生態系を目標に、保全が進められています。
                                以上
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2018年09月27日

EVFセミナー報告:「極地研究からわかる地球規模の気候変化」〜第58次副隊長兼越冬隊長に聞く〜

演 題 :「極地研究からわかる地球規模の気候変化」〜第58次副隊長兼越冬隊長に聞く〜
開催日:平成30年9月27日(木)午後3時30分〜5時30分
場 所:新現役ネット事務局A会議室
講 師:岡田雅樹氏  国立極地研究所准教授、第58次南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長

 講師は京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程を修了し、国立極地研究所に入所。現在は研究教育系宙空圏研究グループ准教授として極域プラズマ物理学分野を担当されると共に情報基盤センター長も兼ねられています。

講演概要:
今回の講演では、第58次南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長として本年3月に帰国され、
南極という自然条件のなか、南極観測船「新しらせ」による年1回の物資の輸送に大きく依存しながらも、第1次南極地域観測隊が昭和基地を開設してから60年の長きにわたり安定した運用を維持する一方で、世界的な観測競争に伍して最先端の観測を維持する昭和基地の現状と観測体制を32名の越冬隊員とともに越冬した経験を基に、南極の自然と観測隊運営について最新の映像と観測データから地球環境観測の現況と厳しい自然環境の中、いかにして隊員の安全と柔軟な運営を両立させているか基地運営の実態を多数の資料にて紹介いただきました。

先ず最初に先生が所属している国立極地研究所の建物や南極観測実施体制の中での位置付け、国際学術研究組織体制と第58次南極地域観測隊(夏隊35名、越冬隊33名と同行者25名)が「しらせ」甲板上でお正月を迎えた様子をご紹介頂いた。
次いで1961年に発効した南極条約(51条約締結国)に基づく南極観測実施国(29ヶ国)と越冬実施国(20ヶ国)の基地位置と絡めて昭和基地の気象・海氷状況と気温の変化をグラフを使って厳しい環境を紹介して頂きました。因みに最低気温は-32.9℃(8/29/2017)で最高気温は5.4℃(12/22/2017)で、一日中太陽が出ている“白夜”が11月末から1月末と一日中太陽が出てこない“極夜”が6月20日から2ヶ月半があり、この期間の隊員の体調管理が大変との事。
また昭和基地には約70棟の建物と一般家庭約400件分の発電機(300kVA、2基)があり、「しらせ」による年1回1,000トンの物資が輸送されています。
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 宇宙環境の予測、宇宙天気予報への応用のためのオーロラ観測(宙空圏変動)、地球温暖化予測のための精密観測と温暖化物質(微量元素)の変化観測(気水圏変動観測)、30年以上にわたりペンギンの個体数変化を調べることで南極の温暖化が生息環境にどのような影響を及ぼすかの調査(生態圏変動)についてデータと豊富な写真を用いて説明頂いた。特にオーロラ発現の動画は参加者の興味を大いに曳き付けました。
南極氷床の成り立ちの説明では、南極海下からの大陸岩盤の上に厚さ平均約2,450mの氷床(雪が降り積もり圧縮されてでき、世界の淡水の90%を占める)が覆い被さって最高標高が約4,000mもある氷でできた南極大陸のイメージと南極大陸の落ちる隕石の集積機構についても説明された。
ここまで約1時間、丁寧な説明をされた後、越冬隊員の構成について写真を交えて説明頂きました。観測系隊員が14名でその内訳は、宙空圏分野が5名、気水圏分野が1名、地圏分野が1名、生物圏分野で2名と気象観測に5名との事。
観測隊員の裏方になる設営系隊員が18名でその内訳は機械担当(エンジン、制御、電気、設備と車両)が7名、調理と医療担当が夫々2名、通信、衛星受信、ネットワークおよび環境保全担当が夫々1名と少数精鋭の体制であることを感じ取れました。
第59次先遣隊(18名)受入の為の緊急用滑走路(1,000m、昭和基地から8km)の整備状況と隊員との交歓やペンギン、湖沼調査やアザラシ調査状況さらに昭和基地からの情報発信としてのホームページ“昭和基地NOW!!”やテレビ会議を用いた小学生を対象とした“南極教室”なども写真や動画をフル登場で判り易く説明頂きました。
南極観測隊における危機管理として火災、漏油事故、隊員の生命にかかわる事故・病気などに対する行動実施計画書・安全対策計画書として“昭和基地油流失防災計画指針”“ブリザード対策指針”“防火・防災指針”“野外行動における安全行動指針”“レスキュー指針”および“内陸行動における安全指針”が用意され、これらの指針に基づいた訓練状況の映像解説で基地生活の厳しさがよく理解できました。
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ここまで丁度1時間半、多くのデータ、写真や動画を駆使した説明を頂き質疑応答の時間になり、これまでのセミナーでは類を見ない約15件もの質疑応答となり司会者も時間を気にしながら進行をされました。
質疑応答の数例を以下に紹介します。
Q1:燃料は600トン輸送されるそうだが、水は飲料水や洗濯水などに使われると思うが現地調達しているのですか?また発電機を使っているのでコージェネになっていますか?
A1:発電機はコージェネになっていて熱効率で70%回収している。冷却水は暖房や融雪に活用し、水は貴重で常日頃節水に心がけている。
Q2:60年間の南極観測予算は減ってはいないと思うが?また一冬の越冬費用は?
A2:当初1億円弱でスタートし、現在は約30億円規模の予算。一番費用が掛かるのは「しらせ」の運航で約20億円、越冬隊が約10億円。
Q3:33名の越冬隊員が約1ヶ月の引継ぎでは難しいと思う。越冬経験が2度目、3度目という隊員がいるのか否か?また、建築担当が1名で33名の隊員を指導できるのか?
A3:越冬が2度目という隊員が約10%前後で、越冬隊長も2度目・3度目の経験者を充て、建物の建設は夏隊を1〜2名増員して行い、越冬隊は内装改修をメインにしている。
Q4:南極は寒い処なので冷蔵庫はあるのか?長い期間閉じられた環境で生活するので帰国後、同窓会的な集まりはあるのか否か?
A4:生鮮食品を凍らせないための大型冷蔵庫が3個、冷凍庫も3個あり、分散保管している。同窓会も年1〜2回実施している隊が普通。
Q5:現地での廃棄物処理対策は?減量化・燃料化は行っているのか?
A5:南極条約で厳しくなっており、持ち帰りが原則。固形物は焼却して減量・減容化し、灰は持ち帰る。汚水の浄化装置があり、浄化水は海洋投棄が出来る。1,000トン持ち込み、400トンを持ち帰っている。
Q6:33名の隊員のメンタルケアは?またインターネットを利用したカウンセリングの事例は?
A6:太陽のない時期は滅入る隊員が出てくるので懇親会など行って気分転換を図っている。テレビ電話やラインを使って家族とのコミュニケーションが頻繁に行われている。
東葛病院と連携して何かあればテレビ会議で対応している。対応アドバイスが必要な場合は専門病院と患部を確認しながら対処している。
Q7:帰国してからのデータ発表期間の制限は?
A7:南極条約で観測データは原則2年を目途に公開することになっている。その間、個人が自由に使えるが、共同研究ではオープンデータアクセスを使うこともある。
Q8:先生の専門はオーロラ分野と聞いているが?
A8:オーロラの電波を観測して光では天気が悪くて見えない時でも電波によりオーロラ現象が分かり、地球規模の観測が出来る。
 3月に帰国されてから数多くのご講演をなされ、豊富なデーター、写真や動画を駆使されたご発表で30分間の質疑応答も時間が足りないくらい密度の濃く出席者一同の大喝采の中、2時間のご講演を終えました。
以上
講演資料:昭和基地創設60周年を迎える南極観測
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2018年08月23日

EVFセミナー報告:「インドはカーストよりコスト」〜あなたの既成概念は、インドビジネスの敵〜

演 題 :「インドはカーストよりコスト」〜あなたの既成概念は、インドビジネスの敵〜
講 師 : 島田 卓様  株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長
日 時 : 2018年8月23日(木) 15:30〜17:30 
場 所 : NPO法人新現役ネット会議室

講師略歴 : 島田 卓(しまだ たかし)氏 
・1948年生まれ。明治大学商学部卒業。
・1972年東京銀行入行。本店営業部、ロサンジェルス支店、事務管理部、大阪支店等を経て、1991年インド・ニューデリー支店次長
・1995年アジア・オセアニア部次長。1997年同行退職。同年4月に潟Cンド・ビジネス・センターを設立、代表取締役社長に就任。
・東京商工会議所 中小企業国際展開アドバイザー。
・NHK「クローズアップ現代」「Bizスポワイド」等のテレビ出演、各方面での講演、執筆多数。
・主な著書:「インドとビジネスをするための鉄則55」(アルク)、「不思議の国インドがわかる本」(廣済堂出版)、「スズキのインド戦略」(監訳、中経出版)、
「トヨタとインドとモノづくり」(編著、日刊工業新聞社)、「インド2020」(監修、日本経済新聞出版社)、「日本を救うインド人」(講談社)など多数。
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講演概要:
「インドをモノにしようとするなら、インドに関するカーストを含めた既成概念を一旦捨て、一対一のビジネスマンとして、差し違えるくらいの気概で取り組む必要がある」とのことだが、その訳をインドの向かう方向を追い求めてきたインド駐在時代の経験も含めてお話していただいた。
1.あなたの視点でインドは変わる
●インドを理解するためには
ポール・セザンヌの多角的な視点の採用 即ち一点透視画法から多視点透視画法の見方が必要であるということ。ポール・セザンヌの発明とは「私たちは絵を描く際に、見たように筆を走らせる。これを単一視点と言うが、それは対象物の一側面を描いただけにすぎない」ということである。
セザンヌはそれでは対象を正確に描写することではできないと主張した。そこで彼は多角的に対象物を観察し、画面に同時に描写する「多角的視点」を導入した。インドも全体を理解するためには、多面的に、多視点からバランスの取れた判断をしていく必要がある。
●印ビジネスを飛躍的に拡大するには
スティーブ・ジョブスは、一見すると関係のないように見えるさまざまな分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力が創造力だと語っている。
インドでは神様が無数いるがこれらを包含して多様性国の統一を目指している。最初は何でもありで多様な社会における知識を積み重ね、それに基づく判断をしていく。単一民族といわれる日本が、人種の坩堝であるインドに、日本流経営の良さとメリットを伝え、うまく結びつけ、ハーモニーを醸し出す努力をすべきではないか。
2.なぜヒンドゥー至上主義政党から首相が生まれたか
●モディを理解すれば今のインドが分かる。
独立以来インド社会が頼みにしてきたネル-・ガンディ-家支配の腐敗にまみれた体制の呪縛からインドを解き放ち、インド国家自体の政治・経済体制を作り変えたのは、2014年の総選挙で勝利したナレンドラ・モディである。モディは苦学して大学を卒業しているが、二等列車の紅茶売りからたたき上げ、17歳で家を出て現政権BJP(インド人民党)の母体である民族奉仕団に加わった。彼ほど多極的な側面を持つ人間はいない。ヒンドゥー至上主義者でありながら、ことビジネスに関しては無宗教派に徹する。現在、硬軟併せ持ち、政治とビジネスを融合させる、らつ腕を絵にかいたような立ち回りのできる人物であり、モットーは【Perform or Perish(結果の出せぬものは去れ) 】である。
3.インド経済の現状と今後
●直近のインド実質GDPの推移
2014年の105兆ルピーから2017年は130兆ルピー(2.6兆ドル)と急成長している。
●10年後の中米印の主要国GDP推移
2010年のGDPは10位以下の圏外であったが、2020年には4.5兆ドルの5位で、2030年にはドイツ、日本を抜いて15兆ドルとなる予測がある。
●ビジネスの世界が変わる
将来、ナレッジ国家インドが世界ビジネスの中心になる。
●人口の増減が物語ること
少子化する日本は2025年の20〜24歳の人口が600万人で、一人っ子政策のリスクのある中国は8000万人、バランスの取れた人口構成のインドは一億人になる。
●GDP構成・労働人口比を変える
GDPの2割に満たない農業部門に労働人口の約5割が従事しているが、今インドに必要なことは、農業生産の効率化を進めるための総合的社会のインフラの整備を行い、それで余った労働力を生産性のより高い製造業へシフトして、国としての総合力をつけていくことではないか。

4.インドビジネスの要諦
●『プシュカールの老人』を描いたときの西田俊英画伯の言葉から
相手の心底にまで入り込み、相手を理解しようとする気概でビジネスをやれば、案外心が通じ合い、それまで気になっていたことが些細なことにすぎず、ことの本質ではないということに気付くのではないか。これからの日印の各種交流拡大を考えたとき、西田画伯の言う「心で受け止める気概」を忘れてはならない。
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●暗黙知・実践知・形式知
日印製造業の顧客創造の施策には、製造業における日印人材の暗黙知の形式知化が必要である。日印双方の暗黙知を統合、形式知化し、相互協力体制を築き、国籍に関係なく現場が現状を創造、維持、破壊、再生の繰り返しで、最適解を求めて動くようにする。そうすれば日印両国の労働者は、世界最強の製造業を創り出せる。
●金まみれのヒラリーと型破りのトランプを全く同列の醜悪大統領選だと。
米国のある有権者曰く「今回の選挙はガンか心臓発作のいずれかを選べと言っているに等しい」。
●鈴木修会長に要請され、インド重工業省から同社をマルチウドヨク(現マルチ・スズキ・インディアの前身)に転身し同社をインド最大の自動車メーカーに育て上げたバルガバ氏は完璧に時間を守った。インド人は時間をまもらない、というのは一面的観察に過ぎない。
●バルガバ氏から聞いた話だが、以前日本からの使節団に講演を頼まれた「カーストの話」をあえて「コストの話」に変えて話した。なぜなら、いかなる国でものづくりしようが、
一番大切なのは「いかにしてコストを削減するか」だから、とのことだった。 
セミナーに参加して
●中国のように中央政府の決定が絶対的な意味を持つ国とは異なり、村落レベルから合意形成を重視する傾向が根付いている親日国インドは、行政による意思決定に時間がかかるが、改革が進めば、これまでにないスピードで発展していく期待感が今回のセミナーを通じて強くなってきた。
(文責:立花賢一)

講演資料:インドはカーストよりコスト-18.8.23
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2018年07月26日

EVFセミナー報告:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察

演題:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察
講師:結城 隆様  中国ウォッチャー 荒井商事常勤顧問 
日時:2018年7月26日(木) 15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
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講師略歴:
•1955年生まれ。福島県出身。一橋大学経済学部卒。
•1979年旧日本長期信用銀行入行。調査部、ロンドン支店、マーチャントバンキンググループ、パリ支店、ニューヨーク支店勤務。
•1999年ダイキン工業経営企画室、大金中国投資有限公司(北京)勤務。
•デンロコーポレーション常務執行役員を経て2013年より現職。
•現在、荒井商事の常勤顧問として新規事業開拓を担当する傍ら、東日本大震災事業者再生支援機構業務委託、柳沼プレス工業顧問を務める。
•中国ビジネス研究会会員。
•主な著書:中国市場に踏みとどまる(2009年草思社)、中国羅針盤(2009〜2010年)日経ビジネスオンライン、ジョークで読み解く省別中国人気質(2012年草思社)、その他四半期毎に中国観察レポートを発行。
•座右の銘:百年生きて、百年学べ。
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講演概要:
本年の全人代政府報告からここ数年の習政権中国の発展の実績を数値をいれて紹介された。2014年の「新常態」(景気下降、政治的乱気流)から2017年「新時代」(中華民族の偉大な復興の夢)への移行が謳われている。GDP年平均成長率7.1%、高速鉄道総延長2.5万キロなど目覚ましい発展を遂げている。北京市の地下鉄の年間利用客はなんと述べ30億人に達しているとのこと。
従来の投資+輸出による成長から消費が投資を上回る消費主導の成長に転換。その陰では消費者金融の利用も大きく伸びて、違法金利などの問題も出ている。
携帯電話普及台数は14億台、内スマホは9.7億台。スマホを使用したネット予約タクシー、自転車シェアリングなど新しいサービスが次々に登場。スマホ支払サービスが急増した背景には100元札で5%とも言われる偽札率もある。
一方、過当競争により企業の生き残りも厳しく、各種規制も追いつかない現状がある。
自動車分野ではEV市場世界No.1を目指す戦略で2020年までに新エネルギー車生産比率10%以上を目標としている。
「不動産は住むものであって投機の対象ではない」と明言し、不動産市場は本格的な調整局面に入った。
環境問題取り組みが本格化し、環境対応コストが上昇するが、逆に言えば、環境対応が企業価値を高める時代になっている。
綱紀粛正は継続し、2017年規律検査委員会調査件数127万件、うち52.7万件を立件、44万人を処分。省部級処分58名、庁局級3,300人。結果、高官専用の泰城監獄がスペース不足に。
新たに1)資産効果縮減 2)新農民工問題 3)「ミンスキーの時」(金融崩壊の危険) 4)「トゥキディデェスの罠」(パワー・ゲームの中で、軍事的な争いに発展しがちな現象)等4つのリスクが挙げられる。
日本にとっては2007年に対中貿易は対米を超えており、最も重要な隣国となっている。積極的な環境対応、旺盛な消費市場への商品供給、シェアリングビジネス等の新しいビジネスモデルへの積極的な取り組みを図るべき時にある。
(文責:深井吉男)

講演資料:中国「新時代」
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2018年06月26日

EVFセミナー報告:クルマを捨ててこそ地方は甦る

演題:クルマを捨ててこそ地方は甦る〜自立・分散・協調型国土の形成に向けて〜
講師:藤井 聡氏 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、内閣官房参与 
日時:2018年6月26日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
講師略歴:
京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長、ならびに2012年より安倍内閣 内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。
1968年奈良県生駒市生。 京都大学卒業後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。 専門は都市計画、国土計画、経済政策等の公共政策論のための実践的人文社会科学研究。
著書「プライマリーバランス亡国論」「国民所得を80万円増やす経済政策」「国土学」「超インフラ論」「凡庸という悪魔」「大阪都構想が日本を破壊する」「大衆社会の処方箋」「巨大地震Xデー」 等多数。
朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、文化放送「おはよう寺ちゃん」「週刊ラジオ表現者」に解説者としてレギュラー出演中。 表現者クライテリオン編集長。
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講演概要:
冒頭、講師がその日に携わった仕事にどんなことがあったか順次紹介があり、聴衆は講師が関心を持たれているワールドに引き込まれた。今年は5年に一度の国土強靭化計画策定の年であること、南海トラフの大地震が来ると1400兆円の被害を被るとの予想がある一方、予め30兆円の対策が打てれば500兆円の被害縮小の効果がある説が存在するなど、大まかな問題提起がなされた。
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後半は、昨秋発売されてベストセラーになっているPHP新書の「クルマを捨ててこそ地方は甦る」の本題に入った。刺激的な言葉を使っているが主旨は「クルマ利用はほどほどに!」であり、講師の研究の本源である“コミュニティ・マネジメント”を論じたものであるとの由。クルマ社会の進展によって大型のショッピングモールが郊外に出来て都市が郊外化し、それにつれて公共交通機関が衰退、クルマによる移動で運動不足となって住民の健康が劣化し、一方地元商店街で買い物をしないために地域のマネーが流出、コミュニティの劣化、医療費等の行政支出の拡大、ついには地域の魅力が劣化し、行政サービスが劣化して地方都市が消滅していく。
どうすれば都市に再び人を呼び集められるか、それがこのセミナーの最大のテーマである。講師は都市の中心部からクルマを締め出し、空間を作れば人の賑わいは呼び戻せるとして、京都・四条通の歩道拡大工事の効果、富山市の駅前の事例を具体的にわかりやすく説明された。講師の提言は、日本全国にもっともっと新幹線網、高速道路網を整備する一方、地方都市の中心部からは車を締め出して人々が集まる工夫をすべきとのことであった。

なお、コミュニティ・マネジメントのついでにお話しされた際、織田信長が天下人になれた理由についてのお話が興味深かった。信長は土木工事でインフラを整備し、農地をしっかりと築き上げて石高を増やし、道路の機能を、敵の侵入から守ることよりも利便性を高めて生産力を増強したことにより強大になったのだとの由。講師から特別に提供いただいた「歴史の謎はインフラで解ける」の資料を末尾に掲載します。
(文責:佐藤孝靖)
講演資料:
配布資料 :クルマ利用はほどほどに!
講師からの特別提供資料 :歴史の謎はインフラで解ける
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2018年05月24日

2018年5月24日EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設

EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜

演題:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜
講師:吉見昭司氏、元日揮株式会社理事、元東京大学工学部大学院プロジェクトマネジメント講座講師 
日時:2018年5月24日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット会議室
講師略歴:
1941年;岩手県盛岡市生まれ
1966年;東北大学工学部化学工学科卒業、日揮(株)入社、基本設計部門勤務
1975年;国内プロジェクト部門にて合成ガス製造装置のプロジェクトエンジニア
1977年;ブラジル営業事務所責任者(ブラジル、アルゼンチンの営業活動)
1980年;帰国後、国内プロジェクト部門に復帰、更に海外プロジェクト部門に移籍。大型プロジェクトに携わる。
1995年;基本設計とエンジニアリングマネジメントを業務とする新設本部に異動、副本部長
1997年;基本設計と詳細設計部門が合併した新設本部の副本部長、理事
2001年;EPC委員会(業務改善・改革、競争力強化委員会)副委員長
2010年;東京大学工学部大学院のプロジェクトマネジメント講座講師(〜2011)
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講演概要:
アフリカでの製油所建設プロジェクトを、厳しい経済情勢と自然・労働環境の中で如何にして成功に導いたか、そのご苦労の実態をご講演いただいた。お話は(1)プロジェクトマネージメントとはどのようなものかについての解説と、(2)プロジェクトの実例の紹介 の2部構成であった。後者においては、大型プロジェクトの中身と完成までの間に発生した生々しいトラブルとその解決への取り組みにつき臨場感溢れるお話を伺うことが出来た。

(1)プロジェクトマネジメントとは;

1)プロジェクト組織に求められるもの
世界的に大型プロジェクトの受注は、極めて厳しい競争環境(リスクの顕在化で赤字転落の危険性を孕んでいる)の中での受注が普通であり、従ってプロジェクト完遂のためには各種の問題が発生しても、絶対条件である品質と納期の確保、及びコストダウン・追加獲得のためのノウハウを持ったプロジェクト組織およびエンジニアーの存在が大前提となる。そのためにプロジェクト組織に求められるものは、1)複雑に絡む諸々の因子を俯瞰的に捉えることが出来る洞察力 2)緻密な計画力 3)諸々の事情で計画からの乖離が発生したときの解決への調整能力 4)組織の強化力 等々である。

2)プロジェクト運営手法
プロジェクトは、あるプラントでものを作ろうとするプラントオーナーがプロジェクトを計画することから始まり、それを実現するプラント建設をコントラクター(プラント建設会社)に発注する。受注したコントラクターは、納期、コスト、品質の確保をしながら契約に基づき基本設計、詳細設計、機器調達、建設、試運転、引渡までの一貫した複雑な作業を行う。ここで採用されるのがプロジェクトマネジメント手法であり、その中でも重要なのが、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれるものである。これは、プロジェクト全体を細かな作業要素に分解(Work Breakdown)し、全作業を階層構造(Structure)として組み立てる手法であり、これによりプロジェクトの全ての作業が事前に明確にされ、全体が統合的に管理できる。最も重要な事は問題を発見しそれを解決しようとする姿勢である。
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(2)プロジェクトの実例紹介;

1)プロジェクトの中身
アフリカにおける日量150,000バーレルの原油を処理するガソリン最大収率型製油所建設プロジェクトの受注から完成に至るまでの間に、講演者が遭遇した諸々の出来事について、問題点とそれぞれの解決策が映像と共に詳細な説明がなされた。言及された出来事は、それらが解決しないとプラントの納期、品質、コストに多大の影響を与える事象であり、キーワードを挙げればファイナンスの組み方、パートナーとのコミュニケーション、設計から建設に至るまでのプロジェクトライフサイクルに係わるプロフェッショナルエンジニアの確保とコミュニケーション、現場作業員の確保、現場労働環境、等々である。
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2)プロジェクトライフサイクルの中で解決してきた諸々の課題
・プロジェクトの受注活動―客先の現地事情や会社状況の調査。客先作成の膨大な量のプロジェクト指示書を読みこなした上での見積作業。
・ファイナンス準備――信用度の低い開発途上国へのファイナンスの難しさ
・基本設計、詳細設計――客先側のコンサルタントの自己PR・保身のための過剰な質問、コメントによる混乱、時間の無駄使い
・客先の姿勢――客先や、パートナーのプロジェクト理解の差、あるいはコミュニケーションの欠落等からの混乱、
・調達――急激な円高から海外発注へ切り替えたことによる海外ベンダーの発掘と品質管理、工程管理に苦労
・建設――建設マンパワーの質の問題(日本人125名に対し、7000名を超える現地およびアジア人労働者の技能教育、管理)、現場における盗難、ストライキ、暴動等々。労務管理上の問題は、人的関係、技能等に関するトラブル早期発見と早い対応(辞めさせることも含め)が肝要。
・作業環境保全――安全上の問題、現地風土病への対応(罹ってもすぐ適切に対処すれば命を救える)

3)プロジェクトマネージャーに求められること
・プロジェクト業務が好きであること。
・ストレスに強いこと
・洞察力と想像力、リーダーシップ。
・困難から逃げない意志。改善・改革の意識。
・自分および人を(経験によって)育てる。

(3)質疑応答:

講演後、活発な質疑応答があったが、その内の数例を以下に記す。
・Q:開発途上国と契約をするときの難しさは何か?(A:リスクヘッジは当然考えるが、契約時に読み切れない事象は必ず生じる。その解決はプロジェクトチームの総合力による。)
・Q:なにかとプロジェクト遂行の困難さが予想できる国と仕事をしようとした理由は?(A:相手国が資源保有国であり、将来性が期待できたから。)
・Q:ヨーロッパ人や日本人技術者の作業環境維持はどうしたか?(A:居住環境、特に食べ物への配慮。ヨーロッパ人、中国人の冒険心とタフさには学ぶべきところあり。)
(以上 文責:橋本 升)
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2018年04月26日

EVFセミナー報告:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」

演題:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」
講 師 : 山崎 琢矢様 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課長
日 時 :  2018年4月26日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
1996年  東京大学法学部卒
1996年〜 通商産業省(現:経済産業省)入省
電力事業制度改革(第2次改革:小売りの部分自由化の導入
ベンチャー企業育成政策
サイバーセキュリティ対策を担当
2006年〜 米国ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院にて修士号取得。同大学客員研究員として活動。
2008年〜 インフラ・システム輸出の制度設計を手掛ける。
2012年〜 東日本大震災を契機に検討が本格化した電力システム改革の制度設計を担当
2015年〜 経済産業大臣秘書官
2016年10月〜現職(新エネルギー課長)

〔講演概要〕
・日本ではFIT制度導入以降、急速に再エネの導入が進んでいるものの、発電コストは国際水準と比較して依然高い状況になっている。
・また、系統制約の顕在化や調整力の確保、事業環境の整備など、新たな政策課題も浮き彫りになってきている。
・再生可能エネルギーが置かれた現状として現状再エネの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方について、エネルギー基本計画での検討状況も含めた再エネの現状と今後の課題について講演をいただいた。
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〔講演概要〕
1.再生可能エネルギーが置かれた現状
・世界での再エネの導入状況:世界では2012年頃までは再エネは発電量が変動しかも価格が高いことから、扱いに疑問が持たれていた。 最近は変わってきて、再エネは当たり前になってきた。
(i)2015年には再エネの発電設備容量が石炭火力を超えた。
(ii)2016年には太陽光の新規導入量が石炭火力の純増分を超えた。
(iii)2008年には太陽光発電が約40円/kWhであったが、現在世界での太陽光・風力発電の価格は約10円/kWhになっている。洋上風力も、2016年には落札額が10円/kWhを切る事例や、ドイツでは市場価格(補助金ゼロ)の事例が生じている。
・日本での再エネの導入状況:日本では再エネの割合が原発の多いフランスと比較しても小さい、2030年度のエネルギーミックスでは、ゼロエミ44%、火力発電
56%である。 
・エネルギーミックス実現への道のり:既に、特に太陽光において多くの認定が出ているが、いろいろな障害があり、現在認定されているものすべてが稼働する保証はなく、2030年度のエネルギーミックス実現に向けて、引き続き政策を打っていかなければならない。
・太陽光発電:(i)設置に関する地元とのトラブル、(ii)小規模の発電所の適切なメンテナンスや再投資をどう確保するか等の問題がある。
・エネルギーミックスと国民負担:2030年度の再エネの目標は22〜24%であるが、それを達成するためにはFIT買取費用総額は4兆円となる見込み。今後、再エネ比率プラス9%(15%→24%)を、約1兆円の賦課金で実現しなければならない。

2.エネルギー基本計画での検討
・2030年の議論は総合エネルギー調査会(基本政策分科会)、2050年の論議は情勢懇談会でやっている。
・2030年の目標では再エネを「主力電源とする」ことを位置付ける。主力電源とすることでの課題は、(i)発電コストの低減、(ii)事業環境の整備,(iii)系統制約の克服、(iv)調整力の確保。

・太陽光発電:2019年にFIT買取期間が終了する住宅用太陽光発電の案件が生じ始める、影響は150万kWに及ぶ。太陽光パネルは25-30年の耐久性があるので、自立型として継続できないか?
・風力発電:陸上での建設は限界がある、洋上風力の立地制約を解消することが必要
・地熱発電: 採掘リスクや地元との調整などの課題あり。
・中小水力発電: 新規が少ない
・バイオマス発電: 期待大、国内材と林業をペアで考えられないか?

3.今後の課題
再エネ政策の検討の状況
・太陽光:入札制の導入。過剰な流通構造などでコスト高になっていることの解消。
・洋上風力:立地制約の解消 海は国有財産→1人が長期間占有はできない(都道府県の占用許可は3-5年と短期)→海域を指定し、長期占用を可能とする制度を創設。
・バイオマス:今年度より入札制導入 木質系入札量180MW、液体燃料系20MW
液体燃料はパーム油に限定。
・非化石価値取引市場の創設
・太陽光パネル廃棄問題
・系統制約への対応:既存系統の最大限の活用のため、従来の運用を見直し。(日本版コネクト&マネージ)
・グリッド・コード(系統連系技術要件)の整備:今後は、再エネ自身も調整力の機能を持つことが重要。

以上
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2018年03月22日

EVFセミナー報告:最先端技術で探る、道路構造物の欠陥

演題:「最先端技術で探る、道路構造物の欠陥」
講 師 : 株式会社テナーク代表取締役 内間 満明様
日 時 :  2018年 3月22日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
・横浜生、育、在の65歳
・東京大学大学院博士課程終了(農学系研究科水産増殖学専攻) 
   農学博士号取得(東大博農第855号)
   (水産、海洋生態学研究に従事)
・株式会社パスコ (航空測量関連事業主体)
  (水陸環境系調査コンサルタント、技術開発業務等に課長、部長職にて従事)
・株式会社テナーク(高速走行式赤外線熱計測、画像解析技術開発)
  (2013年4月設立、代表取締役:設計及び建設コンサルタント分野)
・技術士(建設部門)
・本技術関連取得特許 6件、
・道路舗装専門誌発表 2編
・関連学会発表 国内(日本土木学会)10回 海外 1回

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〔講演概要〕
■赤外線熱計測とは
・すべての物質は赤外線を出している。
・赤外線には、熱い物質ほど多量の赤外線熱量を放出し、冷たいほど少量になるという特性がある。
・また熱計測可能な波長帯というのも決まっている。
■道路診断としての赤外線熱計測
・「道路診断としての赤外線熱計測」は、この特性を利用して赤外線熱量を温度変換し、各部位の相対的な温度差により、外観では見えない道路の健全部と不健全部を識別するものである。
・例えば、道路内部に空気層があれば、昼間の当該部位の表面温度は健全部より高くなり、道路内部に滞水層があれば、逆に低くなる。外気温の上昇、下降局面では当該部位と周辺部の温度差が増幅される。
・「目視観察」や「打音検査」など、構造物検査の従来技術を転換し、赤外線熱計測により内部損傷変状を検出するものである。
■高速走行式赤外線熱計測
・特徴は
1)交通規制しない
2)通常の法定速度走行、高速道路ならば高速走行するだけで
3)道路構造物の外観で見えない不健全な内部損傷変状を検出する
・熱画像、可視画像、GPS情報の同期取得システムを構築し、道路走行中に1車線幅領域の熱画像を取得する。
・熱計測用のカメラはアメリカ/FLIR(フリア)社製の超高性能冷却式赤外線サーモグラフィカメラで、このカメラにより微小な温度差の走りながらの計測が可能となっている。
・広範な領域を短期間に調査する一次スクリーニング検査、即ち健全と不健全を識別する概略検査としては、高効率、低コストであり、最先端技術である。
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■道路点検診断の必要性
・まず必要性の背景として、建設分野全体の問題である“3不足、1増問題”がある。即ち、
〇3不足
1)技術力不足
2)技術者不足
3)財源不足
〇1増
1)点検診断や補修対象の老朽構造物増加
・このシステムを開発しようと取り組んでいる目的は、「3不足1増問題」の早期解決、道路構造物の日常・定期点検診断の円滑実施、災害緊急時等の迅速対応などのためである。
■赤外線による震災影響の検出
・この方法を用いて、東日本大震災後の三陸地方の橋で、舗装路面下での層間剝離や内部滞水の発生を検知することができる。
・また地盤液状化による路面下の空隙/空洞を検知することもできる。
■今後の展望
・今後の赤外線熱計測事業の展開としては、道路管理者との連携、地方と中央の連携により、社会へ技術供与、技術移転を図っていきたい。
・またさらなる技術開発として、解析診断の自動処理化(人工知能AI開発)が必要と考えている。

〔質疑〕
講演中にも、
Q:車載カメラの高さは?
A:1車線幅4.0mほどの領域を撮影するために、現状のカメラの広角レンズではカメラの高さを3.5mとすることが必要である。
Q:同期は車で走るときもか?
A:熱画像、可視画像、GPS情報を5m走行ごとに同期取得している。なお高速を80kmで走っても、写真画像が流れない。
Q:自動で温度差が出るのか?
A:そこをビジネス化しようと考えている。カメラはミサイル迎撃用に元々は軍開発されたもので、-200度に冷やすことで雑音を除いており、微小温度差を検知できる。この高精度の検知温度差に基づき、内部損傷変状抽出の自動処理化に取組み、一部できている。なお、昼、夜それぞれに測定のための好適時間帯がある。
Q:超音波探傷にとって代わる可能性はあるのか?
A:超音波探傷は細かなデータ取得に適していて、本方法は1次スクリーニングに適している。
など活発な質疑が行われた。

より詳細な説明は講師提供の下記資料をご覧ください。

以上 文責 山田和彦

講演資料:
最先端技術で探る、道路構造物の欠陥
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