2016年09月29日

EVFセミナー:「水のあと始末から資源化まで」

[演題]:「水のあと始末から資源化まで」〜トイレから見た世界〜


開催日:2016年9月29日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネット事務局会議室
講師 :亀田 泰武 様(NPO 21世紀水倶楽部 理事長 工学博士)、
講師略歴:
 昭和41年東京大学工学部都市工学科卒業、同年  建設省入省
 平成6年 大口径気液二相流に関する研究で博士号取得 
 平成15年 NPO21世紀水倶楽部理事
 平成23年 同理事長、現在に至る
 著書 DVD パソコンで見る「行きたくなる水辺景観」
DSCN5056-2.jpg要旨:講師は長年、水処理および利用の分野で先頭に立ってご活躍されてきた。水の汚れ/生活と下水/病原菌と下水道/活性汚泥法の誕生/下水処理/雨水と汚水/富栄養化/今後の課題などについて、分かり易く、丁寧に、そして我々の生活に則してご講演頂いた。又、活発な質疑応答の中でも、例えば、我が国の現状設備について、自然災害リスクも含め明快にお答え頂き、講師の見識の高さを垣間見る思いであった。
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講演概要:
「水の汚れ」
昭和40年代中頃の多摩川の水の汚れ、同じく隅田川の汚染による花火大会の中止など、当時の水の汚れを思いださせた。更に、セミナー会場の田町駅前の下水道管設置状況が下水道台帳を用いて説明された。

「生活と下水」
*水質悪化の原因は、有害物質/病原性微生物/有機物質/栄養塩類によるものに分類される。
*水の汚れは、有機物である。 
  <有機物と酸素>
  ☐酸素は1㎥に最大10g程度しか溶けない
  ☐水の汚れの指標BODは有機物を分解するのに必要な酸素量
  ☐BOD濃度≒有機物濃度
  ☐1gの酸素燃焼で4キロカロリーのエネルギーを生み出すと考える
  ☐人の1日のBOD量は500g
  ☐人のBOD除去率は97%
  
「病原菌と下水道」
ヨーロッパでは水系伝染病のコレラ、赤痢などの恐怖が下水道整備の推進となった。日本でも、大政奉還により関所が撤廃され、コレラのまん延に繋がったのではないかと言われている。上水道を整備すれば、怖い伝染病を防げるということが分かり、日本では下水道整備が後回しになった。

「活性汚泥法の誕生」
*19世紀後半より環境衛生上のニーズがあったが、本格的な下水処理プラントは活性汚泥法が発明された1914年以降急速に建設された。日本でも1930年に名古屋で運転開始され、覆蓋設置という独自の工夫を行い、当時の研究者の努力が評価されている。この土壌微生物を利用する方法が優れているので、100年後でも世界中で使われている。
*基本プロセスは変わっていないが、最近の進歩を紹介すると、
<窒素やリンなどの除去/微細気泡発生装置による省エネ/プラスチック膜ろ過方式による活性汚泥の分離>
 
「下水処理」
*一家庭/3人程度当たり、標準活性汚泥処理施設の容量は0.4㎥程度。
*下水処理のためのエネルギーは、標準家庭で常時15W程度の消費。
 *汚泥の発生しない下水処理法はない。

「雨水と汚水」
*年間総量では1:1だが、設計最大水量は雨水量が汚水量の100倍にもなる。
*大都市地域では従来は合流式だったが、S45年以降は新設の場合は分流式が採用された。分流式に改造は困難。
*合流式下水道の最近の課題としては、(1)お台場の衛生管理、(2)皇居のお堀水質改善、などがある。
*致死的でないが感染症を起こす水系病原微生物が現在も問題である。下水処理では病原微生物の90〜99%は除去されている。

「富栄養化」
*リンと窒素は、高度処理すれば90%程度の除去は可能。
*東京湾の水質は段々良くなっている。リン濃度は、洗濯機の普及により一時高くなったが(洗剤にリンが入っていた)、その後合成洗剤、無リン洗剤の普及により、改善された。しかし、残された干潟の元気がない。又、水温上昇(過去30年で約5°C上昇)によるお台場などの雨の後のノロウィルスの課題が残る。
*琵琶湖の水質は悪くなっており、原因は不明。
*諏訪湖の水質は良くなっており、ワカサギの魚体が小型化。
*霞ヶ浦の水質は、あまり改善されていない。

◎発生する汚泥は、一人一日4kg程度あり、その1%が固形分であり、有機物なので、潜在エネルギーの価値はある。しかし、汚泥の処理施設の「運転管理」と「最終処分」が一番大変な業務である。

「今後の課題」
(1)災害時トイレの確保、   (2)津波対策、水洗トイレの機能保持が必要、
(3)地域に根ざした水環境形成、(4)下水道資源の活用(例:コンポスト堆肥)、
以上
以上 文責:三嶋 明

講演資料:「水のあと始末から資源化まで」
posted by EVF セミナー at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー紹介
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