2016年10月27日

EVFセミナー:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜

[演題]:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜


開催日:2016年10月27日(木) 15:30〜17:30
会場 :サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師 :日本塗装機械工業会専務理事 平野 克己 様

講演要旨:

講師は、50年間塗料・塗装の世界で活躍されてきて、なお現在もその第1線に立っておられる。ご講演は、塗装・塗料の技術的背景、その歴史と現状および将来の課題と展望等々大変に広く且つ深いお話を聞かせていただいた。
スマフォ、家屋、自動車等々、我々の身の回りに塗装のないものはない。一方、塗料・塗装は間違いなく環境負荷を有する。その原因は塗料を構成する化学物質にあり、これをうまく制御するのが塗料・塗装業界の課題であり、日本の技術を持ってすれば、塗装による地球環境負荷を低減することは可能であるとのメッセージを頂いた。
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講演概要:

1.塗料・塗装とは
日本での塗料生産量は年間約160万d。塗料原料は、顔料(40万d)、樹脂(40万d)、溶剤(80万d)であり、それぞれが廃水処理(50万d)、CO2とVOC発生(80万d)、塗膜等固体廃棄(30万d)という環境負荷原因を内在している(括弧内は年間の使用量乃至は廃棄量)。粉体塗料は溶剤を使わず環境に優しいが、その仕上げのきれいさでは溶剤塗料に及ばず、使用量は年間3万d程度。
因みに中国での塗料生産量は1700万d、粉体系は100万dとなっている。

塗装とは、材料表面を塗料皮膜で覆うこと。方法としては、ローラー等による直接塗装、スプレー等の間接塗装、電着塗装、浸漬塗装等々。工業製品での塗装方法はスプレー(噴霧)塗装が主流であるが、使用塗料の約50%がVOCとして外気汚染源となる。

日本での塗料工業界の状況は、1.国内生産量:160万トン/年 2.日本企業の海外生産量:200万トン/年(内、中国50%) 3.塗料製造会社:200社 4.従業員:2万名(塗装関連:20万人)5.国内出荷金額:7〜8千億円/年(世界10兆円) 6.販売店数:約5000店
となっており、一方、塗装工業に関しては、前処理10分、塗装10分、乾燥30分を1ユニットとする工業的塗装ラインが、製造業で10、000ライン、塗装業で3、000ラインある。自動車板金塗装業者数としては30、000社。

塗料業界(約200社)と塗装設備業界(約600社)は、ニーズと法律があれば課題解決に向けて一体となって対応できるが、現状では双方の共通課題とならないため共同で事に当たる体制にはなっていない。
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2.塗装の歴史
塗料の歴史は古い。1〜2万年前のアルタミラ洞窟やラスコー洞窟の壁画が鮮やかに現在まで残っている。日本では縄文時代に既に翡翠が顔料(薄い緑)として使われていた(因みに日本鉱物科学会が本年9月、翡翠を日本の石として認定している)。また、1300年前の高松塚古墳壁画がある。
日本での工業的塗装は明治初期の洋式軍艦の製造から始まり、日本特許第1号(明治18年)は「錆止塗料及ビ其塗法」である。

3. 塗装の役割
塗装の役割は美観、素材保護、機能性付加(防錆、断熱、遮熱、抗菌、防水、撥水、帯電防止、等。
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4.塗料・塗装の未来と環境対応
これからの塗料・塗装に要求される課題は、@素材の防蝕・保護、省エネ効果に優れ且つ長持ちする塗料・塗装技術の開発 A塗装が与える環境負荷の低減(CO2、VOC発生量低減、産廃排出量の削減) B塗装段階での省エネルギー)
等であるが、そのためには環境対応とグローバル化に耐えられる総合的技術革新が求められる。

これらのためには塗料・塗装システム工学という分野を形成しつつ、塗料及び塗装設備業界の壁を越えた技術革新を図る必要がある。さらに、中国のPM2.5問題の解決等をも視野に入れた海外との連携が一層重要になる。付言すると、中国では塗料中のVOC含有量を420g/L とし、それ以上の場合は使用料の4%の課税という厳しい規制を本年から課している。また、日本と違って中国では若手と女性の当該分野における活躍が見られることなど、優れた技術を有する日本も安閑としていられない状況にある。

以上
以上 文責:橋本 升

講演資料:「塗料・塗装と環境問題」
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