2017年03月23日

EVFセミナー報告:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

[演題]:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために


日時:2017年3月23日(木) 15:30-17:30
場所:新現役ネットA 会議室
講師:WWF ジャパン山岸 尚之様

略歴:1997年に立命館大学国際関係学部入学。2001年3月に同大学を卒業。
同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連会議での情報収集ロビー活動などを担当。
2011年より気候変動・エネルギーグループ長

演題:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

要約:今回のパリ協定成立までの地球温暖化防止に係わる条約類の歴史を振り返り、パリ協定が示した方向性と特長の解説があった。その後現状についての認識、CO2削減に向 けた世界の潮流の紹介・解説が行われ、日本がやるべきことの提案があった。さらに 2050 年に化石燃料を使わず日本のエネルギーがすべて再生可能
エネルギーに よって供給されていることを前提とした長期シナリオについてのWWF 提案が紹介され、「自分・自社の身の回りでCO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”を通じての社会の変革」などへの各人の取り組みが促された。
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講演概要:
1. パリ協定が 示した方向性
1992年にリオデジャネイロサミットで交わされた「国際気候変動枠組み条約」から
今回の「パリ協定」に至るまでの数々の国際条約の歴史について、最初におさらいの
説明があった。国際社会が CO2 削減をしない場合は産業革命前と比較して 2100 年
には 4℃、頑張って削減すれば1.5〜2℃の気温上昇にとどまる予想であり、このため
には今世紀後半に化石燃料を使わず CO2 排出量をゼロにする必要がある。 京都議定
書では先進国のみにCO2削減目標が課せられたが、今回のパリ協定ではほぼ全ての国
が削減目標を持ったところに大きな意味がある。 気温上昇1.5〜2℃に抑えるために、
5 年ごとに進捗状況をチェックし PDCA サイクルを回して前回より良い目標値を
設定して行くと言う枠組みとなった。これにより新たな協定書を作る必要がなくなった。

2. 現状についての認識
これまで経済の発展には大量のエネルギー消費が伴ってきた。世界の CO2 排出量に
対して中国 25%、アメリカ 15%が大きな割合を占めている。日本は 3%でありこれ
以上の削減は難しいと言われてきた。しかし人口一人当たりのCO2 排出量で見ると
アメリカは20 トン、 韓国 14 トン、日本 11 トン、中国 8 トン、世界平均では
7 トンと、日本はまだ努力代が残 っている。

3 .世界の潮流
WWFおよびCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による
共同イニシアチブが、世界の平均気温の上昇を「2℃未満」に抑えるために企業に
対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めている。これに応えて
世界で220の企業が参加し、日本からも22企業が参加している。また、再生可能エネ
ルギー100%を宣言する企業も数多く出てきており、それぞれ達成目標年を定めている。
さらに投資や金融の面では化石燃料を使用するプロジェクトから資本を引き揚げると
いった動きも出てきており、種々の分野でCO2 削減への努力が始まっている。

4 .日本がやるべきこと
日本の温室効果ガス排出量は1990 年から見ても徐々に増えており、2013 年がピー
クになっている。日本では 2030年までに2013 年比で 26%削減、2050 年までに
80%削減の目標を掲げている。しかし、今後石炭火力発電所建設の計画が多くあり、
40年稼働するとすれば脱化石燃料の時代に入ってしまい矛盾がある。 これまでの
社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきた。 これに対し
て資源の再利用・循環利用を行い、一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネル
ギー消費を減らしていくデカップリングの考え方が出てきており、日本でも取り
入れていかなければならない。これらを含めた長期戦略の議論を進めなければなら
ない。 アメリカはじめ主要国はすでに国連に長期戦略を提出しているが、日本、
イタリアなどは未提出のままになっている。 WWF では 2050 年に日本のエネル
ギーがすべて再生可能エネルギーによって供給されていることを前提とした長期
シナリオを提案している。これによれば 2015 年に投資をした場合、2030 年には
初期投資を回収し終わり、2050年には大幅に黒字化する見通しとなっている。
私たちは「自分・自社の身の回りでの CO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”
を通じての社会の変革」を図って行かなければならない。Semi20170323R1.jpg

5. 質疑応答
講演終了後、聴講者から原発の必要性、日本の地の利を生かした自然エネルギーの活用、
カーボンニュートラルの考え方への疑問、液体バイオ燃料の輸送部門へのさらなる
活用、他、数多くの意見や質問が出され、活発な論議が交わされた。(写真 DSCN5426)
以上

以上 文責:小栗武治

講演資料:「パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために」

posted by EVF セミナー at 18:25 | TrackBack(0) | セミナー紹介

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