2017年12月21日

EVFセミナー報告:「これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?」

[演題]:これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
日時:2017年12月21日(木) 15:30〜17:30
場所:新現役ネット事務局会議室
講師:小枝 至 氏 日産自動車株式会社 相談役
参加者:36名
DSCN5848-2.JPG講師略歴:
1965年 3月  東京大学工学部機械工学科卒業
1965年 4月  日産自動車株式会社入社
1993年 6月  日産自動車株式会社取締役
1998年 5月  同社常務取締役
1999年 5月  同社副社長
2003年 6月  同社代表取締役
       同社取締役共同会長
2008年 6月  同社相談役名誉会長
2015年 4月  同社相談役
講師役職 :
2009年 6月  HOYA株式会社 社外取締役
2013年 6月  (一社)企業研究会会長

講演内容:
縮小版 CIMG6385-2.jpgEVF設立10周年記念セミナーの第4弾(最終回)として開催されました。
記念セミナーの最終回としてふさわしく、自動車のこれから10年について自動車産業の真っただ中からの展望をお話いただきました。
小枝講師には、まことにご多忙の中EVFのために時間を割いていただき心から感謝の意を表します。

1.自動車産業の状況
世界では人口の増加(現在73億人から2050年には97億人に)と新興国の普及率増に伴い自動車の需要は伸びる。
韓国、中国、ロシアの業者が製造の実力を伸ばし、電気自動車の普及による他産業(IT関連など)からの参入もあり、業界コンペティターが増える。
日本では国内保有台数(7700万台)は飽和状態、かつ買換え需要は減る方向であるが、自動車産業は日本の産業のかなめであり、輸出の拡大に期待している。このためには、「日本ブランド(故障少なく、中古でも人気)」の維持、拡大が必要であり、国内での先進技術を含む開発が不可欠。
軽自動車需要の動き、新興国の国情に合わせた車の開発、低価格車の実現に注目している。
2.自動車を取り巻く課題とチャレンジとしては、地球温暖化に影響の大きいエネルギー削減と交通事故対策が挙がった。
(1)CO2排出量の17%が自動車からのものとの認識から、燃費の最良点でエンジンを働かすe-Power(日産NOTE)や、ゼロエミッションを目指す電気自動車が示され、さらなる改善への方向が示された。
電気自動車に使う「電気」の生産に化石燃料を使用する場合があり、ゼロエミッションの難しいところについては、再生エネルギーへの転換が世界的に大きく進められている状況が示された。世界的に石炭発電への抵抗大きいことや、太陽光発電が技術開発と普及により単価が低下したことにも言及があった。
(2)自動車事故や渋滞の多くがドライバーのミスに起因することなどから、これを防ぐための車の知能化(自動運転)に取り組んでいる。10年後の完全自動運転(無人化)に向けて段階的に開発が進んでいる。
レベル2(部分運転自動化)について、日産の開発したシステム「日産プロパイロット」が搭載されたセレナが販売されている。ドライバーと共存するレベルであることを示すために「プロパイロット」と名付け、他社の「オートパイロット」のように自動運転に過剰な期待を持たせて事故が起きることの無いようにしている配慮も示された。
自動運転に向けた課題技術のアイテムについて説明があった。ヘッドアップディスプレー、画像解析技術(判別ばかりでなく、死角や予測の技術を含む)、外部情報不可欠なため避けられないサイバーセキュリティなどである。
3.完全自動運転が実現した後の状況についても話があった。
事故責任については、完成車メーカーが責任を持つのが筋だろうが、今後の社会受容性や法律の整備にかかっている。自動運転対応の特約設定を始めた保険会社がある。
車の所有にこだわる人が少なくなる。既にライドシェア(相乗り)事業が始まり、拡大を期待する向きも多い。
公共交通機関もあるので、車不要にならないかとの質問もあったが、公共交通機関の不便なところには車は不可欠だろうとの講師の見解である。
機械に依存し過ぎた結果、故障した車の対応に困る人をどうするか、運転する楽しさをどう残すかも考えなければならない課題である。現時点で、自動運転車を買いたいと思う人は半分以下との報告もあるという。

縮小版 CIMG6386-2.jpg演題に沿う多くの内容を休憩時間も惜しんでお話しいただいたが、参加の方々は熱心に聞き入っていました。
お話を聞いて業界の開発の現場に投入されている莫大な努力を感じるとともに、日本の誠実なかつ緻密なモノづくりへの信頼とこだわりを感じました。講師には、その後の懇親会にも参加していただき意見を聞かせていただきました。

更なる詳しい説明は、講師提供の資料があるので参照してください。
(報告者:EVF正会員津田俊夫)

講演資料:
これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
posted by EVF セミナー at 18:00 | TrackBack(0) | セミナー紹介

この記事へのトラックバック