2018年03月22日

EVFセミナー報告:最先端技術で探る、道路構造物の欠陥

演題:「最先端技術で探る、道路構造物の欠陥」
講 師 : 株式会社テナーク代表取締役 内間 満明様
日 時 :  2018年 3月22日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

IMG_3620-2.JPG
〔講師略歴〕
・横浜生、育、在の65歳
・東京大学大学院博士課程終了(農学系研究科水産増殖学専攻) 
   農学博士号取得(東大博農第855号)
   (水産、海洋生態学研究に従事)
・株式会社パスコ (航空測量関連事業主体)
  (水陸環境系調査コンサルタント、技術開発業務等に課長、部長職にて従事)
・株式会社テナーク(高速走行式赤外線熱計測、画像解析技術開発)
  (2013年4月設立、代表取締役:設計及び建設コンサルタント分野)
・技術士(建設部門)
・本技術関連取得特許 6件、
・道路舗装専門誌発表 2編
・関連学会発表 国内(日本土木学会)10回 海外 1回

IMG_3622-2.JPG
〔講演概要〕
■赤外線熱計測とは
・すべての物質は赤外線を出している。
・赤外線には、熱い物質ほど多量の赤外線熱量を放出し、冷たいほど少量になるという特性がある。
・また熱計測可能な波長帯というのも決まっている。
■道路診断としての赤外線熱計測
・「道路診断としての赤外線熱計測」は、この特性を利用して赤外線熱量を温度変換し、各部位の相対的な温度差により、外観では見えない道路の健全部と不健全部を識別するものである。
・例えば、道路内部に空気層があれば、昼間の当該部位の表面温度は健全部より高くなり、道路内部に滞水層があれば、逆に低くなる。外気温の上昇、下降局面では当該部位と周辺部の温度差が増幅される。
・「目視観察」や「打音検査」など、構造物検査の従来技術を転換し、赤外線熱計測により内部損傷変状を検出するものである。
■高速走行式赤外線熱計測
・特徴は
1)交通規制しない
2)通常の法定速度走行、高速道路ならば高速走行するだけで
3)道路構造物の外観で見えない不健全な内部損傷変状を検出する
・熱画像、可視画像、GPS情報の同期取得システムを構築し、道路走行中に1車線幅領域の熱画像を取得する。
・熱計測用のカメラはアメリカ/FLIR(フリア)社製の超高性能冷却式赤外線サーモグラフィカメラで、このカメラにより微小な温度差の走りながらの計測が可能となっている。
・広範な領域を短期間に調査する一次スクリーニング検査、即ち健全と不健全を識別する概略検査としては、高効率、低コストであり、最先端技術である。
IMG_3625-2.JPG
■道路点検診断の必要性
・まず必要性の背景として、建設分野全体の問題である“3不足、1増問題”がある。即ち、
〇3不足
1)技術力不足
2)技術者不足
3)財源不足
〇1増
1)点検診断や補修対象の老朽構造物増加
・このシステムを開発しようと取り組んでいる目的は、「3不足1増問題」の早期解決、道路構造物の日常・定期点検診断の円滑実施、災害緊急時等の迅速対応などのためである。
■赤外線による震災影響の検出
・この方法を用いて、東日本大震災後の三陸地方の橋で、舗装路面下での層間剝離や内部滞水の発生を検知することができる。
・また地盤液状化による路面下の空隙/空洞を検知することもできる。
■今後の展望
・今後の赤外線熱計測事業の展開としては、道路管理者との連携、地方と中央の連携により、社会へ技術供与、技術移転を図っていきたい。
・またさらなる技術開発として、解析診断の自動処理化(人工知能AI開発)が必要と考えている。

〔質疑〕
講演中にも、
Q:車載カメラの高さは?
A:1車線幅4.0mほどの領域を撮影するために、現状のカメラの広角レンズではカメラの高さを3.5mとすることが必要である。
Q:同期は車で走るときもか?
A:熱画像、可視画像、GPS情報を5m走行ごとに同期取得している。なお高速を80kmで走っても、写真画像が流れない。
Q:自動で温度差が出るのか?
A:そこをビジネス化しようと考えている。カメラはミサイル迎撃用に元々は軍開発されたもので、-200度に冷やすことで雑音を除いており、微小温度差を検知できる。この高精度の検知温度差に基づき、内部損傷変状抽出の自動処理化に取組み、一部できている。なお、昼、夜それぞれに測定のための好適時間帯がある。
Q:超音波探傷にとって代わる可能性はあるのか?
A:超音波探傷は細かなデータ取得に適していて、本方法は1次スクリーニングに適している。
など活発な質疑が行われた。

より詳細な説明は講師提供の下記資料をご覧ください。

以上 文責 山田和彦

講演資料:
最先端技術で探る、道路構造物の欠陥
posted by EVF セミナー at 19:10| 日記