2018年04月26日

EVFセミナー報告:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」

演題:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」
講 師 : 山崎 琢矢様 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課長
日 時 :  2018年4月26日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
1996年  東京大学法学部卒
1996年〜 通商産業省(現:経済産業省)入省
電力事業制度改革(第2次改革:小売りの部分自由化の導入
ベンチャー企業育成政策
サイバーセキュリティ対策を担当
2006年〜 米国ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院にて修士号取得。同大学客員研究員として活動。
2008年〜 インフラ・システム輸出の制度設計を手掛ける。
2012年〜 東日本大震災を契機に検討が本格化した電力システム改革の制度設計を担当
2015年〜 経済産業大臣秘書官
2016年10月〜現職(新エネルギー課長)

〔講演概要〕
・日本ではFIT制度導入以降、急速に再エネの導入が進んでいるものの、発電コストは国際水準と比較して依然高い状況になっている。
・また、系統制約の顕在化や調整力の確保、事業環境の整備など、新たな政策課題も浮き彫りになってきている。
・再生可能エネルギーが置かれた現状として現状再エネの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方について、エネルギー基本計画での検討状況も含めた再エネの現状と今後の課題について講演をいただいた。
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〔講演概要〕
1.再生可能エネルギーが置かれた現状
・世界での再エネの導入状況:世界では2012年頃までは再エネは発電量が変動しかも価格が高いことから、扱いに疑問が持たれていた。 最近は変わってきて、再エネは当たり前になってきた。
(i)2015年には再エネの発電設備容量が石炭火力を超えた。
(ii)2016年には太陽光の新規導入量が石炭火力の純増分を超えた。
(iii)2008年には太陽光発電が約40円/kWhであったが、現在世界での太陽光・風力発電の価格は約10円/kWhになっている。洋上風力も、2016年には落札額が10円/kWhを切る事例や、ドイツでは市場価格(補助金ゼロ)の事例が生じている。
・日本での再エネの導入状況:日本では再エネの割合が原発の多いフランスと比較しても小さい、2030年度のエネルギーミックスでは、ゼロエミ44%、火力発電
56%である。 
・エネルギーミックス実現への道のり:既に、特に太陽光において多くの認定が出ているが、いろいろな障害があり、現在認定されているものすべてが稼働する保証はなく、2030年度のエネルギーミックス実現に向けて、引き続き政策を打っていかなければならない。
・太陽光発電:(i)設置に関する地元とのトラブル、(ii)小規模の発電所の適切なメンテナンスや再投資をどう確保するか等の問題がある。
・エネルギーミックスと国民負担:2030年度の再エネの目標は22〜24%であるが、それを達成するためにはFIT買取費用総額は4兆円となる見込み。今後、再エネ比率プラス9%(15%→24%)を、約1兆円の賦課金で実現しなければならない。

2.エネルギー基本計画での検討
・2030年の議論は総合エネルギー調査会(基本政策分科会)、2050年の論議は情勢懇談会でやっている。
・2030年の目標では再エネを「主力電源とする」ことを位置付ける。主力電源とすることでの課題は、(i)発電コストの低減、(ii)事業環境の整備,(iii)系統制約の克服、(iv)調整力の確保。

・太陽光発電:2019年にFIT買取期間が終了する住宅用太陽光発電の案件が生じ始める、影響は150万kWに及ぶ。太陽光パネルは25-30年の耐久性があるので、自立型として継続できないか?
・風力発電:陸上での建設は限界がある、洋上風力の立地制約を解消することが必要
・地熱発電: 採掘リスクや地元との調整などの課題あり。
・中小水力発電: 新規が少ない
・バイオマス発電: 期待大、国内材と林業をペアで考えられないか?

3.今後の課題
再エネ政策の検討の状況
・太陽光:入札制の導入。過剰な流通構造などでコスト高になっていることの解消。
・洋上風力:立地制約の解消 海は国有財産→1人が長期間占有はできない(都道府県の占用許可は3-5年と短期)→海域を指定し、長期占用を可能とする制度を創設。
・バイオマス:今年度より入札制導入 木質系入札量180MW、液体燃料系20MW
液体燃料はパーム油に限定。
・非化石価値取引市場の創設
・太陽光パネル廃棄問題
・系統制約への対応:既存系統の最大限の活用のため、従来の運用を見直し。(日本版コネクト&マネージ)
・グリッド・コード(系統連系技術要件)の整備:今後は、再エネ自身も調整力の機能を持つことが重要。

以上
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