2018年06月26日

EVFセミナー報告:クルマを捨ててこそ地方は甦る

演題:クルマを捨ててこそ地方は甦る〜自立・分散・協調型国土の形成に向けて〜
講師:藤井 聡氏 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、内閣官房参与 
日時:2018年6月26日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
講師略歴:
京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長、ならびに2012年より安倍内閣 内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。
1968年奈良県生駒市生。 京都大学卒業後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。 専門は都市計画、国土計画、経済政策等の公共政策論のための実践的人文社会科学研究。
著書「プライマリーバランス亡国論」「国民所得を80万円増やす経済政策」「国土学」「超インフラ論」「凡庸という悪魔」「大阪都構想が日本を破壊する」「大衆社会の処方箋」「巨大地震Xデー」 等多数。
朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、文化放送「おはよう寺ちゃん」「週刊ラジオ表現者」に解説者としてレギュラー出演中。 表現者クライテリオン編集長。
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講演概要:
冒頭、講師がその日に携わった仕事にどんなことがあったか順次紹介があり、聴衆は講師が関心を持たれているワールドに引き込まれた。今年は5年に一度の国土強靭化計画策定の年であること、南海トラフの大地震が来ると1400兆円の被害を被るとの予想がある一方、予め30兆円の対策が打てれば500兆円の被害縮小の効果がある説が存在するなど、大まかな問題提起がなされた。
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後半は、昨秋発売されてベストセラーになっているPHP新書の「クルマを捨ててこそ地方は甦る」の本題に入った。刺激的な言葉を使っているが主旨は「クルマ利用はほどほどに!」であり、講師の研究の本源である“コミュニティ・マネジメント”を論じたものであるとの由。クルマ社会の進展によって大型のショッピングモールが郊外に出来て都市が郊外化し、それにつれて公共交通機関が衰退、クルマによる移動で運動不足となって住民の健康が劣化し、一方地元商店街で買い物をしないために地域のマネーが流出、コミュニティの劣化、医療費等の行政支出の拡大、ついには地域の魅力が劣化し、行政サービスが劣化して地方都市が消滅していく。
どうすれば都市に再び人を呼び集められるか、それがこのセミナーの最大のテーマである。講師は都市の中心部からクルマを締め出し、空間を作れば人の賑わいは呼び戻せるとして、京都・四条通の歩道拡大工事の効果、富山市の駅前の事例を具体的にわかりやすく説明された。講師の提言は、日本全国にもっともっと新幹線網、高速道路網を整備する一方、地方都市の中心部からは車を締め出して人々が集まる工夫をすべきとのことであった。

なお、コミュニティ・マネジメントのついでにお話しされた際、織田信長が天下人になれた理由についてのお話が興味深かった。信長は土木工事でインフラを整備し、農地をしっかりと築き上げて石高を増やし、道路の機能を、敵の侵入から守ることよりも利便性を高めて生産力を増強したことにより強大になったのだとの由。講師から特別に提供いただいた「歴史の謎はインフラで解ける」の資料を末尾に掲載します。
(文責:佐藤孝靖)
講演資料:
配布資料 :クルマ利用はほどほどに!
講師からの特別提供資料 :歴史の謎はインフラで解ける
posted by EVF セミナー at 18:00| セミナー紹介