2018年12月20日

EVFセミナー:リチウムイオン電池の再利用への取り組み

演 題 :「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
実施日:2018年12月20日(木)
講師: フォーアールエナジー株式会社代表取締役社長 牧野英治様
演題:「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室 
〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル   
1.講師略歴:
講師は1983年に日産自動車に入社し、開発部門で技術渉外、技術企画等を担当、1994年〜98年、2004年〜07年の2回に亘り米国駐在を経験した。その後経営企画室、電気自動車リーフのプロジェクトメンバー、等々を歴任し、2014年4月から現職を務めている。

2.講演概要:
まず冒頭に電気自動車(EV)導入の社会的必然性と、その実現方策について以下のような説明があった。
・IPCCの第4次報告に基づくと2050年までにCO2排出量を2000年比で90%の削減が必要。
・この実現のためには走行中にCO2排出ゼロのEVを広く普及させることが必要。
・使用済み電池の活用まで計算に入れたEVの生涯コストを考えると、現行のガソリン車の生涯コストとほぼ同等になり、EVの普及が進む。
・このためには使用済み電池の活用が必須となる。
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次にフォーアールエナジー社の概要について以下のような説明があった。
フォーアールエナジー社は、日産自動車と住友商事の共同出資により2010年9月に設立された。同社はEVで使用済みとなったリチウムイオンバッテリーを2次利用し、エネルギー貯蔵の解決策として「4R」事業と銘打った事業を手掛ける。「4R」は社名のフォーアールの語源にもなっている。EVで使用済みのリチウムイオンバッテリーは、まだ高い残存容量を持つためこの有効利用を図る。「4R」とは、次のような事業を指している。
・再利用(Reuse) : 約60%〜80%と高い残存容量を持つバッテリーの2次利用を行なう。
・再販売(Resell): バッテリーを様々な用途のために再販売する。
・再製品化(Refabricate): バッテリーパックを分解した後、顧客のニーズに合うよう再度パッケージングを行なう。
・リサイクル(Recycle): 原材料を回収するために使用済みバッテリーのリサイクルを行なう。

4Rビジネスはゼロエミッション車の普及のみならず、再生可能エネルギー分野でさらなるCO2削減を行ない低炭素社会の実現に貢献する。電池の残存容量に合わせて使用対象を使い分ける
・性能が優れた電池   : EVの交換用電池、他
・性能が中程度の電池  : フォークリフト、ゴルフカート、他
・性能が少し低下した電池: 定置型蓄電池・電源、工場電源バックアップ設備、他
 
日産のリチウムイオン電池は、新品製造の段階でセルごとに詳細な情報をすべて記録保存してあり、万一の事故発生時に原因を特定できるようなトレーサビリティーが確保されている。4Rエナジーでの使用済み電池製品の製造過程についても全く同様な情報を記録保存してあり、日産の新品製造時の記録とも連結しているため、2次利用での不具合発生時にも原因を新品時までさかのぼって特定できる仕組みとなっている。

最後に同社が今年3月に建設した福島県浪江町の新事業所の機能について以下の紹介があった。
使用済み電池の2次利用ビジネスに関する、
(1) グローバル開発センター機能
    ・使用済み電池を使った製品の開発と、グローバル展開
    ・製造技術の開発と、グローバル展開
(2) 国内向け製品製造機能
   ・使用済み電池を使った国内向け製品の製造

今後太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度)が切れて来るので、売電の代わりに自家使用するための蓄電地としての需要増が期待されること、またEV用電池の高容量化を受けて充電速度の高速化技術を開発中、との説明があった。
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3.質疑応答:
講演終了後、聴講者と講師の間で活発な質疑応答があった。Q&Aの例は以下の通り。
Q.街路灯用電源として現在「ソーラーパネル+鉛蓄電池」を使っている。この鉛蓄電池を中古リチウム電池に置き替えたいが販売して貰えるか?  
A.相談に乗ります。
Q.リチウムイオン電池はどこの部分が劣化していてどう修理しているのか?
   A.電池の中身はいじらない。残存性能を正確に把握し再利用の仕方を判断する。
Q.フォーアールエナジー社の業務内容はいずれ中国にコピーされるだろうが、その先の収益策は?
   A.使用済み電池がこれから急増するのでこれを使った商品で収益を上げていく。
Q.非常用電源としての利用可否は?
   A.現在商品を開発中なので期待してほしい。
Q.他社車の電池でのリユースはできるのか?
    A.検討を進めている。
Q.中古バッテリーの価格のレベルは?
    A.同等性能の新品バッテリーに比較して1/2〜1/3の価格レベル。
Q.中古電池の回収の仕組みは?
    A.電池は中古といえども取り扱いを誤ると非常に危険なので、回収業者への資格制度、認証制度などの制度整備を政府に働きかけている。
Q.モンゴルの移動住宅「ゲル」などへの適用は?
   A.現在は未検討だが$700程度の価格なら事業化できるかもしれない。
以上
(文責:小栗武治)
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