2019年02月21日

EVF総会記念セミナー報告:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

演 題 :クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

実施日:2019年2月21日(木)
講師:廣田壽男氏 早稲田大学環境総合研究センター客員教授 工学博士
開催場所:JICA地球広場 セミナールーム202AB 
〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)   
1.講師略歴:
1972年、北海道大学工学部原子工学科(学部)卒業
同年、  日産自動車入社。中央研究所にて、電気自動車、燃料電池の研究開発
水素エンジン、メタノールエンジンの研究開発
1990年、エンジン開発部門にて生産車エンジンの開発 
1994年、米国駐在。パワートレーン開発、EV実用性試験
1998年、総合研究所にて、燃料電池システムの研究開発
1999年、工学博士(機械工学)
2001年、米国駐在。コネチカット州に燃料電池研究室開設。燃料電池車を開発
2005年、技術企画部。電動車両など環境・エネルギー研究開発戦略
2014年、日産自動車退職
2008年、早稲田大学。先進電動バス、EVバッテリ活用V2Hの研究
2011年、リチウムイオンバッテリの性能および耐久性に関する研究
2015年、燃料電池ゴミ収集車の研究
2018年、国際エネルギー機関(IEA) 太陽光発電 TASK17
     運輸部門における太陽光発電の活用に関する研究
現在に至る
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2.講演まとめ:
クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?というテーマにつき以下の3つの視点からご講演をいただいた。
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り、静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は1.5万基に達する
(3)将来展望
−EVのクルマとしての魅力により置き換わる。しかし時間がかかる。
−現在のEVはまだまだ重すぎるため、大幅な軽量化、コスト低減が必要
−太陽光エネルギーでどこまでも走ることができるクルマを作りたい
−PV(Photovoltaic:太陽光発電)セルの変換効率向上とモジュールコスト低減によりPV搭載EVの実用化を近づける
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3.講演概要
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−最大の市場は中国で米国、欧州(フランス、ノルウエーなど)が続く
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
−欧州では2030年〜2040年に内燃機関エンジン車の販売を禁止する動き
−中国では新エネ車を2019年に10%義務付け
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り:モーターは低速トルク大で変速機なしでクルマの要求トルクを実現できるため、変速ロスが無い。
−モーターの応答性の良さを生かして、コーナリング時のトルク制御により操縦安定性を改善することが可能
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−市街地のゴーストップの多い走行で運転が容易。上り下りやカーブの多い山岳走行でも直感的にコントロールできる
−回生ブレーキのエネルギー回生量を増大できる
−静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−長野市EVバス実証実験では「静かにお話ができる」「音楽の聞こえ方が違う」「オイルや排気ガスのにおいがしない」「長く乗っても車酔いしない」などの声が聞かれた
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−最近ではセル容量の大きい三元系(Ni,Co,Mn)やニッケルリッチ三元系が増加している
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は15,000基に達する
−現在の急速充電は50kWだが、150kW、350kWへの拡大が検討されている
−充電器へのバッテリー内臓により大容量電源化無しでも超急速充電が可能となる
−仮に日本国内の保有乗用車7,000万台すべてがEV化されたとするとEVによる消費電力は全体の11%に相当する

(3)将来展望
−クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
−置き換わる。しかし時間がかかる。
−EVのクルマとしての魅力が置き換えを促進する
−ただし、大幅な軽量化、コスト低減がないと急速には普及しない
−Chevrolet VOLTもNissan Leafも1,600kg以上、1,000kg位の車が理想的。
−トヨタ、東工大が全個体電池を開発。実用化が待たれる。
−In-Wheel Motor、SiC半導体などの技術革新がEVの性能向上を促進する
−太陽光エネルギーでどこまでも走るクルマを創りたい
−PVセルの変換効率は22%(1977年)⇒46%(2015年)と進化している
−コストは$100/W(1976年)⇒$0.55W(2017年)まで低減された
−Nissan LEAFに1kWのPV搭載で試算すると、27回/年必要だった充電が5回/年に削減可能となり、消費電力量は732kWh⇒202kWhに低減される
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4.質疑応答
(1)Q1:運行費用はEVとエンジン車でどの程度違うのか?
−ガソリン車が約¥7/km、EVが約¥2.5/km(昼間電力)
(2)Q2:中国の技術レベルはどの程度なのか
−数年前は大したことは無かったが、ここ数年見ているととても高い。開発投資の投入量が莫大。日本の優位性は楽観できない。
(3)Q3:トラック、バスのEV化はどうなっているのか
−欧州、中国を中心に積極的に開発されている。日本は遅れている。
−EVバスは世界で40万台が走っている
−温暖化に対する国民に意識の差が原因か
(4)Q4:日産がEVシフトした理由は何か
−トヨタの後追いでHEVをやるよりはEVシフトしたほうが、勝算があった
(5)Q5:中古バッテリーよりも新品バッテリーの方が安くなるのでは
−新品は額面では¥10,000/kWhとなっているが現実には大量発注でないとこの値段では買えない。量が多くない場合は中古バッテリーは十分価値が有る。
以上 

(文責:深井吉男)

講演資料:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
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