2019年08月22日

EVFセミナー報告:グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来展望

演 題 :グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来

実施日:2019年8月22日(木)
講師:圓山 博嗣 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部長
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
1979年3月 早稲田大学 機械工学 学士課程修了
(職歴)
1979年4月 日産自動車株式会社 入社
1993年1月 同 エンジン実験課 課長
1995年7月 米国 日産リサーチ&デベロップメント会社 出向管理職
1999年7月 日産工機株式会社 出向管理職
2001年4月 日産自動車パワートレイン実験部 主管
2005年4月 同 パワートレイン実験部 部長
2008年4月 同 パワートレイン品質監査室 室長
2009年4月 同 環境・安全技術渉外部 担当部長
2015年4月 同 グローバル技術渉外部(改称) 担当部長
2016年7月 公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団 調査役
2017年4月 同 現職
(外部組織)
2009年7月〜2016年6月 日本自動車工業会 環境委員会温暖化対策検討会 主査
2.講演まとめ
講師は日産自動車で主にパワートレイン開発を担当されていましたが、2016年からは交通エコロジー・モビリティ財団(略称:エコモ財団)に転職されて多くの交通環境対策事業を推進中です。
セミナーは、エコモ財団の紹介から始まり、高齢化する地域社会において公共交通の“衰退”による移動困難の高まりに対処する打開策の一つとして、グリーンスローモビリティ(GSM)の可能性に着目し、その普及推進に向けた調査・研究のご説明をいただきました。GSMとは電動車両で、スピードは20Km/h未満、定員4人以上の車のことで、低床で屋根が高く、手すりはあるがドアはなく、座高が高いため高齢者が乗降しやすいという利便性があります。目標のGSMは自家用車よりも公共交通の手段に重きを置いて開発されています。
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3.講演概要
(1)交通と環境の歴史
・1972年 ローマクラブ
・1992年 リオ 地球サミット  「アジェンダ21」・・・気候変動条約と生物多様性条約
・1995年、1996年 OECD  「ESTの定義・基準」〜健康と生態系に害がなく、基本的に再エネを利用する輸送方法
・1997年 欧州 「EPOMM」 「ECOMM」 European Platform/Conference of Mobility Management
・2006年 日本 「JCOMM」・・・一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議

(2)グリーンスローモビリティの歴史
・2014年 石川県・輪島商工会議所が初の公道での無償運送を開始。
・2016年 「電動小型低速車の活用推進委員会」を設置し、事業開始。
・2018年 輪島・松江・横浜等、6地域で実証実験および試走
・2019年 環境省と国交省が連携して車両購入費半額補助事業を開始、対象車両にヤマハ・日立・シンクトゥギャザを認定。

(3)主要な使用シナリオ
1)ニュータウン :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
2)地方都市の中心市街地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
3)地方都市郊外、中山間地 :シニアや主婦等免許保有者が自家用に運転するため。
4) 同 上 :だれでも利用できる既存のバス、タクシーの補完的公共交通として。
5)中山間地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。

(4)豊島区が2019年にグリーンスローモビリティを導入
 池袋は“特定都市緊急整備地域”として指定されて再開発が進んでいます。四つの公園を周遊する新しい乗り物を導入しようということで、e-COMIO(立ち席を含めて27人乗りのシンクドゥギャザのマイクロバス)が今年中に運行される予定との由。デザインはJR九州の「ななつ星」などで有名な水戸岡鋭治氏によるもので、実現したら試乗してみてはいかが、ということでセミナーが締めくくられました。
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4.質疑応答
1)Q1:実証実験・試走は1か所何台の車で行っていますか?
−1か所1台だ。期間は3か月とか1週間が多い。
2)Q2:勝浦あたりでゴルフカートのガレージ付き別荘を見たことがあるが‥。
−私道ならナンバープレートなしで走れるが、公道ではナンバープレートも車検を受ける必要がある。
3)Q3:GSM専用の走行レーンを設けられないものか。
−GSMは幹線道路を走行することは想定していない。
4)Q4:GSMを早く購入したいと思ってきたが、価格が最低でも250万円〜300万円もかかると聞いてがっかりしている。
−今は大量生産の自動車に比べれば少量で安くはないが、今後の生産台数、販売台数いかんでは安くなっていくと思われる。

(文責:佐藤孝靖)

講演資料:グリーンスローモビリティの価値と将来展望
posted by EVF セミナー at 18:00| セミナー紹介