2021年12月23日

EVFセミナー報告:COP26が示した国際潮流を読む

演題:「COP26が示した国際潮流を読む」 〜脱炭素の『実施』が求められる時代へ〜
講師:山岸 尚之様

WWFジャパン(公益財団法人 世界保護基金ジャパン) 気候エネルギー・海洋水産室長
Web視聴開始日:2021年12月23日
聴講者数:42名

講師紹介

・1997年に立命館大学国際関係学部に入学。同年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで、気候変動問題をめぐる国際政治に関心をもつようになる。
・2001年に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年に同修士号を取得。
・卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わる他、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。
・2020年より気候エネルギー・海洋水産室長(現職)。

講演概要

今回のCOP26で低炭素社会からエネルギーの大転換・脱炭素社会の「実施」が求められる時代になってきた。
2021年10月31日から英北部グラスゴーで開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)は、会期を1日延長し11月13日に、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。
焦点の一つだった石炭火力発電の利用については、当初の文書案の「段階的廃止」から中印など新興国の反発により、「段階的な削減」へ表現を弱めた。しかし、産業革命前からの気温上昇について1.5℃以内に抑える努力を追求する決意が、特に強調される形で明記された。
この話題になった「COP26」の現場の雰囲気や生の声、COP26での成果、合意を目指したパリ協定についての解説、世界的に強まってきた「脱炭素」路線について、今後の日本の課題、COP26以降のビジネス潮流などについて講演をいただいた。
最後に、脱炭素は何のために実施するかについて示唆に富むお話があった。

1. 話題になった「COP26」とは

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1.1 26回目の「締約国会議」 
1)開催期間と場所
・開催期間 2021年10月31日から11月13日
・開催場所 イギリス(スコットランド)・グラスゴー
2)約190カ国が参加
・コロナ禍での強行開催であったが、約4万人の参加者でパリ協定が選択されたcop21での約3万人強を超える過去最多の参加者であった。
・参加者は毎朝、ラテラルフローテスト(高速、低コストの新型コロナ検査)でテストを行い、ウエブサイト上で結果を報告してから会議場へ入場した。
・会期始まりの2日間、約120カ国の首脳が参加したワールドリーターズ・サミットが開催された。日本からは衆議員選挙直後であったが岸田首相、アメリカからはバイデン大統領が参加した。
・オンライとのハイブリッドで進行され、会場に直接いたとしても、実際の交渉が行われている会議室へのアクセスは限定的であった。
また、オンラインのプラットフォームを通じて傍聴する機会も多かった。このため、透明性がないとのかなりの混乱があった。「最も排他的なCOPダ!」という批判も一部にあった。
3)パリ協定の下で、温暖化(気候変動)対策の国際協力を話し合う
・最終日近辺は真夜中まで交渉は続けられていた。
COPが延期するのはいつものことであるが、会期を延長して決着した。
4)COP26の主な成果
(1)世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える
・パリ協定での気温上昇に関する世界全体の目標である2℃未満から、1.5℃を目標として公式文書に明記された。
一年後までに、2030年度目標を再度見直すということに関しては、各国に対して必要に応じてという文言が入った。
・温暖化の最大要因として石炭火力削減方針が初めてCOP決定に明記された。
石炭火力の減少、化石燃料補助金廃止への言及などに加え、パリ協定の詳細なルールブック(実施指針)がすべて合意されてパリ協定が完成した。
(2)市場メカニズムに関するルールの完成
・他国での削減をクレジットとして購入し、自国での削減として使える仕組み。
・日本が実施しているJCM(2国間クレジット制度)のような「2国間型」と「国連主導型」の2種類がある。実際の運用化にはまだ少し時間はかかる。
・各国の排出量や取り組み状況を報告する仕組みの完成。
(3)透明性の枠組み
・全締約国に共通の項目・表で排出量の報告を行うこと、また比較可能な表形式で自国が決定する貢献(NDC)達成に向けた取り組みを行うことが決定された。
(4)NDC実施の共通の時間
・全締約国に対して、2025年に2035年目標、2030年に2040年目標を通報することを奨励する決定が採択された。
(5)損失と被害に関する「対話」の合意
・気候変動に伴う被害が、適応対策で対応できる範囲を超えて発生した場合の救済を行うための仕組みについて、話し合いを継続していくことが合意された。
(6)適応では
・気候変動の影響に適応する世界全体の議題を設定して、目標の議論を深める今後2年間の作業計画を開始することが決まった。
(7)気候資金の議論では
・1.5℃を目指すとなると途上国も排出量を減らしていかなくてはならない。そのためには先進国からの十分な支援が必要となる。
先進国やその他の国は、2020年に向けて、気候資金「1000億ドル」達成のため、さらなる努力を続けることになった。
また、2025年以降の資金数値目標に対する議論を開始し、本件に関する協議体を立ち上げ2022年から2024年にかけて議論することになった。

2. パリ協定について

2.1 パリ協定とは ?
・京都議定書の跡を継ぐ,2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み
・気候変動(地球温暖化)に対して、従来の先進国・途上国という枠を超えて、どのように国際協力して対応するかを決めた国際条約

2.2 パリ協定の中身
(1)全体としての目的は
地球の平均気温の上昇(温暖化)を、産業革命前と比較して、2℃より充分低く、できれば1.5℃に抑えること。
(2)長期目標として
今世紀後半に、世界全体の温室効果ガス排出量を、生態系が吸収できる範囲に収めるという目標が掲げられた。これは、人間活動による温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしていく目標である。
(3)年ごとの見直し
各国はすでに国連に提出している2025年/2030年に向けての排出削減量を含め、2020年以降、5年ごとの目標を見直し、提出していくことになったこと。
(4)より高い目標の設定 
5年ごとの目標の提出の際には、原則として、各国は、それまでの目標よりも高い目標を掲げること。
(6)資金支援
支援を必要とする国への資金支援については、先進国が原則的に先導しつつも、途上国も
他の途上国に対して自主的に行っていくこと。
(7)損失と被害への救済
気候変動の影響に、適応しきれずに実際、損失と被害が発生してしまった国々への救済を行うための国際的仕組みを整えていくこと。
(8)検証の仕組み
各国の削減目標に向けた取り組み、また、他国への支援について、定期的に計測・報告し、かつ国際的な検証をしていくための仕組みがつくられたこと。
これは、実質的に各国の排出削減の取り組みの遵守を促す仕掛けになる。

2.3 パリ協定後の流れ
・2016年 パリ協定の発効
・2017年 ルールブック策定に向けた交渉
・2018年 パリ協定の「実施指針(ルールブック)」策定
・2020年 パリ協定の実施へ
・世界全体と国別の2つのレベルで強化が検討されることになる。
・ほとんどの国は2030年目標を持っている。(一部2025年目標)

3. 世界的に強まってきた「脱炭素」路線

・2018年10月 IPCC1.5℃特別報告書
5℃目標の達成のためには、2050年ゼロを目指すことが必要であるとの知見
・2019年12月 欧州グリーンディール発表
EUの既存2030年目標(90年比40%削減)を引き上げるなどを含むパッケージ提案
・2019年12月 欧州連合理事会が2050年カーボン・ニュートラルに合意
・EUの政策決定機関である欧州連合理事会が、カーボン・ニュートラルについて合意
・2020年9月 中国が2060年までにカーボン・ニュートラルを発表
国連総会の一般討論におけるビデオ演説で、習近平首席が「我々はCO2排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボン・ニュートラルを目指す」と宣言
・2020年10月 日本・菅首相が2050年までにカーボン・ニュートラルを宣言
所信表明演説において「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボン・ニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言」
・2021年1月 アメリカが2050年ネットゼロ方針
大統領令の中で、ネットゼロ排出量を、経済全体で遅くとも2050年までに達成する方向に、アメリカを向かわせることを打ちだした。
・2021年2月 アメリカがパリ協定に復帰した。2016年の離脱方針から転換

4.日本の課題

4.1 2030年目標の改定
(1)日本は従来の目標26%削減を2030年46%削減(さらに50%の高みを目指す)
・。2050年ゼロを実現するためには、今後9年の行動が最も重要となる。
(2)菅前首相の所信表明演説では
・積極的に温暖化対策を行うことが、経済成長の制約ではなく、産業構造や経済社会の変革をたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要である。鍵となるのは、次世代太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションである。
・省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立する。長年続けてきた石炭火力発電に政策を抜本的に転換する。
(3)日本は、目標は良くなってきたが、実施に課題
・排出量削減の「目標」については、「ほぼ十分」な水準まで評価があがってきているが、「政策」については、石炭火力の継続的活用など以前として「不十分」なまま。

4.2 2030年に向けた日本のエネルギー基本計画
(1)エネルギー需要
2013→2030 経済成長1.4%/年 人口0.6%減 旅客輸送量2%減を前提として
・2013年 363百万kl 内訳 電力91百万kl 熱燃料等272百万kl
・2030年 280百万kl 内訳 電力78百万kl 熱燃料等202百万kl
・省エネの野心的な深堀りで62百万kl程度削減すると計画している。
(2)一次エネルギー供給
2015年策定の2030年数値と今年度改定の2030年主な数値を比較
・2015年策定の2030年数値 480百万kのうち 再エネ・原子力の自給119百万kl
・今年度改定の2030年数値 430百万klのうち 再エネ・原子力の自給129百万kl
・なお水素・アンモニアは全体の1%弱の4百万kl程度である。
・石炭は122百万klから82百万klと約30%程度削減した数値を計上している。
(3)各電源を電力システムに受け入れる場合
・天候・時間帯による太陽光・風力の発電量変動等を吸収する際は、原則、LNG→石炭→揚水→太陽光・風力の順に出力調整することになる。
・石炭火力について、2030年の新設は高効率を想定しているため、他の効率の悪い石炭を停止する断面が増え、高効率の追加分は高い設備利用率で動かすことになる。・
・一方、調整力が高くない石炭の追加で、瞬発力が高いが費用も高いLNG火力を大きく伸び縮みさせて調整局面が増える。

5. COP26以降のビジネス潮流 

5.1 企業の動き
(1)企業の気候変動対策の大きな2つの流れとしてバリューチェーン全体での削減と長期ではゼロを目指す。
(2)主要10カ国における企業目標のタイムフレーム別の数は日本企業の数も多いが、新興国・途上国企業も多くなってきいている。
(3)代表的な企業の事例
・2010年にソニーは2050年までに環境負荷ゼロを目指すビジョンを発表している。
・2019年にマイクロソフトは2030までにはカーボンネガティブを目指すことを宣言した。
・石油大手BPが、2050年までにネットゼロ企業になるという戦略を発表した。
(4)ネットゼロを目指す企業
・10年以上前から存在するが、過去2〜3年で劇的に増えている。
・世界の企業の中で、ネットゼロを掲げる企業が2019年から2020年に2倍になっている。
(5) 企業に求められる「1.5℃と整合した」について、SBTi(パリ協定に沿った目標策定のグローバルスタンダード)の承認を世界全体では694社、日本では67社が受けている。
・日本では現在までに承認を受けた目標を持つ140社のうち、37社は中小企業による取得である。
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5.2 COP26で様々な宣言があった。
・インドは2070年、タイは2065年、ベトナムは2050年までにネットゼロ目標を発表した。
・様々な有志連合により2030年までに森林破壊をゼロにする宣言を発表した。
・石炭+αに関する宣言では、46カ国参加の国内石炭火力廃止や海外石炭支援停止、脱石炭連盟への参加国48カ国、また、ガス、石油からの脱却を訴える連盟が発足した。
・GFANZ(気候変動に焦点を合わせた金融企業連合体)に日本企業も多数参加
・IFRS財団が、国際サステナビリティ基準審議会を設立した。サステナビリティ開示基準の国際標準が設定されていく。

5.3 日本国内の動き
・大手企業ではサプライチェーンとも協業し、環境負荷の低減をさせる。
・派手さはないが、きわめて重要な住宅・建築分野では国交省・経産省・環境省による住宅・建築物の省エネに関するロードマップマップでは、2025年までに省エネ基準適合義務化、
2030年に新築される住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていること。
・これらを提供できる住宅供給事業者・建築事業者が生き残る。
・脱炭素の波は金融に、そして、地域にも来ている。サステナビリティ・リンク・ローンの広がりがある。
・環境省・経産省も、排出量を算定することに対して、手厚い情報提供および企業事例の提供を行っている。
・日本のCOPの流れは社会の津々浦浦まできている。

6.まとめに代えて 何のためにやるのか

6.1 気候変動によるリスクに曝される子供たち
・UNICFFは、子供たちの気候変動に関するリスク、子供たちの脆弱性について、独自の指標(CCRI)を作成した。
・世界の22億人の子供の約半数にあたる約10億人の子供たちが、「極めてリスクが高い」と分類された33カ国のいずれかで暮らしていると指摘している。

6.2 ユースたちの声
・今回COPでも前回の会議から引きつづき大きな流れとして多くの若者が集まり、デモ行進が行われた。
・交渉中でも、このような若者たちの声に言及し、本会合で1.5℃が目標とされなければ、子供や孫たちの世代に対して取り返しがつかなくなるという発言が多く聞かれた。この問題を機に、多くの若者が声を上げていた。
・これから最も被害を受ける将来を支える若い人の声を国際社会がどう受け止めるか、それにどう応えるかが、今の国際社会の流れである。

<質疑応答>

Q:COP26への我が国からの参加者は従来と比べてどうだったでしょうか
A:政府代表者はいつも通りでしたが、企業系は若干少なかった。経団連の代表は送らないとしていましたし、企業の方は帰国しても2週間の隔離で動けない支障もありました。行く直前の現地での対策やホテル代が1泊5万円で1週間通して予約しななければ取れない状況などでハードルが高かった。

Q:日本は、目標は良くなってきたが、実施に課題があると世界から見られているが、政策は方策なので、問題ないと考えますが、世界は本当に目標を達成できるとみているのでしょうか。
A:目標を立ててはいるが、石炭火力の対応とか、電気自動車も進行していない、建物の断熱強化も速やかに実施するのか、世界は懐疑的に見ている。
Q:宣言したことで世界から見られていくということでしょうか。
A:その通りです。

Q:日本では、効率の悪い石炭火力は廃止し、高効率の石炭火力は稼働していくとしている。また、高効率石炭火力は途上国に設置していくとしている。原子力に頼れない中、電力の安定供給のためエネルギー政策を展開している。各国は具体的にどう進めているかメディアからの情報が入ってこないので教示してほしい。
A:メルケル首相の政策で、産炭国であるドイツでは、石炭は主要エネルギー源であり、今後、段階的に廃止し、2038年(今後、2035年への前倒しを検討予定)までには、全廃する方針である。石炭火力発電の完全廃止に向けた、段階的な廃止計画・代償措置など包括的な枠組みの脱炭素法の制定で発電事業者への廃止費用を補償、産炭地域への財政支援等が行われている。欧州ではこれまで20年以上かけ建築物の断熱強化を推進している。また、EVやPHEVに強制導入が行われているが、日本では強制導入はないため、EVの導入に大きな遅れがある。

Q:気候変動問題=脱炭素問題ですか。当初COPは生物多様性の損失問題から始まったように思いますが、脱炭素問題よりも地球の環境問題の根本原因は温暖化ではなく世界人口の異常の増加が地球のバランスの取れたシステムに急激な変化をもたらし森林伐採などの広範囲な環境破壊をさせているのではないでしょうか。
A:確かに人口増加は環境負荷を増大させますが、それだけが原因ではありません。
森林破壊は中南米や東南アジア、アフリカで発生しています。その原因は日本も消費に加担していますが、中国での大量消費があります。COPには今回のCOP26国連気候変動枠組条約締約国会議とCOP15の国連生物多様性条約締約国会議があり、この会議はコロナ禍の影響で2部構成になり、1部は今年10月にオンラインで、2部は2022年4月に中国の昆明で開催する予定です。

Q:12月14日のニュースでEVシフトに後ろ向き気だったトヨタの社長が、2030年にはEVを350万台生産すると発表表しましたがこの真意は何でしょうか。
A:トヨタがEVに力を入れるとのことですが、販売数量約1000万台のうちの350万台ですから、世界のトヨタがどうするのか期待がかかっています。世界の自動車業界はEVに向かっています。COP26でのゼロエミッションにはトヨタ、ドイツ、アメリカの主要自動車会社が入っていなかった。

Q:日本では石炭火力でアンモニアを石炭と混焼し、2040年にはアンモニア専焼火力にし、2050年にはネットゼロ火力にする方向で動いていますがどう思われますか。
A:水素、アンモニア否定しませんが、鉄の製造に水素還元製鉄などは必要だと思います。しかし、2040年まで石炭を燃やし続けるのかというと賛同できません。

Q:気候変動によるリスクに曝される子供たちというお話がありましたが、若者たちに石炭火力をどうすればよいか決着をつけさせれば良いと思いますが、WWFジャパンは若者たちとかかわる活動をしていますか。
A:我々の組織はどちらかといえば若者にあまりアピールできていない団体です。でも、いろいろなイベントで若者たちと話し合っています。COP26では日本主催のジャパン・パブリオンでイギリスの若者とCOP26の内容について何が大切かについて話し合いました。また、最近、高校生にエネルギー問題についてのワークショップを開催しました。

Q:ポール・ホーケン氏による「Drawdown The Most Conprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming」
(日本名:地球温暖化を逆転させるために提案された最も包括的な計画)が、ニューヨークタイムズ社から出され、今年その日本語訳が書店に並ぶようになりました。WWFではこの本並びにホーケン氏の活動をどのように評価していますか。
A:解決策のリストを整備し、可視化するという活動自体は意義があと思いますが、それを世界的にどう実行していくかが課題なので、WWFとして特別にこの活動を支持しているわけではありません。

Q:ホーケン氏は「一般の人が何ができるか、そしてそれがどのような影響を与えるかについての検討結果を書いた本である」と言っています。事実、80種類の二酸化炭素の削減効果を取り上げ各々について削減量(トン)を算出しています。例えば廃棄食料を減らすことにより2050年までに705億トンの二酸化炭素を減らすことが出来ると試算しています。これをWWFではどのように評価していますか。
A:個別の施策の正確さを検討することをしていないので、その点は判断できませんが、一般論として、食品ロスを減らすことによる削減は大事だと考えています。

Q:WWF では民間レベルでのカーボン・ニュートラル活動をどのようにとらえていますか。私は「ゴミの分別回収」がいつの間にか当たり前になったように、民間レベルでの、全国民の意識改革が必要だと思っています。山岸さんのお考えとそのために私たちが取るべき行動についてご教授願います。
A:それぞれの人々が取り組むべきことは確かにあります。その点では、下記文献が参考になります。
https://www.iges.or.jp/en/pub/15-lifestyles/ja
ただ、私としては、それだけではなく、先の衆院選や、今年の参院選で、有権者としての投票行動にしっかり気候変動対策意識を反映させること、商品や企業の選択において気候変動対策を考慮することなどを通じて、自分の外側、社会を変えるような行動こそが大事だと感じています。

文責:立花健一

講演資料:COP26が示した国際潮流を読む
posted by EVF セミナー at 17:00| セミナー紹介