2024年08月23日

EVFセミナー報告:内燃機関の可能性

演 題 :「内燃機関の可能性 〜ポストCN(カーボンニュートラル)時代の自動車の新しい軸〜」
講 師 : 轟木 光 様
  KPMGアソシエイトパートナー(Automotive Sector)  
聴講者数:50名

講師紹介
•日系自動車会社、日系総合コンサルティングファーム、監査法人系コンサルティングファームを経て現職
•自動車関連産業を中心に、商品戦略、技術戦略、新市場参入戦略などの戦略に関するプロジェクトに従事
•自動車産業の経営層及び経営企画に寄り添いながら、戦略構築及び業務改革推進に強みを持つ
•公益社団法人自動車技術会 エネルギー部門委員会にて幹事委員を務め、 Automotive Intelligence チームリーダーとして、自動車におけるエネルギー課題に対して外部セミナー寄稿を行い、メディア等から当分野における専門家としての意見を求められている

概要報告:

EV(電気自動車)が自動車業界において世紀の大転換をもたらすという見方が社会通念と化しているなか、米国、欧州、中国のすべての市場においてEVの販売シェアが減少し、各市場での主力パワートレインは、HEV(=ハイブリッド)を含むICE(=一般的なエンジン=内燃機関)であり、日本の自動車産業が内燃機関からBEVへ大きく舵を切った可能性があるものの世界市場を見渡すとBEV市場の拡大にはまだ時間がかかるということが厳然たるデータ(=事実)である。三極の政治は、自動車産業に対し、グリーン・低炭素化を求めているが、カーボンニュートラルという目的に対しては、手段はBEVだけには限定されず、内燃機関でも可能である。CO2削減に対し、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の視点の重要性が高まるなかで、カーボンニュートラル燃料を使用した内燃機関のほうが、BEVよりもCO2削減効果が高い可能性がある。バイオ燃料、e-Fuel、バイオガス、水素などのカーボンニュートラル燃料により、内燃機関もカーボンニュートラル対応のソリューションとなると認識されうることから、自動車産業において、内燃機関向けの新規投資が増加する可能性、さらには、自動車産業におけるポストカーボンニュートラル時代の新しい競争(バッテリー搭載量の違いによる航続距離など)が始まる可能性がある。自動車産業は、カーボンニュートラルが当たり前化する時代の次にある自動車エネルギー源の多様化の時代において、考えられるすべてのエネルギー源に対応するソリューションを用意しなければならない。

Q&A:
Q1:カーボンニュートラルが進展するに伴い、地方のガソリンスタンドどうなってしまうのか。
A1:減少という点ではそうかもしれない。しかし、減少、効率化に着目するだけではなく、エコシステムを活かすためのカネの流入、すなわち、よい意味での「無駄遣い」が必要ではないだろうか。
Q2:カーボンニュートラル燃料としては、液体バイオが本命になるのではないか。
A2:なにが主流になるかは、地域によっても異なる。
Q3:日本の場合、水素はどこから手に入れるのか。
A3:輸入することになる。グリーン水素、ブルー水素とも安いところから買うことになろう。輸出元としては、どこでもたとえば、オーストラリア、中東など。

文責:高橋 直樹

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