2025年02月27日

EVFセミナー報告:2025年の新世界 〜 大統領選挙の次に来るものは何か!

演題:2025年の新世界 〜 大統領選挙の次に来るものは何か!
講師:林 良造 様 
武蔵野大学国際総合研究所 フェロー
聴講者数:41名

講師紹介

1970年 京都大学法学部卒業、通商産業省 入省
1976年 ハーバード大学ロースクールLL.M.
1991年 ハーバード大学ケネディスクール フェロー
2001年 経済産業省 官房長、経済産業政策局長

帝人 独立社外監査役、伊藤忠商事 独立社外監査役、シティバンク銀行 社外取締役、経営競争基盤 経営諮問委員、コア 独立社外取締役、Robert Bosch GmbH International Advisory Board Member、東京大学公共政策大学院 教授、機械振興協会経済研究所所長 などを歴任

講演要旨

1)トランプ政権の素早いACTION
--トランプ劇場は思ったより早く始まり、テンポが速くかつ中身の詰まった大統領令が発せられている。二期目になるのでバイデン政権時によく自分の政策を考えていた形跡が見られる。
--ガザ戦争もネタニヤフ首相と手際よく処理した。
--ウクライナ戦争も3年間進まなかった戦争終結に向けた全く違う動きがみられる。
2)大統領選挙結果
--先進国の国々では与党が大敗している。その背景としては移民流入やウクライナ戦争による経済悪化など格差が拡大し、それが急激な変化として国民に不公平な感情を抱かせたことがある。
--経験、国力からも今やトランプの独壇場。トランプ大統領が欧州を動かしている。
3)Eurasia Group
--Eurasia Groupによる10のリスクの中で取り上げられている多くはトランプ関連。G7G20などの世界統治機構が機能不全を起こしており、その実効性が問われている。武力紛争解決ができず、貿易戦争も片付かない。
--1971年から機能不全を起こしており、今まではきれいごとに走りすぎていた。アメリカには やりすぎ感と不公平感が渦巻いている。
--今まではハードパワーの共和党とソフトパワーの民主党の両輪できたが。
4)政権の骨格
--トランプに忠誠を誓うスキのない政権骨格 
--タブーであった軍トップを交代させた。
--トランプから見たイーロンマスクは利用価値が高い段階。マスクの行動に閣僚との軋轢なども予想されるが当面はトランプのマスク支持は強固。
5)トランプ政権の主要目標
--ウクライナは欧州が中心となり処理。欧州の防衛費を拡大させる。そしてイスラエルとアラブ(エジプト)の処理を終わらせる。しかる後に中国と対峙する。これがトランプが本当にやりたいこと。
--多くの首脳は新しいが、トランプは2期目なので交渉はトランプ有利。
6)Trump Style 傾向と対策
--力の信奉による戦争回避
--関税攻勢とトップ外交 コロンビア、カナダ、メキシコ、中国等
--目指すところはハードバワーとソフトバランスのリバランス
7)米中関係他
--経済力は米優位だが、東アジアの軍事力は中国優勢
--トランプの任期2027年(残り2年はレームダックか)習近平任期2028年
--今後はアジア太平洋が新秩序作りの主戦場になる
8)石破政権の政権運営他
--保守派が嫌だという岸田さんの押しで石破政権が誕生した。
--派閥そして政策決定のへそががなくなって例えば夫婦別姓などのコンセンサス作りは困難に。
--安倍さんの時代に比べて官邸の影響力は減っている。
--安倍政権で積み残した岩盤規制は農業と医療。
--今後の産業政策で一番むつかしいのは自動車。電子・電機。自動車構造変化が多面で起きている。燃料、自動運転、AIなど世界的に合従連合が進んでいる。 それらの情報量が増大化、スピードが速い。
どういう風にのりきれるかが最大の産業課題。
--課題:縦割りを壊して横串を通していくことにより産業・経済を強化すること。ハードバワーとソフトバランスのリバランスをとっていくこと。
                           
以下質疑応答

質問1:政治・外交も含め日本をいかに富ませるか?日本がなし崩し的におとなしい国になっていくのか心配。
回答1 ゆでガエルの状態に多くの人が慣れてきている。この数年の間にそれなりに変わってきているが、うまくオーケストレーションできるかが課題。いろんな場面で新しい芽も育ちつつある。 
質問2:政府のエネルギー政策に疑問。どうすれば日本が変われるのか?
回答2:エネルギーの自給、経済性などの理由で原子力が基本にならざるを得ない。やっと出発点に戻った。データセンターやAIなどで電源供給安定性が重要なので原子力、再エネ、LNGなどが手段となるであろう。農業、医療及びエネルギー政策が硬直化している。政策決定には自民党、審議会、業界代表、与党全部がそろっていく必要があり硬直化している。今後日本でも農業、医療及びエネルギーのニッチな領域で技術ブレークスルーを進化させ広がりを始まることを期待している。
質問3:エネルギー関連仕事をしている。インドで分散型エネルギー経済産業省FS受注した。JCMに関連するFSでは国家間契約が前提なので契約の日程など教えて下さい。
回答3:インドは大きな国で一本化が難しい。
質問4:米国にとって日本を本気で守る気があるのだろうか?
回答4:日本はアメリカにとって今は価値が高い状態。中国がアメリカにとって一番大きな脅威。アジアの国の中で日本が安心して付き合うことができる。韓国は難しいし北朝鮮問題を抱えている。しかし20年後ぐらい中国、朝鮮半島問題が収まったら日本の立ち位置は変わるだろう。状況が変わっていっても日本を防御する。そう意味でも日本が持っている製造力、技術力や金融力などが必要なんだと思わせるものが必要である。
質問5:トランプが大統領令で政策をすすめている。憲法との関係はどう考えればよいのでしょうか?
回答5:アメリカでは大統領、議員ともに国民から直接選ばれている。行政庁は議会が決めたことを与えられた予算内で大統領令に従い執行する。現在大統領も議会も共和党。連邦最高裁判所も判事9名中6名が保守派。州と連邦間で多くの問題が発生するが憲法で細かく役割が規定され三権分立の下連邦最高裁で解決される。様々な案件を多数決で決める制度である。その結果は極端に振れるが、それを制限しているのがこの”Check &Balance“のシステムである。日本ではコンセンサスを得るように論議するので時間がかかり大きな変化ができないが極端な結果に結びつかない面でもある。
文責:藤木憲夫

講演資料:2025年の新世界

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