2025年12月25日

EVFセミナー報告:お米について考える 食料用米について、飼料用米について

演題:お米について考える 食料用米について、飼料用米について
講師:若狭 良治 様
 一般社団法人 日本飼料用米振興協会 理事・事務局長
聴講者数: 40名

講師紹介
1969年3月:日本生協連・北海道支所勤務
1991年3月〜6月:日本生協連中央地連 事務局次長(組織課長)
1991年7月:コープかながわへ移籍 コープ電動車両開発(株)業務部長、コープ低公害車開発(株)代表取締役専務
2006年3月:任意団体DME自動車普及推進委員会 設立 事務局長
2006年3月:株式会社北海道自然エネルギー研究センター(NERC) 取締役 東京支所長
2007年7月:任意団体 超多収穫米普及連絡会 発起人・運営委員
2010年4月:一般社団法人 DME自動車普及推進委員会を組織変更、理事・事務局長
2014年4月:一般社団法人 日本飼料用米振興協会 設立 監事
2015年5月:一般社団法人 日本飼料用米振興協会 理事・事務局長(現在)

講演概要:

■講演の目的「入口の開け方」
講師言:『私は、北海道大学農学部畜産学科で畜産品製造学関係を学んだ後、日本生協連で22年間の活動やコープかながわでの電気・低公害車自動車の16年間の研究開発普及の活動、そして現在のお米に関わる活動へと歩みを進めてきました。私自身は、専門領域よりも「組織づくり」や「運営」に関心を持って活動をしてきました。本日の講演では、日本のお米を取り巻く現状や課題・飼料用米の役割について、その「入口の開け方」を知ってもらうことが私の役割と思ってまいりました。』
■お米の基礎知識と多様な姿
・稲、小麦、トウモロコシは同じイネ科の仲間で、世界三大穀物です。日本ではジャポニカ米の水稲の生産が大半を占めている。
・品種による分類:インディカ米(インド型稲/長粒種)、ジャパニカ米(ジャワ型稲/半長粒種)、ジャポニカ米(日本型稲/円粒種)の3種類がある。
・でんぷん質組成による分類:糯(もち)米、粳(うるち)米、その他/醸造米・酒米、赤米、香り米、黒米(古代米:会場で黒米せんべいを配布)等。
・栽培法による分類:水稲、陸稲米はその加工や用途によって多様な姿を見せる。
・精米の度合い:籾米から皮を剥くと玄米になり、さらに磨くことで胚芽米、五分づき、七分づき、白米へと変化する。精米が進むほど味わいは良くなるが、ビタミンなどの栄養素は失われる。
・用途の多様性:ご飯だけでなく、日本酒や焼酎などの醸造用、せんべいや団子などの菓子用(米粉)、古代米のような観賞用(ex.田んぼに描く絵)や健康食品にも広がっている。
・水田の多面的機能:田んぼは単に米を作る場所であるだけでなく、耕して粘土質にすることで水を蓄え、台風時のダムの役割を果たし、国土保全に寄与しています。昨今の大規模太陽光発電や(乾)畑にして水田をやめると、その役割や良さがなくなります。日本の農政が問われている問題そのものである。

■日本農業の現状と直面する課題
現在、日本の稲作は転換期にある。
・消費量と作付面積の減少:1962年⇒年間約118.3kg/人のお米消費量は、2009年⇒年間約58.5sと食生活の変化により大幅に減少した。水田面積や農家数も減り続けている。
・生産コストと機械化:小規模農家が減る一方で、組織化・大規模化が進んでいる。米の生産コスト構成は、労働費26%、農機具費18%、肥料・農業薬剤費15%である。労働時間を減らすためにドローンやロボット、スマート農業の導入が行われているが、数千万円単位の機械費用が農家の経営を圧迫しているのが現実である。
・栽培技術の進化:育苗の手間を省く「直播」栽培や、近年の猛暑に対応した「高温耐性品種」研究、また収穫量を高める「多収性品種」開発など、技術的に進化している。
・備蓄と流通の課題: 政府が保有する備蓄米は、本来不作時のためのものだが、その運用や処分のあり方には、品質保持やコストの面で改善の余地がある。
■飼料用米の可能性と「耕畜連携」
国内の飼料基盤に立脚した畜産経営と「飼料用米」の普及。
・耕畜連携の推進:米を作る「耕作」と家畜を育てる「畜産」が連携し、国産飼料用米を家畜の餌として活用する「耕畜連携」を20年以上提唱してきた。これにより、飼料の自給率向上を目指している 。
・飼料用米の特徴:食用米と異なり、食味よりも「収穫量(多収)」「栄養素」が重視される。日本飼料用米振興協会は、2008年の「畜産・大パニック阻止学習会」から出発し、表彰事業やシンポジウム開催、「水田政策の見直し」に向けた政策提言等の活動を行っている。
◆まとめ
講師言:『日本のお米を取り巻く状況は、歴史的な食糧政策や国際情勢、人口動態の変化など、複雑な要因が絡み合っています。お米は単なる食べ物ではなく、日本の文化や国土を守る根幹です。本日をきっかけに、一人一人がお米への関心を深めることが、日本の将来を変える一歩になることを期待し講演を締めくくります。』  


Q&A:
Q1:棚田は、素晴らしい景色だと思うんですが、トラクターが入らない。ロボットが二百万円ぐらいなれば入るようになると考えていいでしょうか。もう一つは乾田直播についてですが、トゥリーアンドノーフという五人ぐらいの会社※がありますが、賛成ですか反対ですか?
※2012年に鳥取市で水稲を生産する農業法人、科学的視点に立った確かな農業経営、1万ヘクタール規模の生産体系確立 (同社HPより抜粋)

A1:乾田について、うまくいってる分には反対する理由はないと思っています。問題は、日本全体の中でどういう比率かです。乾田の良さがあるし、場所によっては乾田でなければダメな場所もある。そこでおいしいお米が低コストで大量に取れれば、それを糧とする方も当然生まれるわけで、私はそれを否定するものでも何もないです。水田の役割が必要な場所での乾田化は検討が必要と思います。
ロボット化については 確かに我々の想像を超えて進んでいます。経営者にとっては魅力的ですが コストを考えると最終的にそこまでやるのは大企業なのか、 中小企業なのか、零細企業なのかです。それと棚田、これは日本だけじゃなく世界にありその地の風景を作っています。賛成とか反対かではなくて、良さをどれだけ広げるか、そうでない場所では控える、というようなことをディスカッションできる場づくりが大切と思います。最終的に技術と現実とのバランスで判断するしかなく、どれだけ合理的に判断ができるかだと思います。ロボットの活用方法も運送なのか、耕すことなのか、刈り取りなのかによって利用方法が随分違ってくると思います。

Q2:飼料米は備蓄されてますか?
A2:飼料用米は、政府としての備蓄はされていません。備蓄用米は、あくまでも食用米として備蓄されていて、5年間保管をして期間経過後に処分するときに、ほとんどが飼料米になります。

Q3:食用米の話ですが、コストというか、倉庫に溜めるのにどれぐらいかかりますか?
A3:その数字は今、出てきませんが、低温で保存するか常温か、もみ米で保存するか玄米か白米か等で全部違います。現在、アメリカから輸入しているお米は、白米で輸入しています。白米だと古くなったらそれこそ売れない、まずくて食べられないです。籾米にすべきというのが私どもの考えです。籾米であれば最悪そのまま鳥の餌にもなるし、一番コストがかからなく、確実な保管方法です。

Q4:最後に政府の業界に対する考え方に変化はありますか。
A4:石破さん、小泉さんは増産だと言ったが、その後の鈴木さんは減産とは言わないが要するに適正化とおっしゃる。アメリカだってフランスだって、どこだって大量に補助金が投入されています。農家が自立できる状況ではないのです。戦後、日本はアメリカの農業の受け手側にされてしまった。うどんとパン食を一生懸命勧めたのも、戦後の日本の食料政策です。この鈴木宣弘先生が書かれた本ですが、「コメ・ショック」という本、その中に第3章 アメリカが仕掛けた日本農業破壊70年史』が設けられていて、アメリカの農業政策が一因ということが書かれています。そういうことを含めて大きな課題だと思います。歴史的に捉えてその結果として現状を理解しないとダメです。

今日は正直言いまして、農家の方だとか農業関係の方に喋るときと全然違って、米について食べること以外は知らない方を対象に話してくれと言われたので、私も必死になって勉強しました。
頭で考える問題ではなくて、体で感じる問題と思っています。そういう意味で、今日を機会に「お米の本」を読んでいただければ面白いと思います。これが日本の将来を変える1日目かもしれない。今日の勉強会というのは、そういう意味で歴史的な勉強会じゃないかというふうに私は思います。
最後に、情報が欲しい方は私の方に連絡をいただければと思います。ホームページ等含めてご連絡しますので、よろしくお願いします。協会のホームページで「お米」「事務局長」「提言」等入力して検索してください。

講演資料:「お米について考える」
posted by EVF セミナー at 16:00| セミナー紹介