2018年06月26日

EVFセミナー報告:クルマを捨ててこそ地方は甦る

演題:クルマを捨ててこそ地方は甦る〜自立・分散・協調型国土の形成に向けて〜
講師:藤井 聡氏 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、内閣官房参与 
日時:2018年6月26日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
講師略歴:
京都大学大学院工学研究科(都市社会工学)教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長、ならびに2012年より安倍内閣 内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。
1968年奈良県生駒市生。 京都大学卒業後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。 専門は都市計画、国土計画、経済政策等の公共政策論のための実践的人文社会科学研究。
著書「プライマリーバランス亡国論」「国民所得を80万円増やす経済政策」「国土学」「超インフラ論」「凡庸という悪魔」「大阪都構想が日本を破壊する」「大衆社会の処方箋」「巨大地震Xデー」 等多数。
朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、文化放送「おはよう寺ちゃん」「週刊ラジオ表現者」に解説者としてレギュラー出演中。 表現者クライテリオン編集長。
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講演概要:
冒頭、講師がその日に携わった仕事にどんなことがあったか順次紹介があり、聴衆は講師が関心を持たれているワールドに引き込まれた。今年は5年に一度の国土強靭化計画策定の年であること、南海トラフの大地震が来ると1400兆円の被害を被るとの予想がある一方、予め30兆円の対策が打てれば500兆円の被害縮小の効果がある説が存在するなど、大まかな問題提起がなされた。
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後半は、昨秋発売されてベストセラーになっているPHP新書の「クルマを捨ててこそ地方は甦る」の本題に入った。刺激的な言葉を使っているが主旨は「クルマ利用はほどほどに!」であり、講師の研究の本源である“コミュニティ・マネジメント”を論じたものであるとの由。クルマ社会の進展によって大型のショッピングモールが郊外に出来て都市が郊外化し、それにつれて公共交通機関が衰退、クルマによる移動で運動不足となって住民の健康が劣化し、一方地元商店街で買い物をしないために地域のマネーが流出、コミュニティの劣化、医療費等の行政支出の拡大、ついには地域の魅力が劣化し、行政サービスが劣化して地方都市が消滅していく。
どうすれば都市に再び人を呼び集められるか、それがこのセミナーの最大のテーマである。講師は都市の中心部からクルマを締め出し、空間を作れば人の賑わいは呼び戻せるとして、京都・四条通の歩道拡大工事の効果、富山市の駅前の事例を具体的にわかりやすく説明された。講師の提言は、日本全国にもっともっと新幹線網、高速道路網を整備する一方、地方都市の中心部からは車を締め出して人々が集まる工夫をすべきとのことであった。

なお、コミュニティ・マネジメントのついでにお話しされた際、織田信長が天下人になれた理由についてのお話が興味深かった。信長は土木工事でインフラを整備し、農地をしっかりと築き上げて石高を増やし、道路の機能を、敵の侵入から守ることよりも利便性を高めて生産力を増強したことにより強大になったのだとの由。講師から特別に提供いただいた「歴史の謎はインフラで解ける」の資料を末尾に掲載します。
(文責:佐藤孝靖)
講演資料:
配布資料 :クルマ利用はほどほどに!
講師からの特別提供資料 :歴史の謎はインフラで解ける
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2018年05月24日

2018年5月24日EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設

EVFセミナー報告:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜

演題:アフリカでの製油所建設〜襲い来る数々の困難に立ち向かうプロジェクト組織〜
講師:吉見昭司氏、元日揮株式会社理事、元東京大学工学部大学院プロジェクトマネジメント講座講師 
日時:2018年5月24日15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット会議室
講師略歴:
1941年;岩手県盛岡市生まれ
1966年;東北大学工学部化学工学科卒業、日揮(株)入社、基本設計部門勤務
1975年;国内プロジェクト部門にて合成ガス製造装置のプロジェクトエンジニア
1977年;ブラジル営業事務所責任者(ブラジル、アルゼンチンの営業活動)
1980年;帰国後、国内プロジェクト部門に復帰、更に海外プロジェクト部門に移籍。大型プロジェクトに携わる。
1995年;基本設計とエンジニアリングマネジメントを業務とする新設本部に異動、副本部長
1997年;基本設計と詳細設計部門が合併した新設本部の副本部長、理事
2001年;EPC委員会(業務改善・改革、競争力強化委員会)副委員長
2010年;東京大学工学部大学院のプロジェクトマネジメント講座講師(〜2011)
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講演概要:
アフリカでの製油所建設プロジェクトを、厳しい経済情勢と自然・労働環境の中で如何にして成功に導いたか、そのご苦労の実態をご講演いただいた。お話は(1)プロジェクトマネージメントとはどのようなものかについての解説と、(2)プロジェクトの実例の紹介 の2部構成であった。後者においては、大型プロジェクトの中身と完成までの間に発生した生々しいトラブルとその解決への取り組みにつき臨場感溢れるお話を伺うことが出来た。

(1)プロジェクトマネジメントとは;

1)プロジェクト組織に求められるもの
世界的に大型プロジェクトの受注は、極めて厳しい競争環境(リスクの顕在化で赤字転落の危険性を孕んでいる)の中での受注が普通であり、従ってプロジェクト完遂のためには各種の問題が発生しても、絶対条件である品質と納期の確保、及びコストダウン・追加獲得のためのノウハウを持ったプロジェクト組織およびエンジニアーの存在が大前提となる。そのためにプロジェクト組織に求められるものは、1)複雑に絡む諸々の因子を俯瞰的に捉えることが出来る洞察力 2)緻密な計画力 3)諸々の事情で計画からの乖離が発生したときの解決への調整能力 4)組織の強化力 等々である。

2)プロジェクト運営手法
プロジェクトは、あるプラントでものを作ろうとするプラントオーナーがプロジェクトを計画することから始まり、それを実現するプラント建設をコントラクター(プラント建設会社)に発注する。受注したコントラクターは、納期、コスト、品質の確保をしながら契約に基づき基本設計、詳細設計、機器調達、建設、試運転、引渡までの一貫した複雑な作業を行う。ここで採用されるのがプロジェクトマネジメント手法であり、その中でも重要なのが、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれるものである。これは、プロジェクト全体を細かな作業要素に分解(Work Breakdown)し、全作業を階層構造(Structure)として組み立てる手法であり、これによりプロジェクトの全ての作業が事前に明確にされ、全体が統合的に管理できる。最も重要な事は問題を発見しそれを解決しようとする姿勢である。
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(2)プロジェクトの実例紹介;

1)プロジェクトの中身
アフリカにおける日量150,000バーレルの原油を処理するガソリン最大収率型製油所建設プロジェクトの受注から完成に至るまでの間に、講演者が遭遇した諸々の出来事について、問題点とそれぞれの解決策が映像と共に詳細な説明がなされた。言及された出来事は、それらが解決しないとプラントの納期、品質、コストに多大の影響を与える事象であり、キーワードを挙げればファイナンスの組み方、パートナーとのコミュニケーション、設計から建設に至るまでのプロジェクトライフサイクルに係わるプロフェッショナルエンジニアの確保とコミュニケーション、現場作業員の確保、現場労働環境、等々である。
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2)プロジェクトライフサイクルの中で解決してきた諸々の課題
・プロジェクトの受注活動―客先の現地事情や会社状況の調査。客先作成の膨大な量のプロジェクト指示書を読みこなした上での見積作業。
・ファイナンス準備――信用度の低い開発途上国へのファイナンスの難しさ
・基本設計、詳細設計――客先側のコンサルタントの自己PR・保身のための過剰な質問、コメントによる混乱、時間の無駄使い
・客先の姿勢――客先や、パートナーのプロジェクト理解の差、あるいはコミュニケーションの欠落等からの混乱、
・調達――急激な円高から海外発注へ切り替えたことによる海外ベンダーの発掘と品質管理、工程管理に苦労
・建設――建設マンパワーの質の問題(日本人125名に対し、7000名を超える現地およびアジア人労働者の技能教育、管理)、現場における盗難、ストライキ、暴動等々。労務管理上の問題は、人的関係、技能等に関するトラブル早期発見と早い対応(辞めさせることも含め)が肝要。
・作業環境保全――安全上の問題、現地風土病への対応(罹ってもすぐ適切に対処すれば命を救える)

3)プロジェクトマネージャーに求められること
・プロジェクト業務が好きであること。
・ストレスに強いこと
・洞察力と想像力、リーダーシップ。
・困難から逃げない意志。改善・改革の意識。
・自分および人を(経験によって)育てる。

(3)質疑応答:

講演後、活発な質疑応答があったが、その内の数例を以下に記す。
・Q:開発途上国と契約をするときの難しさは何か?(A:リスクヘッジは当然考えるが、契約時に読み切れない事象は必ず生じる。その解決はプロジェクトチームの総合力による。)
・Q:なにかとプロジェクト遂行の困難さが予想できる国と仕事をしようとした理由は?(A:相手国が資源保有国であり、将来性が期待できたから。)
・Q:ヨーロッパ人や日本人技術者の作業環境維持はどうしたか?(A:居住環境、特に食べ物への配慮。ヨーロッパ人、中国人の冒険心とタフさには学ぶべきところあり。)
(以上 文責:橋本 升)
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2018年04月26日

EVFセミナー報告:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」

演題:「我が国の再生可能エネルギー政策の現状と将来」
講 師 : 山崎 琢矢様 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課長
日 時 :  2018年4月26日(木) 15:30〜17:30
場 所 :  NPO法人新現役ネット会議室

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〔講師略歴〕
1996年  東京大学法学部卒
1996年〜 通商産業省(現:経済産業省)入省
電力事業制度改革(第2次改革:小売りの部分自由化の導入
ベンチャー企業育成政策
サイバーセキュリティ対策を担当
2006年〜 米国ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院にて修士号取得。同大学客員研究員として活動。
2008年〜 インフラ・システム輸出の制度設計を手掛ける。
2012年〜 東日本大震災を契機に検討が本格化した電力システム改革の制度設計を担当
2015年〜 経済産業大臣秘書官
2016年10月〜現職(新エネルギー課長)

〔講演概要〕
・日本ではFIT制度導入以降、急速に再エネの導入が進んでいるものの、発電コストは国際水準と比較して依然高い状況になっている。
・また、系統制約の顕在化や調整力の確保、事業環境の整備など、新たな政策課題も浮き彫りになってきている。
・再生可能エネルギーが置かれた現状として現状再エネの大量導入とそれを支える次世代電力ネットワークの在り方について、エネルギー基本計画での検討状況も含めた再エネの現状と今後の課題について講演をいただいた。
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〔講演概要〕
1.再生可能エネルギーが置かれた現状
・世界での再エネの導入状況:世界では2012年頃までは再エネは発電量が変動しかも価格が高いことから、扱いに疑問が持たれていた。 最近は変わってきて、再エネは当たり前になってきた。
(i)2015年には再エネの発電設備容量が石炭火力を超えた。
(ii)2016年には太陽光の新規導入量が石炭火力の純増分を超えた。
(iii)2008年には太陽光発電が約40円/kWhであったが、現在世界での太陽光・風力発電の価格は約10円/kWhになっている。洋上風力も、2016年には落札額が10円/kWhを切る事例や、ドイツでは市場価格(補助金ゼロ)の事例が生じている。
・日本での再エネの導入状況:日本では再エネの割合が原発の多いフランスと比較しても小さい、2030年度のエネルギーミックスでは、ゼロエミ44%、火力発電
56%である。 
・エネルギーミックス実現への道のり:既に、特に太陽光において多くの認定が出ているが、いろいろな障害があり、現在認定されているものすべてが稼働する保証はなく、2030年度のエネルギーミックス実現に向けて、引き続き政策を打っていかなければならない。
・太陽光発電:(i)設置に関する地元とのトラブル、(ii)小規模の発電所の適切なメンテナンスや再投資をどう確保するか等の問題がある。
・エネルギーミックスと国民負担:2030年度の再エネの目標は22〜24%であるが、それを達成するためにはFIT買取費用総額は4兆円となる見込み。今後、再エネ比率プラス9%(15%→24%)を、約1兆円の賦課金で実現しなければならない。

2.エネルギー基本計画での検討
・2030年の議論は総合エネルギー調査会(基本政策分科会)、2050年の論議は情勢懇談会でやっている。
・2030年の目標では再エネを「主力電源とする」ことを位置付ける。主力電源とすることでの課題は、(i)発電コストの低減、(ii)事業環境の整備,(iii)系統制約の克服、(iv)調整力の確保。

・太陽光発電:2019年にFIT買取期間が終了する住宅用太陽光発電の案件が生じ始める、影響は150万kWに及ぶ。太陽光パネルは25-30年の耐久性があるので、自立型として継続できないか?
・風力発電:陸上での建設は限界がある、洋上風力の立地制約を解消することが必要
・地熱発電: 採掘リスクや地元との調整などの課題あり。
・中小水力発電: 新規が少ない
・バイオマス発電: 期待大、国内材と林業をペアで考えられないか?

3.今後の課題
再エネ政策の検討の状況
・太陽光:入札制の導入。過剰な流通構造などでコスト高になっていることの解消。
・洋上風力:立地制約の解消 海は国有財産→1人が長期間占有はできない(都道府県の占用許可は3-5年と短期)→海域を指定し、長期占用を可能とする制度を創設。
・バイオマス:今年度より入札制導入 木質系入札量180MW、液体燃料系20MW
液体燃料はパーム油に限定。
・非化石価値取引市場の創設
・太陽光パネル廃棄問題
・系統制約への対応:既存系統の最大限の活用のため、従来の運用を見直し。(日本版コネクト&マネージ)
・グリッド・コード(系統連系技術要件)の整備:今後は、再エネ自身も調整力の機能を持つことが重要。

以上
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2018年02月15日

EVFセミナー報告:AIとの付き合い方

演題:AIとの付き合い方

講師:DeepZenGoプロジェクト代表 加藤英樹 様
日時:2018年2月15日(木) 15時30分 〜 17時30分
場所:JAICA市ヶ谷ビル201A/B会議室
参加:63名

[講師略歴]
1953年 東京都出身
1977年 東京工業大学工学部電子物理工学科卒業
1980年 東京工業大学工学部情報工学専攻修了
1980年 東京工業大学工学部助手
1982年 (株)富士通研究所にてエキスパートシステム、ニューラルネットなどの研究開発に従事
2005年 東京大学大学院創造情報学専攻博士課程にてモンテカルロ碁を研究
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[要約]
囲碁AIの第一人者である加藤英樹氏から、自ら開発されたプログラム「Zen」の紹介と「囲碁AIの進歩」の状況から入って、「AIを巡る混乱」として問題点や課題を指摘して頂き、「ディープラーニング」と呼ばれるAIを大きく発展させた機械学習方法の説明の後、「何に使えるか」と題してAIの効用の分析を行って、AI全般の「今後の展望」までを講演して頂いた。
幅広く豊富なAIに関する知見や経験に基づき、1時間半の長丁場を一気に講演して下さり、聴講者を飽きさせることなく、AIに関する混乱や問題点を分析して不安を解き、AIの今後への展望について知識を向上させて頂いた講演でした。

[講演概要]
加藤氏は、東工大で電子物理工学と情報工学を専攻した後、富士通研究所でエキスパートシステムやニューラルネットなどを研究・開発したことが背景にあって、囲碁AIに取り組まれるようになられた。
何故囲碁AIであったかと言うと、2つ理由があって、一つは、AI研究には人工認識やパターン認識などがあって多くは一人でできないものであるが、囲碁AIは一人できること。もう一つは、客観的に出来/不出来が分かるということで、その世界に進むようになった。一方、囲碁AIは研究当初コンピューターゲームのような扱いを受けており、日本では学問領域としての認知が進んでおらず、博士号が取れないなどと言った課題があり、苦労の多い領域であった。
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加藤氏は2008年に独立プログラマの尾島陽児氏と知り合ってから二人で組んで囲碁AIの開発を大きく進ませ、その成果であるZenは2009年にスペインで行われたコンピューターゲームオリンピックで初参加初優勝した。また、2012年に武宮正樹九段に4子で勝ったことも大きな話題になった。 その後も囲碁AIは浮き沈みがあったが、Zenは世界一を維持していた。2015年頃から囲碁AIにディープラーニングを取り入れる動きが始まり、そこで開発されたDeepZenGo(同名プロジェクト中のZenの公式名称)が、2017年8月に内モンゴルで行われた第1回世界電脳碁オープン戦で優勝して囲碁AIのチャンピオンとして認められた。
AIの専門家でない人が混乱していることは、AIには「人類を滅ぼす・人類の敵」という側面と「人類を手助けする道具・技術」という側面がある点で、この混乱には、2つのAIがゴッチャになっていると思われる。それらは、一般にAIとして実用化されている「専用AI」と、SFや映画に登場する人間のような「汎用AI」で、後者の研究は最近始まったばかりである。
現在のAIは、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる人間の神経系を模した情報処理技術で大きく発展してきている。結果として人間の真似が上手いのが特徴であるが、膨大な実例(訓練データ)が必要である点が難点と言える。現在のAI(ディープラーニング)は人間の視覚や小脳と同じ役割で、それ以上はできず、人間並みのAIはまだ当分先の話である。
AIを何に使えるかを考えると、普通の人間が0.5秒でできる情報処理をすることと同等であり、画像認識、顔認識から食べ頃の果実を選ぶとか、車の自動運転などまでが考えられる。予測やプランニングも得意であり、限られたゲームのような世界で活用されている。しかしながら、実世界で問題なく使えるようになっているかというとまだ無理と考えられる。その理由は、情報の質が悪く、扱う量が膨大であることに対して十分な状態ではないと言うことが挙げられる。
今後のAIの長期的な展望としては、「AIと人間の共存」が第一に挙げられるが、人間並みのAIが出現はまだまだ(なので、安心して良いとも考えられるし、なかなか楽はできないとも考えられる)。
留意すべき点は、「AIは人間が設計するものであり、悪用するのも人間」ということである。将来的なAIとの付き合い方の選択肢は2つあって、「労働を全てAIに任せる」のと、「人間も一緒に働く」のがある。
AIが人間の労働を分担していくことになると思われるが、それによって得られた富をどのように分配するかという問題がその裏に存在し、その点を解決していくことも必要となる。
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お薦め図書
1.「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子 (東洋経済新報社)
2.「棋士とAI ‐ アルファ碁から始まった未来」 王銘? (岩波新書)
3.「よくわかる囲碁AI大全」大橋拓文(日本棋院)
4.月刊碁ワールド2017年11月号「加藤英樹氏が語る囲碁AI」(日本棋院)
5.数学セミナー2017年11月号「コンピュータ将棋・囲碁のこれから」(日本評論社)
6.日経サイエンス2018年2月号「AIの新潮流」(日経サイエンス社)
7.別冊日経サイエンス「AI人工知能の軌跡と未来」(日経サイエンス社)

以上 文責:浜田 英外

講演資料:
AIとの付き合い方
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2018年01月25日

EVFセミナー報告:ワイヤレス給電の現状と将来の展望

演題:ワイヤレス給電の現状と将来の展望

講師:早稲田大学 電動車両研究所 招聘研究員 高橋 俊輔 様
日時:2018年1月25日(木) 15時30分 〜 17時30分
場所:新現役ネット事務局会議室
参加:44名

[講師略歴]
1972年 早稲田大学大学院 理工学研究科 卒業
1972年 三菱造船株式会社 入社
2003年 昭和飛行機工業株式会社 入社、EV関係の開発に従事
2003年 早稲田大学 環境総合研究センター参与、電動バスの開発に従事
2012年 早稲田大学 参与兼客員上級研究員、非接触給電の開発に従事
2014年 京都大学 生存圏研究所研究員、ワイヤレス給電および大電力給電の研究に従事
2017年 早稲田大学 電動車両研究所 招聘研究員、車両電動化の研究に従事

[要約]
最近NHKなどで取り上げられる様になったワイヤレス給電について、昭和飛行機や早稲田大学などで、実際に電気自動車や給電システムの研究・開発・実証実験に携わって来られた第一人者に、以下の項目についてお話し頂いた。
1.ワイヤレス給電システムとは?
2.EV用ワイヤレス給電の動向
3.汎用機器向けワイヤレス給電の動向
4.ワイヤレス給電における課題
5.将来の展望
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[講演概要]
ワイヤレス給電について以下の順序で幅広く網羅的にお話し頂いた。

1. ワイヤレス給電システムとは?
電磁誘導や電波を利用して、離れた場所へワイヤレスで給電するシステムである。
●ワイヤレスで給電(電力伝送)方式は以下の様に分類される。
(1)非放射型
  1)磁界結合方式
   ・電磁誘導方式
   ・磁界共振方式
  2)電界結合方式
(2)放射型
  3)電波方式(マイクロ波など)
  4)光方式(レーザーやLEDなど)
(3)その他の方式
  5)エバネセント波方式
  6)超音波方式
  7)回転磁石方式
●各方式の特徴などを簡略に述べると以下の様になる。
IMG_0266-2.JPG1)磁界結合方式
・電磁誘導方式:
 19世紀にファラデーの発見した電磁誘導(トランス)の原理を利用した方式。
 非接触化ギャップによる漏れ磁束発生で結合係数k<1となり電力伝送効率が下がる。
・磁界共振方式:
 2007年6月のMITの発表以降多くの会社が発表し注目を浴びている方式。
 送信側と受信側のコイルを高い性能係数QにしてLC共振させる磁気共鳴技術を活用。
2)電界結合方式
 送信側と受信側に電極を設置して電極が近接した時に発生する電界を利用する方式。
 基本的に小さなギャップしか許容されないので未だ出力が小さい。
3)電波方式(マイクロ波など)
 19世紀にマクスウェルが予言した遠方にまで伝搬する電磁波を利用した方式。
 効率が高くない上にマイクロ波の放射は法律で認められていない。
4)光方式(レーザーやLEDなど)
 THz帯の面発光タイプレーザーで送信したエネルギーを太陽電池で受取る方式。
 人体防護の観点からビームエネルギー密度の減少が必要なのが難点。
5)エバネセント波方式
 全反射を起こす壁に挟まれた領域内にマイクロ波を注入し一方の壁から滲み出るエバネセント波を利用する方式。
 基本的に小さなギャップしか許容されないので出力が小さい。
6)超音波方式
 20kHz以上の超音波を利用する方式。
 人体に対する影響はないが壁などの遮蔽物に弱いのが難点。
7)回転磁石方式
 送電部磁石の回転で受電部磁石を回転させ発電するカナダのUBCが開発した方式。
 高周波の電磁界が発生せず人体に対する影響はないが機械的作動がある。
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2. EV用ワイヤレス給電の動向
●国内
 2014年頃まで日産自動車やトヨタ自動車、三菱自動車、本田技研工業が出力3kw程度、周波数85kHzの磁界共振式のものを自社のEVやPHEVに搭載して展示・実証試験を行っていたが最近では発表が殆ど見られない。
●海外(欧州)
 パリモーターショー2016でダイムラーが3.6kWコイルを搭載し、VW社も受電コイルをEV向け新プラットフォームに搭載するコンセプトを発表。一次下請けのボッシュも2017年にBMW用に7 kWコイルを搭載、2018年にはダイムラー車に搭載し市販予定と活発。
●日本でのワイヤレス充電バス
 2004年以降、早稲田大学が電動化した7m長のバスで長野市や川崎市で長期の実証運行。
 国交省や東京都も2008年以降12m長の路線バスで羽田空港や東京駅などで実証運行。
 この結果50kW以下では充電時間が掛かり過ぎてダイヤを確保出来ず、実証試験止まり。
●欧州でのワイヤレス充電バス
 殆どの事例が大電力ワイヤレス給電システムを採用して実運用している。
 2014年から英国ミルトンキーンズ市は8台の電動バスに120kWを搭載して運用続行中。
 ロンドン市も2016年から11kmの路線で電動2階建てバスに100kWを給電して運用中。
 ボンバルディアは200kWシステムを連接バスに搭載しドイツやベルギー各市で実運用中。
●中国でのワイヤレス充電バス
 通信機器大手ZTEが120kWを搭載し各市で最長1充電で44 kmなどの長距離運用中。
●米国でのワイヤレス充電バス
 カリフォルニア州モントレー市で50kWシステムを搭載し2016年6月から実運用開始。

3. 汎用機器向けワイヤレス給電の動向
●家庭・オフィス機器への応用
 1980年代から電話子機などで電磁誘導式が使われていたが機器の小型・薄型化につれ充電コネクタ不要のワイヤレス給電化が進み自宅、店舗、車内充電の相互互換性が図られた。
●モバイル機器への応用
 2017年末のiPhoneX搭載でQi規格(ワイヤレス給電の国際標準規格)が優位に立った。
 現在では家具・店舗・自動車車内などでの給電にQiワイヤレス給電が導入されている。
●水中機器・ロボットへの応用
 水中でも漏電しないで充電出来るという特性から水中機器やスプラッシュ域、フィールド機器などへの応用が増え、警備や介護などのロボットへの応用も実施されている。
●工場内機器等への応用
 レール搬送システム、AGV(無人搬送車)、電動工具などで1990年代から使われている。
●回転機器への応用
 コイルを向かい合わせるだけで回転体に影響を与えずに、軽量、接触抵抗無しで給電。
 防水型給電ソケット、劇場の回り舞台、CTスキャナーなどへの応用が可能である。
●医療機器への応用
 電磁波にセンシティブな医療分野でペースメーカーや人工内耳などに実用化されている。
 人工眼やコンタクトレンズ使用の検査機器、カプセル内視鏡などで臨床試験実施中。

4. ワイヤレス給電における課題
●電磁波の課題
 電力供給ワイヤの制約から解放される反面、他システムへの影響や人体防護の面が課題。
 人体防護に関しては総務省電波防護指針やICNIRPの人体防護ガイドラインがある。
●異物の侵入への課題
 通電中にコイル間に鉄やアルミなどの金属製品が入ると誘導加熱により高温になる。
 これを防ぐために異物の検知や生体検知のシステムなどがいろいろ考えられている。
●標準化などの課題
 EV用ワイヤレス給電システムの相互互換性を確保するための国際標準・規格化進行中。
 標準化を2019年までに実施しないと合意済み内容もリセットされるので鋭意取組み中。

5.将来の展望
●技術開発の方向性
 特許出願から見たワイヤレス給電の技術動向を踏まえ特許庁が下記3提言を行った。
 ・EV用ワイヤレス給電技術およびそのFODやロバスト性向上技術
 ・コイル、コアなどの構成部品とモジュール化、実装技術
 ・エナジーハーベスティング、回転体、医療機器、検査・診断機器
●EVへの走行中給電
 EV分野でいろいろ調査検討した結果、提言以外で走行中ワイヤレス給電があげられる。
 海外では標準化コイルによる静止中も走行中も給電出来るシステムの実証を実施中。
 日本では自動車会社は静観し大学のみ独自の方法やコイルで取組みガラパゴス化の恐れ。
●新たなコイル・デバイス等の構成部品
 電線のブレークスルーが必要でカーボンナノチューブとプリント基板コイルが有望分野。
 デバイス材料としては高周波化と高出力化に対応するためGaNなども非常に重要な技術。
●新たな応用分野
 ワイヤレスキッチンと言ったホームユースの大電力化、ドローンなどの空中移動体への給電、極小インプラントや人工心臓への給電、検査・診断機器への給電などが挙げられる。
●市場規模
 2030年の充電設備必要とするEV、PHEV用のワイヤレス給電の市場規模は3,600億円。
 モバイル用ワイヤレス給電モジュールだけでも2030年には1.75兆円になる予測がある。

6.その他
 質疑応答の中で、EVや電動バスへの給電方式としてCHAdeMOの120kWタイプの試作や欧州でのEVバスへのパンタグラフ式接触給電の検討の例を挙げ、実用的方式の最終的な決着までにはまだまだいろいろな検討が行われるだろうとのお話があった。

以上 文責:岩崎力
講演資料:
ワイヤレス給電ワイヤレス給電の現状と将来の展望
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2017年12月21日

EVFセミナー報告:「これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?」

[演題]:これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
日時:2017年12月21日(木) 15:30〜17:30
場所:新現役ネット事務局会議室
講師:小枝 至 氏 日産自動車株式会社 相談役
参加者:36名
DSCN5848-2.JPG講師略歴:
1965年 3月  東京大学工学部機械工学科卒業
1965年 4月  日産自動車株式会社入社
1993年 6月  日産自動車株式会社取締役
1998年 5月  同社常務取締役
1999年 5月  同社副社長
2003年 6月  同社代表取締役
       同社取締役共同会長
2008年 6月  同社相談役名誉会長
2015年 4月  同社相談役
講師役職 :
2009年 6月  HOYA株式会社 社外取締役
2013年 6月  (一社)企業研究会会長

講演内容:
縮小版 CIMG6385-2.jpgEVF設立10周年記念セミナーの第4弾(最終回)として開催されました。
記念セミナーの最終回としてふさわしく、自動車のこれから10年について自動車産業の真っただ中からの展望をお話いただきました。
小枝講師には、まことにご多忙の中EVFのために時間を割いていただき心から感謝の意を表します。

1.自動車産業の状況
世界では人口の増加(現在73億人から2050年には97億人に)と新興国の普及率増に伴い自動車の需要は伸びる。
韓国、中国、ロシアの業者が製造の実力を伸ばし、電気自動車の普及による他産業(IT関連など)からの参入もあり、業界コンペティターが増える。
日本では国内保有台数(7700万台)は飽和状態、かつ買換え需要は減る方向であるが、自動車産業は日本の産業のかなめであり、輸出の拡大に期待している。このためには、「日本ブランド(故障少なく、中古でも人気)」の維持、拡大が必要であり、国内での先進技術を含む開発が不可欠。
軽自動車需要の動き、新興国の国情に合わせた車の開発、低価格車の実現に注目している。
2.自動車を取り巻く課題とチャレンジとしては、地球温暖化に影響の大きいエネルギー削減と交通事故対策が挙がった。
(1)CO2排出量の17%が自動車からのものとの認識から、燃費の最良点でエンジンを働かすe-Power(日産NOTE)や、ゼロエミッションを目指す電気自動車が示され、さらなる改善への方向が示された。
電気自動車に使う「電気」の生産に化石燃料を使用する場合があり、ゼロエミッションの難しいところについては、再生エネルギーへの転換が世界的に大きく進められている状況が示された。世界的に石炭発電への抵抗大きいことや、太陽光発電が技術開発と普及により単価が低下したことにも言及があった。
(2)自動車事故や渋滞の多くがドライバーのミスに起因することなどから、これを防ぐための車の知能化(自動運転)に取り組んでいる。10年後の完全自動運転(無人化)に向けて段階的に開発が進んでいる。
レベル2(部分運転自動化)について、日産の開発したシステム「日産プロパイロット」が搭載されたセレナが販売されている。ドライバーと共存するレベルであることを示すために「プロパイロット」と名付け、他社の「オートパイロット」のように自動運転に過剰な期待を持たせて事故が起きることの無いようにしている配慮も示された。
自動運転に向けた課題技術のアイテムについて説明があった。ヘッドアップディスプレー、画像解析技術(判別ばかりでなく、死角や予測の技術を含む)、外部情報不可欠なため避けられないサイバーセキュリティなどである。
3.完全自動運転が実現した後の状況についても話があった。
事故責任については、完成車メーカーが責任を持つのが筋だろうが、今後の社会受容性や法律の整備にかかっている。自動運転対応の特約設定を始めた保険会社がある。
車の所有にこだわる人が少なくなる。既にライドシェア(相乗り)事業が始まり、拡大を期待する向きも多い。
公共交通機関もあるので、車不要にならないかとの質問もあったが、公共交通機関の不便なところには車は不可欠だろうとの講師の見解である。
機械に依存し過ぎた結果、故障した車の対応に困る人をどうするか、運転する楽しさをどう残すかも考えなければならない課題である。現時点で、自動運転車を買いたいと思う人は半分以下との報告もあるという。

縮小版 CIMG6386-2.jpg演題に沿う多くの内容を休憩時間も惜しんでお話しいただいたが、参加の方々は熱心に聞き入っていました。
お話を聞いて業界の開発の現場に投入されている莫大な努力を感じるとともに、日本の誠実なかつ緻密なモノづくりへの信頼とこだわりを感じました。講師には、その後の懇親会にも参加していただき意見を聞かせていただきました。

更なる詳しい説明は、講師提供の資料があるので参照してください。
(報告者:EVF正会員津田俊夫)

講演資料:
これからの10年、日本の自動車産業はどうなる?
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2017年11月30日

EVFセミナー報告:「驚きの中国、大丈夫か日本」

[演題]:驚きの中国、大丈夫か日本
 〜急速に展開するI oT、Fintech、EC関連経済〜

日時:2017年11月30日(木) 15:30〜17:30
場所:JICA市ヶ谷ビル大会議室
講師:古林 恒雄氏 華鍾コンサルタントグループ 董事長・総経理
参加者:57名

IMG_0106-2.JPG講師略歴:
1965年東京大学工学部卒業、鐘紡(株)入社。ポリエステル直接連続重合法を開発、大河内記念生産賞、科学技術長官賞など各種受賞。75年初訪中、78年技術プラント輸出契約より84年引渡しまで上海石化で現地契約総代表。85年より中国事業開発に従事、20数社の合弁会社を設立運営。94年上海華鐘コンサルタントを設立、董事長・総経理。

DSC_2939-2.JPG講演要旨:
講演は中国に関する知識のブラッシュアップからスタートした。私たちが抱く中国のイメージには講師が携わってきた繊維産業のように、日本からの技術や設備の移転による成長があってこそという意識が、払拭されてないことが大きい。
また中国の自動車販売台数は3,000万台/年(日本の約10倍)を超え、EVでは世界のリーダーにと、まだ増加する需要を抱える中国がEVにかじを切ったことの意味は大きい。
特にGDPの成長は目を見張るものがあり購買力平価でのGDPは2014年に米国を抜き、名目GDPも2030年前後には米国を抜くという予測もあることを紹介。ピュー研究所(PEC)の意識調査は、世界の中国観と私たち日本人の中国観の差を感じさせるものであった。

本題のIoT、Fintech、EC関連については、中国におけるスマホの普及率(54.3%)、インターネットの利用率(96.3%)が急速な発達を可能にした。
ECの普及は阿里巴巴、テンセントによるQRコードを利用したスマホで完結する決済手段の開発によるところが大きい。典型的なのはシェア自転車…利用者認識、料金支払い全てスマホ(携帯)でOK。街の風景が激変した。
また爆発的に増加するEC利用額とスマホ決済額は、2016年に中国GDP74.4兆元(1,265兆円)の2倍以上に達し、さらに増加ピッチは上がっている。
RFID(近距離無線タグ)による商品認識とスマホ決済による無人店舗実験が進む。
お金を入れずに決済する自動販売機が急速に普及し、レストランの無人化も進み(接客は商品をテーブルに届ける人くらいしかいない)、これらの大量情報の蓄積と分析により個人の格付けも進む。また市中では監視カメラの設置も急速に進められており、顔認識技術の進歩により通行している人の特定も行われて信号無視の警告がされたりしている。
中国では身分証番号とスマホ番号がリンクしており、スマホでの自動決済は自動的な個人認証と不可分である。スマホ番号を個人情報と認識している日本と意識の差は大きい。日本はこれらのスピードについてゆけるだろうか。

DSC_2950-2.JPG<質疑応答>
Q.農村と都会の格差は広がっているのではないか?
A.EC(電子取引)で都市と農村の区別がつかなくなりつつある。ECで買い物をしてドローンで配達するようになればこれ以上格差が広がることはなくなるだろう。

Q.ピュー研究所のアンケート「中国はアメリカに替わり世界をリードするか。」に対する回答の世界平均は半数近くがYES。日本は77%があり得ない。この差に対しては情報統制があるとか、道徳観等から私も77%側に近い感情を持っているがどう理解すればいいか?
A.このアンケートは世界中で行われたもので、日本人の中国観が特別なのはマスコミが作ったと私は思っている。また欧米では経済的な事象の判断に道徳観や倫理観を持ち込むことは少ないので差が出やすいこともある。日本のマスコミも近時は肯定的に報道することが多くなってきたが、末尾にただ…と従来の流れの否定的判断を添えることを忘れてはいない。
ただしドルに元が取って代わると考える人は10%もいないだろうとは思う。


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2017年10月26日

EVFセミナー報告:ここまで来た農業改革

[演題]:ここまで来た農業改革
 〜これからのわが国農業の姿と国際競争力〜

日時:平成29年10月26日(木)
場所:国際協力機構市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)会議室
講師:西南学院大学経済学部教授・東京大学名誉教授 本間正義 先生 
DSC_2536-3.JPG
講演要旨:
『日本の農業問題はだれもが関心あるが、だれもが内容を知らない。
グローバル化と少子高齢化が進む中で、何が起きているのだろうか。日本の農業はかつての食管制度や今日の農協制度に守られて、国際化を拒否し構造改革を遅らせてきた。
しかし、国際化(仲良くする)からグローバル化(ルールを決め、一緒に仕事する事)へと社会構造は変化している。安部政権下は農業改革に取り組んでおり、農業に革新をもたらすのではないかと考えられる。これからの日本農業はどのような方向に進むのか、現場はどうこたえようとしているのか。』等についてご講演頂いた。
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講演概要:
1.グローバル化・少子高齢時代と日本農業の課題
1)農業生産の停滞と農業経営の零細性
農業生産額が1990年代以後減少しており、これは農業構造の脆弱化による。
1000万円未満:1,119,685経営体(増加率 −30.4%)
1000〜5000万円未満:108,547経営体(増加率 −20.8%)
5000〜3億円:15,173経営体(増加率 11.6%)
3億円以上:1,827経営体(増加率 54.6%)
 2)農業労働力の高齢化と労働力不足
  @農業労働者の高齢化が進み、新規参入者が少ない。特に稲作では65歳以上が77%
を占める。一方、酪農や施設野菜では若い労働者が多い。
A米作は65歳でもやれるのである。ウイークエンド農業。3チャン農業。
3)農地集約化が進まず、経営面積は大でも分散圃場になっている。
    都道県(2015年)           北海道(2015年)
5㏊未満:1,262,058経営体(増加率 −33.6%)  :10,195経営体(増加率 −37.5%)
5〜20㏊未満:64.428経営体(増加率 24.8%)  :13,197経営体(増加率 −35.8%) 
20〜50㏊未満:8,107経営体(増加率 159.9%)  :11,570経営体(増加率 −8.2%)
50〜100㏊未満:1,537経営体(増加率 234.9%) :4,584経営体(増加率 3.3%)
50〜100㏊未満:422経営体(増加率 165.4%)  :11,168経営体(増加率 65.7%)
 4)アベノミックスにおける農業改革の行方
 @生産現場の強化
 A国内バリューチェーンの6次産業化
 B輸出促進

2.近年の農業政策の展開
1)農地中間管理機構による農地の流動化:
(問題点)借り手は使いにくい。お隣の農家に、農地を貸したりしない。
2)農業委員会の組織改編
3)農地所有適格法人の要件緩和:現在、出資は農業関係者が50%超になっている。
4)農協改革(全中、監査、準組合韻、全農)
5)米の生産調整の転換:減反政策の廃止では無く、生産調整は続ける。
⇒主食米の価格を上げる。=主食のコメを減らす。米価は高いままに維持する。
200円/kg⇒飼料用米20円/kg=9割が補助金
6)指定生乳生産者団体制度の改革:差別化が当たり前なのに、生乳は一緒に混ぜてしまうので、差別化できない。=高品質の牛乳を生産するモチベーションが無くなる。
7)収入保険制度の導入(予定)
  収入保険についても検討を進めるべき。制度設計の検討の際には、社会政策的な保険ではなく、産業政策的な保険として、財政負担に頼らない自己責任を原則とする。
8)国家戦略特区での取組み
 @特例措置で株式会社による農地取得(養父市)
 A外国人農業労働者の受入れ(予定)。研修生ではなく専門労働者として受入れる。

3.農産物の国境保護措置の推移 
1)戦後「貿易、為替自由化計画大綱」で農産物の自由化を進めたが、重要品目には手をつけなかった
2)本格的な農産物自由化はガット・ウルグライ・ラウンド合意による非関税障壁の関税化と関税削減からである。しかし、関税化品目には高関税が容認されていたため、輸入禁止的高関税による保護が続いている。
3)WTO農業交渉(2000年〜)では実質的保護削減の方向付けがなされたが全体交渉が停滞
4)関税等の保護削減の舞台はFTAだが、TPPは発効の見込みがなく、
日欧EPAは次のステージが未定

4.今後の日本農業への期待
 1)稲作の規模拡大と乾田直播等による生産費削減=労働時間の節約になる。農業機械への投資増大と効率的利用につながる。
 2)農業は楽しい。=農作業する人から金を取る。農業のテーマパーク化
   農地を経営資源にする。
 3)情報機器・システムで高度に管理された野菜栽培
   IT、ICT企業との連携と農作業のマニュアル化
 4)農業の6次産業化の広範な取り組み
   他産業とのコラボレーション、バリューチェーン
 5)農業のサービス産業化と都市・農村の交流
   教育への活用、作るプロセスの商品化
 6)農業をフードシステムで考えられる。
   農協は生産物の差別化を行わず、一緒くたである。   
 7)流通業との連携でマーケットインによる輸出戦略
   国際的フードネットワークの確立。
農業は8兆円産業だが、製造業・サービス産業を含めると80兆円である。
農水産物・食品の輸出は1兆円。NO1は真珠。

5.具体的なビジネス
 1)経営コンサルの展開。本来は農協の職員がやるべきことだが、実際は経理士、税理士、獣医師が担っている。
 2)乾田直播の技術導入
 3)食と農のクラスラー形成。
@シリコンバレーのようなフードバレーを作る。
A次世代施設園芸の拠点
  BICTの活用
   
講演資料:
「ここまで来た農業改革」〜これからのわが国農業の姿と国際競争力

参考資料:日経調 本間正義先生 プレゼン資料
http://www.nikkeicho.or.jp/wp/wp-content/uploads/honma_siryou.pdf
http://www.nikkeicho.or.jp/wp/wp-content/uploads/honma_kouenroku.pdf
DSC_2556-3.JPG
6.質疑応答
 Q)日本に農業は必要か。米生産を止めたらどうなるのか。
 A) @安全保障から言えることは、コメが入らなくなるとオイルもはいらなくなる。
   有事の際のビジョンや計画が必要である。スイスの様に、家庭内備蓄で2週間対処できるか。古米や古古米を優先的に食べるコンセンサスができるか。
   A日本の農業が消えることは無い。5兆円は残る。
   B景観が変わる。(日本文化が変質する。)       以上  文責:大山敏雄


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2017年09月28日

EVFセミナー報告:四股・テッポウが四十八手を作る

[演題]:「四股・テッポウが四十八手を作る」
     〜その奥義のヒミツ〜

日時:2017年8月24日15:30〜17:30
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:松田哲博様(高砂部屋・マネージャー/元・一ノ矢)
参加人数:40名

講師略歴:
本名:松田 哲博 (まつだてつひろ) 元・一ノ矢(いちのや)
鹿児島県徳之島出身1960年生まれ
琉球大学理学部物理学科卒業後若松部屋(現高砂部屋)に入門し史上初の国立大学出身力士となる
2007年11月場所引退するまで24年間の現役生活
引退時点で現役最年長力士であり昭和以降の最高齢力士 引退後は、マネージャーとして高砂部屋の運営を支えつつ、シコトレの普及や相撲の物理的な探究を続けている
朝日カルチャーセンター講師 著書『シコふんじゃおう』(ベースボール・マガジン社)『股関節を動かして一生元気な体をつくる』(実業之日本社社)など多数

講演要旨:
「四股・テッポウ」の本質的な目的を、双葉山の映像と実技の指導により、平易且つ魅力的な語り口で説明され、身体の無限の可能性についても説かれました。当EVFのセミナーとしては異質な演題でしたが、従来の枠を広げうる挑戦的な試みであったと言えるのではないでしょうか。
DSCN5710-2.JPG
講演概略:
 講師の松田哲博氏(元・一ノ矢)は徳之島から琉球大学物理学部に進学し、土俵作りも含め相撲部を創設、卒業後は大相撲の入門規定173cmに届かず、大変な苦労をされましたが、何とか若松部屋に入門。史上初の国立大学出身力士となりました。
 24年間の現役生活の中で、20代は身体を鍛えようとするあまり負傷が多く、30代では身体の使い方を勉強し負傷と仲良くし、40代では負傷は身体からのメッセージとして受けとめました。その中から「四股・テッポウ」の大切さにたどり着きました。IMG_2287-2.JPG
 「四股・テッポウ」は、準備運動であり、基本動作であり、整理体操でもあります。「四股・テッポウ」は本来、丹田や軸といった身体の芯をつくるもので、その為には四股を500回、1,000回と踏み、テッポウを2,000回、3,000回と突く必要があります。又、「四股・テッポウ」は、全身を均一にし、身体の感度を上げるために必要なのです。
 講師は、「四股・テッポウ」の大切さを説明しながら、最近の力士の負傷の多さについても、 *四股の量が少ない  *四股が正しい姿勢で踏めていない  とのコメントがありました。
 双葉山の映像による「立ち姿」、「骨の構造・並び」、「脱力感」などの実際を見せて頂き、「眼から鱗」の出席者も多かったのではないでしょうか。
 最後に、講師の美声による「相撲甚句『かえる』」のサービスがあり、出席者は驚きながらも、楽しんで講演を終えました。
 質問は、「土俵の大きさの変遷」、「引き技」、「白鵬への期待」、「朝稽古の見学」、「取組の質」、など、多種多様で、活発な質疑がなされました。

なお、会場では発売されたばかりの新刊本、元・一ノ矢著「転ばぬ先のシコ」ベースボール・マガジン社刊が、希望者に割引価格で頒布されました。// (1,028文字)

講演資料:
四股・テッポウが四十八手をつくる
相撲とテンセグリティ

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2017年08月24日

EVFセミナー報告:人工知能(AI:Artificial Interlligence)の現状と将来

[演題]:人工知能(AI:Artificial Interlligence)の現状と将来
日時:2017年8月24日15:30〜17:30
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:経済産業省 商務情報政策局 総務課長 渡邊 昇治様
参加人数:46名
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講演要旨:
1.人工知能の分類と実例
 人工知能は知識ベース型と学習型に大別される。
 囲碁やクイズのチャンピオンを破ったりとか話題になるが、すでに様々な分野での応用が始まっている。特に医療への利用に期待できるが、大学受験や国会答弁作成支援などはまだ難しいようだ。
 それでも日本は欧米に比して導入が遅れているとのことである。
 人工知能の開発が進むほどに、その一方で人間の対応力のすごさが浮かび上がってくるとか、人工知能といえどもよい教材がないと学習できないとか、勝手に新しいものを生み出すわけではないとか、欧米と異なり日本は人工知能に対してお友達感覚で、むしろ人間としては働きやすくなるのではないかとの指摘が興味深かった。 
2.人工知能のインパクト
 市場規模は運輸、小売りを中心に88兆円市場と予測、雇用への影響予測もあるが知識ベース型はとってかわるところもありそうと理解した。また2045年に人工知能が人間を追い越すというシンギュラリティー(科学的特異点)の予測があるがそれほど心配するほどのことではないと理解した。
3.人工知能に関する課題
 世界中で研究開発が進んでおり日本も傑出している分野もあるが安心できる状況ではいない。
 医療、自動車、ロボットが主たる分野だが、特許出願は欧米企業が多く、最近では関連論文数では中国の大学が欧米に迫っているとのこと。
 各国企業の研究所が米国シリコンバレーに設立されているが、日本も負けじと関係府省連携や産総研にAI研究センターを設立するなど力を入れている。
 日本のチャンスとしてはIOT分野が良質なデータを数多く保有するので期待できそうである。例えば高齢者の健康情報などは世界一ではないか。
 制度的な課題としては知財制度との関係、事故時の責任問題などがあるが解決が不可能なわけではない。
4.まとめ
・人工知能の「独創性」は未知数だが、実用化の段階に入った。
・人工知能のレベルアップには大量の良質データがなければ進歩しない。
・日本の研究者・技術者の層の厚みが欧米・中国に比較して懸念材料である。
・日本の強い分野を人工知能でより強化する戦略が必要である。
・人工知能導入は避けられないのでそれを想定した制度・ルール整備が急がれる。
・人工知能と人間が共存できる社会・時代を提唱すべし。Connected Industriesを提唱。
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以上ですが、大変明解に解説していただき、根拠なく悲観したり、喜んだりすることなく今後が見据えられたような気がしました。
渡邊 昇治様のご講演はその行間に含蓄があり、今後もお忙しいところですが困った時にはEVFセミナーの講師をお願いするつもりですので皆様もその謦咳に触れていただきたくふるってご参加ください。
−以上−

講演資料:講演資料:人工知能の現状と将来の動向

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2017年06月22日

EVFセミナー報告:ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−

[演題]:ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−
日時:2017年6月22日15:30〜17:30
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:株式会社キュリオン ジャパンProject Director Japan 沼田 守 殿

講演要旨:
 2011.3.11の大地震と津波が福島第一発電所を襲った結果、使用済み燃料プール、炉心、デブリという3つの高放射能発生源を同時に抱えるという世界でも例のない事故となった。事故当初から数年間は、炉心冷却水とこれに合わさって発電所地下へ流入する地下水の除染および外部へ漏れないようにすることが喫緊の課題であった。そして現段階では、汚染水処理は技術的に見通しが立ってきた。これからは使用済み燃料とデブリの安全な取り出しが最大の課題である。
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 廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議は2011年5月にロードマップを作成、福島第一原発を廃炉にすることを決定し、その後、2014年8月に原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が設立され、ロードマップで示された基本方針の下に、廃炉事業を進めるための具体的技術戦略プランを作成。東京電力廃炉カンパニーが中心となり、廃炉作業が進められている。
 NDFの中で廃炉に関わる戦略プラン策定に深く関わられ、また現在は汚染水問題解決技術をはじめ廃炉に関する技術を提供しているキュリオンジャパンに移られ、継続的に福島問題の解決に携わっておられる沼田講師をお招きして、「福島題意原子力発電所の廃炉事業――技術的進展と今後の展望――」についてご講演頂いた。
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講演概要:
1)福島における解決すべき課題(廃炉の基本的考え方)
廃炉・汚染水問題は、大きく分類すると下記の4点から構成される。
@汚染水対策
A使用済み燃料プールからの燃料取り出し
B燃料デブリの取り出し
C廃棄物対策

2)廃炉に携わる機関組織
この大きな課題解決に関わっている組織とそのミッションは下記のようである。
政府「大方針の策定=中長期ロードマップの策定、課題解決の進捗管理」
原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)「戦略プラン作成と技術的支援、国際連携の強化」
東京電力「廃炉に係わる上記の4つの課題の着実な実施」
原子力規制委員会「安全規制の実施、実施計画の認可」
研究開発機関(国際廃炉研究開発機構(IRID)、日本原子力研究開発機構(JAEA)等「研究開発の実施」

3)中長期ロードマップ;その基本原則と工程
@福島における解決すべきすべての課題に取り組む際の基本原則
原則1.安全確保
原則2.透明性
原則3.見直し
原則4.政府が前面に立つ
A課題解決への工程
第1期(2011年12月から):燃料プールからの燃料取り出し開始までの期間(2年以内)
第2期(10年以内):燃料デブリ取り出しが開始されるまでの期間
第3期(2021年12月から30-40年後):廃炉終了までの期間


4)戦略プラン
中長期ロードマップの着実な実効や改定の検討に資することを目的に、下記の項目に対する戦略の策定。
@戦略プランの中身
・ リスク低減戦略(基本となる考え=安全、確実、合理的、迅速、現場指向)
・ 燃料デブリ取り出し分野の戦略プラン
・ 廃棄物対策分野の戦略プラン
・ 研究開発への取組
・ 今後の進め方
A廃炉に関わるリスク源の分類と対応方針
【分類T】プール内燃料と建屋内汚染水:可及的速やかに対処すべきリスク源。
4号機プール内燃料は取り出し済み。1,2,3号機からの取り出しにおける最大優先課題は、ダスト飛散防止対策、作業員の被曝線量低減対策。
汚染水対策のポイントは、@汚染源に水を近づけない。A汚染源を取り除く。B汚染水を漏らさない。
【分類U】燃料デブリ:周到な準備と技術によって安全・確実・慎重に対処し、より安定な状態に持ち込むべきリスク源。デブリ取り出しは、人類未経験のこと。目下デブリの状況はブラックボックスであり、取り出し方法は水中か気中か、それらの組み合わせか等々は各号機の状況次第.
【分類V】濃縮廃液、廃スラッジ、HICスラリー、一時保管固体廃棄物の一部、PCV内構造物等:より安定な状態に向けて措置すべきリスク源。放射性廃棄物の処分に対する安全確保の基本的考え方
・廃棄物を閉じ込める。
・廃棄物を生活環境から隔離する。
・放射性物質の生活環境への移行を抑制し、遅らせる。
・放射性物質の生活環境への移行量が、有意な健康影響を与えないこと。

5)廃炉に関連する研究開発への取り組み
@研究組織機関:
基礎研究・基盤研究:大学、他の研究機関(文部科学省:叡智を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業)               
応用開発:JAEA(JAEA運営費交付金による基礎基盤研究)
実用研究:IRID(経産省:廃炉・汚染水対策事業費)
A具体的な研究施設:
廃炉に関する研究開発については、日本原子力研究開発機構(JAEA)が中心となり、現在までに下記のような研究機関が設立され活動が開始されている。
・廃炉国際共同研究センター(富岡町;世界の叡智を結集した研究開発・人材育成拠点)
・楢葉遠隔技術開発センター(楢葉町;遠隔操作機器(ロボット等)の開発・実証試験を行う施設)
・大熊分析・研究センター(大熊町;ガレキや燃料デブリ等の放射性物質の分析・研究拠点)
B国際協力
廃炉を巡る国際協力は東電、NDF(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)、JAEA(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)等の機関が、海外の原子力関連研究機関や企業の専門家を招聘し、定期的に会議や共同研究を行っている。このような動きは福島県内の新聞等ではよく取り上げられるが、首都圏におけるマスコミが報道することは少ない。
また、事故直後の応急的対応に関していえば、フランスやアメリカの政府や民間企業からの人材を含め技術や設備機器の提供によって初動対応に大きな効果があったことは記憶にとどめておくべきことである。

おわりに
「福島事故の歴史・現在までの対応と今後の展望につき、事実に基づいたお話(ファクトファインディング)をしたい」との説明から講演は開始され、講演の終わりに当たっては以下の言葉で講演を締めくくられた。
・政策及び大きな方針(技術を含む)が存在し、それが細分化・具体化されて現場で作業が行われている。
・マスコミ情報が無い時は、何もなされていないのではない。粛々と作業が順調に行われている証である。
・事実の確認、収集に努力を惜しまない。価値判断はそれから。
・国内外の関係者との情報交換に努力を惜しまない。いろんな知恵が出てくる。事故の教訓は人類共通の財産。

以上 文責:橋本 升

講演資料:講演資料:「ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−」

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2017年05月25日

EVFセミナー報告:気象情報のビジネスへの活かし方 ―潟Eエザーニューズでの実例をもとに―

[演題]:気象情報のビジネスへの活かし方
―潟Eエザーニューズでの実例をもとに―

日時:平成29年5月25日(木)午後3時30分〜5時00分
場所:新現役ネット9F会議席

講師紹介:
   三枝茂様 一般財団法人 WNI 気象文化創造センター事務局長Semi20150525r2.jpg
略歴
1994年7月〜8月 北極域スピッツベルゲン調査隊に参加。
1995年11月から第37次日本南極地域観測隊に学生隊員として参加。
1997年 総合研究大学院大学極域科学専攻博士課程(国立極地研究所)単位取得終了。その後、土木系コンサルタント会社勤務。
2002年より潟Eエザーニューズ勤務。
2010年 元南極観測船「しらせ」を同社にて購入したことで活用に向けたプロジェクトに携わり、2013年 WNI 気象文化創造センター事務局長に就任した。*「しらせ」は SHIRASE と改称し、財団法人の所有となっている。

概要
  ウエザーニューズ社のサービスは多岐に亘って提供されているのであるが、実際の予報はどのように作られているのだろうか。
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  同社は「70億人の情報交信台」を目指すとして 13ヶ国 27拠点に展開、WNI 衛星 1機、TUNAMI レーダー 30基、WITH レーダー 80基、ポールンロボ 1000台、Yure Station 1000台を展開し、一日平均13万人ものサポーターから現況報告を受けて、予報の確度を高めようとしている。ポールンロボは花粉、PM2.5を観測するもので、この他、ネットワークとしての WITH センサーは全国3000台に達し、アメダスの約3.5倍の高密度なデータを収集している。

 また、夢として掲げる「70億人の情報交信台」を実現する手段として次のプロジェクトに注力している。
 ・衛星プロジェクト (WNI 衛星)
北極海の海氷の動向を捉え、当海域を航行する船舶の安全性向上を目的とするもので衛星は独自開発により打ち上げた。今後最低10機を計画。・WITH レーダープロジェクト
小型の気象レーダーを交通の要衝に配置し、目まぐるしく変化する雷雲の動向等をいち早く捉えることにより、気象による被害を未然に防ぐためのもの。
 ・津波レーダープロジェクト (TUNAMI レーダー)
沿岸域に津波観測用のレーダーを設置し、地震後における津波の動きを迅速に捉え、これによる被害を軽減していこうというもの.
 
 このように非常に公益性の高い企業活動ではあるが、メセナ活動にも注目すべきだろう。
この財団法人はウエザーニューズ社の創業者石橋博良氏により、アジア・太平洋地域における気象リテラシー向上を目的として立ち上げられ、ビジネスとは一線を画した取り組みを行っている。「SHIRASE」を紹介したい。
 ・SHIRASE
スクラップ寸前の元南極観測船「しらせ」を活用し、いろんなイベント、体験を通して気象、海象等に興味を持ってもらうことを目的としている。チャレンジング SHIRASE として、7月17日(日)にイベントを開催する予定がある。
       詳細はhttp://shirase.info/をクリックしてください。

 今回は「ビジネス」が中心であったが、日常生活にも欠かせない天候の情報を、24時間365日データを集め、分析、管理し情報として提供する現場に触れることができた貴重な時間であった。


以上 文責:工藤 宣雄

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2017年04月20日

EVFセミナー報告:京で草木染屋をやっています〜染めの実演を交えて〜

[演題]:京で草木染屋をやっています
    〜染めの実演を交えて〜

日時:平成29年4月20日(木)午後3時45分〜5時45分
場所:NPO法人「新現役ネット」A会議室
講師:青木 正明 氏(天然色工房手染メ屋 主宰)

講師紹介:
 1991年、東京大学医学部保健学科を卒業後、(株)ワコールに入社しナイトウエア及びスポーツアンダーウエア企画業務・ブランドMD業務に携わり、仕事で奈良の染色研究所を訪問した時に初めて草木色の染め色を目にして染色に興味を持ち始め同社を9年で退社、(株)益久染色研究所に転職された。
 転職3ヶ月後、古代染色家故前田雨城氏の上代染色復元絹地展示会の手伝いをした時に前田氏の染め色を観て涙が止まらない現象を体験し、自分でもこのような色目を染め出したいと強く思い同所を一年半で退所され、
 2002年1月、京都市中京区麩屋町で「天然色工房手染メ屋」を主宰しながらこれまで京都造形芸術大学で非常勤講師として染色概論座学、天然染料の染色技法実習や天然染料を使用した伎楽装束復元実習などにも携わって現在に至っている。

要約:
 草木染めとは植物の色を繊維に染めつける作業で、現代では比較的珍しい技術だが、19世紀に合成染料が開発されるまでは世界中で当たり前の染色方法だった。
 今回はムラサキの根、「紫根(しこん)」を使った染の実演をしながら、プロジェクターを使って草木染めの概要(染色とは?、高貴な紫色の歴史、紫根の特殊な染め方、薬用利用、化学的薬効評価など)を分かり易く説明して頂いた。

講演概要:
 今回は京浜東北線と山手線のトラブルの影響で多くの出席予定者の会場到着が遅れ、セミナー開始時間を15分遅らせての開始で、その間青木先生には「ムラサキの染め実演」の準備をして頂いた。
 先ず、紫根は地上部が可憐な多年草だが根は紫色で太い直根でこの根が乾燥すると染料になり、チップ状になった原料は少し匂いがし、かじると甘い(ブドウ糖)とのこと。
色をよく出すため、使う前にミルで出来るだけ細かく曳き、300ccの消毒用エタノールを混ぜ30分ほど浸け置く。次いで椿灰に熱湯を200cc注ぎ、かき混ぜて30分ほど静置しておく。ここで一旦実演を中断して、あらためて大学での進路選定の経過から草木染めに関わって来た経緯を交えて軽快な話し方で自己紹介された後、先ず「染め」とは何ぞやの説明となった。
染色とは?
 染色とは、繊維(細長くてしなやかである物質)と染料(色を持っていて、水に溶けて、手を持ってる分子の集合)が手をつなぐことで、繊維の細長い分子には+、−の「手」があり、染料にも+、−の「手」があって、繊維の分子の手に色素分子の手が磁石の力で引っ付くことと染色の現象を図を使って判り易く説明された。
 合成染料は1856年に英国の若き化学者パーキンが間違って紫色の染料を創ったのが始まりで、それまでは全て草木染めであったとのこと。
2.ムラサキの根と染め方
 ムラサキの根は古来より高貴な紫色を染め出す染料として重用されてきた。
染め方は、927年に編纂された「延喜式」第14巻“縫殿寮”章の雑染用土(くさぐさのそめようど)に38色の染め式の記述があり、高貴な紫色の染め方として紫草、酢、灰(椿灰)、薪の配分が示されていて青木先生はこれらを類推して草木染に供しているとのこと。
Semi20170420r1.jpg 先ほどエタノールに漬け置いた容器からごみ取りネットで紫根だけを取り除いて濃い赤紫のエタノール溶液に出来るだけ熱い湯を注ぎ2リットルに嵩上げし絹地を入れ、動かしながら染めた。
ムラサキを綺麗にしたいので椿に入っているアルミニウムを使い、このアルミニウムは光合成を阻害する働きがあり媒染効果による色素定着と発色するとのこと。
 紫根は特殊な染め方で、湯に入れて潰したり揉んだりしながら色を出し、次いで絹地を染め液に入れ浸け染めし、時間を置いて絹地を椿灰で作った灰汁に浸けて「媒染」する。
紫根の紫色の成分はシコニンとその誘導体で、リトマス試験紙のようにアルカリ性で青みに、酸性で赤みになるのでこれを20分から30分交互にしていく。江戸紫は青み系で京紫は赤み系で何方で終わらせるかで色を出す。シコニンは水に溶けにくく70℃、80℃のお湯の中に長時間(30分位)浸されると灰色になってしまう。またシコニンはアルコールには直ぐ出て生地には付きにくいので水で調整すると化学結合で生地に上手く付くようになる。
 次に何故灰は椿なのか?「延喜式」には灰としか記述がなく「万葉集」第12巻にある“紫は灰さすものぞ海石榴市(ツバイチ)の八十のちまたに逢える児や誰”の歌から古代染色家の仲間で類推されてきたとのこと。
3.紫根の薬用利用
 紫根は古来より薬用にも利用されている。古代中国の漢方原書「神農本草経」(西暦150〜160年)に紫根は中品(毒にもなり得る養生薬)として“味苦寒。心腹の邪気や五疸の病を治す”と掲載され、お腹に良い薬で、同じく古代中国の医学書「名医別録」に“膏を作り小児の瘡および顔のできものを治療する”と記載され軟膏としても利用されている。わが国でも江戸時代後半に華岡青洲が考案した万能軟膏「紫雲膏」が利用されてきた。
Semi20170420r2.jpg4.紫根の化学的な薬効評価
 紫根は天然染料の中では比較的言及されている物質で、シコニンとその誘導体(ナフトキノン誘導体)は薬理活性を持つものが多く、抗ウィルス薬、抗炎症薬などに利用されているが作用機能はよく分かっていないとのこと。
 日本には染色専用の植物という概念がなく、藍染の藍は元々日本原産植物ではなく紅花と同じく中国から来たもので、有用な植物として管理しながら育てて来たとのこと。

 ご講演後、今回の染め実演で出来た高貴なムラサキ色に染まった絹地を女性参加者と青木先生とのジャンケン勝負でお一人にプレゼントされた。

質疑応答
Q1:紫色は貝からとるのですごく値段が高いので高貴とされると聞いたことがあるが、その紫と今回のムラサキとの違いは?
 A:物質として全く違い、紫は洋の東西を問わず高貴なものとされているが、西の方は貝が使われていた。藍のインディゴに臭素(Br)が2つ付くとジブロムインディゴの貝紫となり全く違うものだが色はよく似た紫色。貝紫は赤みの強い紫色だが染め方やタイミング、個体差でいろいろ変わり、酸化して染まるが反応は遅く、日に当たって発色するのが特殊。一方、藍は空気中でも簡単に酸化して染まる。ほかに紫に染まる物質は知らない。珍しいからどちらも高貴と言われる。
Q2:シコニンは合成化学で作れないのか?また作れるなら利害得失はどうか?
 A:化学屋がナフサやコールタールからではなく植物の根に着いている微生物をシャーレで培養して作っているという論文を見たことがあるが、天然物と合成物とでは経済性に問題があって、紫根が使われているのが現状との事。
以上 文責:立花 賢一

講演資料:「京都で草木染め屋をやってます」〜ムラサキの染め実演と染の話〜
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2017年03月23日

EVFセミナー報告:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

[演題]:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために


日時:2017年3月23日(木) 15:30-17:30
場所:新現役ネットA 会議室
講師:WWF ジャパン山岸 尚之様

略歴:1997年に立命館大学国際関係学部入学。2001年3月に同大学を卒業。
同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連会議での情報収集ロビー活動などを担当。
2011年より気候変動・エネルギーグループ長

演題:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

要約:今回のパリ協定成立までの地球温暖化防止に係わる条約類の歴史を振り返り、パリ協定が示した方向性と特長の解説があった。その後現状についての認識、CO2削減に向 けた世界の潮流の紹介・解説が行われ、日本がやるべきことの提案があった。さらに 2050 年に化石燃料を使わず日本のエネルギーがすべて再生可能
エネルギーに よって供給されていることを前提とした長期シナリオについてのWWF 提案が紹介され、「自分・自社の身の回りでCO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”を通じての社会の変革」などへの各人の取り組みが促された。
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講演概要:
1. パリ協定が 示した方向性
1992年にリオデジャネイロサミットで交わされた「国際気候変動枠組み条約」から
今回の「パリ協定」に至るまでの数々の国際条約の歴史について、最初におさらいの
説明があった。国際社会が CO2 削減をしない場合は産業革命前と比較して 2100 年
には 4℃、頑張って削減すれば1.5〜2℃の気温上昇にとどまる予想であり、このため
には今世紀後半に化石燃料を使わず CO2 排出量をゼロにする必要がある。 京都議定
書では先進国のみにCO2削減目標が課せられたが、今回のパリ協定ではほぼ全ての国
が削減目標を持ったところに大きな意味がある。 気温上昇1.5〜2℃に抑えるために、
5 年ごとに進捗状況をチェックし PDCA サイクルを回して前回より良い目標値を
設定して行くと言う枠組みとなった。これにより新たな協定書を作る必要がなくなった。

2. 現状についての認識
これまで経済の発展には大量のエネルギー消費が伴ってきた。世界の CO2 排出量に
対して中国 25%、アメリカ 15%が大きな割合を占めている。日本は 3%でありこれ
以上の削減は難しいと言われてきた。しかし人口一人当たりのCO2 排出量で見ると
アメリカは20 トン、 韓国 14 トン、日本 11 トン、中国 8 トン、世界平均では
7 トンと、日本はまだ努力代が残 っている。

3 .世界の潮流
WWFおよびCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による
共同イニシアチブが、世界の平均気温の上昇を「2℃未満」に抑えるために企業に
対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めている。これに応えて
世界で220の企業が参加し、日本からも22企業が参加している。また、再生可能エネ
ルギー100%を宣言する企業も数多く出てきており、それぞれ達成目標年を定めている。
さらに投資や金融の面では化石燃料を使用するプロジェクトから資本を引き揚げると
いった動きも出てきており、種々の分野でCO2 削減への努力が始まっている。

4 .日本がやるべきこと
日本の温室効果ガス排出量は1990 年から見ても徐々に増えており、2013 年がピー
クになっている。日本では 2030年までに2013 年比で 26%削減、2050 年までに
80%削減の目標を掲げている。しかし、今後石炭火力発電所建設の計画が多くあり、
40年稼働するとすれば脱化石燃料の時代に入ってしまい矛盾がある。 これまでの
社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきた。 これに対し
て資源の再利用・循環利用を行い、一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネル
ギー消費を減らしていくデカップリングの考え方が出てきており、日本でも取り
入れていかなければならない。これらを含めた長期戦略の議論を進めなければなら
ない。 アメリカはじめ主要国はすでに国連に長期戦略を提出しているが、日本、
イタリアなどは未提出のままになっている。 WWF では 2050 年に日本のエネル
ギーがすべて再生可能エネルギーによって供給されていることを前提とした長期
シナリオを提案している。これによれば 2015 年に投資をした場合、2030 年には
初期投資を回収し終わり、2050年には大幅に黒字化する見通しとなっている。
私たちは「自分・自社の身の回りでの CO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”
を通じての社会の変革」を図って行かなければならない。Semi20170323R1.jpg

5. 質疑応答
講演終了後、聴講者から原発の必要性、日本の地の利を生かした自然エネルギーの活用、
カーボンニュートラルの考え方への疑問、液体バイオ燃料の輸送部門へのさらなる
活用、他、数多くの意見や質問が出され、活発な論議が交わされた。(写真 DSCN5426)
以上

以上 文責:小栗武治

講演資料:「パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために」

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2017年02月16日

EVFセミナー報告:日本海の謎

[演題]:日本海の謎  〜その深層で起こっていること〜

日時:平成29年2月16日(木)
場所:国際協力機構 市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)2階会議室
講師:東京大学大気海洋研究所 教授 理学博士 蒲生 俊敬 様

講演要旨
EVF第10回通常総会記念講演として、地球温暖化の影響が、すでに深海に及んでいるのか、私どもに馴染みの薄い基礎研究の成果からひも解いていただいた。
日本海の自然環境は、地形的な閉鎖性がとりわけ強く、また、冬季の季節風の存在があり、対馬暖流の流入という地理的特徴もある。この閉鎖性ゆえに、日本海は、独自の海水循環系を有している。
海水の循環スケールでは、全海洋で2000年かかるところが、約100年〜200年と速い。
表層の生物生産量が多く、下層への有機物輸送が活発であり、地球環境変化に敏感に反応している。先生自ら海水採取、分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
日本海での研究成果は世界に先駆けて警告を発することができるとの示唆に富む高話をお聞きした。

講演概要
1)日本海に関する基礎的事項(日本海の形成・地理的特徴・歴史的役割)
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日本海は約2000万年前から1500万年前にかけて拡大し、日本列島となる部分が、大陸から離れ、約500万年前は、ほぼ現在の姿に近い日本列島は形成された。
日本海は、いくつかの海峡で外海とつながってはいるが、海峡部分はごく浅い。最深部分で約3800mもある日本海の水のほとんどは、外洋との出入りができない。
冬季の季節風が、表面の海水を極限まで冷やして「重い水」をつくり、それが海底まで沈んでいくことで、熱塩循環が駆動され、表層水と深層水が入れ替わる、大規模に循環する仕組みがある。其れゆえ日本海の底層水に豊富な酸素がある。
また、日本海は、日本列島に温暖かつ湿潤な気候と豊かな水資源が育む美しい自然環境をもたらしている。そのことが、縄文時代以来、日本が独自の文化を発展させる上で大きく寄与した。

2)日本海の海洋観測研究から明らかになった、そのユニークな科学的特徴
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日本海を取り囲む四つの海峡はどれも浅い。そのため、海洋としての閉鎖性が高く、
独立した海水循環のメカニズムを持つ。その狭さと閉鎖性ゆえに一般の海洋よりも敏感に
地球環境の変化に反応する。
近年、日本海にわずかな変化が見え始めた。今はわずかでも、将来危険な変化になりかねない徴候だという。
自ら海水採取し分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
特に注目されるのは、溶存酸素濃度が年とともに減少を続け、過去30年間で約10%も減少したことである。
海洋表層では、酸素は植物プランクトンの光合成によって生産される。しかし光合成の起こらない深層では、酸素は海水の循環によって補強される。一方、海水中には有機物の酸化分解のため、酸素は常に消費されていく。もしこの消費に見合うだけの酸素が補充されないと、収支のバランスが崩れ、酸素濃度は次第に減少する。現在の日本海底層は、まさにこの状況にあるらしい。
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3)急激に変わりつつある地球環境の中で、日本海が今後果たすべき役割について
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日本海は全海洋の0.1%強の容積しかないが、全海洋と類似の熱塩循環系を独自に保有することから、全海洋のミニチュア版として注目されている。
ミニ海洋日本海で起こる現象は、世界の海でも同じように起こる可能性がある。地球全体でこれから起こることを先取りする「炭鉱のカナリア」としての役割が日本海には期待されている。と蒲生氏は結んだ
蒲生氏が持ち前の鋭い切り口と和やかな雰囲気で素晴らしいご講話を進められたおかげで、最先端のアカデミックな話もよく理解できた。
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この海の知られざる姿を解き明かす、
海洋科学ミステリーの本書をぜひご購読を。
以上 文責:立花 賢一

講演資料:「日本海の謎」
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2017年01月26日

EVFセミナー報告:自動運転への期待と課題

[演題]:自動運転への期待と課題・・自動車交通は今後どうなる


日時:平成29年1月26日(木)
場所:国際協力機構市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)会議室
講師:日産自動車(株) R&Dエンジニアリングマネージメント本部 グローバル技術渉外部 技術顧問  
福島 正夫 様

講演要旨
近年、一段と関心が高まっている自動運転技術につき、日産自動車の第一線で開発に携わっておられる講師をお招きし、自動運転技術の現状と課題、将来展望につき講演をいただいた。講演要旨は以下のとおりである。
1) 日産自動車のチャレンジ
”ゼロエミッション“と”死亡事故ゼロ“にチャレンジする。そのために、自動車の”電動化“と”知能化“を推進する
2) 運転支援について
ドライバーがやっている認知、判断、操作の一部をITS技術を用いて機械が補助する。その為に、車が人を守る“Safety Shield Concept”を導入し、通常運転から衝突後まで適切な技術を提供する。具体的にはACC(全車追従走行)、DCA(車間距離維持)、IBA(衝突被害軽減ブレーキ)、ESC(スタビリティコントロール)、LDW/P(車線逸脱防止)、LKS/A(車線維持)、BSW/I(車線変更時後側方車両検知)などがある。
この場合はあくまでもドライバーが主体的に責任を持って運転する
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「日産自動車HP 安全への取り組み」より

3) 自動運転について
ドライバーがやっている認知、判断、操作のうち、ステアリング、アクセル、ブレーキの操作を同時に機械が一部操作するものを言う。
米国SAEではLevel 0〜5の段階が定義されている。Level 0は全く自動運転無し。Level 5は完全無人運転。現在市販されている技術は日産セレナもBenz SクラスもLevel 2相当。
現在は高速道路単一車線の自動走行だが、2018年頃に車線変更も含めた自動化、2020年頃に交差点も含めた自動化を目指す。
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「日産自動車HP 日産が考える自動運転」より

大型トラックの自動運転による隊列走行は2008年にNEDO事業として開発を実施した。ドラーバーの負担低減、燃費の向上のメリットが大きいが、重量が重く制御が難しいなどの課題も大きい。
4) 自動運転実現化の課題
技術面では、人と車のインターフェース、外界を認識するセンサー、認識技術、地図データ収集、道路整備、通信インフラの普及、セキュリティなどがあげられる。
法規・社会面では法規整備、責任の所在の定義、社会のコンセンサス、国際協調などが課題となる。

以上の技術課題説明に加えて、内閣府主催の総合科学技術会議での総理試乗や、伊勢志摩サミット時の各国首脳試乗のいきさつ、軽井沢G7交通大臣会合での試乗エピソードなど、興味深い話題が紹介された。最後に時間が足りなくなるほど活発な質疑応答が交わされて、セミナーを終了した。
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以上 文責:深井吉男

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2016年12月15日

EVFセミナー:「自動式巨大津波減災装置の開発」

[演題]:「自動式巨大津波減災装置の開発」


日時:平成28年12月15日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:防波システム研究所 代表  濱田英外殿

講演要旨
 講師は2011年東日本大震災時の大津波災害から、自動式で経済的な新しい津波対策をと思った。2012年に発表された南海トラフの大震災の新聞記事で、自身の生まれ故郷の高知県黒潮町に日本最大の34mの大津波が到達すると想定されたので、更にその必要性を身にしみて思った。大学での専攻は反応で土木技術とは畑違いであったが、大プラントメーカーに身を置いたまま、2012年には近所の茅ヶ崎海岸、相模川の河原で自分の考えに基づく津波対策模型の実験を開始するという行動力と柔軟性を発揮され始めた。
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 そのアイデアは木造構造体自身の浮力で自動的に動作する可動する「防波扉」、「防波筏」、「防波門」および「津波警報装置」であり、津波来襲時にその力を利用しさらに逆手にとって、高い津波減災効果をより安いコストで実現しようとするものである。かつユニット形式で作製されるので、それらを多重に組み合わせることにより、巨大津波にも適用することを考慮している。完璧に津波の侵入を防ぐことはできないものの、通常は地表面に伏せて設置されていて生活や視界を妨げず、いざという時に作動して、防潮堤として機能し、津波の被害を固定式のコンクリート製防潮堤と比較して、その80%程度の高い津波低減効率で減災しようという新しいコンセプトの紹介があった。
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 現在、その装置が基本的に作動し、想定通りの波高低減効果を発揮することを、東京海洋大学および京都大学の協力の下で、小規模モデルで確認済であり、その実験結果の報告もあった。
 また、広くこの考えを理解してもらうためにも特許取得、国連世界防災会議などでの展示、日本自然災害学会誌などへの発表にも努め、その苦労話もあった。
 講演後の質疑応答でも、「津波メカニズムの理解の難しさ、減災設備の考えの難しさ」「新しい技術を実現するための課題」「スポンサーなど今後の支援体制」などについて熱心な意見・質問が出て、30分が短く感じるものであった。
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個人的な社会への思いとアイデアの実現に向けて、活動を起こした講師の熱意に感銘を受けた。海岸近辺での生活しやすさ、景観維持、建設費用の低減など現行の巨大防潮堤の欠点を補うことが期待できるものであり、うまく開発が進んで広く普及すれば良いなと思える興味の深い講演であった。
以上 文責:岡田康裕

講演資料:「自動式巨大津波減災装置の開発」
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2016年11月24日

EVFセミナー:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり

[演題]:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり


日時:平成28年11月24日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:横浜市文化観光局長 中山 こずゑ 様

講演要旨:

あうたびに、あたらしい。Find Your YOKOHAMA。講師は、日産自動車鰍フブランドマネジメントオフィス部長、ブランドコーディネーションディビジョン副本部長を歴任され、平成23年に横浜市の都市ブランド構築のために横浜市役所に移られたブランドマネジメントの数少ないプロです。ご講演は、民から官への転身で直面した組織文化の断絶から始まり、その中で着々と成果を上げてこられたその悪戦苦闘のご努力と横浜市が抱える文化観光面での課題と将来展望をざっくばらんに伺いました。
「やらされた方は戸惑っただろうが、さすがプロの仕事」「久しぶりに元気の出る明るい話を聞いた」「日本中の都市が横浜のようにブランド向上を図れば見える景色も随分変わるのでますます頑張ってほしい」などなどの聴講者の感想でした。
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講演概要:

1.横浜市を取り巻く状況
・ 横浜市民373万人のうち65歳以上の高齢者人口は2025年には100万人超え。税収構造は総額1兆4,955億円、市民一人当たり40万円と法人市民税の少ないのが特徴。
・ 都市間競争の激化でブランド価値が確立できないところは生き残れない。
2.横浜の成長戦略
・ 2011年文化観光局の発足。市長の方針は「国内外での横浜のプレゼンスを高めるため、文化芸術、そして観光MICEは非常に重要な政策分野と確信」「文化芸術のもたらす心の豊かさを、横浜のレガシーとして遺していきたい」
DSCN5200-2.jpg3.状況分析
・ データが不在、競合相手が不明、目標が不明確、ロゴやキャラが乱立という状況からスタート。マーケティング&ブランディング戦略は、自治体でも応用できると確信。
・ 横浜=中華街がなんと33%。国内魅力度ランクは第5位、住みたい街ランクは4年連続第1位だが。海外の評価はアジアの中で横浜は国内で9位、名前の認知度は96%と高いが、特徴までを認知している人は50%以下。
・ 横浜への期待は「ロマンチックな気持ち」「楽しい気持ちになれる」。
4.戦略的プロモーションの推進
・ まずトーン&マナーの統一から。その為に市内デザイナーの積極的活用、ターミナル駅での集中交通広告展開、露出度強化、祝祭感づくり、
・ その結果2012年から2015年で、広告価値換算で48%アップ。
5.ブランドスローガンの制定
・ 賑わいづくり、経済活性化、人的資源の充実、施策・事業に一貫性と持続性を持たせる。
・ 以上により「市民の誇り」や「都市全体のグレードアップの気運」を生み出す。
6.ブランドを伝えるプロモーション
・ シティーセールス/プロモーションツールにブランド表示、公民連携によるスローガンの掲出、ビジュアル中心のリーフレット、テレビによる国内外のプロモーション、時代の流れを捉えたプロモーションなどの戦略的展開
7.プロモーションの効果
・ 観光集客実人員15%アップ(対前年)、観光消費額9%アップ(対前年)
・ 外国人宿泊客数2011年に比較し2015年に約72万人と248%アップ。
・ その結果としての市内主要ホテルの稼働率も88.1%と伸長。
8.都市ブランド確立に向けた今後の展開
・ クリエイティブチルドレン活動、HAG(ハンドメイド・アニメーショングランプリ)横浜賞設立、スマートイルミネーション横浜活動などのコンテンツタイアップによる新たな魅力と賑わいの創出を目指す。
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以上
以上 文責:岡 昂

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2016年10月27日

EVFセミナー:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜

[演題]:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜


開催日:2016年10月27日(木) 15:30〜17:30
会場 :サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師 :日本塗装機械工業会専務理事 平野 克己 様

講演要旨:

講師は、50年間塗料・塗装の世界で活躍されてきて、なお現在もその第1線に立っておられる。ご講演は、塗装・塗料の技術的背景、その歴史と現状および将来の課題と展望等々大変に広く且つ深いお話を聞かせていただいた。
スマフォ、家屋、自動車等々、我々の身の回りに塗装のないものはない。一方、塗料・塗装は間違いなく環境負荷を有する。その原因は塗料を構成する化学物質にあり、これをうまく制御するのが塗料・塗装業界の課題であり、日本の技術を持ってすれば、塗装による地球環境負荷を低減することは可能であるとのメッセージを頂いた。
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講演概要:

1.塗料・塗装とは
日本での塗料生産量は年間約160万d。塗料原料は、顔料(40万d)、樹脂(40万d)、溶剤(80万d)であり、それぞれが廃水処理(50万d)、CO2とVOC発生(80万d)、塗膜等固体廃棄(30万d)という環境負荷原因を内在している(括弧内は年間の使用量乃至は廃棄量)。粉体塗料は溶剤を使わず環境に優しいが、その仕上げのきれいさでは溶剤塗料に及ばず、使用量は年間3万d程度。
因みに中国での塗料生産量は1700万d、粉体系は100万dとなっている。

塗装とは、材料表面を塗料皮膜で覆うこと。方法としては、ローラー等による直接塗装、スプレー等の間接塗装、電着塗装、浸漬塗装等々。工業製品での塗装方法はスプレー(噴霧)塗装が主流であるが、使用塗料の約50%がVOCとして外気汚染源となる。

日本での塗料工業界の状況は、1.国内生産量:160万トン/年 2.日本企業の海外生産量:200万トン/年(内、中国50%) 3.塗料製造会社:200社 4.従業員:2万名(塗装関連:20万人)5.国内出荷金額:7〜8千億円/年(世界10兆円) 6.販売店数:約5000店
となっており、一方、塗装工業に関しては、前処理10分、塗装10分、乾燥30分を1ユニットとする工業的塗装ラインが、製造業で10、000ライン、塗装業で3、000ラインある。自動車板金塗装業者数としては30、000社。

塗料業界(約200社)と塗装設備業界(約600社)は、ニーズと法律があれば課題解決に向けて一体となって対応できるが、現状では双方の共通課題とならないため共同で事に当たる体制にはなっていない。
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2.塗装の歴史
塗料の歴史は古い。1〜2万年前のアルタミラ洞窟やラスコー洞窟の壁画が鮮やかに現在まで残っている。日本では縄文時代に既に翡翠が顔料(薄い緑)として使われていた(因みに日本鉱物科学会が本年9月、翡翠を日本の石として認定している)。また、1300年前の高松塚古墳壁画がある。
日本での工業的塗装は明治初期の洋式軍艦の製造から始まり、日本特許第1号(明治18年)は「錆止塗料及ビ其塗法」である。

3. 塗装の役割
塗装の役割は美観、素材保護、機能性付加(防錆、断熱、遮熱、抗菌、防水、撥水、帯電防止、等。
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4.塗料・塗装の未来と環境対応
これからの塗料・塗装に要求される課題は、@素材の防蝕・保護、省エネ効果に優れ且つ長持ちする塗料・塗装技術の開発 A塗装が与える環境負荷の低減(CO2、VOC発生量低減、産廃排出量の削減) B塗装段階での省エネルギー)
等であるが、そのためには環境対応とグローバル化に耐えられる総合的技術革新が求められる。

これらのためには塗料・塗装システム工学という分野を形成しつつ、塗料及び塗装設備業界の壁を越えた技術革新を図る必要がある。さらに、中国のPM2.5問題の解決等をも視野に入れた海外との連携が一層重要になる。付言すると、中国では塗料中のVOC含有量を420g/L とし、それ以上の場合は使用料の4%の課税という厳しい規制を本年から課している。また、日本と違って中国では若手と女性の当該分野における活躍が見られることなど、優れた技術を有する日本も安閑としていられない状況にある。

以上
以上 文責:橋本 升

講演資料:「塗料・塗装と環境問題」
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2016年09月29日

EVFセミナー:「水のあと始末から資源化まで」

[演題]:「水のあと始末から資源化まで」〜トイレから見た世界〜


開催日:2016年9月29日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネット事務局会議室
講師 :亀田 泰武 様(NPO 21世紀水倶楽部 理事長 工学博士)、
講師略歴:
 昭和41年東京大学工学部都市工学科卒業、同年  建設省入省
 平成6年 大口径気液二相流に関する研究で博士号取得 
 平成15年 NPO21世紀水倶楽部理事
 平成23年 同理事長、現在に至る
 著書 DVD パソコンで見る「行きたくなる水辺景観」
DSCN5056-2.jpg要旨:講師は長年、水処理および利用の分野で先頭に立ってご活躍されてきた。水の汚れ/生活と下水/病原菌と下水道/活性汚泥法の誕生/下水処理/雨水と汚水/富栄養化/今後の課題などについて、分かり易く、丁寧に、そして我々の生活に則してご講演頂いた。又、活発な質疑応答の中でも、例えば、我が国の現状設備について、自然災害リスクも含め明快にお答え頂き、講師の見識の高さを垣間見る思いであった。
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講演概要:
「水の汚れ」
昭和40年代中頃の多摩川の水の汚れ、同じく隅田川の汚染による花火大会の中止など、当時の水の汚れを思いださせた。更に、セミナー会場の田町駅前の下水道管設置状況が下水道台帳を用いて説明された。

「生活と下水」
*水質悪化の原因は、有害物質/病原性微生物/有機物質/栄養塩類によるものに分類される。
*水の汚れは、有機物である。 
  <有機物と酸素>
  ☐酸素は1㎥に最大10g程度しか溶けない
  ☐水の汚れの指標BODは有機物を分解するのに必要な酸素量
  ☐BOD濃度≒有機物濃度
  ☐1gの酸素燃焼で4キロカロリーのエネルギーを生み出すと考える
  ☐人の1日のBOD量は500g
  ☐人のBOD除去率は97%
  
「病原菌と下水道」
ヨーロッパでは水系伝染病のコレラ、赤痢などの恐怖が下水道整備の推進となった。日本でも、大政奉還により関所が撤廃され、コレラのまん延に繋がったのではないかと言われている。上水道を整備すれば、怖い伝染病を防げるということが分かり、日本では下水道整備が後回しになった。

「活性汚泥法の誕生」
*19世紀後半より環境衛生上のニーズがあったが、本格的な下水処理プラントは活性汚泥法が発明された1914年以降急速に建設された。日本でも1930年に名古屋で運転開始され、覆蓋設置という独自の工夫を行い、当時の研究者の努力が評価されている。この土壌微生物を利用する方法が優れているので、100年後でも世界中で使われている。
*基本プロセスは変わっていないが、最近の進歩を紹介すると、
<窒素やリンなどの除去/微細気泡発生装置による省エネ/プラスチック膜ろ過方式による活性汚泥の分離>
 
「下水処理」
*一家庭/3人程度当たり、標準活性汚泥処理施設の容量は0.4㎥程度。
*下水処理のためのエネルギーは、標準家庭で常時15W程度の消費。
 *汚泥の発生しない下水処理法はない。

「雨水と汚水」
*年間総量では1:1だが、設計最大水量は雨水量が汚水量の100倍にもなる。
*大都市地域では従来は合流式だったが、S45年以降は新設の場合は分流式が採用された。分流式に改造は困難。
*合流式下水道の最近の課題としては、(1)お台場の衛生管理、(2)皇居のお堀水質改善、などがある。
*致死的でないが感染症を起こす水系病原微生物が現在も問題である。下水処理では病原微生物の90〜99%は除去されている。

「富栄養化」
*リンと窒素は、高度処理すれば90%程度の除去は可能。
*東京湾の水質は段々良くなっている。リン濃度は、洗濯機の普及により一時高くなったが(洗剤にリンが入っていた)、その後合成洗剤、無リン洗剤の普及により、改善された。しかし、残された干潟の元気がない。又、水温上昇(過去30年で約5°C上昇)によるお台場などの雨の後のノロウィルスの課題が残る。
*琵琶湖の水質は悪くなっており、原因は不明。
*諏訪湖の水質は良くなっており、ワカサギの魚体が小型化。
*霞ヶ浦の水質は、あまり改善されていない。

◎発生する汚泥は、一人一日4kg程度あり、その1%が固形分であり、有機物なので、潜在エネルギーの価値はある。しかし、汚泥の処理施設の「運転管理」と「最終処分」が一番大変な業務である。

「今後の課題」
(1)災害時トイレの確保、   (2)津波対策、水洗トイレの機能保持が必要、
(3)地域に根ざした水環境形成、(4)下水道資源の活用(例:コンポスト堆肥)、
以上
以上 文責:三嶋 明

講演資料:「水のあと始末から資源化まで」
posted by EVF セミナー at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー紹介