2020年06月01日

EVF Webセミナー参加申し込み方法、参加費の振込方法と質問・意見の送信方法

EVF Webセミナー参加申し込み方法、参加費の振込方法と質問・意見の送信方法

5月よりWebセミナーを開催します。

1)Web セミナー参加申し込み方法

通常セミナーと同様にセミナー申込みページからお願いします
「懇親会参加可否」は“不参加”をチェックお願いします

2)Web セミナー参加費の振込方法
EVF事務局より金額をe-mailで連絡いたします
指定口座宛てに期日までに振り込みをお願いします

3)Webセミナーへの質問・意見の送信方法
セミナー質問・意見のページから送信お願いします
事務局で整理し講師からの回答をHPに掲載いたします

Webセミナーについては、Webセミナーのご案内をご参照ください。
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2020年02月26日

EVF総会記念セミナー報告:「日本文明とエネルギー」〜歴史と地形から見るエネルギー論〜

演題:「日本文明とエネルギー」〜歴史と地形から見るエネルギー論〜
講師:NPO法人 日本水フォーラム代表理事 竹村 公太郎氏 
開催場所:JICA市ヶ谷ビル セミナールーム201AB
開催日時:2020年2月26日(水)15:30〜17:30

1.講師紹介
  講師の竹村先生は神奈川県のご出身で、東北大学工学研究科 土木工学専攻(修士課程)を修了後、建設省(当時)に入省し宮ヶ瀬ダム所長、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長などを歴任。2002年に国土交通省を退官後、公益財団法人リバーフロント研究所代表理事を経て、現在はNPO法人日本水フォーラム代表理事・事務局長。
  先生は一貫して河川、水資源、環境問題に取り組まれ、著書にベストセラーとなった『日本史の謎は「地形」で解ける(PHP文庫3部作)』『水力発電が日本を救う』などのほか、養老孟司氏との共著に『本質を見抜く力〜環境・食料・エネルギー』などの著作がある。
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2.講演概要:
  今日の話しはエネルギー論を地形で統一し、過去の歴史を見て今はこうで、将来はこうなるだろうと話しを進められた。
・なぜ、桓武天皇は奈良から出たか? なぜ、家康は江戸に行ったか?
・江戸のオイルピークと近代のエンジンは化石エネルギー(人類の歴史の奇跡の一つに日本の明治以降の近代化)
・これからの時代を近代化(膨張への対応)と考えれば、経済発展しても林業・農業・漁業が衰退し、国土が荒廃してしまうので膨張は続かない。
・日本の生き残り作戦で新しいダムを造れないなら既存ダムをどう活用(ダムに発電機を整備、ダムの運用変更、ダムの嵩上げ、ピーク発電)するかを考え、水力エネルギーは地方分散型でやっていかねばならない。
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3.講演内容
  先ず、滅びた文明(8文明:メソポタミア、エジプト、クレタ、古代ギリシャ、ローマ、ビザンティン、中央アメリカ、アンデス)と存続した文明(5文明:西欧、イスラム、インド、中国、日本)の違いを過去と現在の状況(森林率などの環境変化)スライドで判りやすく説明され、次いで360度緑に囲まれ真ん中に湖のある奈良盆地が日本の都になった背景を生命の源の「水」とエネルギーの源の「森林」というインフラ面から説明された。
  「なぜ、桓武天皇は奈良から出たか?」では歴史家の間には諸説があるが、先生は土木屋=インフラの観点から燃料や建築(祈念構造物)流域の毎年百万本以上の立木伐採で周りの山が荒廃し、大和川より何倍も大きく「水」と「木」が豊かな淀川流域にある京都へ遷都したと、今の奈良盆地からは想像がつかない説明であった。
  次いで「なぜ、家康は江戸に行ったか?」では宮廷、寺院、城などの祈念構造物のための巨木伐採(木材需要)進展により森林再生が困難となる時代変遷と秀吉による山地荒廃した関西から未だ文明の地でなかった利根川流域の手つかずの森林(エネルギー)が広がる江戸への移封の歴史面から多くのスライドで説明された。
いよいよ「江戸のオイルピーク」の話しに移り、江戸時代の耕地面積と人口変遷グラフや天領となった天竜川流域の木材伐採量の推移グラフなどと歌川広重の「東海道五十三次」に描かれた沢山の絵には東海道筋の山や丘に鬱蒼とした木々がないはげ山の景色を重ね合せて江戸末期には日本列島全体の森林が荒廃し、貴重なエネルギー源であった木材の確保が難しくなっていたとのことだった。
  「近代のエンジンは化石エネルギー」について、人類の歴史の奇跡の一つに日本の明治以降の近代化の話しが紹介された。ペリー提督の黒船来航を機に大政奉還、王政復古となり、政府が蒸気機関を横浜〜新橋に導入し、北海道、いわきと九州で小規模だったが炭鉱が開かれ、当時の規模では石炭は無尽蔵で、これを機に紡績や重化学工業が発展した。
第2次世界大戦前夜の石油産出分布図(1940年)が紹介され、当時の需要量400万klに対して供給量は30万klしかなく残りはアメリカに依存していた。当時は国内で木炭バスが走り、各地の山々ははげ山と化していた。昭和天皇独自録に「先の戦争は、石油で始まり石油で終わった」とあり、エネルギー可採年数(2013年)が石炭で約109年、石油で約53年、ガスで約56年、巨大油田発見の経年変化を見ると発見の中心が1960年代で、供給のピークは2020年と云われていた。世界のエネルギー自給率(2015年)では、第1位のノルウェーが677.4%、第2位のオーストラリアが235%、第8位のアメリカが85.0%に対して日本は第33位の6.0%となっていて、再生可能エネルギーで「日本は生き残れるか?」もう限界が見えてきたとの事。
 これからの時代を「近代化(膨張への対応)、」と考えれば、人、面積、時間の生産性を上げることであった。人の生産性を上げるには大量生産のための画一性、マニュアル化→人は都市に集中し、各地方の過疎化への原因となった。面積の生産性で都市集中→地方の衰退→多様性の喪失に、時間とスピードを上げるとエネルギー大→地場産業が衰退し、自然と向き合ってきた林業・農業・漁業が衰退し、国土が荒廃していくことなった。この膨張は続かない。
  「確実な未来」について、気候変動による自然の狂暴化、地球環境の悪化とエネルギーの緊迫がほぼ間違いなく云えるとのこと。日本人口問題研究所の「日本二千年の人口史」
では江戸時代に3,000万人の人口が何処からも侵略されずピーク時には12,800万人まで急増し、現在12,400万人と減少し、これまでの膨張から縮小に転じ、持続可能から次世代、次々世代への「日本の生き残り作戦」は画一性から多様性、集中から分散型、スピードからスローにしろと云うこと。即ち石油、ガス、石炭、ウランは尽きるので、天然で尽きることのないエネルギーは太陽エネルギー、地球の重力、電磁場とマグマである。その「太陽エネルギーは無限で膨大」だが単位面積あたりのエネルギー濃度が薄いという弱点がある。風力も同じ。明治時代にグラハム・ベルが来日して日本列島を見て、四方海に囲まれお天道様があり、雨も降り、日本の地形は70%が山でエネルギーを集める装置があると見抜いたとのこと。これが水力エネルギーの強みである。日本列島は日本海側と太平洋側の間に分水嶺があり公平な国土をなしているが滝のような川が弱点でダムが必要となる。
「日本の水力発電」は、気象はアジアモンスーンの北限(雨が多い)、地理は海に囲まれている、地形は70%の山地が雨を集める装置、社会(インフラ)は平等な脊梁山脈で装置であるダムは太陽エネルギーの貯蔵庫と云える。
 先生は建設省に入省して川治ダム、大川ダムと宮ヶ瀬ダムの建設を担当された。新しいダムを造れないなら既存ダムをどう活用するかを考えている。先ずすべてのダムに発電機を整備する。ダムには発電機が付いているのもあるが、治水と利水があるが発電機が付いていない。ダムに簡単に穴を開けることができる。次いでダムの運用変更をする。特定多目的ダムには治水と利水があるが相反した運用を強いられている。治水はなるべく空にして洪水に備え、利水はなるべく貯めて渇水に備えている。今、台風が何時、何処に来るのか判っているので来る前に空けておけば良い。最近台風が多くなって、今やっと60年振りに運用変更が始まった。もう一つ、ダムの嵩上げがある。ダムの上部は広いので10m嵩上げすると容量がズーッと増える。もう一つ、本ダムの下流に小さなダムを造ってピーク発電の流量調整ダムとして使う。
 最後に、水力エネルギーとは太陽エネルギーと重力エネルギーとの話しで、これからの生き残りは進化(分化)で、進化は多様性(分散)。集中は退化であり、分散は進化である。東京への電力供給は大きな電力でやらねばならない。水力は分散型で中小規模発電であり、各地方でやっていける。これからはAI社会と云われているが、ものすごい電力を使う。日本海側は雪があり豊富なエネルギーがあるので、計算センターを日本海側に置くと良いだろう。
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  ここまで丁度1時間半、新型コロナウイルス感染予防のマスクを装着しながら多くのデータや写真を駆使した説明を頂き質疑応答に移り、主な質疑応答を以下に紹介します。
Q1:気候変動が激しくなり、予想も出来ない雨量が百年に一度ではなく変わってきている。インフラの整備とダムの話しをどう組み合わせたら良いのか?
A1:今あるダムをどう使うか、やっとその操作を変える方法が判って来た。今ある150位のダムの運用変更で、台風が来るぞ〜となったら水位を下げて空振りに終わったら(渇水、干ばつ)保険で対応する位考えて良いだろう。運用変更で洪水の安全性を上げる処に入ってきた。今あるダムを200%位価値あるダムに運用変更でして欲しいと云っている。
Q2:この前の台風で、ダムが満水になりオーバーフローすると崩れて大変なので緊急放流をするとの事だったが、これには運用変更で対応できると云うことか?
A2:あの事例はダムの洪水容量が絶対的に不足していた。山間部の川に障害物を造って流路を蛇行させ、洪水時にはその上流で水がダムアップする。これはダムではなく河道の蛇行の問題で、安全性のサービスには種々の工夫が必要。
Q3:農業用水に発電の仕掛けとか運用変更が仮に出来たとしたら日本の電力事情がどのようになるのか?
A3:今の電気のうち水力が10%位、既存ダムを使っても30%位か?水力は分散エネルギーなので、各地域毎にグリッドを造って使って行く世界になる、なって欲しい。
Q4:川に小水力発電機を設置しようとした場合やせせらぎにマイクロ水力発電機を設置しようとした場合、農業用水の水利権の問題があると聞いているが、政策的な対応は可能なのか?
A4:川という公共利用は厄介だが、川の水利権は随分緩くなって来た。但し、組織が大きく地方ほど難しい。所長が替わればガラッと変わるが、時間が解決する。
Q5:日本中にエネルギーを分散させた時に人口も分散しないと上手く行かないのでは?
A5:日本海側に農業用水というインフラがあるので世界の計算機センターを持って来て、若い人を集めるような事をしないと難しい。
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30分間の質疑応答も時間が足りないくらい密度の濃く判りやすいご説明で出席者一同の大喝采の中、2時間のご講演を終えました。
文責:奥野 政博

講演資料:日本文明とエネルギー
  
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2020年01月23日

EVFセミナー報告:食品ロスと必要とする人をつなぐマクジルトン・チャールズ氏20年の歩み

演題:食品ロスと必要とする人をつなぐマクジルトン・チャールズ氏20年の歩み
演題 : 「食品ロスと必要とする人をつなぐマクジルトン・チャールズ氏20年の歩み」
講師 : セカンドハーベスト・ジャパン 創業者/CEOマクジルトン・チャールズ氏
開催日時 : 2020年1月23日(木) 15:30〜17:30
開催場所 : NPO法人新現役ネット会議室
聴講者数 : 35名

1.講師紹介
講師のマクジルトン・チャールズ氏はアメリカ北西部モンタナ州の生まれで、高校卒業までの18年間は波乱に満ちたものだった。その後海軍で横須賀に駐屯→ミネソタ大学→上智大学に進学。上智大学の時に「山谷」や「隅田川沿いのホームレス」を体験する。これが講師のセカンドハーベスト・ジャパン創立の原点となった。
現在は上智大学教養学部非常勤教授(Sophia University, Faculty of Liberal Arts)

2.講演概要
現在日本での食料廃棄物は年間で1,800万トンにも達する。一方で、食べるものに困っている人が2百万人を超えている。講師はこの2つをつなぐ以下のような活動を20年間にわたり培ってきた。
(1)Harvest Central Kitchen:
寄贈された食品を調理し、生活が困窮している人々へ温かい食事を提供する活動
(2)Harvest Pantry:
個人世帯を対象に緊急食糧支援を行なう活動
(3)Food Bank:
品質には問題がなく賞味期限も残っているのに廃棄されてしまう食品を寄贈して貰い、配給先のニーズと調整しながら配給する活動
(4) Advocacy & Development:
フードバンク活動の普及と発展のための研究調査や講演、シンポジウムの開催など

2020年には、10万人に生活を支えるに十分な食べ物を配給する体制づくりを目指している。

3.講演内容
1.【フードバンク経歴】
◇ 2000年1月 : フードバンク/Food Bank Japan を設立 (連帯組織)共同代表
◇ 2002年3月11日 : セカンドハーベスト・ジャパンを設立 
◇ 2010年4月5日 : Second Harvest Asiaを設立 
◇ 2013年2月 : 公益財団法人フードバンク連盟を設立 理事長
2.東京では緊急的な支援を受けられる場がまだまだ少ない。
    ニューヨーク    : 1,100ヶ所
    サンフランシスコ  :  250ヶ所
    香港        :  160ヶ所
    東京        :  25ヶ所

3.2007年にテレビ「ガイアの夜明け」で取り上げられてから、食品を提供してくれる会社が飛躍的に増加して、今日の基礎を固めた。
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4.「ボランティア」と「無償スタッフ」の違い
ボランティアは自分の都合の良い時だけしか働かない。無償スタッフは必要な役務を無償で提供してくれる。

5.「生活困窮者を助けてあげる」のではなく、「困っている人が自立できるよう道具を貸してあげる」ことが大事である。

6.フードバンク運営の基本は食品を提供してくれる会社とも、食品を配給する相手とも対等な立場を維持することである。
・「あげる→もらう」の一方通行ではなくお互いが対等なパートナー。
・提供者とセカンドハーベストジャパンの対等な信頼関係が、セカンドハーベストジャパンと食品受給者との対等な関係につながる。

7.フードバンクの仕事のリーダーシップの過ちは、人としての適応性の課題をテクニカルな課題と間違えてとらえることである。

8.現在の課題は以下の3点が不足していることである。
    ・人材  :  People
    ・協力者 : Pertners
    ・資金  :  Philanthropy
    
4.質疑応答
  主な質疑は以下の通り。
Q.食品衛生に関する行政からの指導はあるか?
A.販売しているわけではないので行政からの指導はほとんどない。
    
Q.需要の見込み違いで提供された食品を廃棄することはないか?
A.需要と供給を計画的にマッチングさせているので廃棄することはない。

Q.食品提供者はセカンドハーベストジャパンに渡せば責任は終了か?
A.食品は提供者から預かった形であり、どこに配給したかを毎月提供者に報告している。

セミナー風景写真 :
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以上
文責 : 小栗武治

講演資料:マクジルトン チャールズ氏20年の歩み

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2019年12月19日

EVFセミナー報告:自動運転実現に向けた世界の動き

演題:自動運転実現に向けた世界の動き
講師:内村 孝彦様 特定非営利活動法人 ITS Japan常務理事 、東京大学生産研究所次世代モビリティ研究センター特任研究員
開催日時:2019年12月19日(木) 15:30〜17:30
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室
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1.講師紹介
・1981年 日産自動車株式会社入社
・主な開発業務
 衝突安全、エアバック初の市場投入
 衝突安全開発を北米で開始
 世界統一ダミーの開発
 先行開発を北米で開始
・現在
 特定非営利活動法人 ITS Japan常務理事 
 東京大学生産研究所次世代モビリティ研究センター特任研究員
2.講演概要
自動運転車の商品化、普及より、交通事故の減少、渋滞削減、二酸化炭素の削減が見込まれている。各国や多くの自動車メーカーやその他の企業が完全自動運転相当の自動運転車の市販に向けて開発がおこなわれている。
講演では、民間組織の代表として関係組織と連携した活動を推進しているITS Japanの常務理事である講師が自動運転の課題と世界の自動運転開発動向とこれからの見通しなどについて、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の観点から分かりやすく語られた。
 世界の自動運転開発動向
 自動運転とは?
 世界動向
 欧州、米国、UK、日本
 高度自動運転車両(Level 4)
 Level 4 Mobility Service実用化の課題
自動運転は利点が多々あるが、潜在的障害も多く、障害に対処するための方策や制度上の問題、技術的限界、現地調査など、多岐にわたる情報からの、将来展望も含めた講演である。
3.講演内容
4,世界の自動運転開発動向
〇欧米共通
・実証実験が依然拡大
・自動運転に活用する車両の進化
・条件付自動運転(Level 3)以上の実現は容易でないと認識が高まる。
・自動運転実現には安全の確保は必須の下、規制の破壊的取り組みが必要である。
〇米国
・自動運転評価試験場が各地で拡大
・自動運転への物流への適用が進化
・自動運転用いて移動困難者へのモビリティ提供も進化
〇欧州
・二酸化炭素削減等環境対応への取り組みが拡大
・自動運転による環境改善への効果が期待される。
・国際連携を積極的に推進
自動運転と課題
●日本語では自動運転の表現は1つしかないが、英語は多種類あり、使う言葉により表す自動運転は異なる。
●自動運転への期待:渋滞による時間損失を問題視して、2次作業の許容を狙う。
●どのような自動運転を実現するのか:価値の提供が必要であり、欧州では運転中の2次作業の許容を目指す。米国では、製造物責任の課題があり、ドライバーに運転責任を残す考え方が主流。
●GMの運転者支援装備:2020年からドライバーの目の動きをモニターして周囲の監視を怠ると警報を発する。
●自動運転実現に向けた課題-1
センサーは異常気象による竜巻、枯葉、砂塵などを検知しにくい。
道路の地割れは発生比率は低いがセンサーは検知しにくい大きな問題がある。
センサーは、人間のような情緒的な判断ができない。
自動運転実現に向けた課題-2
遂次変化する環境への対応が難しい。
実験場だけのベンチテストだけでは評価不十分である。
性能とコストは比例する。
●自動運転実現に向けた課題-3
自動・手動運転車の混在問題があり、自動運転からの人間への切り替えの対処
システムのエラーへの対応能力に個人差がある。
ドライバーモニタリングとして注意喚起、状況記録が必要になる。
●自動運転実現に向けた課題-4
高度道路交通システムでは繋がるほどリスクが高まる。
法律と規制の制度や仕組み、事故や不具合時の賠償責任、実用化による効果の把握必要。
●自動運転実現に向けた課題-5
自動運転システムに対する倫理的配慮として安全、モビリティ、合法性の成立が必須である。
さまざまな環境でどのように自動化を機能させるか、哲学者と技術者の共同研究が必要。
●自動運転実現に向けた課題-6
法律は事故の起こり得るシナリオをカバーできない。
法律を破ることがより安全な場合もある。(速度超過、車線離脱、道路外走行)
車の挙動は、設計思想に委ねられる。
●保険に関するパラダイムシフト
運転者が関与しない車の責任の所在は、運転者?、自動車製造会社?、サプライヤ-?、
保険会社?、政府?、になるのか、現在の法律では運転者に責任があることになる。
運転支援により、交通事故が減少することが期待されている。
世界動向
情報源として2019年度の主要国際会議からの最新情報から
●欧米の動向
統合移動サービスの実現として自動運転車両の公共交通への活用に期待
●欧州の動向
・交通安全、排気ガス低減、渋滞削減、アクセス向上、輸送精度、快適性、時間の有効活用、土地利用の改善、新たな仕事の創出、欧州による業界リードを目的にITS、つながる車、自動化車両を取り込んだCooperative, connected and automated mobility (CCAM)を推進している。
・CCAM推進のための欧州委員会の施策として、デジタル、研究開発活動、協調型ITS、産業について欧州域で連携して共通目標であるCCAMの開発を加速させ実現するために、車載技術、車両評価、大規模デモ、共有自動運転、社会経済的評価、インフラと接続の保証、ビックデータ・AIの8つのテーマを上げて取り組んでいる。
法的枠組み:テスト、検証、認証の標準化。道路システムすべての関係者の責任と義務の定義。
・自動運転により、二酸化炭素削減等環境対応への取り組みが拡大し、環境改善への効果があると期待がよせられている。
●米国の動向
・米連邦運輸省のニーズとしては、毎年3万人を超える自動車事故による死者を減らしたい意向がある。
・自動運転車のスマートシティでのパイロットプログラムが一般市民も参画して3地域で実施されている。
ニューヨーク市では政府や民間企業の出資のもと、1万台の公用車を活用して交差点の安全、歩行者保護等を対象に、実施されている。
タンパ市では混雑時の渋滞削減と歩行者、自転車安全を対象に、実施されている。
気象が厳しいワイオミング州ではトラックへの気象、交通情報提供を対象に、実施されている。
・2018年10月に発行した自動運転車3.0の施策方針は、輸送の未来に備える6つの原則と戦略を掲げている。
安全性を優先、技術中立を維持、規制を刷新、規則、運用環境の整合促進、自動運転に積極的に対処、アメリカ人の亭受する自由を保護促進するとしている。
・各地で実施の自動運転低速シャトル実証試験では、当初フランス製であった車両を米国車で展開している。
・自動運転バスについては通勤渋滞がひどいリンカートンネル間で、渋滞削減を狙い、バス乗車促進による走行車両を削減する試みが始まった。
・自動運転車と協調型自動運転車に米連邦運輸省から8プロジェクトに60m$の助成金が投入されている。なお、米国は政府による自動車会社への介入は低い。
・自動運転評価試験場が各地で拡大
・国の予算で実施したので報告書はしっかりしたものになっている。
●UKの取り組み
・2019年9月発行の2030年までの協調型自動運転車のロードマップには、社会と人、車両、インフラ、サービスの観点での関連要素の連動をまとめている。
・モビリティの未来の施策では、人、物質、サービスの世界でリーダーになる。
・クリーンな成長の施策では、クリーンな成長への世界的変革について、英国産業の利点の最大化を目指している。
・高齢社会の施策では、高齢化社会のニーズを満たすために、革新力を活用するとしている。
・AI&データ経済の施策では、UKを人口知能とデータ革命の最前線に置くとしている。
●日本の取り組み
2019年9月発行の官民ITS構想・ロードマップ2019には、自動運転システムによる社会的期待として、より安全かつ円滑な道路交通社会、より多くの人が快適に移動できる社会、産業競争力の向上と関連産業の効率化を上げている。
・安全運転支援システムの普及については、交通事故削減にかかわる指標として2020年を.目途に交通事故死者数2500人以下としている。
・2025年までに、つぎの自動運転(Level 4)を確立する。
自家用車:高速道路での自動運転(Level 4)
物流サービス:高速道路での自動運転トラック(Level 4)
移動サービス: 限定地域での無人自動運転移動サービス(レLevel4)
・2030年までにつぎの世界一安全で円滑な道路交通社会を構築するという目標を定めている。
自家用車:交通事故の撲滅・交通渋滞の緩和、産業競争力の向上を図る。
物流サービス:人口減少時代に対応した物流の革新的効率化を図る。
移動サービス:全国各地域で高齢者等が自由に移動できる社会にする。
・自動走行ビジネス検討会を経済産業省と国土交通省で2015年に立ち上げた。
また、国土交通省は法律改正への取り組み、警察庁では交通ルール策定に取り組でいる。
高度自動運転車両(Level 4)
〇高度自動運転車両Level 4では、実現形態がつぎの2種存在する。
・走行環境によりレベルを変化させて走行できる車両
・操作系がなく常にレベル4で走行する車両
〇Level 4の課題
・乗用車の高度自動運転車両の課題・・・運転しない移動が可能、運転条件切り替えの際の要件、無人走行時の要件等
・乗用車派生の運転を必要としない移動専用車利用:新しい車両の定義、運転免許等
・低速シャトルの実用化から幅広い車両への展開:車両に求められる性能要件等
・利用制限範囲拡大に対する課題:車両にかかわる要件とインフラ等走行環境に関する要件
●自動運転を取り巻く環境
・ロードマップでは:物流/移動サービスについては2020年限定地域での無人自動移動サービスを実現、オーナーカーでは高速道路から一般道へ拡張していく。
・Level4車両の必要性:物流/移動サービスの運営上のコストは人件費が約60%を占める。
また、若い運転手の大型第二種免許保有者の年度ごとに減少、無人運転により人件費改善の可能性がある。
Level 4 モビリティサービス実用化の課題
●無人運転車両の実用化のニーズは高く、世界各地域で物流/移動サービス用車両に焦点を合わせ、Level4無人化を想定した実証実験が進行中であるが、実現に至れる車両の認可、運用など法制度含めた課題、持続可能とするビジネスモデルの構築等の諸条件が準備できていない。また、技術的難易度が高く、実用化・実運用にはまだ至っていない。
●Level 4モビリティサービスの実用化を実現したい。
・無人運転を実現するために、運行設計領域を含めた提供サービスを明確化し、国際的に受容できる地区限定実用化を実現し、早期に社会貢献することが望ましい。
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■質疑応答
Q1:Level 4の車両はいつ頃できるか
A1:高価格であるがもうすでにできている。
Q2:実証試験段階の保険は
A2:東京海上火災自動車保険で契約できると聞いている。
(文責:立花 賢一)
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2019年11月28日

EVFセミナー報告:これからのエネルギーとCO2活用への道

演 題 :これからのエネルギーとCO2活用への道
講  師 : 保田 隆 様 日揮グローバル株式会社シニアーフェロー
開催場所 : 品川区立綜合区民会館「きゅりあん」大会議室
開催日時 : 2019年11月28日(木)14:30〜17:30
 
1.講師略歴: 
・1982年 東京大学工学部反応化学科卒業、同年 日揮株式会社入社
・2003年〜2009年 リファイナリー、ニューエネルギープロセス部長
・2009年〜2014年 執行役員、技術統括担当役員(CTO)、技術開発本部長
・2014年〜2016年 常務執行役員、プロセス技術本部長
・2016年〜2018年 常務執行役員、インフラ統括本部長代行、技術イノベーション本部長
・2018年 日揮株式会社 顧問、日本エヌ・ユー・エス株式会社特任顧問
・2019年 日揮グローバル株式会社シニアフェロー、日本エヌ・ユー・エス株式会社シニアフェロー、日本メタンハイドレート調査株式会社(JMH)取締役、JCOAL評議員、石油学会理事など

2.講演概要:地球温暖化問題から今世紀中の「炭酸ガス排出実質ゼロ」に向けて、世界は脱炭素社会へ大きく舵を切りつつある。化石燃料に制約が課せられる一方、再生可能エネルギーや水素社会への転換が求められている。講演では、これからの世界におけるエネルギー問題と言う複雑なシステムを次の観点から問題を掘り起こし、将来展望が語られた。
〇現時点でのエネルギー各論
〇脱炭素社会から要請される各種のエネルギーのあるべき姿
〇低炭素・脱炭素社会を誘導するために新しく生まれつつある世界における金融・財政的仕組み
〇脱炭素社会創設のキーワードである「CO2の活用の道」
現代世界における最重要課題の一つである地球環境問題の根幹をなす「密接不可分なエネルギーと炭酸ガス問題」の現状分析、解決への道を技術的のみならず金融・財政的仕組みという観点からも縦横無尽に語り尽くされた感のある講演であった。
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3.講演内容:
(1)エネルギー長期見通し
今後20年間における世界的なエネルギー需要は30数%増加と見通されているが、一方環境意識から低炭素化が一層求められている。
個別エネルギーそれぞれの展望としては、再生エネルギーが全電源の半分を占め、化石燃料はエネルギー源として必要であるが、環境問題から天然ガス利用にシフトし石油、石炭等の化石燃料率は今後急激な低下を見る。原子力の需要も減少。
石炭は炭酸ガス問題からフェードアウト、石油は便利さから使い続けられるが、2035年頃までに需要がピークアウトすると見られる。
地球温暖化問題の深刻化から結果として世界的に再生可能エネルギーに頼らざるを得なくなる。化石燃料+CO2活用の道も探る必要がある。

1−1)LNG
世界的にLNG需要拡大(過去10年間で40%増加)最大の輸出国はオーストラリア、最大の輸入国は日本だが、中国、インドの輸入量アップが著しい。これからの20年間で産出量は倍増、アジア地域での消費量は世界の70%となる。一方、脱炭素問題から石炭同様座礁資産となる可能性もあり、バイオメタン、合成メタン、水素等への転換が求められる。
1−2)シェールガス
現在は、北米が生産の中心、これからは南米、中国等での生産が増加。米国は増産トレンド。
1−3)原子力
日本のエネルギー基本計画では2030年国内原子力発電シェア20〜22%としているが、達成は恐らく無理。中国、ロシア、新興国では伸びるがOECD国では撤退傾向。
1−4)再生可能エネルギー
今後最も増加するのは再生可能エネルギーである。2016年から2040年にかけて、水力を除いた風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーの発電は2〜 3倍に増加すると予測。水力を含めると、一次エネルギー消費に占める再生可能エネルギーのシェアは2016年現在 の10.0%弱から、30%前後へと拡大。
再生可能エネルギーは自然任せで変動が大きい。従って、今後の課題として蓄エネルギーシステムの導入が必須であり、それらのコストダウンが再生エネルギー拡大の鍵。
再生エネルギーが普及するほどに、それらは分散エネルギーとなり、手軽に連続的に使うにはリチウム電池をはじめとする蓄電池の導入が不可欠となる。
1−5)水素エネルギー
水素は、脱炭素社会でのエネルギーとしての役割と同時に、炭酸ガス等を有効化学製品に転換するために必須のものである。
【水素を得る手段】化学反応によって化石資源や様々な化学物質から製造可能。
【水素エネルギーの運搬手段】水素製造場所から水素利用の場所までの移動のために、手段が必要。液体化、他の化学物質にくっつけて使用場所で分離する等々の方法あり。インフラ整備が課題。
【課題】これらの「手間」に掛かるコストの低減が課題。因みに、現状ではLNGが15円/m3に対し水素は100円/m3程度。少なくとも20円〜30円/m3にすることが必要。

(2)温室効果ガス削減とCO2活用への道
(2−1)パリ協定とそれをめぐる世界(含む石油メジャー)の動向
1)パリ協定(2015年):
・全ての国が温室効果ガス削減に取り組むこと。
・世界の気温上昇を産業革命以前の気温から2℃を超えない水準(1.5℃を努力目標)とする。
・今世紀中に世界の脱炭素化を図る(排出実質ゼロ)。化石燃料依存型からの抜本的転換。
・パリ協定達成のための必要CO2排出削減目標=2060年までに世界で年間300億トンを削減(2016年の世界のCO2排出量は323億トン、日本の全排出量=13億トン、日本の石炭火力排出量=2.6億トン、ガス火力=1.7億トン、石油火力=0.4億トン)。

2)パリ協定以降:
〇 欧米の動き
・EU環境理念主義とUS現実主義の対立
・欧州の施策=2050年にほぼ80%削減が目標。電力の脱炭素化へ。再生エネルギーへのシフト。石炭火力の停止。等々
・米国=パリ協定を離脱。温暖化ガス排出削減に係わる先進技術を展開し、世界のリーダーを目指す。CO2除去技術でCO2固定化の推進。
〇 日本の動き
・日本の長期戦略(2019年6月閣議決定)=脱炭素社会を目指し、2050年までに80%の温室効果ガスを削減。このため、革新的技術開発が必要。イノベーションを通じて環境と成長の好循環を目指す。
〇 石油メジャーの動き:
・株主、機関投資家、NGO等からの圧力もあり、石油に過度に依存しない経営体質への転換を急がざるを得なくなってきている。

(2−2) 温暖化問題とCO2活用への道
1)二酸化炭素削減技術
〇 CO2の利用や製造でよく用いられる技術用語を以下に簡単に解説する。
・【合成ガス】化石燃料のガス化や、触媒を用いて炭化水素を分解して得られる水素と一酸化炭素(CO)の混合ガス。さらにこれからアンモニア、メタノール等が誘導される。
・【FT合成】合成ガスから液体燃料を合成する。
・【メタネーション】CO2と水素からメタンを合成し、CO2発生の少ない燃料あるいは化学原料に転 
 換する。
・【逆シフト反応】CO2と水素からCOと水を作り、これを合成ガス原料とする。
・【部分酸化】炭化水素系燃料と空気の混合物を部分的に燃焼させる反応。水素に富んだ合成ガスが生成される。
〇 CCS:Carbon dioxide Capture and Storage:
発電所や工場排ガスから炭酸ガスを分離し、高圧で地中に圧入・貯留する。まだ開発途上とでもいうべき段階であり、世界的には大規模(年間80万トン以上)プロジェクトは10数件、処理される炭酸ガスは年間4000万トン程度にとどまる。日本では2019年11月22日に苫小牧で累積30万トンの圧入を達成した。
現状での試算では回収CO2トン当たり7300円と評価され、石炭火力では、kWh当り7300円となりまだまだ実用化には遠い。
・特殊な炭酸ガス固定法として、セメント製造時にセメントの半分以上を、CO2と反応することでCO2を吸収し固まる性質を持った混和材に置き換え、セメント製造時に排出されるCO2を大幅に削減する方法もある。
〇 CCUS:Carbon dioxide Capture、Utilization and Storage:
換言すれば、これはカーボンリサイクルである。CO2を回収した後に
・石油油田にCO2を高圧注入し、石油回収を行うと同時に地中にCO2を貯留。
・人工光合成(CO2と水素を原材料とし太陽エネルギーと触媒を活用し合成ガスを作る)の原料とし、さらに合成ガスから化学品を誘導する。水中の微細藻を利用し光合成で成長させ、これを原材料として液体燃料などを製造。

2)カーボンリサイクル
〇日本のカーボンリサイクル促進の動き:2019年1月ダボス会議で安倍首相がその重要性を強調。経産省にカーボンリサイクル室を設置。予算増加の動きあり、産学ともに推進機運にある。
ロードマップとしては、2030年までは回収技術の確立、その後普及品(ポリカーボネイト、バイオジェット燃料、コンクリート製品等)製造技術の低コスト化を実現し、安価な水素の調達が可能となる2050年以降は汎用品の生産技術確立を図る。
〇 カーボンリサイクルの中で、CO2を新しい燃料として転換するときに重要な働きをするのは水素であり水素コストがCO2用途拡大のキーとなる。
〇 水素製造コスト:水素製造法には各種あり、製造コストは原料コストに大きく依存するが、現状で製造コストの高いものから順に列記すると、水の電気分解、重質油の部分酸化、石炭ガス化、天然ガス中のメタンの水蒸気改質や部分酸化等々がある。いずれも、原料となる化石燃料および分解用エネルギーとしての電力コストにほぼ比例する。
水の電気分解の効率は既に充分高く、電解水素のコストダウンは既に限界に近く、他の方法での水素製造方法でのイノベーションがのぞまれる。

(3)まとめ(脱炭素社会実現のための世界の流れ)
〇 パリ協定の目標⇒今世紀中の「炭酸ガス排出実質ゼロ」に向けて、低炭素を軸とした現状から脱炭素を軸とした社会への転換のためには世界的な技術的イノベーションが必要になる。
〇 世界的な運輸・産業・民生・電力の各分野におけるCO2発生実態を定量的に把握し、次世代ないし次世紀まで持続させない技術とさらに生み出すべき技術を見極め、それらに必要な経済的側面も見極める必要があろう。
G20の要請により金融安定理事会が民間主導の気候変動関連財務情報開示(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)を発足させた(2015年)。世界で567機関、日本で43機関が署名しており、パリ協定とTCFDとが密接に関連し始めている。
〇 財政面では、世界的には、ESG投資が進んでいる。これは環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業(環境問題であれば、地球温暖化対策に取り組む企業)を重視・選別して行う投資である。世界的には2018年には3千兆円を超えている。
〇 <タクソノミー> EUのサステナビリティ方針に資する経済活動を分類したものであり、EUのアクションプランでは金融商品の基準や銀行の資本規制等、さらには機関投資家による投資などもタクソノミーのグリーンリストに基づくことが必要とされ、エネルギー関連では再生可能エネルギーは問題ないが、石炭火力は不適格とされている。
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Q&A
〇 バイオ利用のジェット燃料製造が世界でも複数試みられているが、展望如何?⇒技術的にはいろいろと進んでいるが、最終的にはコストが課題であろう。
〇 GTL(天然ガスからの液体燃料製造)の展望は?⇒ShellやSasolの技術が生かされ世界で商業生産に使われている。石油製品需要の減退傾向の中でGTLプラントのニーズは高くないと考えられる。CO2やバイオマスを活用した合成ガスからFT合成で液体燃料を製造するプロセスが期待されるが、コスト面ではハードルが非常に高い。
〇 CO2回収技術について⇒アミン回収が主流。コスト問題は装置規模との相関大。固体吸着・分離の方法もあり得る。
〇 ESG投資の見通しは?⇒世界的には確実に拡大しつつある。 
(文責:橋本 升)

講演資料:これからのエネルギーとCO2活用への道
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2019年10月24日

EVFセミナー報告:津波リスクと可動型防波堤による減災

演 題 :津波リスクと可動型防波堤による減災
講  師 : 平石哲也 様 京都大学防災研究所教授
開催場所 : NPO法人新現役ネット会議室
 
1.講師略歴: 
・1976年 3月 兵庫県立兵庫高等学校 卒
・1980年 3月 京都大学工学部交通土木工学科 卒
・1982年 3月 京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻 修了
・1982年 4月 旧運輸省入省 旧港湾技術研究所 海洋・水工部 波浪研究室
・1996年 3月    同 上           波浪研究室長
・2008年 4月 独立行政法人 港湾・空港技術研究所 海洋・水工部長
・2010年 4月 京都大学防災研究所 流域災害研究センター 教授


2.講演概要:
国土交通省港湾局による「防波堤による津波防災ガイドライン作成」時の委員を担当され、津波対策の第1線で活躍されている京都大学防災研究所の平石哲也教授から、「津波リスク(専門家がどのように評価しているか)」、「津波被害とその特徴」、「津波対策事例:(コンクリート式防潮堤における)カウンターウエイト工法の仕組み」、「流起式可動型防波堤」などを解説して頂いた。
今までの大津波のデータを専門的に評価し、近い内に大津波が起きる可能性に基づき、そのLEVEL2の大津波を設定して対応を行うことが必要であることを述べられた。次に、海外の大津波の事例などに基づき、大津波の分析がどのように進んでいるかの話があった。その後で、日本で行われているカウンターウェイト工法の仕組み、利点、欠点の話があった後、近年研究されている流起式可動型防波堤のご紹介があった。形式ばらず親しみやすいお話しで、津波関連の土木技術を良く知らない参加者にも分かり易い内容でした。

3.講演内容:
平石先生は、運輸省入省後、港湾技術研究所畑で28年研究をされた後に、京都大学に戻られて8年以上経っているご経歴で、ずっと港湾技術研究の第1線を歩まれています。
今回のセミナーは津波に焦点を当ててのセミナーでした。
先ず、基礎知識として、津波高の評価の仕方が「浸水高」(東京湾中等海面(T.P.)を基準面として地表上で津波が浸水した高さ)、「浸水深」(浸水高から地表面高さを引いたもの)、「遡上高」(丘や山に遡上して乗り上げた浸水高さ)に分かれていることから入りました。
次に津波リスクとして、東北、南海地域でマグニチュード9から8の大地震が100年おきかそれ以下のインターバルで起きて大津波が伴っていることから、今後30年以内に例えば南海地域に大地震が起きる可能性は現時点では70%以上(京都市民新聞での記事に基づき)であって、そしてその時に大津波が伴うリスクがあるとのことでした。
津波の被害とその特徴に関しては、人的な被害の他に、船舶、道路、橋、防波堤などへの津波の被害があって、防波堤や建物が壊れるメカニズムの中に専門的な分析(Piping,Scouring,液状化によるもの等)を行い、対策に繋げているとのことでした。
津波対策事例としては、津波対応強化のために古い設備の補強の必要性があって、堤防を高くするかさ上げが行われてきているが、基礎も新たに作る必要もあるし、できても海へのアクセスが困難というような問題も解決していく必要がある。海側に幅広となる堤防を作って面的な防御をすることが望ましいが土地等の制約があってなかなかできないのが課題である。 又、現在の堤防は、「防波堤に作用する(津波などの)波の力」の分析の下に、地震に対してのスライディングを考慮してコンクリートブロックをマウンドと呼ばれる土台の上に載せているのが一般である。この方式では杭で止めていない。その理由は高くつくからだそうです。
その後、長周期波浪による水平移動が問題視されるようになってから、後方にカウンターウエイトと呼ばれる重りをおく工法がとられており、前面に置く消波装置と併せてレジリエンシー(粘り強さ)の向上が図られている。京都大学は日建工学と共同でサブプレオフレームという商品名でカウンターウエイト工法を提供している。
もう一つ紹介されたのが流起式可動型防波堤で、港の入り口や河口などの開口部での津波の浸水を防止するもので、通常時は水底に邪魔にならずに設置してあり、その上部を津波の浸水が通る時の流れによって起き上がって、防波堤として機能することを特徴としている。この流起式防波堤は既に実験を含め開発はほぼ完了しており、マニュアルの作成段階に入っている。現在、適切な適用場所を検討している段階である。(大阪には高潮防止のための水門が3つ河口にあるが、これらは津波には対応できないことから、その前方に置くような実験を行ったこともある。この時は、流起式防波堤と水門を組み合わせるより流起式防波堤のみの方が経済的との結果が出て、実験の成果は活用されなかった。)

まとめとして、下記の4点を強調された。
・今後の防波堤はレベル2津波の設定・対応を行っていかねばならない。(今まではレベル1津波が中心)
・既存の防波堤は消波及び透水性構造物を有する構造物を用いて粘り強く津波を減災し、津波の到達時間を遅くするような機能を持たせなければならない。(レジリエンシーの向上)
・カウンターウエイト工法による減災を図ることも有用で重要である。
・可動型防波堤を有効に活用することで、減災を図ることができる。 
(文責:濱田英外)

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講演資料:津波リスクと可動型防波堤による減災
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2019年09月26日

EVFセミナー報告:エネルギー・ミックスの問題点

演 題 :エネルギー・ミックスの問題点−再生エネルギー主力電源化への道−
講  師 : 橘川 武郎  東京理科大学大学院経営学研究科教授。東京大学、一橋大学名誉教授
開催場所 : NPO法人新現役ネット会議室
 
1.講師略歴: 
・1951年生まれ。和歌山県出身。
・1975年東京大学経済学部卒業。
・1983年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。同年青山学院大学経営学部専任講師。
・1987年同大学助教授、その間ハーバード大学ビジネススクール 客員研究員等を務める。
・1993年東京大学社会科学研究所助教授。1996年同大学教授。経済学博士(東京大学)。
・2007年一橋大学大学院商学研究科教授。
・2015年より現職。東京大学・一橋大学名誉教授。総合資源エネルギー調査会委員。前経営史学会会長(在任期間2013〜16年)。
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2.講演概要:
講師は、専門は経営史で(前経営史学会会長)、大手のいくつもの電力会社・石油元売りの社の社史編纂をされたとしながらも、総合資源エネルギー調査会委員であり、長年携わってこられたエネルギー産業論の立場から再生可能エネルギーを主力電源とするためにはどうすればよいかについてお話し頂いた。

人類が直面する二つの危機/飢餓・地球温暖化を同時に解決することの困難性、そしてその答えは、「省エネルギー」と「ゼロエミッション」しかない。

「省エネ」は、日本では経済性の追求により、産業部門と運輸部門では取り組みが進んでいるが、民生部門の省エネは、まだ余地がある。「再生可能エネルギー」には、筋の良い「タイプA(地熱・水力・バイオマス)」と、ややネックがある「タイプB」(風力・太陽光)があるが、大幅な拡充を前提に、技術的・制度的ネックを一つ一つ克服する必要がある。タイプBには、送変電網がネックである。

原子力発電所原子炉の現況は、3.11時点での合計57基(既設54基/建設中3基)のうち、稼働中9基/廃炉決定は21基。少なくとも廃炉決定の21基の送電線が余る勘定となる。2030年想定の政府の電源構成案、原子力20〜22%の実現は難しい。

電力業界には3つのビジネスモデルがあるが、「原子力依存型」、「大型電源依存型」ではなく、「分散型電源・ネットワーク重視型」経営が中心になれば、この業界の将来はある。

再生可能エネルギーのコストダウンには、二つの方法がある(蓄電池やバックアップ火力は高コストに繋がる)。
(1)Power to Heat(電気を熱で調節):デンマークでは再生エネ(風力/バイオ)+CHP(コジェネ)で、電気が余るときは熱を生産し、熱で温水を作り、貯める。日本では温水パイプラインの敷設がネックとなるが、2050年なら可能性があり、カニバリゼーション(共食い)が生じるガス会社ではなく電力会社がやれば現実味がある。
(2)再生エネを再生エネで調整:太陽光/風力+ダム式水力。送電線の高い託送料がネック。電力会社自身がやれば、ビジネスモデルとして可能性がある。

第5次エネルギー基本計画の問題点は、(1)元々の15年策定のミックスに問題があり(原子力が高すぎ、再生可能エネが低すぎる)、(2)最近の変化を反映していない=再エネコストの劇的な低下、原子力再稼働の実進捗など、(3)「総合資源エネルギー庁エネルギー情勢懇談会」の2050年見通しと平仄が合わない=再エネの主力電源化は、30年目標をそのまま据え置いている、「脱炭素の選択肢」としての原子力では、リプレースを回避している。

再エネ拡大により低需要期にはベースロード電源でも出力調整が必要であり、ベースロード電源としては天然ガスと「原子力and石炭」ではなく「原子力or石炭」が合理的、現実的である。

2030年度の電源構成案(橘川案)は、現行計画と比較すると、
原子力:15%・現行計画に比し△5〜7%、
石炭 :19%・現行計画に比し△7%、
LNG:33%・現行計画に比し+6%、
石油等:3%・変更なし、
再エネ:30%・現行計画に比し+6〜8%、

エネルギー事業者の未来は、「熱を制した者」「分散型を制した者」「再生エネ主力電源化に真剣に取り組んだ者」が生き残る。

Q&A:<非常に多数の質問があり、活気ある質疑応答となった>
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Q:ジェット燃料のCO2削減は?
A:飛行機と船舶が注目される。これからバイオ燃料が増えていき、将来的にはガス船か。飛行機の方がより難しい。

Q:地熱発電の問題点は?
A:温泉業者が反対。温泉業者が、地熱発電を自らやるのが良いのでは(温泉業者を当事者にする)。また、発電後地中に戻す蒸気の一部を地元に供給することも有用。

Q:バイオマス発電は、リアルベースでは、カーボンニュートラルと言えないのでは?なぜ再エネの一つとしてクローズアップされるのか?
A:植物は成長過程でCO2を吸収しているという考え方。最近では植林を義務づけるケースも。国際会議で多数の票を持つ欧州諸国がバイオマスを押すからという側面もある。

Q:再エネの発展には地産地消が有効であり、より規制緩和が必要なのでは?
A:規制緩和はそれなりに進んでいる。アプローチの仕方が大切。例えば東北の場合、3、11の後、コミュニティーに中心人物がいるかどうかで復興の差が顕著に出た。中心人物とは、地元の事業者であり、大企業の出先の社員では権限がなく無理。規制緩和より、そのような人の存在が重要と言える。
Q:電力会社の投資は、電源50%+送配電40%+メーター10%と記憶しているが、電源のみの議論ではないか?ベストミックスは時代によって変わるが。
A:本日は送配電の重要性についても大いに言及したはず。例えば、東京の地下にある高圧送電網は、ネットワークとして大きな資産。又、直流の技術も進んでおり、2050年までにロシア、韓国と送電線をつなぐには超高圧直流送電を使う。

Q:Power to Heat(電気を熱で調節)は、日本では蓄電池もあり、通用するか?
A:蓄電池の技術の進展には時間がかかる。余剰買取制度終了後の屋根の上の太陽光発電については、可能な限り、自宅で使うのがベスト(余剰分はEVに蓄電するやり方も)。蓄電池がどこに落ち着くかはこれから。

Q:省エネの民生部門が進んでいないとあるが、FIT(固定価格買取制度)の価格を上げては?
A:ドイツのようにFITの負担を産業に軽く、民生に重くする考え方もある。

Q:日本の宇宙技術を核廃棄物の処理に活かすことはできるか?
A:宇宙での核廃棄物の廃棄は危険すぎる。宇宙開発は大切。それに比べて、原子力は話作りが下手。原子力は、ストーリーが無さすぎる。

Q:P.6の3つのビジネスモデルで、10電力会社は生き残れるか?
A:原発が再稼働すると収益効果が働くので、(1)の原子力依存経営が主流となっているが、長期的には希望がもてない。(3)の分散型電源・ネットワーク重視型経営が未来のあるべき姿。

Q:竹村公太郎氏の著書によると、水力発電用にダムを活用できるのではないか。
A:その通り。多目的ダムの再評価について国交省の姿勢が変わるとすると、水力発電ができ、町おこしに使える。ネックは、縦割り行政であり、突破するには地元から経産省ではなく国交省への提案を。国交省の出番を作る。

Q:各個人の家に蓄電池の設置がなぜ進まないのか?
A:エネファームの普及に見られるように、設置の方向に時代は流れている。又、VPP(仮想発電所、小規模の再エネ・蓄エネ・省エネをまとめて制御・管理することで、一つの発電所のように機能させる)の様に統合型で可能性がある。又、エストニアでは、スマホにより(デジタル化で)P2Pで殆んど解決。2050年へ向けて、P.6の分散型電源・ネットワーク重視型へ。 
(文責:三嶋 明)

講演資料:エネルギー・ミックスの問題点
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2019年08月22日

EVFセミナー報告:グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来展望

演 題 :グリーンスローモビリティ(GSM)の価値と将来

実施日:2019年8月22日(木)
講師:圓山 博嗣 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部長
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
1979年3月 早稲田大学 機械工学 学士課程修了
(職歴)
1979年4月 日産自動車株式会社 入社
1993年1月 同 エンジン実験課 課長
1995年7月 米国 日産リサーチ&デベロップメント会社 出向管理職
1999年7月 日産工機株式会社 出向管理職
2001年4月 日産自動車パワートレイン実験部 主管
2005年4月 同 パワートレイン実験部 部長
2008年4月 同 パワートレイン品質監査室 室長
2009年4月 同 環境・安全技術渉外部 担当部長
2015年4月 同 グローバル技術渉外部(改称) 担当部長
2016年7月 公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団 調査役
2017年4月 同 現職
(外部組織)
2009年7月〜2016年6月 日本自動車工業会 環境委員会温暖化対策検討会 主査
2.講演まとめ
講師は日産自動車で主にパワートレイン開発を担当されていましたが、2016年からは交通エコロジー・モビリティ財団(略称:エコモ財団)に転職されて多くの交通環境対策事業を推進中です。
セミナーは、エコモ財団の紹介から始まり、高齢化する地域社会において公共交通の“衰退”による移動困難の高まりに対処する打開策の一つとして、グリーンスローモビリティ(GSM)の可能性に着目し、その普及推進に向けた調査・研究のご説明をいただきました。GSMとは電動車両で、スピードは20Km/h未満、定員4人以上の車のことで、低床で屋根が高く、手すりはあるがドアはなく、座高が高いため高齢者が乗降しやすいという利便性があります。目標のGSMは自家用車よりも公共交通の手段に重きを置いて開発されています。
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3.講演概要
(1)交通と環境の歴史
・1972年 ローマクラブ
・1992年 リオ 地球サミット  「アジェンダ21」・・・気候変動条約と生物多様性条約
・1995年、1996年 OECD  「ESTの定義・基準」〜健康と生態系に害がなく、基本的に再エネを利用する輸送方法
・1997年 欧州 「EPOMM」 「ECOMM」 European Platform/Conference of Mobility Management
・2006年 日本 「JCOMM」・・・一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議

(2)グリーンスローモビリティの歴史
・2014年 石川県・輪島商工会議所が初の公道での無償運送を開始。
・2016年 「電動小型低速車の活用推進委員会」を設置し、事業開始。
・2018年 輪島・松江・横浜等、6地域で実証実験および試走
・2019年 環境省と国交省が連携して車両購入費半額補助事業を開始、対象車両にヤマハ・日立・シンクトゥギャザを認定。

(3)主要な使用シナリオ
1)ニュータウン :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
2)地方都市の中心市街地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。
3)地方都市郊外、中山間地 :シニアや主婦等免許保有者が自家用に運転するため。
4) 同 上 :だれでも利用できる既存のバス、タクシーの補完的公共交通として。
5)中山間地 :ラストワンマイルで誰でも利用できる公共交通として。

(4)豊島区が2019年にグリーンスローモビリティを導入
 池袋は“特定都市緊急整備地域”として指定されて再開発が進んでいます。四つの公園を周遊する新しい乗り物を導入しようということで、e-COMIO(立ち席を含めて27人乗りのシンクドゥギャザのマイクロバス)が今年中に運行される予定との由。デザインはJR九州の「ななつ星」などで有名な水戸岡鋭治氏によるもので、実現したら試乗してみてはいかが、ということでセミナーが締めくくられました。
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4.質疑応答
1)Q1:実証実験・試走は1か所何台の車で行っていますか?
−1か所1台だ。期間は3か月とか1週間が多い。
2)Q2:勝浦あたりでゴルフカートのガレージ付き別荘を見たことがあるが‥。
−私道ならナンバープレートなしで走れるが、公道ではナンバープレートも車検を受ける必要がある。
3)Q3:GSM専用の走行レーンを設けられないものか。
−GSMは幹線道路を走行することは想定していない。
4)Q4:GSMを早く購入したいと思ってきたが、価格が最低でも250万円〜300万円もかかると聞いてがっかりしている。
−今は大量生産の自動車に比べれば少量で安くはないが、今後の生産台数、販売台数いかんでは安くなっていくと思われる。

(文責:佐藤孝靖)

講演資料:グリーンスローモビリティの価値と将来展望
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2019年07月25日

EVFセミナー報告:近未来の食料・農業と地域社会:新潮流と変わらぬ本質

演 題 :「近未来の食料・農業と地域社会:新潮流と変わらぬ本質」

実施日:2019年7月25日(木)
講師:生源寺 眞一 福島大学食農学類 教授・学類長
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
・1951年愛知県生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。農学博士。
・農林水産省農事試験場研究員・北海道農業試験場研究員を経て、1987年東京大学農学部助教授、1996年同教授。
・2011年名古屋大学農学部教授、2017年福島大学食農学類準備室教授、2019年4月から福島大学食農学類長。
・これまでに東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長、日本フードシステム学会会長、農村計画学会会長、日本農業経営学会会長、日本農業経済学会会長、日本学術会議会員、食料・農業・農村政策審議会会長などを歴任。
・現在、樹恩ネットワーク理事長、中山間地域フォーラム会長、地域農政未来塾塾長など。
・近年の著書に『日本農業の真実』ちくま新書、『農業と人間』岩波現代全書、『農業と農政の視野』農林統計出版、『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる・新版』家の光協会など。
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2.講演概要
 若手の新規就農者の半数近くが非農家出身となり、企業の農業参入も活発化するなど、日本の農業にはさまざまな新潮流が現れている。他方で、農業用水をめぐる共同行動など、農村社会に連綿と継承されてきた伝統も存在する。両面を視野に、近未来の食料・農業・農村のあり方について、日本の農業を再生させるためにはどうしたらよいか、という視点を見据えてお話しいただきました。

3.講演の内容
(1)経済成長と食生活の変化
 ・海外への依存度を高めた日本の食料
食料自給率は、米の消費が減少する一方、畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化で、長期的には低下傾向が続いてきたが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移している。
生産額ベース総合食料自給率:66%(2015年)
カロリー(供給熱量)ベース総合食料自給率:39%(2015年)
   ※生産額ベースとカロリーベースで大幅に差が生じるのはレタスを考えれば納得がいく。  レタスはカロリー数と関係なく経済的価値があるが、レタスのカロリーは少ない。
   穀物自給率:約27%
 ・伸びていた1980年代までの農業生産
  1960〜1964年を100とすると、5年間毎の統計では、総合では、117、120、129、129、134、と推移し、全体として伸びていた。その中身を見ると野菜、果実、畜産物が伸び、畜産は3倍、果実2倍を達成していた。1961年の農業基本法ができた際に掲げたスローガ ンを実現した。
 ・経済成長で激変した食生活
  食料自給率の三つのデータの全てが、この50〜60年間低下傾向にあった。         しかし、1955年と比べて、肉類は10倍であり、米やイモ類は半減している。経済の成長にともない大きな食生活の変化が生じたからである。1980年代の自給率の低下は、基本的には食べた方の変化が生じ、食べる量が増えた結果と言える。分母(消費量)と分子(生産量)で、分母が多くなれば自給率は低下するからである。
  平成時代に入ると、生産指数は1980年代後半の134をピークに後は急速に小さくなっている。野菜、果実、畜産物も縮小傾向になり、米、麦などの縮小も続いている。高齢化や人口減少で消費は全体として減少傾向に転じており、農業生産が同じならば自給率は上昇するはずだが、実際は下がっている。平成時代の自給率の低下は農業生産の縮小によって生じている。その縮小の背景には、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加、外国産の輸入がある。
・食料自給率と食料自給力
 2013年の日本の穀物自給率は28%、インドは111%、バングラデシュの105%であるが、栄養不足人口が2割に近い南アジアの食料事情は日本よりはるかに劣悪である。即ち、自給率を比較して論議することには無理がある。
  問題は約40%の自給率がどれほどの絶対的な供給力に対応しているかである。日本の農地面積にカロリーが最大になるように作付けをした場合のカロリー供給力を試算した結果、栄養バランスを考慮した米・麦・大豆のパターンで、1441キロカロリー、イモ類中心で2361キロカロリーである。健康維持できるぎりぎりのカロリーが1日2000キロカロリーで、その状態に何とか対応しているのが、約40%のカロリー自給率である。食べ方によって自給率は変わってくる。

(2)存在感を増した食品産業
 ・買い方・食べ方も変わった日本の消費者
飲食費の最終消費額は76.3兆円(2011年)。
内訳:加工食品38.7兆円(50.7%)、外食25.1兆円(32.9%)、生鮮品12.5兆円(16.3%)
  農産物・水産物:国内生産 9.2兆円、生鮮品の輸入 1.3兆円 輸入加工食品の原料費を考慮しても、15兆円に達しないであろう。金額配分は2割程度か。
  食品関連への配分は製造業、外食産業、食品流通業(食品スーパーを含む)で8割。
・生鮮品への支出は減少している。
・外食の増加から中食の増加へ。両者を合わせた食の外部化率は45%程度。
外食産業は資本の自由化によって急成長した。ケンタ、マック、ミスドーなど
コンビニが支える食の外部化率。単身世帯ほど外部化率が高く、現在の世帯の3分の1は単身世帯である。そのことが、日本全体の外部化率を引き上げている。
・就業者数の約6000万人のうち、食に関係する仕事の就業者は1103万人(2010年)。   食品産業の働き手は大幅に増えているということは、食に関わる産業が増えていることになる。しかし、農業・水産業に関わる就業者は大幅に減り、309万人(2010年)であった。
・安定した雇用力を日本社会の基盤にする必要がある。リーマンショック直後の業況感をみても、長期的に見ても、食品産業は安定性が高く、フレが小さいことがわかる。

(3)一律に論じられない日本の農業
 ・水田農業に代表される土地利用型農業は、兼業農家が多数派で高齢化が顕著である。
土地利用型農業でも、北海道の畑作や酪農は規模拡大を通じてEU農業に比肩しうるレベルを実現している。稲作の面積当たり労働時間は施設園芸や畜産などに比べて、大幅に短い。昔は10a当たり200時間だったが現在は20時間。一方、施設園芸では2000時間が普通。
・施設園芸や畜産などの労働多投型農業では、若者や働き盛りを確保している。
 ・高い生産額自給率は強い農業を反映している。
美味しさについて日本人はうるさい。品質の高さを求める。カロリーのほとんど無いレタ  スにも経済的価値があり、野菜は近年でも8割近い自給率を維持している。消費者に評価されている和牛の価格は外国産の牛肉よりも高く、国内生産はカロリー自給率より生産額自給率に大きく貢献している。
  ・カロリー自給率は、畜産物自体は国産であっても、飼料の自給率の割合だけを国産とみなす計算方式である。卵は96%が国産であっても、エサの9割近くは輸入である。その結果、カロリー自給率を下げる結果になっている。養豚のエサの自給率も同様に低い。
・貸し出される農地は確実に増加している。農業就労者が高齢化し、1㏊未満の規模の農家では農業所得は低い。こうした兼業農家を引き継ぐ人がいない。そのこともあり、耕作放棄地が増えてきている。他方で企業参入も広がってきている。

(4)農業経営の新潮流
 ・食品産業にウイングを広げる農業経営。食品産業との良好なつながりは、水田農業のみならず、日本農業全体の課題である。
 ・加工による付加価値を確保するだけでなく、小分け包装と情報添付により、農家が売値を決めることが出来るようになる。農家レストランも共通。農家が販売と加工を手がけ、フードチェーンの川下をカバーすることで、農業経営は消費者に接近することができる。
 ・自ら情報を発信出来るようになった現在、農業経営には生産現場からの情報発信力のレベルが問われる時代になっている。例えば、環境に配慮した農業であることのメッセージが生産工程の品質の高さを伝達することになる。
 ・職業として選ばれる農業になってきている。2017年の44歳以上の新規就農者のうち、40%が雇用就農者、13%が起業型の新規就農者である。そのほとんどが非農家出身である。
  農家の長男以外が就農するケースも珍しくなくなった。
 ・新規就農者は若者だけではない。47%を占めた60歳以上の新規就農者の大半は自分の家で農業を取り組むかたちで、典型的なのは定年帰農の方である。
 ・参入企業の総農地面積の割合は、0.2%であり、現時点ではマイナーな存在である。
 ・おじいちゃん・おばあちゃんの農業に触れて、農業の面白さを知り農業を目指す若者も増加した。

(5)地域の共同行動は文化遺産
 ・農業インフラの保全も重要な課題である。共同行動の典型は農業用水の維持管理活動や公平な用水配分のルール、農道や公民館の維持管理など、共同の力が大きい。農村の文化的資産でもある。
 ・水田農業は日本型のコモンズだ。利己的な行動によって自壊することはなかった。「自分さえ良ければ・得をするならば」と取った行動では長期的な持続はできないからである。悲劇を克服する人間の知恵として、「囚人のジレンマ」というゲーム理論が示している。仲間全体の最大利益を得るには、自分だけの利益追求では逆に得られることは小さいことになる。
 ・メンバーが固定された閉鎖型の農村社会は過去のもの。「よそ者・新住民」として仲間に入れない社会では農村社会を維持することはできない。新たな共助・共存関係が求められる時代になった。クローズドな側面が濃厚であった従来型の農協組織も、変化を始めている。
 
(6)農村空間の特色を生かす
・隣り合わせの都会と農村(ちかいなか:近い仲:近い田舎:農村が都会から比較的アクセスしやすい距離にあることがポイント)で、農業の多面的機能が関心を呼んでいる背景には、地域外から多くの訪問者を受け入れる農村空間の構造があればこそ。
 ・農業・農村に触れることの意味には、教育的側面もある。人間の思い通りにならない生き物を相手にする農業の難しさ、面白さ、達成感などを学ぶことができる。これも、近隣にアクセス可能な農村があればこそ。
 ・農業の多面的機能は金銭に換算できない価値がある。農林水産省が1998年に6兆9千億円との試算を公表しているが、コスト評価は政策的判断には重要だが、金額に換算されなければ価値を実感できないとすれば、それも情けない話しである。

4.質疑応答
Q1;食料自給率の分母にハイキ食品も含まれるのか。
A1;ロス=余裕との考え方もある、との考え方もある。自給率の計算は供給ベースが基本となっているため、食卓で廃棄されるものも分母の消費量に含まれている。
Q2:フルーツ狩りの収入は、生産額ベースの自給率に反映するのか。
A2;統計上あらわれない。
Q3;福島県の復興はあり得るのか。
A3;放射能値が問題なくなり、耕作できるようになっても、人々は戻ってこない。内陸部では加工品や花などが生産されるようになったが、食品の製造は弱い。時間がかかるであろう。
Q4;耕作放棄地が増えている。纏った農地(大規模農業)が進むのか。企業参入は増えるのか。
 A4;2009年の農地法改正後、2014年に農地中間管理機構法が成立した。しかし、成果はでていない。その直前の2012年に新たに設けられた制度に農協が関与していたこともあってか、農地をめぐる制度が短期間に変更される事態が生じている。企業参入はモデルが出来て来れば、広がってくるであろう。
Q5;外国人労働者の雇用なしに、農業は成り立たないのではないか。
A5;地域性がある。
(文責:大山敏雄)

講演資料:近未来の食糧・農業と地域社会
posted by EVF セミナー at 16:00| セミナー紹介

2019年06月27日

EVFセミナー報告:中国の一帯一路、そのバックにあるもの

演 題 :「中国の一帯一路、そのバックにあるもの 権力集中は何のため」
   〜さらなる相互理解のために〜


実施日:2019年6月27日(木)
講師:布施玄祥 中国/石油エコノミスト
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
1949 奈良県生まれ、小中高と大阪  1971学生時代訪中
1973 出光興産入社 (神戸大経済卒・中国経済ゼミ)主に海外(原油輸入・事業計画)と販売業務 担当
1983-87 出光・北京事務所勤務
1993-96 出光・香港勤務
1996-98 メキシコ石油輸入協議会出向
2000-2007 大連出光中聯石油 勤務
2007-2009 経産省エネ庁シンクタンク(財)石油産業活性化センター(現(財)石油エネルギー技術センター)出向
2009末 退職 北京に在住(石油エコノミストとして研究調査、経営コンサル、講座講師など)
2016 拓殖大学 「世界の中の日本」講座 客員教授 就任
〜2019 各所での講演、調査支援など多数
2019全国石油商業組合連合会上海モータ−ショウ視察にアドバイサー招請参加
   石油化学工業協会講演
*趣味:中華グルメ(ラテン&シーフードも)、車評論
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2.講演の概略
講師の布施氏は、元出光興産勤務で、その折3度合計13年間中国大陸に駐在(北京・香港・大連)。2009年勇退後、北京に在住し、石油エネルギーを中心とし中国経済の観察をしている。同氏には3年前にEVFセミナーで講演、今回が二度目となる。
今回のご講演では、現場感覚での中国の実態をお伝えするとともに、大きな政策である一帯一路の背景にある、一党独裁的な権力集中を成し遂げつつある政権トップに垣間見える古代からの中国意識から我が国としての対応を考えたいとのこと。例えば、バスの中のスマホで熱心に乗客が見ているのは大半がトランプが悪いと言った内容(=今後予想される経済後退は中国政府が悪いのでない)であるし、文革によっても消えなかった儒教・道教・仏教など中国人の信仰の篤さや中国の伝統を肌身感覚で伝える、などであった。
一帯一路で個別にどうこうなったという話はしない。「近き者説(よろこ)び、遠き者来(きた)る」(論語)の文脈でお話したい。中国を理解するために、出来上がった事実とその背後にある中華文明論を織り込んで中国理解を進めるというものであった。

キーワードは7つである
(1)中華文明と四書五経 中国を知る手掛かりであろう
(2)中国の夢 宋の時代は世界の60%GDPシェアーであった。しかも、 人口は50百万人(鎌倉時代の日本は7.5百万人)漢族の作った最強の国への復帰をイメージしている。
(3)一帯一路 BRICS+上海協力機構+中国アフリカ会議+AIIB
(4)海洋大国 軍事化 (牛の舌+真珠の首飾り)
(5)中国製造25 AIを活かしたインダストリアル4.0
(6)中国独特の社会主義
(7)「徳」を説く習近平主席
 
 講演内容のレポートは、(5)(6)(7)の項目については別途項目を設けずに、全体の中で消化した。
以上、講演は120分近くに及んで活発な質疑応答で終えた。

3.講演の内容
3−1概略
中国は2001年にWTOに加入後、国際貿易の中では一人勝ちである。
1990年の中国のGDP世界シェアーは1.7%(日本13.7% 世界第2位)、2017年のそれは15.0%(日本6.1% 世界第3位)である。この間、中国の名目GDPは日本の2.5倍になった。
人口で見ても中国は三国一(中国・インド・日本)の桃太郎でもある。2015年で世界188ケ国=72億人のうちアジアの人口は54.3%で、中国が抜き出て14億人もいる。
結果として、中国の強い経済は米中貿易戦争を惹起して、東洋思想対西洋思想もしくは農耕民族対狩猟民族の対立と言われるまでになっている。
  
3−2中華文明と四書五経・・・中国を理解する基本として
中国的発想には世界の非常識=中国の常識と言われることもあるが、人類の知恵は中国の知恵でもある。布施先生のレジメには、中国理解のためのプリゼンが並びます。
大数原則・・・経験を山ほど積んで上達する。作りまくった製油所建設技術は世界一・新幹線技術・原発は第四世代で欧米の技術を完全体得。
漢字・・・・・「財経」雑誌を漢字で読むと一ページ、日本語にすると五ページ。
日本の当用漢字が1200字に対し、康煕字典は47000余字の多彩な表現力と簡素な構成の点が漢字の特徴。
世界の四大文明で言葉が残ったのは黄河文明の漢字のみである。
漢字の知恵・・田中角栄と周恩来のやり取り 「言必信、行必果」行ったことを守るだけでは小人で、実行してこそ大人の意
四書五経・・四書:論語・孟子・大学・中庸   儒教・政治の基本で科挙の原点 
五経:詩経・易経・礼記・書経・春秋 
儒教・・・・仁・義・礼・智・信 (参考:中国の人脈世界は地方政府+地縁+血縁が要素である)
科挙・・・・・598〜1905年まで行われた官僚登用試験で儒教を学ぶ
中華思想・・・中国を世界の中心に据え、遠方に済む民族を野蛮人とする。しかも、普遍性を持つ中央の文明を夷狄の地で教化していくことをミッションとする。
華外の地:台湾・沖縄・朝鮮半島・新疆・チベット 
余談だが、中国との軋轢回避して、日中協力関係を築く私案がある。南・東シナ海を地中海的入会地として、周辺国が共同利用する。元々、北京中央政府と折り合いの悪い広東省と福建省は、それぞれ香港及び台湾を橋渡しさせる。
中国人・・・・日本人との違いは2点で、強烈なリアリズムと自己防衛本能
中国人の強烈なリアリズム  対語は安っぽいヒューマニズム
生きることに大変熱心で、桜花のようには散らない。
そんな人を御する方法・・・時には強権を用いる必要がある。
ただし、強権行使には徳は必要条件
日本的な死ぬまで戦うことが理解できない
究極の人民民主主義の実現には
1.人民を強く抑え込み
2.人民に適度のガス抜きをさせ
 3.人民の地雷を踏まず
4.人民の一致団結はさせない
中国人の強烈な自己防衛本能

賄賂とパクリの中国的解釈・・・中国の伝統では肯定的側面もある。
賄賂は安易で合理的な受益者負担の考え方
パクリも経験の積み重ねで成り立っている漢方の世界や儒教百家争鳴では相互の切磋琢磨する競争の世界がある。また、現代の深圳のソフトウエア―会社ではお互いが手の内を見せあって技術・技量を磨いている。

「学び」は「真似び(まねび)」であり、真似ることが中国の文化であろうか。
「日本と中国」GDPの正規分布概念図を見て欲しい。この分布図を貧富もしくは能力分布とみても良かろう。中国にはA・Bに属するどうしようもない層が幅広に存在しているに対し、究極のリーダー層もいるのが中国だ。絶対数はかなり多くの賢く・リッチなリーダー層が存在する。
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3−3中国の夢
地球の中心は中華の地であり、中国の狙いは漢民族が最も繁栄した宋時代への回帰
で、モンゴル族の元や満州族の清でもない。漢族王朝の宋時代は人口で50百万人、
GDPは世界の60%を占めていたと言われる。そのような世界及び世界の繁栄を中
国主導で再度作り上げたいというのが「中国の夢」であろう。

3−4一帯一路
(1)一帯一路
 2013年に習近平が提唱し、世界150ケ国以上が参加。海と陸でヨーロッパと中
国が結ばれる広域経済圏構想である。確かにスリランカのような債務の罠が生じ
たことはその通りである。
 勝つか負けるかのゼロサム・ゲームでない「ウィン・ウィンの関係」を目標。
 下記の三者が重要な構成者である。
  中国アフリカ協力会議 向こう50年のアフリカのGDP成長率期待。
    中国製原発をてこに、シンガポールのようにクーラー天国化をすると資源もあるアフリカであり世界経済工場の礎になる。
  BRICS ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ この5国で世界人口4割強
  上海機構 陸の一帯一路でシルクロードに沿う8ケ国 中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン、ウズベキスタン・インド・パキスタン  2001/6設立
一帯一路裁判所 西安で設立 「国際商事裁判所」 2019/5/29
 「フェアネッス」「プロフェッショナリズム」「コンビニエンス」の標語を唱っているが、中国人裁判官のみで公平な裁きができるか?
思想の背景:近き者悦び(よろこ)び、遠き者来(きた)る」(論語)

(2)中国国内経済発展の跛行性から中所得国の罠は出現しないだろう。
      各省のGDPを国の規模でとらえてみる。
山東省・江蘇省=スイス  北京=フィリピン
      広東省=インドネシア   マカオ=パナマ
      香港=エジプト
中国はまだらな発展をして、先進国・発展途上国・後進国で成り立っている。
 (3)経済発展の重視から全面発展の段階は4人の指導者が登場した。
   1992年 ケ小平 先富論 チャンスを掴み続け、思い切った改革を成し遂げよ。
   2002年 江沢民 小康社会 いくらかゆとりのある社会 朱鎔基が有能
   2007年 胡錦涛 和諧社会 調和の取れた社会 大気汚染の抑制・平等
   2012年 習近平 政治面の習、経済面の李克強とバランス
   ともかく経済政策面では正しいマクロ選択がなされた。四代にわたるブレない経済政策を続けたことは称賛できる。
(4)一極集中
順調に成長した中国経済だが、習近平=中国共産党への一極集中が課題である。
問題は権力の一極集中は腐敗を招くかある。権力の最大の物は「中国共産党とそれが牛耳る国家財政で、数百兆円が意のままになる。健全な精神を持った強権なら理想的な運営ができる。一極集中により理不尽な抵抗勢力を抑え以下に述べるような「正しいこと」ができる。つまり環境改善や汚職追放ができる。そして今までできなかった「善いこと」が進行している。
習主席は習大大(毛主席と同じ尊称)と呼ばれることを拒否している。
   環境汚染対策がうまく回っている
 汚職追放 虎もハエもたたく
   やくざ社会一掃
   地方債務の圧縮
 軍務の横暴を退治
   貧困層支援対策
   国営企業改革
   一帯一路・中国製造25・中国の夢・海洋大国推進の一連施策は、
世界の貧困層をGDPベースで引き上げることを意図しているのでないか?
(5)環境に見るキーワード
権力一極集中だからできる大転換の環境保護対策
国務院のスピーチライター楊偉民氏に接触する機会があった。同氏は謙虚で、中国の最近の四大発明はすべてパクリであると認識して、これを脱した中国オリジナルの発展が必要と説く。経済成長を犠牲にして も善政が大事だ。「善政=善いこと」とは汚染対策だ。環境汚染改善は   
環境査察チームによる地方巡回
       ドローンを利用した環境観察
       汚染工場の強制移転・閉鎖
       地方幹部の評価基準の強化などである。
中国は習近平の発言にある通り、世界ではそれを放棄したトランプ氏に代わり温
暖化防止の旗手、自由貿易の旗手でもある。
参考:中国古代の四大発明:羅針盤・火薬・紙・印刷
    中国最近の四大発明:eショップ・レンタバイスクル・キャッシュレス・新幹線



(6)中国の石油 
今は石油と石油化学一体化の第三世代製油所の時代で先進的である。燃やすためだけでなく、エチレン・プロピレンの石化製品材料への転換が進んでいる。
石油精製能力は世界第二位で15,655M b/d(2018年)は、日本の4.7倍であるが原油は約72%が輸入である。中国シェールガスの埋蔵量は世界一だが、インフラのない僻地に存在し、技術を要する深い地層にあることや、水圧破砕に使われる水の大量確保が困難で実際の生産には距離がある。

また、上海モーターショーでの印象だが、EV化は一服したのでないかと感じられた。石油屋の目から見て、軍事用の石油(ディーゼルや航空機用)を確保するためには、連産品であるガソリンの需要を一定量保持する必要があり、現在も量的な余剰現象が起きているのでないかと見ている。
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3−5海洋大国 軍事化 
南海の牛の舌(九段線)・インド洋の真珠の首飾り(スリランカ・パキスタン)・西太平洋のハワイ以西・東海の尖閣諸島が中国の防衛線。中国の覇権主義は、イスラエルのシナイ半島やヨルダン川西岸ガザ地区に対してのトラウマと同じで、放っておいてはエルサレム本体を侵略される意識に近い。
中国は石油の70%以上を輸入に依存して、その60%がホルムズ海峡及びマラッカ海峡を通る。
中国海軍は「近海防御」戦略で、南シナ海など近海の海上航行を確保し、遠海護衛戦略として太平洋やインド洋に作戦展開する。これは、空母建造のみでなく潜水艦の活動範囲の拡大と民間船に加えた軍用船も利用できる海外での港湾建設も含んでいる。

講師は、一帯一路に対する我が国のスタンスとして、注意しておく点として以下をあげた。
(1)第三国支援について、中国との協働を是々非々でという安倍首相のスタンス中国は自民党/二階氏の北京会議出席を高く評価している。
(政府でなく、自民党である)
(2)第一回一帯一路東京フォラム(6月15日)では、一部「中国よいしょ派」の曲解させかねない言動には盲目的な一帯一路への追従、同時にAIIBへの加盟主張が見られるが、警戒すべきであろう。 AIIBの顧問に鳩山元首相がいるのではあるが!
(3)世界GDP向上のため、日中が南アジアやアフリカの潜在力を共同で掘り起こすことは、欧米にできない東洋の復権に繋がるだろう。
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質問1
ある自動車メーカーが数億円をかけて中国で排水処理装置を完成した。これを見て「日本人はなんと無駄なことをするのか。ここでは役人が水質検査に来る時、新たなコックを作っておき切り替えれば良い。」また、新疆ウィグル自治区の人が回教巡礼をして喜びの声を上げたという話も聞いたが一方では多くの弾圧されている人がいる。こういった状況が心の芯から変わっていくことがあるのか?
〜布施先生
 虐げられた人が存在する強烈なリアリズムの世界がある。日本人は、「TOO MUCH」に遵法するところがある。上海で儲けられない漢族が、一旗揚げるために新疆やチベットに行ってそこに住む人を虐める。新疆・チベットの人は漢族が大嫌いで、宗教的(中華思想・回教・チベット仏教)な軋轢も大きい。お互いが非寛容だ。チベットでは、鳥葬の有様を日本人には見せるが漢人には見せない。

質問2
 中国は毛沢東の築いた共産主義が残った。ロシア共産主義もなくなり、中国共産党のパワーを感じる。この点についてどう思われるか?

〜布施先生
 中国共産党の強権が凄いし、プーチンの比でない。中華思想では、正しい王様が中央に座っている。インドがそうであるように、レベルの低い人に一票を与えてしまったという恐怖心がない。中国の人民は、今の共産党を信じているが共産主義を信じているわけでない。この意味ではマルクス・レーニン主義をパクった中国王政という似非共産主義と思う。

質問3
 香港について尋ねたい。中国は人民が13億人、監視カメラが25億台といわれている。習近平さんの徳を重んじる政治との整合性はあるのか?

〜布施先生
 香港人のマジョリテイはそれほど中国化に抵抗がない。中国の繁栄と資本主義との「とりもち」で利益を得ることを身に染みて知っている人たちだ。カメレオン的な生き方だ。
 また、ハイテクを活かしたコントロールに対しては、エリート層は深刻に考えていないし、中間層は「上に政策あれば、下に対策あり」と対処するだろう。上海デイズニーランドは顔面認識だし、中国人の識別も顔面認識になるらしい。慣れてきたら慣れるのでないか。
(文責:羽岡)

講演資料:中国一帯一路
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2019年05月23日

EVFセミナー報告:人工知能の光と影

演 題 :「人工知能の光と影」

実施日:2019年5月23日(木)
講師:室山哲也氏 日本科学技術ジャーナリスト会議副会長、大正大学客員教授/東京都市大学特別教授、元NHK解説主幹
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル

1.講師略歴
・1976年NHK入局。
・「ウルトラアイ」などの科学番組ディレクター、「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」のチーフプロデューサー、解説主幹を経て、2018年定年。
・科学技術、生命・脳科学、環境、宇宙工学などを中心に論説を行い、子供向け科学番組「科学大好き土曜塾」(教育テレビ)の塾長として科学教育にも尽力した。
・モンテカルロ国際映像祭金獅子賞・放送文化基金賞・上海国際映像祭撮影賞・科学技術映像祭科学技術長官賞・橋田壽賀子賞ほか多数受賞。
・日本科学技術ジャーナリスト会議副会長。大正大学客員教授。東京都市大学特別教授。
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2.はじめに
人工知能は、急速に人間の脳に肉薄し、やがて独自の意識を持ち人類を支配するのではないかと心配する科学者まで現れている。いまや、世界規模で医療経済教育社会に大きな影響を及ぼす人工知能。元NHK解説主幹であり、日本科学技術ジャーナリスト会議副会長である室山哲也氏に、人工知能について明確に解説していただいた。

3.講演概要
すべては脳が作った!
人間の脳は、おおざっぱに言って、体のセンサーからの情報を脳の後ろ半分に入力し、前半分で運動野などを経由して体に情報を出力し、運動している。人類(ホモサピエンス)は20-30万年前に出現し、肉体の弱さを、二足歩行で脳の巨大化を支え、脳の知恵を武器に生き延びてきた。その結果さまざまな道具や機械を作り、肉体の能力を拡大してきた。見る機能は望遠鏡・顕微鏡で、話す機能は拡声器や放送通信で、動く機能は自動車や飛行機ロケットで、そして今や考える機能をコンピューターを使って拡大してきた。その文脈でAIが出現したわけであり、ある意味で必然的現象ともいえる。

人工知能(AI)とは
従来のコンピュータは、何に注目するかは人間が決め、それに従って作動してきた。AIのひとつ、ディープラーングなどは、人工知能がなにを注目すべきかを探ることができるようになってきた。とはいえまだまだパーフェクトではない。
ヒトの脳には3匹の動物が住んでいると言われている。生存を司るワニの脳、感情を司る馬の脳、最後に知能(知性)を司るヒトの脳である。AIは脳の働きのうちの知能(知性)の一部を実現した。囲碁や自動運転、病気の診断等特に知能の一部を特化して人間の能力をしのぐ優れた力を発揮する。また人工知能が小説や音楽を作ることができるともいわれているが、その内部にある意味を把握しているわけではなく、ものまねをしているだけということを押さえておく必要がある。

人間の脳とAIの違い
人間の脳はビッグデータなしでもなんとか問題解決が可能であり、しかもどんな領域でもほぼOK。これは脳が生きていると言うことであり生き物の不思議さである。
他方AIが活動するためにはビッグデータが必要。基本的には、ヒトがインプットした限りのデータをもとにしかアウトプットできず未知のことについては対応不可。ルールが定められている限られた領域で大変な能力を発揮するが、汎用性という意味ではまだまだである。。

さて本日のテーマの二番目として、AIの延長線で最近特に話題になっている自動運転について言及したい。
自動運転の前提知識
まず、自動運転とはなにか。自動運転のレベルは5段階ある。
自動車走行の動きの二つの要素、つまり「左右の動き」(ハンドル操作)と「前後の動き」(アクセルとブレーキの操作)がどれだけ自動化されているかで決まる。
レベル1は二つのうち、一つが実現した状態(自動ブレーキやACCなど)。
レベル2は二つが実現された状態。例えば、高速道路でボタンを押せば、車線を超えて車を追い抜くことも可能。レベル3はレベル2がさらに進化した状態で、基本的には、システムが運転するが、緊急事態が起きた時は、ドライバーが運転代行をする。
レベル4は限定条件(場所、時間、スピード、天候など)のもと、システムによる自動運転(ドライバーなし)が可能。
レベル5は、どこでもいつでも、ドライバーなしの無人運転で走行できる段階である。

自動運転の課題は?
結論から言うと、AIの進歩のスピードに、法律や人間社会のルールや人間の特性が追い付けない構図から、様々な課題が生まれている。
@法律問題
自動運転の場合、車線消失による事故、道路にゴミがあった場合の事故、ナビの地図未更新による事故等々のケースがあり得る。その場合、自動車所有者、メーカー、ナビなどの情報提供者、道路管理者など係る主体が多岐にわたるため、事故の責任の所在が判然としない。責任の所在に関して、法的責任はまだ検討中という状況である。
A人間と混在
社会のすべての車が自動運転になれば、交通事故や渋滞が減り、エネルギー効率も高まり、社会的利益は大きい。しかし、人間のドライバーと混在するとき、様々な課題が発生する。ドライバー同士ならコミュニケーションし合える短いクラクションの合図等、ニュアンスが複雑な状況を、AIではまだ理解できないといった問題がある。
Bレベル3の壁
レベル3以上は、システムが運転主体となる。しかし、システムが運転不可能な緊急事態が発生した時は、人間のドライバーに運転代行を要求してくる。この時の安全性をどう確保するのかが大きな問題となっている。解決のためには、AIが、常にドライバーの健康状態や意識の状況を把握して、ドライバーの状況に応じてサインを出すシステム(HMI)が必要になってくるが、実際にはまだ達成可能な領域に達っしていないのが現状。
C「トロッコ問題」といわれる究極の問題。
たとえば、無人走行中の車が、ハンドルを右に切っても左に切ってもだれかが死亡し、急ブレーキをかければ、車内の人が死亡するような場合、AIはどのように判断すればいいかという問題である。
人間のドライバーの場合、ケースバイケースでとっさに判断するが、自動運転の場合は、事前にその場合どうするかという判断をAIにインプットしておかなければならない。
この悪魔のような判断は、いわゆる「生命の選択」であり、事前には当然、社会的合意が必要となる。私達は、このような判断基準を、事前に決めるなど、日本社会が合意できるのかという課題も横たわっている。

AIをどう育てるか
AIで人間の仕事がなくなるといわれているのは、仕事をパターン化しやすい工場労働者やオフィスワークの事務等である。正解が難しい創造的仕事、例えば精神科医や広告ディレクター等は消えにくいと言われている。
「人間の雇用がAIによって奪われるのではないか?」「AIが人類を支配するのではないか?」といった不安はある。しかしAIは人間がデータをインプットして作り上げるモノ。「正しいビッグデータを与える」「プロセスの可視化」等によって人工知能を育て共存していかなければならない。
20万年前にホモサピエンスが誕生したが、19万年は狩猟時代で獲物はみんなで分け合い平等社会であったといわれている。そして1万年前に農業が生まれ200年前の産業革命により「大金持ち26人の資産が世界の下位半分の38億人の資産と同じ」という不平等な格差社会になっている。このような進化のプロセスも射程に入れて、人間と機械の関係を考える必要がある。豊橋技術科学大学 岡田美智男教授は人に頼る「弱いロボット」を開発し、ロボットやAIと人間の共存の仕組みを考えている。このような時代だからこそコミュニケーションの大切さ、「人間としての幸せとは何か」を研究しながら、人間とAIの共存の解を見つけていく必要があるのではないか。
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4.質疑応答
(1)Q1:AIが仕事をしてくれれば人間は何もしなくてもよくなるのではないか。
ヒトの仕事はなくならない。産業革命においてラッダイト運動という機械破壊運動が起こったが仕事はなくならなかった。アテネでは奴隷に働かせたが市民はそれなりの幸せを求めた活動をしていた。要は何が幸せかという問題。
(2)Q2:AIの時代に人間はどんな仕事をすることになるのか
  人間にしかできない仕事を模索する必要がある。
(3)Q3:アルファー碁などはものすごいエネルギーが必要としてるが、、、
  AIもエネルギー問題とリンクしている。AIを考えるときエネルギー問題も検討も必要。
(4)Q4:自動運転の時にサーバー攻撃からどうして守るのか
  心配ではあるが、専門家のヒトが考えて前に進んで欲しい。
(5)Q5:アシモフの3原則では3番目にロボット自らを守るとなっているが自動運転ではどうか。
  日本では議論されていないが議論を深めていく必要。

(文責:桑原
講演資料:人工知能の光と影
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2019年04月25日

EVFセミナー報告:「2030年自動車産業の競争軸を考える」〜MaaS、EV、自動運転〜

演 題 :「2030年自動車産業の競争軸を考える」
   〜MaaS、EV、自動運転〜

*MaaSとはMobility as a serviceの略で日本語では「サービスとしての移動」と訳されます。個々人の移動を最適化するために様々な移動手段を活用し、支払い手段の一元化を含めたパッケージサービスにより利用者の利便性を高めることを言います。

実施日:2019年4月25日(木)
講師:轟木光氏 アビームコンサルティング株式会社シニアマネージャー
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル
   
1.講師略歴:
1999年:九州工業大学大学院設計生産工学専攻 修了
同年:日産自動車入社 主としてR&Dにて開発及び商品投入戦略に従事、ドイツに駐在
2017年:アビームコンサルティング株式会社入社 日本の自動車産業を中心に戦略策定、調査などコンサルティング活動に従事 現在に至る
(著書)「EV・自動運転を超えて”日本流”で勝つ‐2030年新たな競争軸とは‐」
    日経BP社(2018/6/18発売)
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2.講演まとめ:
世界は効率化の追求だけでなく、持続性や循環型経済を意識した構想へ変化し、デジタル化やスマートフォンの普及によって顧客の声が顕在化し、顧客は100%満足できるモノ・サービスを探すようになった。こうした社会の変化はモビリティにも到来している。
自動車産業は、100年に一度の変化期に直面している。その変化を促すのが、パワートレインの電動化(環境)、自動運転(安全)、シェアリングエコノミー及びコネクテッド(ネット接続)である。この4つの内何が2030年の競争軸となるのか?下記講演概要に記述した3つの視点からご講演をいただいた。
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3.講演概要
(1)何故、EV拡大が必要なのか?+燃料電池EV(少しだけ)
・環境問題を背景に各国でCO2規制、ICE(ガソリン車)台数比率規制、ゼロエミッション車台数設定が実施される。
・EV拡大施策は、政府・地方自治体による補助金など優遇策がメインだが限界がある。
・規制対応にはEVは10〜15%の販売シェアが必要。そのためにはバッテリーへの莫大な投資が必要だが回収の見通しが立たない。また、課題も多い。
・リチウムイオンバッテリーについても熱を抑える技術開発、コバルトの調達の社会問題などが存在しコスト削減が困難。
・EVは課題が多く決して楽観できないが、マスコミがネガティブ情報を消している。
・その中でFCEV(燃料電池車)がブーム、排ガスやCO2を排出しないFCEVでないとゼロエミッションを達成できない。
・各国は環境規制への対応とエネルギーセキュリティの向上を見据えFCEVの普及政策を定めている。2024年からルマン24hでFCEVが採用予定。
・トラックはOEM、バスは行政主体で導入伸展、また、高出力、長航続距離が要求される商用車での採用が拡大の見込み。
・乗用車は、BEV(バッテリー式EV)は走行距離が短く充電時間も長いが現状は航続距離500Km以上の領域でFCEVと共存。
(2)完全自動運転後の世界は?
・自動運転技術とはドライバーをロボットに置き換えることである。さらにAI(人工知能)も必要。
・技術開発に関しては、人や他車の動き、天候などの再現性とドイツアウトバーンや日本の多信号などの極限環境の側面から今までのやり方での開発は非常に難しい。
・モノによる開発からバーチャル開発へ移行。試作車をやめてバーチャル認証になる。
・マスのモノづくりが終わり新しいモノづくりの始まりの予兆。
・IT人材不足で優秀な人材獲得が今後の競争軸のひとつになり、特徴としては高収入、日本では東京一極集中。
・自動運転レベル4(特定の場所ですべてを操作)レベル5(場所の限定なし)の拡大は、工場内の自動運転、高速道路での隊列トラックなどのステップを経て、法整備、ユーザーのアクセプタンス向上があり、そしてプライベート車の完全自動運転が達成できる。
・自動車産業が自動運転技術を活用したサービスへ参入拡大。将来キーポイントとなる。例えば工場内輸送・倉庫業、宅配業、シェアリング業など
(3)モビリティシェアリングは4つの変化(電動化・自動運転・シェアリングエコノミー・コネクテッド)の要+MaaS
・モビリティシェアリングサービスにはカーシェアリングサービスとライドシェアリングサービスの2つのタイプが存在する。
  -カーシェアリングは自動車OEM(ダイムラー/BMWなど)の参入後着実に成長。
  -ライドシェアリングはUber及びDiDiなどにより爆発的に普及。
・すでにダイムラーはモビリティサービスを乗用車・トラックに並ぶ事業とし、分社化、増資しながら提携先を拡大することを実施あるいは計画中。
・自動運転実現後の各事業コストはタクシードライバーがいなくなり、タクシー、カーシェアー、ライドシェアー、レンタカーのコストはほぼ同一となり競争が始まる。
・多くのユーザーは自家用車を持たなくなる可能性がある。その結果、マスブランド車が減少し、相対的にプレミアムブランド車の割合が増加する可能性がある。
・モビリティシェアリングサービスが変化の要で、それを通してEVの急速な拡大や、自動運転技術導入がされていき、コネクテッド技術も拡大する。
・この姿がMobility as Service (MaaS)である。
・MaaSは社会最適のための手段で、2014年にフィンランドで誕生。移動/輸送というサービスを統合し、情報・予約・決済を統合する「あらゆる人々の移動/輸送ニーズにこたえるサービス」また、これには周辺サービスが含まれる。
・MaaSは5つのレベルに分類され、現在はレベル2及び3が主戦場だが、社会の最適化というレベル4になると過当競争の発生から国や自治体のガバナンスが必要となる可能性がある。
  -MaaSプラットフォームはアプリケーションとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)連携で成り立つシンプルな構造で自社開発の必要性は低い。
  -米国ライドヘイリング2社(Uber、Lyft)の売上は順調だがずっと赤字。従って、周辺サービスにチャンスを見出す必要がある。(車両、燃料、駐車場、メンテ、保険、システムなど)
・未来の自動車産業は、航空産業のように車両の供給会社はグローバルで数社に集約され、部品供給はグローバルサプライヤー、エンドユーザーの窓口はMaaSプロバイダーと極めて少数の企業となる可能性がある。
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4.質疑応答
(1)Q1:日本のFCVの状況は
-水素に関しインフラの設置費が高く数が少ない。法律の改善の必要がある。
(2)Q2:アンモニアと水素を混ぜて燃やすのは駄目か
-燃やすとNOxが問題となる。
(3)Q3:ヨーロッパで盛んなディーゼルの見通しは
-絶滅はしない。重量物且つ長距離に有利。NOxはゼロと言い出す。
(4)Q4:カーシェアリングと車(運転)の楽しみの関係は
-わずかには残ると考えられるが、現在でも世代間格差は大きい。将来は車の買えない低所得者が増えると予想される。
(5)所有車が減少する中で新興国も車が増えないか。MaaSについていけるか
-MaaS専用車両が増加する。MaaSは各地域に適応する仕組みなので普及してしまう。
(6)世界を席巻するUberみたいな会社は増えるか
-Facebookは消滅の危機にある。Amazonは世界的には知られていない。現地に税金を払わなければ残れない。
(文責:冨野)
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2019年03月19日

EVFセミナー報告:福島第一原発の廃炉技術とロボット−廃炉作業ロボットの研究開発の現状と課題−

演 題 :福島第一原発の廃炉技術とロボット
   −廃炉作業ロボットの研究開発の現状と課題−

実施日:2019年3月19日(火)
講師:新井民夫氏:技術研究組合・国際廃炉研究開発機構(IRID) 副理事長、東大名誉教授
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室;〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル
   
1.講師略歴:
・福島第一原子力発電所廃炉事業の技術研究開発を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)の設立時(2013年)から副理事長に就任し、ロボット技術、設計システム、人材育成を中心に機構の運営に携わっている。
・1970年に東京大学工学部精密機械工学科を卒業、1977年同大博士課程修了、工学博士。
・複数移動ロボットの協調制御、クレーンとロボットによる重量物ハンドリング、ホロニック自律分散生産システムの研究など生産システム研究を進めた。
・2000年より東京大学人工物工学研究センター長としてサービス工学を提唱した。
・2008〜10年精密工学会会長。
・2012年、東京大学名誉教授。
・2012〜16年サービス学会を設立、初代会長。
・日本学術会議会員(第22〜23期)。
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2.講演まとめ:
2011年3月11日に発生した東日本大震災により福島第一原子力発電所の3つの原子炉では全電源を喪失し、結果、炉心溶融が起こり、これに加えて水素爆発が発生した。これらの炉を廃炉にするには、内部の状況調査、放射線量測定、除染、がれきの除去、燃料デブリの取出し、解体という一連の作業が求められ、人が近づけない高放射線量過酷環境の中でも働けるロボットの開発が必須である。
この講演では、事故炉の中で放射性物質の閉じ込めを確保しながら、遠隔操作で数百トンにもおよぶ燃料デブリの取り出しから、収納・移送・保管までを実行するロボットの開発の現状と展望について、ビジュアルな資料を用いつつ語っていただいた。
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3.講演概要
(1)IRIDの発足
2011年3月に炉心溶融を起こした東京電力第一原子力発電所の3つの原子炉は廃炉とすることが決められている。そのため、溶融燃料並びに燃料と周囲の物質とが入り混じって固まった燃料デブリを取り出さなければならない。この技術課題を解決するために、2013年に「廃炉技術を集中して研究開発する技術研究組合(IRID)」が発足した。IRIDのミッションは次の3点にある。1)世界に例のない原子炉内の燃料デブリ取り出しロボットの技術研究開発、2)長期に亘る廃炉事業の技術維持・発展のための人材育成、3)廃炉に関わる世界の英知を結集するための国内のみならず海外の研究機関との技術交流・技術協力の推進。

(2)廃炉作業の特徴
・過酷環境下、かつ未踏分野での仕事であり、開発の⽴案と変更の機敏性が求められる。
・多分野複合技術が要求され、多方面の⼈材参画と連携作業が必須である。
・長期に亘るダイナミックな計画と、それに関わる⼈材育成と開発技術の実用化が必須。
・廃炉は社会的課題であり、研究開発は国の仕事である(全体的に宇宙開発との類比)。

(3)廃炉の手順
廃炉の手順は通常なら下記の手順で行われる。
1)使用済み燃料の搬出、2)炉設備の系統除染、3)一定期間の安全貯蔵で放射能減衰を待つ、4)建屋内部の炉等の解体撤去、建屋除染、5)建屋解体、燃料は譲渡、汚染物廃棄。6)建屋内部からの廃棄物処理処分。
しかしながら、福島の炉は通常ならざる状態であり廃炉工事内容と手順を策定するためにも、まずロボットによる内部状況の調査から始めなければならない。そして最終的な炉解体工事に至るまで、全面的にロボットの活用に依存せざるを得ない。

(4)ロボットに求められる要求とロボット開発
1)ロボットの開発目的は現場観察、環境測定、燃料デブリサンプリング、燃料デブリ取り出し、等々多岐に亘り、それぞれで要求される機能、性能、大きさ、パワーが異なる。
2)高放射線環境での作業のため、電子機器を長期間使用することが出来ない。また、無線の信頼性が低いため、電源供給をも含めた有線による遠隔操作ロボットとなる。しかし、有線では高度なケーブルマネージメントが求められる。
3)炉内では、炉内構造物の落下、瓦礫、たまり水等の障害物があり、外部から遮蔽壁を通って、炉内作業ポイントまでのロボットの持ち込みに、移動の確保が必要となる。
4)使用場所、使用目的に合わせた駆動機能、形状変化機能、運動機能が必要であり、開発が進んでいる。
・クローラタイプ・ロボット(階段、段差、ガレキ走行等の高い運動機能を持ち、映像撮影、環境モニタリング、軽量物のハンドリングに威⼒を発揮する。)
・磁気吸着移動ロボット(磁力で鋼鉄製壁面に吸着し、移動可。サプレッションチェンバ(S/C)やベント管上の漏えいなどの調査を⾏うために開発。)
・⽔上ボート(漏洩箇所調査用)
・⽔中ロボット(トーラス室壁⾯の⽔没したペネ貫通部の漏えいを調査する。超⾳波ソナーによるドップラ計測機能を装備。)
・今までは、炉内調査のため、外部から炉内へ小径の貫通穴(ペネトレーションと呼ぶ)を通過でき、内部で運動性能を発揮できる超⼩型ロボットを開発してきた。今後は耐放射線性、保守性、環境に応じた駆動⽅式を有する重作業のできる⼤型ロボットの開発が必要となる。

(5)現在までに行われた原⼦炉格納容器(PCV)内部調査
・(1号機)溶融燃料は、ほぼ全量が圧力容器(RPV)下部へ落下、炉⼼部には殆ど燃料が存在せずと推測。⇒・燃料デブリのペデスタル外側までの拡散の可能性から、ペデスタル外側の調査を優先。形状変化型ロボットを使用。グレーチング上を移動し、カメラ付き線量計を⽔⾯下に投⼊して調査。降下ポイントの⾼さ⽅向の線量率分布、地下階床⾯の燃料デブリの広がり状況の確認。
・(2号機)溶融した燃料のうち、⼀部は下部プレナムまたは又は格納容器(PCV)ペデスタルへ落下。燃料の⼀部は炉⼼部に残存と推測。⇒ペデスタル外側までの拡散の可能性低く、ペデスタル内側の調査を優先。クローラ型遠隔操作ロボットを使用。CRDレールを経由して直接ペデスタル開⼝部へ侵⼊を試みたが、粘性の高い物質のためとの干渉のため、途中停止。先立つ長尺竿先に付けたカメラによる画像では、ペデスタル底部の全体に,⼩⽯状・粘⼟状に⾒える堆積物を確認。燃料集合体の⼀部(上部タイプレート)がペデスタル底部に落下しており,その周辺に確認された堆積物は燃料デブリと推定。
(3号機)溶融燃料の存在形態は2号機に近いと思われる。PCV内の⽔位が⾼く、水中遊泳型ロボットを使用。着⽔後、潜⽔によりペデスタル⼊⼝から内部へ入る。底部に砂状、小石状の堆積物を確認。

(6)今後の展開・課題
IRIDの研究開発プロジェクトとしては次の3分野に関して、合計15プロジェクトが進行中。そのうち、9プロジェクトはロボット技術がベースになっている。
(1)燃料デブリ取り出し技術、(2)圧力容器補修、止水技術、(3)炉内調査、分析、評価技術

福島第一原発の廃炉は、人類が未だ踏み込んだことのない社会的・技術的分野であり、多分野複合技術とリソース(人材・予算)を必要とする長期プロジェクトである。この未踏分野における複雑かつ巨大システム技術を持続的進化させるためには、その考え方の基盤において、「認識科学」と「設計科学」を融合させながら推進することが重要。「認識科学」として観測⇒分析、その結果を使っての「設計科学」としての設計⇒適用があり、これらが循環することで持続的にシステムの進化が進む。

(7)講演の最後に講師は「君に何を期待するか」と若い人へのメッセージを発信された。
・福島第一原発の状況を科学的に理解せよ。
・社会の技術としての科学技術を広く眺める⼒を持て。同時に、社会科学的視点を理解せよ。
・部分最適化を避け、全体最適化を図れ。多分野複合技術者たれ。
・未踏分野の技術成功率は低いことを理解せよ。そして、技術の適⽤、失敗、その後の対応を深く考え、失敗例を的確な情報として残せ。

そして、「廃炉は世代をまたいだ⻑期事業。理解し、記憶し、⼿助けしよう」と呼びかけられた。

質疑応答
Q1;廃炉の達成は大変に難しそうであり、ダメな場合は、石棺もありうるか?
A1;ないと思う。国は石棺という手段を選択しないように考えている。
Q2;作業環境から無線は適さないとのことであるが、放射能耐性の高い材料もあると思うが?
A2;宇宙用にICが開発されているが、価格が高い。つまり、実用的な電子機器が使えるかどうかである。材料的には可能性がある。
Q3;IRIDは技術研究組合法に基づいての設立で、活動期間は10年と聞いている。プロジェクトの長さを考えると、それでは困るのでは?
A3;福島第一原発の廃炉技術開発をオール日本の態勢で立ち上げる必要があり、技術研究組合という枠組みを使った。組合故、時限で設置している。しかし、それで終わることはなく、必要に応じて、形態は変わっても何らかの形で技術開発の継続がなされよう。
Q4;お話の中で日本では技術伝承がないとおっしゃったが、自分の経験ではそうではなかった。
A4;一般論としては、日本はシステム的な技術について伝承が弱いと思う。また、日本ではリスクアセスメントが弱い。原子力はリスクに敏感な産業だけに進んでいると思っていたのだが、実際にはそうでもなかった。
(文責:橋本升)
講演資料:福島第一原発の廃炉技術とロボット
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2019年02月21日

EVF総会記念セミナー報告:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

演 題 :クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
〜電力ネットワークからソーラーカーを語る〜

実施日:2019年2月21日(木)
講師:廣田壽男氏 早稲田大学環境総合研究センター客員教授 工学博士
開催場所:JICA地球広場 セミナールーム202AB 
〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)   
1.講師略歴:
1972年、北海道大学工学部原子工学科(学部)卒業
同年、  日産自動車入社。中央研究所にて、電気自動車、燃料電池の研究開発
水素エンジン、メタノールエンジンの研究開発
1990年、エンジン開発部門にて生産車エンジンの開発 
1994年、米国駐在。パワートレーン開発、EV実用性試験
1998年、総合研究所にて、燃料電池システムの研究開発
1999年、工学博士(機械工学)
2001年、米国駐在。コネチカット州に燃料電池研究室開設。燃料電池車を開発
2005年、技術企画部。電動車両など環境・エネルギー研究開発戦略
2014年、日産自動車退職
2008年、早稲田大学。先進電動バス、EVバッテリ活用V2Hの研究
2011年、リチウムイオンバッテリの性能および耐久性に関する研究
2015年、燃料電池ゴミ収集車の研究
2018年、国際エネルギー機関(IEA) 太陽光発電 TASK17
     運輸部門における太陽光発電の活用に関する研究
現在に至る
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2.講演まとめ:
クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?というテーマにつき以下の3つの視点からご講演をいただいた。
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り、静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は1.5万基に達する
(3)将来展望
−EVのクルマとしての魅力により置き換わる。しかし時間がかかる。
−現在のEVはまだまだ重すぎるため、大幅な軽量化、コスト低減が必要
−太陽光エネルギーでどこまでも走ることができるクルマを作りたい
−PV(Photovoltaic:太陽光発電)セルの変換効率向上とモジュールコスト低減によりPV搭載EVの実用化を近づける
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3.講演概要
(1)EVの市場導入が進む
−2018年末にEV、PHV保有台数は500万台超に達する(全乗用車の0.5%)
−最大の市場は中国で米国、欧州(フランス、ノルウエーなど)が続く
−欧州、中国を中心に普及促進の政策が実行されている
−欧州では2030年〜2040年に内燃機関エンジン車の販売を禁止する動き
−中国では新エネ車を2019年に10%義務付け
(2)環境性能だけでないEVの魅力
−バッテリーとパワーエレクトロニクスの技術革新がEVを魅力ある車にかえた
−レスポンスの良い力強い走り:モーターは低速トルク大で変速機なしでクルマの要求トルクを実現できるため、変速ロスが無い。
−モーターの応答性の良さを生かして、コーナリング時のトルク制御により操縦安定性を改善することが可能
−3ペダル(MT)⇒2ペダル(AT)⇒1ペダル(EV)の革新
−市街地のゴーストップの多い走行で運転が容易。上り下りやカーブの多い山岳走行でも直感的にコントロールできる
−回生ブレーキのエネルギー回生量を増大できる
−静かで滑らかな乗り心地、気持ちの良い空気感
−長野市EVバス実証実験では「静かにお話ができる」「音楽の聞こえ方が違う」「オイルや排気ガスのにおいがしない」「長く乗っても車酔いしない」などの声が聞かれた
−リチウムイオン電池の進化により2008年⇒2018年で、エネルギー密度は6倍、コストは1/6に進化
−最近ではセル容量の大きい三元系(Ni,Co,Mn)やニッケルリッチ三元系が増加している
−2019年の日本国内の急速充電は7,500基、普通充電は15,000基に達する
−現在の急速充電は50kWだが、150kW、350kWへの拡大が検討されている
−充電器へのバッテリー内臓により大容量電源化無しでも超急速充電が可能となる
−仮に日本国内の保有乗用車7,000万台すべてがEV化されたとするとEVによる消費電力は全体の11%に相当する

(3)将来展望
−クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
−置き換わる。しかし時間がかかる。
−EVのクルマとしての魅力が置き換えを促進する
−ただし、大幅な軽量化、コスト低減がないと急速には普及しない
−Chevrolet VOLTもNissan Leafも1,600kg以上、1,000kg位の車が理想的。
−トヨタ、東工大が全個体電池を開発。実用化が待たれる。
−In-Wheel Motor、SiC半導体などの技術革新がEVの性能向上を促進する
−太陽光エネルギーでどこまでも走るクルマを創りたい
−PVセルの変換効率は22%(1977年)⇒46%(2015年)と進化している
−コストは$100/W(1976年)⇒$0.55W(2017年)まで低減された
−Nissan LEAFに1kWのPV搭載で試算すると、27回/年必要だった充電が5回/年に削減可能となり、消費電力量は732kWh⇒202kWhに低減される
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4.質疑応答
(1)Q1:運行費用はEVとエンジン車でどの程度違うのか?
−ガソリン車が約¥7/km、EVが約¥2.5/km(昼間電力)
(2)Q2:中国の技術レベルはどの程度なのか
−数年前は大したことは無かったが、ここ数年見ているととても高い。開発投資の投入量が莫大。日本の優位性は楽観できない。
(3)Q3:トラック、バスのEV化はどうなっているのか
−欧州、中国を中心に積極的に開発されている。日本は遅れている。
−EVバスは世界で40万台が走っている
−温暖化に対する国民に意識の差が原因か
(4)Q4:日産がEVシフトした理由は何か
−トヨタの後追いでHEVをやるよりはEVシフトしたほうが、勝算があった
(5)Q5:中古バッテリーよりも新品バッテリーの方が安くなるのでは
−新品は額面では¥10,000/kWhとなっているが現実には大量発注でないとこの値段では買えない。量が多くない場合は中古バッテリーは十分価値が有る。
以上 

(文責:深井吉男)

講演資料:クルマはエンジン車からEVに置き換わるか?
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2019年01月24日

EVFセミナー報告:COP24で見えてきた世界の大きな潮流

演 題 :「COP24で見えてきた世界の大きな潮流」
実施日:2019年1月24日(木)
講師:山岸 尚之氏 [WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)自然保護室 気候変動・エネルギーグループ リーダー]
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室 
〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル   
1.講師略歴:
1997年に立命館大学国際関係学部入学。同年にCOP3の開催をきっかけとして気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大を卒業。
同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。
卒業後、WWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)の気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連会議での情報収集・ロビー活動などを担当。
現在は自然保護室・自然保護室次長 兼 気候変動・エネルギーグループ長。
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2.講演まとめ:
COP24(2018年12月、ポーランド・カトヴィツェ、第24回国連気候変動枠組み条約締結国会議)は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を運用する「実施指針」(通称「ルールブック」)を採択して閉幕しました。
今回焦点だった(1)「ルールブック」と呼ばれるパリ協定実施に際する細目ルールについて、(2)CO2削減目標をさらに高める必要性の合意について、会議(COP24)直後でもあり、具体的なやりとり、そしてその背景についてまでご説明頂きました。演題にもありますように、大きな世界の潮流の変化があり、そして現状の我が国の対応にまで言及して頂きました。質疑応答についても、時間も多めにあり、熱心な質問が続きました。
今回で山岸講師は4回目のEVFセミナーでもあり、我々EVF向けに的を絞った分かり易い、且つ高いレベルの講演でした。「24時間営業のコンビニ店舗の拡大」、「ネット通販の拡大に伴う再配達の増加」等、一部脱炭素社会への逆行とも思われる現状の日本の社会において、我々の今後のあるべき方向付けについても大いに認識が深まりました。
3.講演概要:
*パリ協定は、2015年に採択され、2020年の実施が予定されている。産業革命前に比して、気温上昇を2℃より低く、出来れば1.5℃を狙う。21世紀後半には、段階的な改善を経て、脱炭素化社会の実現を図る。

*パリ協定は、1980年代の後半からの国際的な議論の積み重ねの上にあり、先進国と途上国の対立を乗り越えての合意を優先した。今回は、初めてその実施の為の規則・ルールブックが、締結された。

*NDC(国別目標)は、5年ごとに管理のサイクル(P-D-C)で世界全体での進捗確認を行う、透明性のある枠組み作りを。NDCは、原則的にすべての国が参加する。2020年までに、「2030年までのNDC」を提出もしくは更新することを求める。5年ごとのグローバル・ストックテイクは、「緩和」「適応」「実施の手段」の3つのテーマを中心に行われる。

*2.0℃と1.5℃の差の影響は大きな問題であり、今のままでは3.0℃になってしまう現実がある。NDCに書くべき項目として、根本的な対立点は、「排出削減が中心」vs「資金・技術も」であったが、先進国と途上国が歩み寄る形でルールが概ね採択された。ルールが採択された原動力の一つは、各国の温暖化の被害(米国の例、日本の例・・・)に対する危機感だったのではないか。

*交渉において基本的な難しさは残っており、再燃する。国のタイプによるグループ分けをどうするかの議論も残っているが、ともかく今回はひとまず全ての国に共通する形で「ルールブック」を完成させることが出来た。

*ルールブック以外も含め、その他の決定事項は、COP25(チリ)に持ち越された。COP25の開催は、2019年11月から2020年1月に移すことが検討されている。
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*タラノア対話の意図は、今のままでは3℃になってしまい、世界全体の野心を2020年までに引き上げる事。44か国、429の非締約国ステークホルダーからのインプットがあり、又、国・地域で約90のイベントが開催。その背景には、世界各国での非国家ファクターの台頭がある。

*米国はトランプ大統領がパリ協定からの離脱を決め、自主目標を拒絶した。米国の企業と国民は「We are still in」のキャンペーンの盛り上がりが、そして日本では「気候変動イニシアティブ」の推進があり、その好例。

*「パリ協定」では、各国に長期戦略(2050年まで)も求めているが、G7では「日本」と「イタリア」だけが未提出。日本がリーダーシップを発揮しているとは言えない状況。しかし、「2020年までの野心の強化」を発表すれば、先進国としては初めてなだけに、日本の評価は一変するのでは。

*タラノア対話を通じた「野心の強化」のメッセージは、十分とは言い切れない。しかし、メッセージは埋め込まれている。2019年9月の国連事務総長主催の気候サミットへの「参加」、及び「強化された野心を示す」ことを呼びかける。

4.質疑応答:
講演終了(16:45)後、17:30まで活発な質疑応答があった。以下はQ&Aの事例。
Q:中国のCO2排出量削減の姿勢について。
A:パリ協定を支える姿勢は守っているが、交渉官の態度は極めてハード。しかしマスコミ対策は上手い。

Q:2.0℃/1.5℃にならなかったらどんなに事になるかを明らかにすべきでは。
A:今の科学ではそこまで明確に言いきれていないが、情報のある国では解決できる可能性はある。危機感を共有する事が必要であり、共有する時間が不足している。

Q:CO2排出量が削減され、上昇温度が減る事を検証する必要があるのでは。だれが責任を持つのか。
A:今回、グローバル・ストックテイクで5年ごとに進捗確認の仕組みが作られた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、今後起こりうる被害の科学的予測を報告している。政策決定者がそれをベースに判断する。

Q:COPにおける、非国家機関の位置付けは。
A:現状では「脇役」だが、しかし気候変動対策は、国家総力戦の方向であり、会場では「国家」と「非国家機関」の二つの盛り上がりがあった。但し、非国家機関の定義は難しい。
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Q:国連では、各国が何を対策としてやるかの議論を避けているのでは。
A:内政干渉になりかねないので、国連では「何を」の議論にはならない。

Q:地球温暖化について、日本政府/環境省、経産省の議論は。
A:「イノベーション」や最先端技術があったらできる、という意識が強すぎて、目の前でできることへの意識が低い。例えば、石炭や再エネなど。

Q:日本の政策と産業構造の可能性については。
A:最近は連携して進んでいる。日本の「気候変動イニシア「ティブ」の最近の拡大は特筆されるべき。革新的技術だけでは危機的であり、技術以外の社会の仕組み・ソフトの変化がなければ進まない。

Q:CO2排出量削減の日本の本質的な取り組みについて。
A:日本の社会、政府は、確証はないが、最初の10年に比べて、ここ5年の空気は変わっている。ビジネスチャンスと感じている人も増え、うねりとなっているのでは。自動車、プラスチック業界は、その好例。

以上
(文責:三嶋 明)

講演資料:COP24で見えてきた 世界の大きな潮流
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2018年12月20日

EVFセミナー:リチウムイオン電池の再利用への取り組み

演 題 :「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
実施日:2018年12月20日(木)
講師: フォーアールエナジー株式会社代表取締役社長 牧野英治様
演題:「リチウムイオン電池の再利用への取り組み」
開催場所:NPO法人新現役ネット会議室 
〒108-0014港区芝5-31-10サンシャインビル   
1.講師略歴:
講師は1983年に日産自動車に入社し、開発部門で技術渉外、技術企画等を担当、1994年〜98年、2004年〜07年の2回に亘り米国駐在を経験した。その後経営企画室、電気自動車リーフのプロジェクトメンバー、等々を歴任し、2014年4月から現職を務めている。

2.講演概要:
まず冒頭に電気自動車(EV)導入の社会的必然性と、その実現方策について以下のような説明があった。
・IPCCの第4次報告に基づくと2050年までにCO2排出量を2000年比で90%の削減が必要。
・この実現のためには走行中にCO2排出ゼロのEVを広く普及させることが必要。
・使用済み電池の活用まで計算に入れたEVの生涯コストを考えると、現行のガソリン車の生涯コストとほぼ同等になり、EVの普及が進む。
・このためには使用済み電池の活用が必須となる。
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次にフォーアールエナジー社の概要について以下のような説明があった。
フォーアールエナジー社は、日産自動車と住友商事の共同出資により2010年9月に設立された。同社はEVで使用済みとなったリチウムイオンバッテリーを2次利用し、エネルギー貯蔵の解決策として「4R」事業と銘打った事業を手掛ける。「4R」は社名のフォーアールの語源にもなっている。EVで使用済みのリチウムイオンバッテリーは、まだ高い残存容量を持つためこの有効利用を図る。「4R」とは、次のような事業を指している。
・再利用(Reuse) : 約60%〜80%と高い残存容量を持つバッテリーの2次利用を行なう。
・再販売(Resell): バッテリーを様々な用途のために再販売する。
・再製品化(Refabricate): バッテリーパックを分解した後、顧客のニーズに合うよう再度パッケージングを行なう。
・リサイクル(Recycle): 原材料を回収するために使用済みバッテリーのリサイクルを行なう。

4Rビジネスはゼロエミッション車の普及のみならず、再生可能エネルギー分野でさらなるCO2削減を行ない低炭素社会の実現に貢献する。電池の残存容量に合わせて使用対象を使い分ける
・性能が優れた電池   : EVの交換用電池、他
・性能が中程度の電池  : フォークリフト、ゴルフカート、他
・性能が少し低下した電池: 定置型蓄電池・電源、工場電源バックアップ設備、他
 
日産のリチウムイオン電池は、新品製造の段階でセルごとに詳細な情報をすべて記録保存してあり、万一の事故発生時に原因を特定できるようなトレーサビリティーが確保されている。4Rエナジーでの使用済み電池製品の製造過程についても全く同様な情報を記録保存してあり、日産の新品製造時の記録とも連結しているため、2次利用での不具合発生時にも原因を新品時までさかのぼって特定できる仕組みとなっている。

最後に同社が今年3月に建設した福島県浪江町の新事業所の機能について以下の紹介があった。
使用済み電池の2次利用ビジネスに関する、
(1) グローバル開発センター機能
    ・使用済み電池を使った製品の開発と、グローバル展開
    ・製造技術の開発と、グローバル展開
(2) 国内向け製品製造機能
   ・使用済み電池を使った国内向け製品の製造

今後太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度)が切れて来るので、売電の代わりに自家使用するための蓄電地としての需要増が期待されること、またEV用電池の高容量化を受けて充電速度の高速化技術を開発中、との説明があった。
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3.質疑応答:
講演終了後、聴講者と講師の間で活発な質疑応答があった。Q&Aの例は以下の通り。
Q.街路灯用電源として現在「ソーラーパネル+鉛蓄電池」を使っている。この鉛蓄電池を中古リチウム電池に置き替えたいが販売して貰えるか?  
A.相談に乗ります。
Q.リチウムイオン電池はどこの部分が劣化していてどう修理しているのか?
   A.電池の中身はいじらない。残存性能を正確に把握し再利用の仕方を判断する。
Q.フォーアールエナジー社の業務内容はいずれ中国にコピーされるだろうが、その先の収益策は?
   A.使用済み電池がこれから急増するのでこれを使った商品で収益を上げていく。
Q.非常用電源としての利用可否は?
   A.現在商品を開発中なので期待してほしい。
Q.他社車の電池でのリユースはできるのか?
    A.検討を進めている。
Q.中古バッテリーの価格のレベルは?
    A.同等性能の新品バッテリーに比較して1/2〜1/3の価格レベル。
Q.中古電池の回収の仕組みは?
    A.電池は中古といえども取り扱いを誤ると非常に危険なので、回収業者への資格制度、認証制度などの制度整備を政府に働きかけている。
Q.モンゴルの移動住宅「ゲル」などへの適用は?
   A.現在は未検討だが$700程度の価格なら事業化できるかもしれない。
以上
(文責:小栗武治)
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2018年11月20日

EVF拡大セミナー報告:「第三の危機」VS 鳥類学者、あるいは(外来生物の功罪)

演 題 :「第三の危機」VS 鳥類学者、あるいは(外来生物の功罪)
開催日:平成30年11月20日(火)18:30〜20:30
場 所:きゅりあん6F大会議室
講 師:川上和人氏 森林総合研究所主任研究員

講演概要:
T 生物の多様性を保全することがなぜ必要なのか?
生物多様性基本法(2008年施行)では、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、豊かな生物多様性を保持し、その恵沢を将来にわたって享受できる自然と共生できる社会を実現し、地球環境の保全に寄与することとあり、人類共通の財産である生物多様性を引き継いでいく義務があると明確に記されています。そして、生物多様性がもたらす恵沢は生態系サービスと呼ばれ、いくつかの種類に分類されています。
1.供給サービス・・・何かを供給してくれる。例えば、農産物・魚介類・
水・医薬品
2.調整サービス・・・気候や水質、農地環境などを調整する。例えば、
洪水などの制御や受粉など。
3.生息・生育地サービス・・・多様な生物が生き、遺伝的多様性が維持
できる生息地を提供する。
4.文化的サービス・・・レクレーションや文化の発展、芸術的インスピ
レーションを得る。
次世代に生物の多様性を残すためには、保全のためにできることをして行くことであり森林を守る、寄付をする、研究、行政色々な立場での保全活動があります。
また、生物多様性の国家戦略で、基本法は生物多様性を阻害する四つの危機を示しています。
1.第一の危機・・・開発・乱獲の利用しすぎる危機
2.第二の危機・・・里山の放置などの利用しないことによる危機
3.第三の危機・・・外来種の侵入等、人間が何かを持ち込んでしまう危機
4.第四の危機・・・地球温暖化で世界的レベルでの気候変化の危機
中でも、このセミナーのテーマは第三の危機:外来生物の侵入です。

U 外来生物の問題
1.世界の侵略的外来種ワースト100、同様に日本の侵略的外来種ワースト100もあります。ブラックバス、ミシシッピアカミミガメ、繁殖力の強いグリーンワームそして意外なのは日本のわかめです。我が国や朝鮮半島でのみ好まれるわかめですが、船のバラスト水として世界の港に運ばれて繁殖しています。
2.侵略的外来生物による影響はどんなところで問題になっているのでしょう
か?

日本でも南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島の島嶼と陸上の池・湖・
川などの狭い面積の中で周囲から取り残された領域です。島嶼は面積が小
さいので、狭い所で生物が進化すると移動性が低く防御力が低くなります。
また、これらのエリアでは個体数が少ないので絶滅しやすい環境でもあり
ます。島は地球全体の5%しかなく、しかも鳥類絶滅種の83%は島嶼で
起きています。

3.余談ですが、オーストラリア大陸以上の大きさの陸地を大陸とし、それより面積が少ない陸地を島と表します。また、この島は二つに分類できます。
A.海洋島(小笠原諸島)・・海洋プレート上にあり、海が深く孤立する。
  地上哺乳類は遠くまで泳げない。捕食者であるキツネ・イタチ・テンは海洋島にはいない。海洋島では生態系が簡単で種が少ない環境になっています。
B.大陸島(本州・沖縄)・・大陸プレート上にあり、海面レベルの上下で      
  陸続きになる可能性が大きい。

V 世界自然遺産/小笠原諸島をモデルとして侵略的外来生物の影響を観察しま
す。
1.小笠原固有種の鳥類は四種(メグロ・オガサワラカラスバト・オガサワラガビチョウ・オガサワラマシコ)で長い時間をかけて進化し、島の環境に適合していると考えられます。メグロ以外は既に絶滅しています。
2.メグロはメジロより一回り大きく、小笠原村のマークになっている絶滅危惧種IBで約15000羽が生息していると推定されており、個体数は決して多くありません。本州では、木の幹にキツツキ、地上にツグミと空間を分割利用しているが、小笠原ではメグロは競争者や捕食者がいないので全体を使って生きています。
さて、メグロは母島・向島・妹島にのみ生息しているが、DNA分析で島ごとに独自の遺伝的パターンがないかを調べました。そうするとミトコンドリアDNAに、母島や妹島にしかない配列が見つかり、島間の移動がほとんど生じていないことが分かりました。
 島という環境では、しばしば移動性が低下することがあり、メグロもその
典型例と言えます。

W 小笠原諸島の外来種生物対策
1.聟島列島でヤギ被害
  人間が持ち込んだヤギが、森林そして草原化した小笠原固有植物を食い荒 
  らした上、荒れ地になってしまいましたが、ヤギの根絶対策を施した結果、オナガミズナドリなどの海鳥が増加しました。
2.東島でクマネズミ
  クマネズミはもともと植物食を中心とした雑食性であったが、海鳥を食べ
るようになってしまっていたのです。ネズミ駆除の結果、海鳥の営巣が増
えました。
3.トクサバモクマオウ(オーストラリア原産の植物)
  落葉が10pもたまると他の植物が生息できないし、しかも土地が乾燥しま
す。トクサバモクマオウを駆除することで、水分量が増加して在来種のウ
ラジオエノキが増加しました。
 
*外来種はなぜ増えるのか?移入先には、もともとの生息地にいたはずの天敵がいないため、増加しやすい場合があります。また、進化の歴史が違うことで強い競争力を持っている生物や、低コストで生きられる生物は侵略的外来種になりやすい性質を持っています。

X 外来種の駆除には良いことも悪いこともある
1.算数では1プラス1−1(駆除)=1で元に戻ると考えられるが、生態系ではそうはなりません。駆除の影響から違った生態系になることもあります。そんなことで駆除でなく、侵入を防止することが生態系の保全には肝要です。
*トクサバモクマオウを駆除したら生物多様性は回復したが、その葉がカタ
ツムリの絶好の隠れ場所となっているような場合もあります。
*また、ネズミを駆除するとネズミを捕食している在来種のオガサワラノス 
 リ(鷹の一種)の生存が危惧されます。

2.外来種対策は生態系に対する影響があるからやるのだが、不測の事態が起きることを恐れすぎては駄目でしょう。何が起きるか予測して、特定種の排除・保護を目的とするのではなく、在来種による安定した生態系を作ること・保全することが上位に位置する目標であります。

3.定着した外来種は、生態系の中で機能を持ちます
A.外来生物対策
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B.外来種生物問題の変遷
   STAGE1 認識外
   STAGE2 問題の認識
   STAGE3 対策開始
STAGE4 新たな課題
  以上、外来生物対策は「悪対善」の図式で考えるものでなく、もっと複雑な問題であります。大切なことは種間作用をキチンと把握して、生態系全体で考え対処することであろう。
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質疑応答
1.メグロに興味があります。メグロのご先祖は遠くへ飛べない姿だし、海鳥 
でもない。何百キロもどうして飛んだのか?また、もしくは、フィリピン・プレートの上に島が乗っていて、昔はもっと南に位置していたのか?
答:鋭い良い質問です。フィリピン・プレートは少しづつ北に向かって動いています。プレート上の島はもっと南にあったと考えられます。
 サイパンに居るオウゴンメジロはメグロの祖先に近いもので、メグロは南方起源と考えられます。カワセミが1000キロも飛んで小笠原諸島にやってくることが確認されているので、小さい鳥でも頑張って飛べるのです。
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2.飛翔力のある鳥がどうして北と南を往来しないのか?(渡りをしないのか)
答:渡り鳥の進化は食べ物の量に影響を受けます。北の方は寒くなると、昆虫が動かなくなり、両生類・爬虫類は冬眠します。小笠原諸島は亜熱帯で食べ物が豊富だから渡りをする必要がないのです。この「渡り」というのは鳥にとってリスクのとても大きいことです。行ったことのない所へ渡って、食べ物を新たに見つけそして危険を冒して戻ってくる。そんな危険な渡りをしない方が生き残りやすくなるのです。海洋島だから渡り鳥がいないのでなく、亜熱帯で季節的な変化が小さいから渡りをする必要がないのでしょう。

3.小笠原諸島の200〜300年前と現在、そして200年後を考えると、進化を
止めているのでないか?
答:人が持ち込む外来種が生態系の脅威となっているので、これを管理するこ
とは自然の進化を止めることではありません。また、全ての外来種を管理す
るのは現実的には不可能で、対象となっているのは侵略的な外来種のみとな
ります。 
 ただし、小笠原は世界自然遺産なので、基本的には生態系に対する人為的干
渉は最低限にすべきと考えられます。また、保全の目標となるべき人間が影
響を与える以前の環境はわかっていないので、在来種を中心に自律的に維持
される安定した生態系を目標に、保全が進められています。
                                以上
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2018年09月27日

EVFセミナー報告:「極地研究からわかる地球規模の気候変化」〜第58次副隊長兼越冬隊長に聞く〜

演 題 :「極地研究からわかる地球規模の気候変化」〜第58次副隊長兼越冬隊長に聞く〜
開催日:平成30年9月27日(木)午後3時30分〜5時30分
場 所:新現役ネット事務局A会議室
講 師:岡田雅樹氏  国立極地研究所准教授、第58次南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長

 講師は京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程を修了し、国立極地研究所に入所。現在は研究教育系宙空圏研究グループ准教授として極域プラズマ物理学分野を担当されると共に情報基盤センター長も兼ねられています。

講演概要:
今回の講演では、第58次南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長として本年3月に帰国され、
南極という自然条件のなか、南極観測船「新しらせ」による年1回の物資の輸送に大きく依存しながらも、第1次南極地域観測隊が昭和基地を開設してから60年の長きにわたり安定した運用を維持する一方で、世界的な観測競争に伍して最先端の観測を維持する昭和基地の現状と観測体制を32名の越冬隊員とともに越冬した経験を基に、南極の自然と観測隊運営について最新の映像と観測データから地球環境観測の現況と厳しい自然環境の中、いかにして隊員の安全と柔軟な運営を両立させているか基地運営の実態を多数の資料にて紹介いただきました。

先ず最初に先生が所属している国立極地研究所の建物や南極観測実施体制の中での位置付け、国際学術研究組織体制と第58次南極地域観測隊(夏隊35名、越冬隊33名と同行者25名)が「しらせ」甲板上でお正月を迎えた様子をご紹介頂いた。
次いで1961年に発効した南極条約(51条約締結国)に基づく南極観測実施国(29ヶ国)と越冬実施国(20ヶ国)の基地位置と絡めて昭和基地の気象・海氷状況と気温の変化をグラフを使って厳しい環境を紹介して頂きました。因みに最低気温は-32.9℃(8/29/2017)で最高気温は5.4℃(12/22/2017)で、一日中太陽が出ている“白夜”が11月末から1月末と一日中太陽が出てこない“極夜”が6月20日から2ヶ月半があり、この期間の隊員の体調管理が大変との事。
また昭和基地には約70棟の建物と一般家庭約400件分の発電機(300kVA、2基)があり、「しらせ」による年1回1,000トンの物資が輸送されています。
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 宇宙環境の予測、宇宙天気予報への応用のためのオーロラ観測(宙空圏変動)、地球温暖化予測のための精密観測と温暖化物質(微量元素)の変化観測(気水圏変動観測)、30年以上にわたりペンギンの個体数変化を調べることで南極の温暖化が生息環境にどのような影響を及ぼすかの調査(生態圏変動)についてデータと豊富な写真を用いて説明頂いた。特にオーロラ発現の動画は参加者の興味を大いに曳き付けました。
南極氷床の成り立ちの説明では、南極海下からの大陸岩盤の上に厚さ平均約2,450mの氷床(雪が降り積もり圧縮されてでき、世界の淡水の90%を占める)が覆い被さって最高標高が約4,000mもある氷でできた南極大陸のイメージと南極大陸の落ちる隕石の集積機構についても説明された。
ここまで約1時間、丁寧な説明をされた後、越冬隊員の構成について写真を交えて説明頂きました。観測系隊員が14名でその内訳は、宙空圏分野が5名、気水圏分野が1名、地圏分野が1名、生物圏分野で2名と気象観測に5名との事。
観測隊員の裏方になる設営系隊員が18名でその内訳は機械担当(エンジン、制御、電気、設備と車両)が7名、調理と医療担当が夫々2名、通信、衛星受信、ネットワークおよび環境保全担当が夫々1名と少数精鋭の体制であることを感じ取れました。
第59次先遣隊(18名)受入の為の緊急用滑走路(1,000m、昭和基地から8km)の整備状況と隊員との交歓やペンギン、湖沼調査やアザラシ調査状況さらに昭和基地からの情報発信としてのホームページ“昭和基地NOW!!”やテレビ会議を用いた小学生を対象とした“南極教室”なども写真や動画をフル登場で判り易く説明頂きました。
南極観測隊における危機管理として火災、漏油事故、隊員の生命にかかわる事故・病気などに対する行動実施計画書・安全対策計画書として“昭和基地油流失防災計画指針”“ブリザード対策指針”“防火・防災指針”“野外行動における安全行動指針”“レスキュー指針”および“内陸行動における安全指針”が用意され、これらの指針に基づいた訓練状況の映像解説で基地生活の厳しさがよく理解できました。
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ここまで丁度1時間半、多くのデータ、写真や動画を駆使した説明を頂き質疑応答の時間になり、これまでのセミナーでは類を見ない約15件もの質疑応答となり司会者も時間を気にしながら進行をされました。
質疑応答の数例を以下に紹介します。
Q1:燃料は600トン輸送されるそうだが、水は飲料水や洗濯水などに使われると思うが現地調達しているのですか?また発電機を使っているのでコージェネになっていますか?
A1:発電機はコージェネになっていて熱効率で70%回収している。冷却水は暖房や融雪に活用し、水は貴重で常日頃節水に心がけている。
Q2:60年間の南極観測予算は減ってはいないと思うが?また一冬の越冬費用は?
A2:当初1億円弱でスタートし、現在は約30億円規模の予算。一番費用が掛かるのは「しらせ」の運航で約20億円、越冬隊が約10億円。
Q3:33名の越冬隊員が約1ヶ月の引継ぎでは難しいと思う。越冬経験が2度目、3度目という隊員がいるのか否か?また、建築担当が1名で33名の隊員を指導できるのか?
A3:越冬が2度目という隊員が約10%前後で、越冬隊長も2度目・3度目の経験者を充て、建物の建設は夏隊を1〜2名増員して行い、越冬隊は内装改修をメインにしている。
Q4:南極は寒い処なので冷蔵庫はあるのか?長い期間閉じられた環境で生活するので帰国後、同窓会的な集まりはあるのか否か?
A4:生鮮食品を凍らせないための大型冷蔵庫が3個、冷凍庫も3個あり、分散保管している。同窓会も年1〜2回実施している隊が普通。
Q5:現地での廃棄物処理対策は?減量化・燃料化は行っているのか?
A5:南極条約で厳しくなっており、持ち帰りが原則。固形物は焼却して減量・減容化し、灰は持ち帰る。汚水の浄化装置があり、浄化水は海洋投棄が出来る。1,000トン持ち込み、400トンを持ち帰っている。
Q6:33名の隊員のメンタルケアは?またインターネットを利用したカウンセリングの事例は?
A6:太陽のない時期は滅入る隊員が出てくるので懇親会など行って気分転換を図っている。テレビ電話やラインを使って家族とのコミュニケーションが頻繁に行われている。
東葛病院と連携して何かあればテレビ会議で対応している。対応アドバイスが必要な場合は専門病院と患部を確認しながら対処している。
Q7:帰国してからのデータ発表期間の制限は?
A7:南極条約で観測データは原則2年を目途に公開することになっている。その間、個人が自由に使えるが、共同研究ではオープンデータアクセスを使うこともある。
Q8:先生の専門はオーロラ分野と聞いているが?
A8:オーロラの電波を観測して光では天気が悪くて見えない時でも電波によりオーロラ現象が分かり、地球規模の観測が出来る。
 3月に帰国されてから数多くのご講演をなされ、豊富なデーター、写真や動画を駆使されたご発表で30分間の質疑応答も時間が足りないくらい密度の濃く出席者一同の大喝采の中、2時間のご講演を終えました。
以上
講演資料:昭和基地創設60周年を迎える南極観測
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2018年08月23日

EVFセミナー報告:「インドはカーストよりコスト」〜あなたの既成概念は、インドビジネスの敵〜

演 題 :「インドはカーストよりコスト」〜あなたの既成概念は、インドビジネスの敵〜
講 師 : 島田 卓様  株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長
日 時 : 2018年8月23日(木) 15:30〜17:30 
場 所 : NPO法人新現役ネット会議室

講師略歴 : 島田 卓(しまだ たかし)氏 
・1948年生まれ。明治大学商学部卒業。
・1972年東京銀行入行。本店営業部、ロサンジェルス支店、事務管理部、大阪支店等を経て、1991年インド・ニューデリー支店次長
・1995年アジア・オセアニア部次長。1997年同行退職。同年4月に潟Cンド・ビジネス・センターを設立、代表取締役社長に就任。
・東京商工会議所 中小企業国際展開アドバイザー。
・NHK「クローズアップ現代」「Bizスポワイド」等のテレビ出演、各方面での講演、執筆多数。
・主な著書:「インドとビジネスをするための鉄則55」(アルク)、「不思議の国インドがわかる本」(廣済堂出版)、「スズキのインド戦略」(監訳、中経出版)、
「トヨタとインドとモノづくり」(編著、日刊工業新聞社)、「インド2020」(監修、日本経済新聞出版社)、「日本を救うインド人」(講談社)など多数。
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講演概要:
「インドをモノにしようとするなら、インドに関するカーストを含めた既成概念を一旦捨て、一対一のビジネスマンとして、差し違えるくらいの気概で取り組む必要がある」とのことだが、その訳をインドの向かう方向を追い求めてきたインド駐在時代の経験も含めてお話していただいた。
1.あなたの視点でインドは変わる
●インドを理解するためには
ポール・セザンヌの多角的な視点の採用 即ち一点透視画法から多視点透視画法の見方が必要であるということ。ポール・セザンヌの発明とは「私たちは絵を描く際に、見たように筆を走らせる。これを単一視点と言うが、それは対象物の一側面を描いただけにすぎない」ということである。
セザンヌはそれでは対象を正確に描写することではできないと主張した。そこで彼は多角的に対象物を観察し、画面に同時に描写する「多角的視点」を導入した。インドも全体を理解するためには、多面的に、多視点からバランスの取れた判断をしていく必要がある。
●印ビジネスを飛躍的に拡大するには
スティーブ・ジョブスは、一見すると関係のないように見えるさまざまな分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力が創造力だと語っている。
インドでは神様が無数いるがこれらを包含して多様性国の統一を目指している。最初は何でもありで多様な社会における知識を積み重ね、それに基づく判断をしていく。単一民族といわれる日本が、人種の坩堝であるインドに、日本流経営の良さとメリットを伝え、うまく結びつけ、ハーモニーを醸し出す努力をすべきではないか。
2.なぜヒンドゥー至上主義政党から首相が生まれたか
●モディを理解すれば今のインドが分かる。
独立以来インド社会が頼みにしてきたネル-・ガンディ-家支配の腐敗にまみれた体制の呪縛からインドを解き放ち、インド国家自体の政治・経済体制を作り変えたのは、2014年の総選挙で勝利したナレンドラ・モディである。モディは苦学して大学を卒業しているが、二等列車の紅茶売りからたたき上げ、17歳で家を出て現政権BJP(インド人民党)の母体である民族奉仕団に加わった。彼ほど多極的な側面を持つ人間はいない。ヒンドゥー至上主義者でありながら、ことビジネスに関しては無宗教派に徹する。現在、硬軟併せ持ち、政治とビジネスを融合させる、らつ腕を絵にかいたような立ち回りのできる人物であり、モットーは【Perform or Perish(結果の出せぬものは去れ) 】である。
3.インド経済の現状と今後
●直近のインド実質GDPの推移
2014年の105兆ルピーから2017年は130兆ルピー(2.6兆ドル)と急成長している。
●10年後の中米印の主要国GDP推移
2010年のGDPは10位以下の圏外であったが、2020年には4.5兆ドルの5位で、2030年にはドイツ、日本を抜いて15兆ドルとなる予測がある。
●ビジネスの世界が変わる
将来、ナレッジ国家インドが世界ビジネスの中心になる。
●人口の増減が物語ること
少子化する日本は2025年の20〜24歳の人口が600万人で、一人っ子政策のリスクのある中国は8000万人、バランスの取れた人口構成のインドは一億人になる。
●GDP構成・労働人口比を変える
GDPの2割に満たない農業部門に労働人口の約5割が従事しているが、今インドに必要なことは、農業生産の効率化を進めるための総合的社会のインフラの整備を行い、それで余った労働力を生産性のより高い製造業へシフトして、国としての総合力をつけていくことではないか。

4.インドビジネスの要諦
●『プシュカールの老人』を描いたときの西田俊英画伯の言葉から
相手の心底にまで入り込み、相手を理解しようとする気概でビジネスをやれば、案外心が通じ合い、それまで気になっていたことが些細なことにすぎず、ことの本質ではないということに気付くのではないか。これからの日印の各種交流拡大を考えたとき、西田画伯の言う「心で受け止める気概」を忘れてはならない。
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●暗黙知・実践知・形式知
日印製造業の顧客創造の施策には、製造業における日印人材の暗黙知の形式知化が必要である。日印双方の暗黙知を統合、形式知化し、相互協力体制を築き、国籍に関係なく現場が現状を創造、維持、破壊、再生の繰り返しで、最適解を求めて動くようにする。そうすれば日印両国の労働者は、世界最強の製造業を創り出せる。
●金まみれのヒラリーと型破りのトランプを全く同列の醜悪大統領選だと。
米国のある有権者曰く「今回の選挙はガンか心臓発作のいずれかを選べと言っているに等しい」。
●鈴木修会長に要請され、インド重工業省から同社をマルチウドヨク(現マルチ・スズキ・インディアの前身)に転身し同社をインド最大の自動車メーカーに育て上げたバルガバ氏は完璧に時間を守った。インド人は時間をまもらない、というのは一面的観察に過ぎない。
●バルガバ氏から聞いた話だが、以前日本からの使節団に講演を頼まれた「カーストの話」をあえて「コストの話」に変えて話した。なぜなら、いかなる国でものづくりしようが、
一番大切なのは「いかにしてコストを削減するか」だから、とのことだった。 
セミナーに参加して
●中国のように中央政府の決定が絶対的な意味を持つ国とは異なり、村落レベルから合意形成を重視する傾向が根付いている親日国インドは、行政による意思決定に時間がかかるが、改革が進めば、これまでにないスピードで発展していく期待感が今回のセミナーを通じて強くなってきた。
(文責:立花賢一)

講演資料:インドはカーストよりコスト-18.8.23
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2018年07月26日

EVFセミナー報告:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察

演題:経済発展する中国の現状と将来〜ある中国ウオッチャーの観察
講師:結城 隆様  中国ウォッチャー 荒井商事常勤顧問 
日時:2018年7月26日(木) 15:30〜17:30
場所:NPO法人新現役ネット 会議室
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講師略歴:
•1955年生まれ。福島県出身。一橋大学経済学部卒。
•1979年旧日本長期信用銀行入行。調査部、ロンドン支店、マーチャントバンキンググループ、パリ支店、ニューヨーク支店勤務。
•1999年ダイキン工業経営企画室、大金中国投資有限公司(北京)勤務。
•デンロコーポレーション常務執行役員を経て2013年より現職。
•現在、荒井商事の常勤顧問として新規事業開拓を担当する傍ら、東日本大震災事業者再生支援機構業務委託、柳沼プレス工業顧問を務める。
•中国ビジネス研究会会員。
•主な著書:中国市場に踏みとどまる(2009年草思社)、中国羅針盤(2009〜2010年)日経ビジネスオンライン、ジョークで読み解く省別中国人気質(2012年草思社)、その他四半期毎に中国観察レポートを発行。
•座右の銘:百年生きて、百年学べ。
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講演概要:
本年の全人代政府報告からここ数年の習政権中国の発展の実績を数値をいれて紹介された。2014年の「新常態」(景気下降、政治的乱気流)から2017年「新時代」(中華民族の偉大な復興の夢)への移行が謳われている。GDP年平均成長率7.1%、高速鉄道総延長2.5万キロなど目覚ましい発展を遂げている。北京市の地下鉄の年間利用客はなんと述べ30億人に達しているとのこと。
従来の投資+輸出による成長から消費が投資を上回る消費主導の成長に転換。その陰では消費者金融の利用も大きく伸びて、違法金利などの問題も出ている。
携帯電話普及台数は14億台、内スマホは9.7億台。スマホを使用したネット予約タクシー、自転車シェアリングなど新しいサービスが次々に登場。スマホ支払サービスが急増した背景には100元札で5%とも言われる偽札率もある。
一方、過当競争により企業の生き残りも厳しく、各種規制も追いつかない現状がある。
自動車分野ではEV市場世界No.1を目指す戦略で2020年までに新エネルギー車生産比率10%以上を目標としている。
「不動産は住むものであって投機の対象ではない」と明言し、不動産市場は本格的な調整局面に入った。
環境問題取り組みが本格化し、環境対応コストが上昇するが、逆に言えば、環境対応が企業価値を高める時代になっている。
綱紀粛正は継続し、2017年規律検査委員会調査件数127万件、うち52.7万件を立件、44万人を処分。省部級処分58名、庁局級3,300人。結果、高官専用の泰城監獄がスペース不足に。
新たに1)資産効果縮減 2)新農民工問題 3)「ミンスキーの時」(金融崩壊の危険) 4)「トゥキディデェスの罠」(パワー・ゲームの中で、軍事的な争いに発展しがちな現象)等4つのリスクが挙げられる。
日本にとっては2007年に対中貿易は対米を超えており、最も重要な隣国となっている。積極的な環境対応、旺盛な消費市場への商品供給、シェアリングビジネス等の新しいビジネスモデルへの積極的な取り組みを図るべき時にある。
(文責:深井吉男)

講演資料:中国「新時代」
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