2013年04月25日

2013年4月25日EVFセミナー「温泉の秘密に迫る」

EVF年セミナー(4/25)の概要報告 (三嶋 明)

実施日:2013年4月25日

  講 師:M田眞之氏(技術士 応用理学)
      有限会社 国際温泉研究院 代表取締役
      日本温泉地域学会 理事長

  演 題:『温泉の秘密に迫る 美容と健康のための温泉選び』

まとめ:

親しみやすい演題で女性の参加者も多く、華やかな雰囲気で開始されました。
温泉についての自然科学的な側面をベースに、温泉及び療養泉の定義、入浴剤の量との比較、有名温泉を例示しながらの各種類の温泉の説明、そして最後には温泉の効果、EBMの考え方への疑問、等々広範な内容を、
深い知識と丁寧なご準備に加え、魅力的な話法で講演して頂きました。とりわけ、冒頭の「ルーカス・クラナッハの若返りの湯」と「楊貴妃出浴の図」の話で聴衆の心をツカミ、最後の「温泉による健康と美容を得る最善の方法」
では、『日本の社会システムの変更』(2週間程度の温泉地の滞在)にまで切り込み、聴衆に考えさせる、と言う優れたストーリー展開でした。
講演終了後の質疑応答も活発で、多くの具体的で、広範な内容の質問がなされました。
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内容:

「ルーカス・クラナッハの若返りの湯」の絵では、温泉により若返る女性と、若返った女性により若返る男性を表しています。「日本三美人の湯」(群馬県/川中温泉、和歌山県/龍神温泉、島根県/湯ノ川温泉)の共通するところは、弱アルカリ性で、石鹸効果で肌がすべすべになる事です。

「温泉の定義」は、温泉が地上に湧き出して温度が25度以上か、或いは法律でリストに挙げられた物質が一定以上含まれている事が要件です。尚、箱根の大涌谷のような『水蒸気、その他のガス』についても、温泉に含まれます。「温泉法第2条別表2」の内、いずれか一つでも物質が規定量以上含まれていれば、温泉です。

「療養泉の定義」は、温泉とは別の定義で、この表の定義を満たした温泉だけが、療養泉の資格を得られます。お風呂の入浴剤を温泉に換算すると、入浴剤7袋以上に相当し、優れた温泉とは天の恵みという事になります。
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「療養泉の種類」の数え方は、9種類とも11種類とも言われ、又、泉質名には、新旧二つの言い方があります。“二酸化炭素泉”は、水中に溶けている炭酸ガスが、血行を良くし、身体が温まります。“炭酸水素温泉”は、美人の湯の代表的なものです。入浴で皮膚の脂肪や分泌物が乳化する事で、洗い流されると、肌がさっぱりして清涼感が得られます。このために『冷えの湯』とも呼ばれています。“塩化物泉”は日本の温泉の1/3を占め、温泉に入ると塩の被膜が身体の表面にでき、身体が温まります。“硫酸塩泉”は、陰イオンの主成分が硫酸イオンの温泉の種類で、もう一つの陽イオンの種類によって呼び方が変わります。苦味泉は、飲泉として苦いからで、硫酸イオンのなぜる業で、陽イオンがナトリウムの時、芒硝泉で、陽イオンがカルシウムの時、石膏泉で、陽イオンがマグネシウムの時、正苦味泉です。“鉄泉”の泉質は入浴と飲泉で、貧血、慢性消化器病、痔に良いとされています。鉄イオンの含有量が多いと、湯も、浴槽も酸化鉄により、茶色(〜黒色)になります。“硫黄泉”は、いわゆる温泉として広く認識されており、我々の鼻につく火山性のガスの硫化水素ガスが温泉から抜け出すものと、ないものに分けられます。温泉に関係する人身事故を起こす温泉附随のガスは4種類あり、硫化水素ガス/亜硫酸ガス/炭酸ガス/メタンガスです。メタンガスは空気より軽いので通常は上に抜けるのであまり問題はありませんが、他の3つは、空気より重いので下に滞留します。風呂に入る時は、湯口に近くて低くなっている場所に長居しない、又噴気地帯でガス溜まりのような場所は避けるべきです。“酸性泉”は、肌にしみる強い刺激があり、湯ただれを起こすことがあります。
“放射能泉による被曝量”ですが、放射能泉の温泉地に滞在しても、今までの検証や知見から、問題ありません。放射能泉がなぜ効くのかについては、ラドン効果としての説明はありますが、その解明は現在進行形と言えます。“単純温泉”は、含まれている成分が一定未満というだけの名称で、全体として必ずしも薄いという訳ではありません。日本の名湯の多くは、この単純泉です。
「日本の温泉、鉱泉の泉質分布」
1位の食塩泉(30%)と2位の単純温泉(30%)で日本の温泉の過半です。卵の腐った臭いが特徴の硫黄泉は11%ほどですが、温泉の代表のような印象です。
「温泉の効き方」
『温泉成分』と『運動と栄養』と『温泉地の自然環境』の総合的生体調整作用により、効果が出るようです。その総合的生体調整作用の発現には、2〜3週間の滞在が必要なようです。
「EBM」
Evidence Based Medicineの頭文字を取ったもので、温泉の持つ総合的生体調整作用は、この証拠に基づく医学という考え方では上手に捌くことができません。温泉には何らかの効能があるという多くの事実は動かせません。
「温泉による健康と美容を得る最善の方法」
従がって、普段は張り切って仕事をし、温泉に時々長期滞在(2週間程度滞在し、日に3回程度入浴)するのが、最善の方法です。そして、これが実際に我々の社会に定着していけば、様々な問題解決に繋がるのではないでしょうか。
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2013年04月21日

これからの農業の姿 -自然との共生社会の実現に向けた「農」の役割(3月21日EVFセミナー)

EVFセミナーの概要報告

実施日: 2013年3月21日
講師:岩元睦夫 様
 農学博士、社団法人 農林水産・食料産業技術振興協会参与(元理事長)
 九州大学農学部卒業後、農水省研究職に入り、47歳で本省に移動後、技術開発部局、東海農政局、バイオマス等多くの分野を担当。
演題:これからの農業の姿 “自然との共生社会の実現に向けた「農」の役割“
内容:結論として、農業総生産はGDPの0.9%(5.3兆円)に減少したが、農業および森林の多面的機能は78兆円の価値がある。「農」は多用な自然生態系システムそのもので、農業こそは「自然共生社会」の基軸となる産業でなければならない。そのためには、農業における低炭素化と循環型化をより発展させ、「農」の持つ他面的機能を更に高めていく必要がある。農は国の本(酒井忠篤)であり、日本は古来、美しい瑞穂の国であったし、今後ともこれを守って行く必要がある。TPP参加検討に際し、安倍総理もこの点を強調された。
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 しかし、農政の反省として、今まで内向き志向が強く、かつ守りの姿勢が強すぎた。海外に技術や付加価値の高い農作物を輸出することを考えて来なかった。農水省には輸出政策のDNAが欠けていた。
 日本の農業は1965年当時、夢があり儲かった。しかし今の土地利用型農業(稲作)は夢が無い。時代の変化に対応していけなかった為。一方、高付加価値型農業の施設園芸、花、一部畜産は夢があり、既に輸出も始めている。国際競争に勝てる攻めの稲作を展開していく必要がある。
 攻めの農林水産業は、平成11年、食料・農業・農村基本法が制定され動きだした。農業の多面的機能を考えながら、6次産業化(1×2×3)(METIは農商工連携)、構造改革の加速化、更に日本のおいしい安全な食品の輸出促進を図っていく。
 会意文字「農」の言われは、上の曲が森林を意味し、下の辰は二枚貝を意味する。つまり、林を焼き、貝殻で耕し、水を引き入れドロドロにしてイネを植える。そのコンセプトは自然との一体を保つこと。
 農業の規制で唯一あるのは農地に関する規制で、株式会社は農地を持てない(所有できない)。農家とは10アール(1反歩)以上の農地を持っている人。しかしながら、農地を借りるか、リースしてもらうことにより、会社が農業を経営することが出来るようになった。これは、まさに農業の分水嶺が来たと言える。

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セミナー終了後、多くの質問が出されたが、太陽熱集熱による低エネルギー農業、世界的な人口増による食料不足、津波でやられた岩沼で生産組合に入れない農家の人口流出問題、TPPと農家への直接補償支払い等、討議された。     

以上
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2013年03月23日

再生可能エネルギーとサステナブル社会(2月22日EVF総会記念セミナー)

EVF総会記念セミナー(2/22)概要(野口 眞佐)
  演題:再生可能エネルギーとサステナブル社会
  講師:株式会社システム技術研究所 所長工学博士 槌屋治紀様(つちやはるき)
  場所:麻布研修センター霞会館
 
2013年3月11日での東日本大震災から約2年がたちます。原子力発電の是非、化石燃料の多消費に対しCO2排出による温暖化の危険等に対し、今回のセミナーは省エネルギー技術の向上と再生可能エネルギーの活用を中心に据えた立場からの提案です。
1.講師:槌屋所長の自己紹介
  槌屋様は東大・機械工学部在学中にCTG(Computer Technique Group)を多摩美大、
  武蔵野美大の大学院生達と結成。コンピュータグラフィックを作成し、国際的に知られる。その後、NECと共同で、デジタルブックを開発する。その後、株式会社 システム技術研究所を設立。現在に至る。
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2.ソフトエネルギーパス
1976年、A.B.ロビンスがソフトエネルギーパスを発表し、国際的なベストセラーになる。従来のハードエネルギーパスとソフトエネルギーパスは以下の内容になる。
  (1)ハード  多くの研究者は、アメリカのエネルギー需要は幾何級数的に増大し、原子力、石炭で賄うとした。これは環境負荷が大きくなる。
  (2)ソフト  効率を上げ、再生可能エネルギーを開発し、環境への影響の少ないシステムに出来る。予測は的中し、実際のエネルギー需要は大きくならなかった。
3.化石エネルギーの状況
  化石燃料の可採年数は石油46年、石炭119年。シェールガス・オイルが注目されているが、いつかは枯渇する。
  天然ガスは石油・石炭に比し、CO2の排出が少なく再生可能エネルギーと天然ガスとを組み合わせ、CO2削減に向かうことも考えられる。
4.サステナブル・デベロップメント(持続可能な発展)
  将来の世代と現在の世代の要求を満たすことができる発展が大切。それはサステナブルの条件を満たす不等式として表わされる(ハーマン・デリー)
  (1)再生可能な資源の消費速度(森林伐採)<再生可能な資源の再生速度(植林)
  (2)枯渇性資源の消費速度(石油消費)  <再生可能な資源開発速度(太陽光発電)
  (3)廃棄物の放出速度(CO2排出)   <自然界が安全に吸収する速度(半分を吸収)
5.再生可能エネルギーの特徴
  (1)太陽光発電    太陽エネルギー(1kW/u)の13〜20%を電力に変換。
            日本では年間平均1000時間(365日*24hr=8760hr)利用可能
  (2)太陽熱      太陽エネルギーの30〜70%を熱として捕獲。気温との差が            あれば利用価値は大きい。
  (3)風力       1〜20kW/u、風速の3乗に比例。風のエネルギーの25〜
40%を有効に利用可能。
  (4)バイオマス    年間の太陽エネルギーの1〜2%を固定。空気中のCO2を捕獲する貯蔵可能なエネルギー。
  (5)波力       海岸線1mあたり5〜25KWとエネルギー密度は最も大きく設備の強度が問題になる。
  エネルギー密度の大きさは、波力>風力>太陽熱・光>バイオマスの順である。波力 
  はかかる力が大きく設備は破壊されている場合がある。
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6.太陽光発電の経済性
  (6)太陽電池の価格(一般家庭:3KW)3KW*50万円=150万円
  (7)3KW*1000Hr=3000KWH
  (8)これをFIT(Feed in Tariff:固定買取制)の42円hKWで買い取ると
   イニシャルの補助金も加味すると約14年で元が取れることになる。
  太陽電池は1979年に生産開始され、30年間生産量が増加し、コストも低下した。
  2004年に補助金が打ち切られ、低迷期に入るが、2012年に補助金が復活し、再び上昇している。 ただし、コストは50万円/kWから大きく下がっていない。
7.風力のポテンシャル
  陸上には2.8億kW、洋上には15.7憶kWの潜在能力があるとされている。陸上は北海道、洋上は九州が最大。
  世界の風力発電規模は全体で約2億kWで、すでに経済性のある投資対象となっている。USA:25百万kw、ドイツ:23百万kW、中国:6百万kW、日本:2百万kW
8.学習曲線(Experience Curve)
  累積生産数に応じ、大量生産のコストは急速に低下する。次第に素材コストに接近する曲線をいう。
  太陽光、風力とも学習曲線に乗ってコストは低下している。生産数が2倍になるにつれ、コスト低下は太陽光:80%、風力*90%になっている。これを延長すると、
  2050年には20万円/kW以下になる。
9. 固定価格買取制度(Feed-In-Tariff)
   2012年より、固定価格買取制度がスタートした。おもなものを説明する。
                    設備コスト   買上価格    期間
(1)太陽光発電住宅用10kW未満   48〜55万円/Kw  42円/kwh  10年
(2)太陽光発電非住宅用10kW以上   35〜55      42     20
(3)風力発電20kW以上       20〜35      23     20
  となっており、非住宅用太陽光発電の設置はゴールドラッシュ状況を示している。
  8年で元が取れ、その後は8%利潤でまわる。 
10.CO2排出削減の方法
(1) エネルギー効率の高い技術の採用   LED電球、ハイブリッド車
(2) 社会システムの効率向上   公共交通の利用、自動車税制
(3) ライフスタイルの転換   小型乗用車の奨励、クールビズ
(4) 再生可能エネルギーの利用拡大   太陽光、風力発電、バイオマス
11.日本の再生可能な電力供給シナリオ
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12.WWF・ジャパン発表の2050年のエネルギー需要予想
  世界自然保護基金(略称:WWF)は、世界最大の自然保護団体であるが、科学的情報を基準とする活動方針を示している。気候変動、森林保全、海洋保全、水産物管理、農産物、水など多岐にわたり持続可能な環境作りが活動の中心になっている。
  WWF日本支部からの発表で、2050年までにGDPは増大するが、人口の減少・材料資源の生産減少、省エネにより2008年比2050年の最終エネルギー需要は48%に低下する、と予想。
13. 太陽光と風力を組み合わせると効果的
  太陽光は6時〜18時に有効。春から夏が大きくなる。風力は24時間発電するが、季節は太陽光と逆で夏に小さく冬に大きい。多地域の太陽光と風力を組み合わせることで、供給の変動が少なくなる。
14. 2050年自然エネルギーによる電力供給
   太陽光発電と風力発電の変動を揚水発電とバッテリーからの放電が補う。水力発電は午後から夜間のピークに充てる。地熱発電は1年中一定の電力を供給する。
自然エネルギーの組み合わせで変動を吸収する。
15. まとめ、エネルギー耕作型文明への転換を図る
  エネルギー狩猟型文明は地下から化石燃料を掘り出し、二酸化炭素を吐き出す。いつか枯渇する。
  これに対し、エネルギー耕作型文明を提案する。
  地上で太陽のエネルギーを受け止め、耕作・栽培のように太陽光発電、太陽熱、バイオマス、風力などのエネルギーを利用する。そして、エネルギー効率を高め、エネルギー需要を減少する。
                               以上
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2013年02月16日

我が国における環境リスクと今後の課題(1月24日EVFセミナー)

我が国における環境リスクと今後の課題
(2013年1月24日EVFセミナー)

講師 (独)国立環境研究所環境リスク研究センター 主任研究員
    東京大学大学院 新領域創成科学研究科客員教授
      農学博士 鑪迫(たたらざこ)典久氏
         
世の中には数えきれないほどの化学物質が存在するが、これら化学物質の環境リスクを適切に管理することは喫緊の課題である。現行の化学物質の濃度規制を敷く方法だけでは化学物質の増加スピードに追い付いていけない。
現行の個別物質規制を補完するものとして、化学物質間の変化や未規制物質の対応をも含めて総和的な管理をする手法(WET)が必要である。
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EVFセミナー概要 (報告者 磯野 克之)

1. 環境リスクとは・・・
・環境が良い、悪いとは・・・・・何が良いで、何が悪いのか?
・リスクがある、ない ・・・・・誰に対し? 何に対し? リスクなのか?
・人にとって住みやすいところ、住みにくいところ
→ 対象によって見方が違ってくる
・生物をどこまで守るべきか?
・農薬はいいのか、悪いのか?  ウンカをすべて殺ししまっていいのか?
→バラエテイ―(多種多様性)が不足するとどうなるのか・・?
2. 環境ホルモン
・見えにくい生態リスク
・約300種類の魚が自然に、あるいは環境により性転換することが判明。
 ・ある化学物質で性が変わる場合、どのような試験方法が良いのか?
<メダカの例>
 ・魚の中で唯一、性決定遺伝子が判明している
 ・雌雄の比率は、通常 1:1 と → 珍しい
・女性ホルモンを投与すると、メスになるが、やがてオスが増えてくる
・外見上の性、遺伝性の性、機能上の性がある
・ 実際にどの時点で影響を見るかにより、影響度や問題点は変わってくる。
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3. 内分泌かく乱物質の試験法
 ・ミジンコによる内分泌かく乱物質試験法など(OECD採用)
 ・ミジンコは通常ほとんどメス(オスは数千匹に一匹程度)
 ・ミジンコに幼若ホルモン様物質(昆虫の幼若ホルモンや農薬など)を投与すると、生まれてくる仔虫はオスに偏ってくる
 ・数の増減だけでなく、メス、オスの数の確認も大事な要素
 ・オスばかりではやがて絶滅することにもなる
 ・次の世代が存続するのかがポイント
 *昆虫などの節足動物には、男性・女性ホルモンの変わるものとして
脱皮ホルモン・幼若ホルモンがある

4. PPCPの問題点 
  環境ホルモンに続く懸念物質として、 
PPCPs(= Pharmaceuticals and Personal Care Products)
―― 医薬品や日用化学薬品類のこと ――
  による人体や野生生物への影響が懸念される

5. 新たな水質検査手法としてWETの導入!
  ・きれいな水を地球に返す
  ・現在の水質汚濁防止法による基準値のみでいいのか?
  ・化学物質だけでも数千万種類ある
  ・規制対象以外は知らないですませるのか?
  ・全国26万事業所のうちどのくらい調査対象にするか?
  ・行政が事業所に強制的か自主的か→自主的のほうがいいのでは?
現行の排出規制の中には、野生生物に対する影響評価に関する記載はない。
また、年々新たに製造される化学物質に対しては測定項目数を増やしてい
く必要があり、測定項目の選定等に多大の時間を要し、自治体、事業所の負
担も増加する。少量の排出物や事業所で作られた変化物、複数物質など多種
多様な物質をすべて捉える仕組みになっていない。
これを解決する方法として、生物応答(バイオアッセイ)を利用した排水
管理手法であるWET(Whole Effluent Toxicity)を新たな管理手法とし
て導入すべきである。
WETにより影響があると判明した場合には、毒性削減評価(TRE
=Toxicity Reduction Evaluation)や毒性同定評価(TIE=Toxicity
Identification Evaluation)の方法により毒性影響を削減していく手法が
ある。
最後に、
「原発を知らなかったこと、知ろうとしなかったことを大勢の人が誠実に悔
いている」ように、
「環境破壊は見えるところだけでなく、見えないところでも起きている」
ということに留意し、生物に影響のない社会づくりが大切であり、野生生物と共存しながら、市民が安心して暮らせる仕組みになれば良いと思う次第である。
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燃料電池開発の現状と今後の動向(12月20日EVFセミナー)

EVFセミナー(12/20)の概要報告 (立花 賢一)

 実施日  H24年12月20日
 講演題  燃料電池開発の現状と今後の動向
 講 師   燃料電池開発情報センター(FCDIC)常務理事 吉武 優 氏

21世紀は水素の時代と云われ久しいが、そのキーテクノロジーである発電装置としての燃料電池について、ミニモデルによるデモンストレーション実験も交えて、最近の動向や事例に触れながら、つぎのポイントについて詳説していただいた。
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1. 燃料電池開発情報センターのご紹介
  先生が所属する燃料電池開発情報センター(FCDIC)は1986年に設立され、燃料電池の技術開発および導入・普及を促進する学術団体で、会員として燃料電池に関係する会社・団体と学術会員そして特別会員として6つの独立行政法人などで構成されている。

2. 燃料電池の開発経緯と昨今のエネルギー事情
 燃料電池の原理を、グローブが実験で確認したのは、今から約170年前の1839年である。まだ普及状態であるが、昨年の3.11大震災から電源やエネルギーの多様化の必要性を個人レベルでも意識されて、燃料電池を組み込んだ湯沸かし器で、家庭用コージェネレーションでもあるエネファームに関心が高まった。政府は、H24年10月にエネファームの設置補助に251億円を投じると発表した。一台当たり最大45万円を補助し、現状の普及台数2万台を上回る5万3千台の普及を目指している。また、政府の日本再生戦略では家庭用燃料電池を30年までに530万台普及させる目標を掲げている。
また、分散電源システムの中で、エネファーム、燃料電池自動車の活用が期待されるほか、再生型エネルギーとの連携を担う重要なツールとしての位置づけも認識されつつある。
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3.原理と特徴
 燃料電池の原理は、水素燃焼反応とは違い、水の電気分解の逆反応である。燃料電池は、2枚の電極と、それらに挟まれた電解質で構成されている。燃料電池の負極側から燃料である水素ガスを供給する。水素ガスが負極に含まれる白金の表面に触れると、水素原子2個に分離する。この時、水素原子から電子が奪われ、水素イオンができる。水素イオンが電解質を通り、負極から正極へと移動する。電子は電解質を通ることができない。酸素ガスが正極に含まれる白金の表面に触れると、酸素原子2個に分離する。ここに、水素イオンと電子が加わって水がつくられる。負極と正極の間をつないだ導線を、負極から正極に向かって電子が移動(電流が流れる)する。燃料を供給し続ける限り、電気を生みつづける。

4.定置用の開発動向
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、70〜100℃で作動する作動するプロトン伝導性の、水素を燃料とする燃料電池で、現在0.7kW出力のものがエネファームに販売されている。600〜1000℃で作動する個体酸化物形(SOFC)は、発電効率が最も高く、セラミックス製電解質(酸化イオン伝導体)の中で酸素イオンを移動させる。水素、一酸化炭素を燃料とする燃料電池で、エネファームや業務用に実用化が期待される。
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5.移動機器用の開発動向
燃料電池自動車については、高圧水素をボンベに充填する水素燃料電池を搭載したセダン型の電気自動車が2015年の本格普及に向けて開発が進められている。
 出力100kW程度のPEFCスタックが搭載され、プリウスより安くなる見込み。
 また、燃料電池自動車の一般販売開始に向けて、民間13社は1ヶ所2億円かかる水素ステーションを100ヶ所整備するという共同声明を発表している。
 水素の取扱上の安全に関する基準は他の国に比べて日本は非常に厳しい。

6.海外動向
 米国と韓国では、国、州の補助金を利用して、FCシステムの導入が最近急速に進んでいる。 水素インフラ整備は米国、独、英、スカンジナビア、ノルウェー、韓国などで進められている。
 研究開発動向見ると、特許件数は世界で日本が多いが、論文数では日本よりも中国が多い。

7.要素技術と今後の課題
 PEFC : 水素は製造、貯蔵体・デリバリ・機能 、電解質膜はコスト・機能、触媒は活性・寿命・コスト、システムはコストが本格普及に向けての課題である。
 燃料電池自動車 : システムコスト1/10を達成するには、高温低加湿発電特性の改良によるシステム簡素化・セル内のガス流路最適化による発電特性向上・新規触媒の開発・電極作製法による白金使用量の低減・高圧水素ボンベは炭素繊維の巻付技術最適化などが課題である。
 なお、燃料電池発電と水電解による水素製造を一つのセルで行う再生型燃料電池は研究開途上にあるが、実用化により、コンパクトな水素エネルギー電力交互変換方式としての展開が期待される。
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8.まとめ
  エネファームはPEFC型、SOFC型、それぞれの特徴に応じて普及が進むと期待される。燃料電池自動車は2015年の一般販売開始に向け、水素ステーションの整備が先行して進められる。 燃料電池は分散型電源の中での活躍が期待される。
  本格普及には低コスト、信頼性のさらなる進展が不可欠で。触媒、電解質膜、電極技術等の継続的開発が必須である。海外では、米、欧、韓等の技術開発が進展中である。
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2013年02月13日

EVF主催シンポジウム[検証、電気自動車の時代は来るか?]

2013年2月13日にEVF主催シンポジウム「検証、電気自動車の時代は来るか?」−次世代の自動車の動力源はどうなるか?− を実施しました。(協賛:(公)自動車技術会 及び(公)自動車技術会 関東支部)
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各講演者の意欲的な講演のあと、後半のパネルディスカッションでは、内燃機関の可能性・次世代モビリティ(HV、PHV、EV、FCV)に対する考え方・エネルギーの多様化 などのテーマ毎に、多岐にわたり、具体的で奥深い議論がされました。
詳細はシンポジウムのページ をご覧ください。
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2012年12月05日

シェールガスの現状と将来(11月22日EVFセミナー)

EVFセミナー(11月22日)の概要(報告者 工藤宣雄)

演題   シェールガスの現状と将来
講師   独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 
総務部 金融資産課長 森 裕之氏
アシスタント 忽滑谷諒子氏

 3.11後、日本のエネルギーをめぐってはさまざまな議論が沸き起こっている。
今回はエネルギー源として近年注目を集めているシェールガスについて
シェールガスとは何か。
なぜシェールガスか
シェールガスがもたらしたもの
シェールガスの今後 
など四つのステージに分けて詳細且つ丁寧に説明いただいた。
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講演概要
シェールガスは、自噴あるいはポンプアップによって生産される原油、ガスとは区別され非在来型資源と位置づけられる。
非在来型とされる理由は、過去石油、ガスを生産するとき単独、個別に利用されていた三つの技術をそれぞれの進化に伴い、複合的に組み合わせることで困難とされていたシェール層に閉じ込められていた液体、ガス資源を採掘できるようになったことにある。
水平抗井掘削技術は1980年代以降開発された技術である。
普通に考えれば井戸は垂直に掘るものと考えがちであるが、これは深くなるに従い水平に
向きを変え、岩盤に沿ってたとえば10Kmも掘り進められる技術である。
これにより、岩盤との接触面積が広がり効率的な採油が可能となった。・
水圧破砕は高水圧で岩盤に割れ目を作りガス、原油を流れやすくする技術で1950年代から使われている。
マイクロサイスミックは破砕による割れ目で発生する地震波で地層のイメージをより立体的に捉え効率的な採集の情報を得ようとするものである。
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ガスの分布は各大陸で確認されており、北米が最大量を埋蔵している。国別では中国の埋蔵が大きい。
埋蔵量は米国エネルギー情報局によれば188兆㎥とされ、これは在来型天然ガスと同等の採掘量と見られる。現在の在来型天然ガスは後60年は採掘可能と考えられ、合わせると最低でも100年は採掘できそうである。
価格については立場によって違いがあり、エネルギー系コンサルは5〜8ドル/百万BTU、金融系コンサルは現状と同じ3〜5ドルと予想している。

採掘で最も先行しているのがアメリカである。
一時在来型天然ガス資源がやせ細り、一時は輸入に頼ろうとした。
非在来型としてのガス開発は四つの要因つまり、豊富な埋蔵量と先に述べた技術革新とガス価格の上昇及び輸送インフラとしてのパイプラインの充実に支えられた。
掘削リグは2003年800台からピーク時には1600台まで膨れ上がり、リーマンショックを経て現在は400台と急落している。
開発ブームは終焉したが生産量は全米天然ガスガス生産の20%を占めるまでとなっている。

影の部分として環境問題もある。
水への影響は大きそうである。
たとえば水圧破砕で使われる大量の排水問題がある。この排水の管理をきっちりしないと汚れた水の河川流入、海水汚染など懸念され、さらに地下水の汚染の心配もある。
ガスの大気への放散も懸念材料の一つ。
ガスの主成分のメタンはCo2より温暖化効果が強いとされこれも懸念材料であろう。
更には地震を誘発するのではないかとの指摘もある。
これらについては米国環境保護庁などがスタディを実施している。

このようにアメリカが先頭に立ってガスの開発をしてきたが、世界的にはこれからの展開になろう。
ヨーロッパは脱ロシアの考えはあるもののインフラの問題に環境問題も大きな課題のようでフランスは開発を禁止した。
中国では外国資本による炭鉱も進んでいない。
日本については、ガス価格の安い今、大手商社の三菱、丸紅などが米国、カナダで権益確保に動いており、また水処理、化学物質など環境分野にビジネスチャンスを見出すことになりそうである。

ついでながら他の非在来型エネルギー資源について言えば、シェールオイルは同根であり液体として日本にも存在する。10月秋田県本荘市で試掘が行われ、量はあまり多くなかったが採油に成功した。
メタンハイドレートについては、明治大学チームが秋田県沖から山形、新潟にかけての沖合いと網走沖のオホーツク海に存在を確認したと発表している。
すでに試験採掘が始まろうとしている南海トラフ近傍のものとあわせて国内消費量の100年分にもなろうかとの推測もある。
他、オイルサンド、ビチューメン、タイトオイル、タイトガスがある。

残念なことにシェールガス生産については日本で期待はできない。
だが、ガスを液化して輸入する道はあり、エネルギーソースの多様化、供給の安定性、ひいてはLNG価格の引き下げに期待できそうだ。
但しガスとしての輸送インフラは未整備であり、輸入の成否とあわせ取り組む課題は多そうである。
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2012年11月16日

これからの電力供給システム(10月25日EVFセミナー)

【EVF セミナー概要報告】2012年10月25日(報告者 津田俊夫)
演題: これからの電力供給システム
講師: 東京大学 大学院・新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻
    工学部・電気電子工学科 教授 横山明彦様

講演概要:
電力システムは電力生産者から需要者に、電力の需要と供給のバランスを取りながら常に必要量を安定に供給するシステムである。これは、近年電力自由化と温暖化に対応する低炭素電力の導入に対処するための変革が検討されてきたが、2012年の東日本大震災による原発の稼働問題が加わりさらに複雑な課題となっている。
今回はスマートグリッドの第一人者で、我が国の電力政策にもいろいろな形でかかわられている講師から、我が国のこれからの電力供給システムについての話を聞くことができた。
電力システムは広大で、専門的知識が必要であるが、専門外の我々にも理解しやすくお話しいただいたので概要を報告する。
――我が国の供給系統と連系について――
再生可能エネルギーや新電力の参入、発電所の事故等を考慮した需給バランスの維持のためには、我が国全体を覆う電力供給系統の充実が考えられる。わが国には50Hz/60hzの異周波数問題があり歴史的に統一が論じられてきたが、関連設備の費用と移行期間の混乱を予想すると統一は難しい。基本的に主電力会社のもつ供給エリア内で需給バランスをとることで発展してきたため、エリアの連系線は容量が小さく、全国的な連系を強化するためには、周波数変換設備の増強ばかりでなく、地域内の大容量の送電線も必要になる。ただ見方によっては直流連系線や直流を介した周波数変換設備のために大事故が国全体に広がらない効果がある。
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――電力自由化――
新規参入者には、30分同時同量が課せられているが、供給システム全体では瞬時ごとの需給均衡が必要であり、これを誰がどうやって行うかに問題がある。また、新規参入者は長期的に供給が続けられなければならないが、その保証は必ずしもない。需給コントロールのための双方向情報通信システムの開発や、予備の発電容量あるいは広域連系の確保(設備投資)が不可欠である。
――再生可能エネルギーの大量導入――
地球温暖化防止と脱原発の方向に向けて、固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff)を付けて再生可能エネルギー発電の導入がすすめられている。主なものとして、2030年までに原子力を0にする場合は、太陽光発電(PV)が5,300万KW(設備量、利用率12%)、風力が6,000万KW(設備量、利用率20%)がいわれている。いずれも気象状況に支配される不安定な発電である。統計的にはPVは夏期日中のピーク電力の供給にある程度寄与するが、風力はわが国では夏の高需要発生時に安定的な出力は期待できず、供給力としての発電所(火力等)が必要とされる。2006年の欧州大停電は風力発電予測対応のミスによるとみられる。
――これからの電力供給システム――
我が国の送電網、配電網には事故時の監視・制御システムや事故時の停電範囲極小化の技術が導入済みで供給信頼度は世界最高水準である。また、東日本大震災では東電管内では5日で電力供給がほとんど復旧した。
新規参入の再生可能エネルギー電源を受け入れるために、次のような設備投資、新たな技術の開発が必要である。
・送配電網を大量連系が可能な容量をもつものにする。
・蓄電池を用いた需給バランス制御
・ヒートポンプや電気自動車による家庭内での余剰電力の吸収
・双方向通信システムによるPV出力制御
送変電設備増強費用の試算や蓄電池設置負担の試算が示されたがいずれも多大な需要者負担が生じる。
また、横山教授のもとで日本型スマートグリッド実証の国家プロジェクトがすすめられており、太陽光発電と需要者設備の協調制御について実際運転データ等が得られている。更に、電力会社側の全体最適の運用を目指す中給システムの構築、次世型双方向通信出力制御実証等も行われている。
これから決まるであろうエネルギーミックスの考え方、電気の地産地消か全体最適化とするかについてコストと負担方法を交えた検討、サイバーセキュリティ―を含めた通信システムの選択と開発等の課題等をクリアして我が国のスマートグリッドが作られていくことになる。
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講演後のQ/Aも活発に行われ、@大電力送電でなく人口分散する効果はどうか、Aピーク時のPV出力抑制(特異日割合は8%であるが)による収入減は了解されているか、Bグリ−ン電力の買い取り自由化は進むのか(供給不能時のリスクを誰が負うのかなど議論が尽くされていないという)、等の意見が交わされた。
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講演会資料(スライド)をご覧になりたい方はEVF事務局にお尋ねください。電力システムの改革についてはインターネットに公開されている「電力システム改革の基本方針案」等が参考になると思います。 
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2012年10月05日

21世紀版「成長の限界」地球は破綻するのか (9月26日EVFセミナー)

2012年9月26日EVFセミナー概要(文責:橋本 升)

講演題 : 21世紀版「成長の限界」地球は破綻するのか
講師  : 独立行政法人 製品評価技術基盤機構理事長、東京大学名誉教授 安井 至 様
講演概要:
「成長の限界」初版が1972年に出版された。日本で公害問題が大きくなってきた頃であり、注目を集めた。現在まで56刷まで出ている。
この本は、人口、資源、食糧、汚染、工業生産の問題にフォーカスを当て、コンピュータを使った世界初の未来予測であった。いずれも2010年代に入ると減少傾向になるとの予測を提出した。指摘は正しかったが、結論はズレた。この本が、未来予測の始まり。その後の著名な未来予測は、1977年にカーター大統領の指示で行われた「2000年の地球予測」がある。
本日の講演では、長期的視点に立った諸データをベースに地球の資源、環境など多面的な課題について独自の分析による解説を頂いた。講演内容は、共同執筆であるが本年末に出版予定(日本規格協会から)。
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実際に破綻は起きているのか?
○ 海面上昇:ツバルは海面上昇で有名になったが、その原因は?空港を作るためにサンゴ礁を削ったことで、サンゴ礁による防波効果がなくなりヤシが倒れたのであり、海面上昇ではない。
ナウルのように、島を取り囲むサンゴ礁が残されているところは、海浜の健全性が保持されている。ただし、ナウルでは200年間グアノ(鳥フン)を採掘し続けた結果、資源の枯渇により社会・経済が破綻した。
○ 鉱石の品位低下:例えば銅鉱石の品位は過去200年のスパンで見ると10%から0.3%にまで低下している。現実は、銅価格上昇で品位低くても回収すれば売れる。当然ながら、精錬時に発生する有害物の発生量は増加する。
○ トウモロコシ価格上昇:30年間で約3倍の価格上昇。不足しているから上がるのではなく、金余り現象から、高くても買うから上昇する。

地球のキャパシティとしての資源
○ 大気、河川、土壌等の環境資源には、元々各種緩和能力があるが、ティッピングポイント(復元力がゼロになる点)を超えてしまうと問題である。
○ 人間生活は、地球の状況を攪乱している。例えば、アメリカ中西部地域(サウスダコタからテキサスまでの穀倉地帯)では水の使い過ぎから、地下水位の変化が著しくなりいずれ乾燥地帯になることが懸念されている。

破綻に向かう要因は?
○ 破綻原因と考えられる次の6項目について多くのデータに基づき解説された。
・人工と食糧問題;空中窒素固定による窒素肥料増産が穀物収穫量増加をもたらし、20世紀の人工爆発を引き起こした。今後の見通しとしては、アフリカを除き21世紀中頃から(中国も含め)人口減少が始まる。
・気候変動と海面上昇
・資源枯渇(ベースメタル=漢字で書ける鉱物(銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫)は、累積需要量が2050年には、埋蔵量ベースを超えてしまう。)
・環境汚染(天然レアメタルは、精錬による環境破壊影響が大きい=環境背後霊が隠れている。)
・生物多様性の喪失(生物種の寿命は100万年。生物種の絶滅は歴史的に数回以上。恐竜のように、過去は消滅の速度が早かったが、今はじわじわ。)
・対策費用の不足
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破綻に対する解決方法はあるのか?
○ 技術を開発し、社会・経済の仕組みを変え、個人のライフスタイルを変えることで、地球への圧力の削減・地球の復元力を強化する。
○ 原理原則に立ち返る(国連的な解);「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」。問題は、「開発」の意味が、先進国では「人の能力向上」であり、途上国では「豊かな生活」であること。
○ 攪乱をやめて自然回復を待てるものと、待っていては再生不可になってしまうものがある。
○ 絶対に避けるべきことは、不可逆性のものはその方向に進めてはならない。生物多様性の劣化は、何がもたらされるのかわからない故に怖い。
○ 破綻の原因はヒトである。ヒトにしかできないことは何かを特定し、それを解決に繋げる。
○ 子どもの教育を言葉でだけ行う能力があるのはヒトだけ。高度な互恵的利他性行動をとれるのはヒトだけ。「他」の様々なレベル=低いものから高度なものへ=身内、子孫(遺伝子を共有)>同一民族(類似性・時間・空間を共有)>仲間(類似性・時を共有)>他人(時を共有)>未来世代(地球のみを共有)。

今回のセミナーを通して、安井講師から私どもは「一番関係の薄い「未来世代」のことを考えることができるかどうかが、地球を破綻から救うためのキーである」とのメッセージを受け取った。

質疑応答
講演後に、刺激的な講演に誘発されて刺激的な質疑応答があった。
○互恵的利他性について(細胞は、利他性行動をとっているか?)。
○核融合の将来(原理がわかってから50年経っても、見通しが立たない技術は成功しない)。
○化石燃料の将来(いずれなくなる。材料用に使うべし。燃料はメタンまで。)
○農地の将来(人口も減る。あまり心配する必要はない。)
○日本経済の破綻を救う道(目先の利益を追わず、未来投資をすること。経営トップに思想的強さを期待。)
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2012年09月01日

これからの新エネルギー政策 新エネルギーの可能性と課題

EVFセミナー(8月23日)概要

演題:これからの新エネルギー政策 新エネルギーの可能性と課題
講演者:渡邊昇治様(経産省産業技術環境局・研究開発課長)
講演日:2012年8月23日 15:30〜17:30
会場:JICA地球ひろば(広尾)401会議室

渡邊課長は、ここ数年間、日本における最もホットな課題である「新エネルギー」と「計画停電」の最前線に立って来られた。前者に関しては、「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度」の政策・法案の策定に深く関わられ、後者については、停電が与える社会的経済的な影響を如何にして最小化するかという課題に対し、大変な複雑系である送配電系統の解析から社会的な最適解を得ることにご苦労された。ご講演に於いては、これらのテーマに関し、普段我々が窺い知ることの出来ないことをも含め、ダイナミック且つ臨場感あふれるお話をいただいた。
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計画停電:
万一に備え計画停電の準備が必要であった。計画停電であれば、無秩序な大停電と異なり、配電技術上の工夫によって、停電中も一部の鉄道や病院等には電力を供給できる。ただし、複雑な送配電系統の中の数千ヶ所に及ぶ変電所の一つ一つにまで目を配る電力会社の準備作業は想像を絶する難しさ。また、現在の送配電システムでは、希望の所だけピンポイントで送電することは難しい。
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新エネルギー:
(1)2012年7月から施行された再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度の制定までの経緯と、太陽、風力、バイオマス等各種再生可能エネルギーごとの問題点と展望。
(2)再生可能エネルギーのコスト高と不安定さに対する各種方策と展望。技術開発と量産化。
(3)日本の電力構成比、エネルギーミックス:原子力代替エネルギーを増やすときの問題点。例えば、高効率火力発電所新設あるいは既設発電所の高効率化のための設備更新等が喫緊の上策としても、環境アセスに多大な費用と長い時間を要する。
(4)電気自動車は、税制や補助金等の制度次第では普及可能。運転者の高齢化あるいは地域特性から、短距離走行で十分な場合には、経済合理性が出やすい。
(5)電気自動車の普及は、価格次第ではないか。低価格であれば、航続距離が短くても、短距離走行用の車として普及できる用。安価な電池であれば、寿命が短くても車検時に交換するというビジネスモデルもあり得る。道路にくまなく充電ステーションを張り巡らすという遠大な考え方と比較して、どちらが経済的、効率的かも考えたい。
(6)最近は電気の問題に関心が向いているが、エネルギーの大半は熱利用である。化石燃料の燃焼等で、一次エネルギー供給の約7割は熱で失っている。抜本的な熱効率の向上、廃熱(未利用熱)の活用、断熱・蓄熱などの技術開発が重要。

お話の最後に講師は、「屋根に太陽発電パネルがある一軒の家、周りに食糧自給を思わせる緑があり、海辺には風力発電機」という絵を示された。これは最近の小学生が画いた未来のまちの絵であるが、この絵を見て、人間味がなく未来の明るさと活力が感じられないことが気になる。いろいろな技術開発の種を長い目で評価しつつ、グローバルな視点で大きく明るい将来を夢見たいとのコメントでお話を締めくくられた。
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講演後、再生エネルギーの将来性、自動車問題(電気自動車、環境と自動車との関係)、エネルギー政策の決定プロセスと政策の有効性の評価期間、等々につき活発な質疑応答があった。一つ一つ丁寧にお答えいただき、聴講者一同感銘深くお話を伺った。質疑応答の最後に下記のことを言われた。
「いま問題になっていることや、いま調子のいいものにのみ注目するのでなく、いろいろなことを長い目で見て考えていくことが重要。例えば、高齢化社会が問題となっているが、将来のことを考えると高齢者対策よりも子供や若者の教育にお金をかけるべきではないかという考えもある。また、民主主義的意志決定は当然のことであるが、評価軸をどうするかが大きな問題である。昔は経済性優先であったかもしれないが、今は、環境・エネルギーセキュリティ、有限資源の活用など、評価軸が増えている。」
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2012年08月06日

NEDOの国際事業/アジアにおける展開・事業戦略と今後の取り組み

EVFセミナー(7月26日)概要(岡田康裕)
演題:NEDOの国際事業
   〜アジアにおける展開・事業戦略と今後の取り組み〜
講演者: 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
   国際部長 山田安秀 様
講演日: 2012年7月26日 15:30〜17:30
会場:JICA地球ひろば(広尾)301会議室

NEDOの海外における事業の目的、具体的事業などを具体的な事例とそれを取り巻く情勢について数表を交えて懇切に解説して戴いた。今回はNEDOの国際展開の内、アジアを中心とした件についての話であった。活発な展開状況がよく判り、今後のアジア諸国における環境・エネルギー問題を考えるうえで非常に参考になる講演であった。

<NEDOとは>
 NEDOは1980年に設立された。44件の実証を通じ408件の省エネ機器・設備が民間経済活動により普及した。機器の普及に止まらずその経済効果は大きいものがある。
<エネルギー・産業政策を巡る情勢変化>
3.11以降エネルギー環境が大きく変わり、政府において政策の見直しが行われている。
8月にはさしあたりどうするか決めて、行動していくことになる。再生可能エネルギーの導入余地は大きいいが、エネルギー比率を上げるのは容易ではない。電力系統の変動吸収能力を高める技術が必要である。
2003年頃からエネルギー・環境インフラの需要は世界的に2.5倍までに急激に上昇しており、経済発展に寄与しつつある。日本の海外におけるインフラ受注は停滞しており、中国、韓国の活発さが目立つ。
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<NEDOの国際事業の狙い>
エネルギー・地球環境問題の解決と日本の産業競争力の強化を狙いとして活動している。
新成長戦略を進めている。経済産業省の科学技術予算5874億円のうち、NEDOには1512億円が交付され、国際事業においては196億円が使われるという構造になっている。主としてトップ外交における強く、効果的な事業推進を行っている。
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<各国の事業戦略及び個別事業事例>
中国:共青城、上海などを中心に実証事業を推進している。
タイ:マプタプット工業団地の環境汚染対策、省エネかなどで実証を進めている。
インドネシア:ジャワ島の工業団地の省エネ、スマートコミュニティー関連技術の実証を行っている。
ベトナム:産業廃棄物発電実証事業などを進めている。装置だけでなく社会システムの開発展開も広く加えている。
ミャンマー:インドと中国をむすぶコリドーとしての地政学的な状況を踏まえて推進する。
      中国、アメリカなどと比べても進出が遅れ気味で、加速していくことが重要。
カンボジア:もみ殻発電などを実証推進している。
シンガポール:シンガポール政府は“CREATE“で、研究者を丸抱えして研究するプロジェクトを推進している。NEDOも協力する。近く公募も行われる。

セミナーは盛り沢山な内容で、時間が短く感じられ、質疑応答も途中で打ち切らざるを得ないほど盛り上がったものとなった。 
以上
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2012年07月03日

新エネルギーへの取り組みに関する国内外の最新状況について 2012/6/28

EVFセミナー(12/6/28)の概要報告  (佐藤 孝靖)

会場〜新現役ネット会議室
講師〜新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
    新エネルギー部 総括グループ主任 矢部貴大氏
演題〜「新エネルギーへの取り組みに関する国内外の最新状況について」

 講師の矢部氏は69枚のパワーポイントを用いて再生可能エネルギー全般の現状と課題をくまなく概観し、その中で海洋エネルギーについても採りあげ、更には水素・燃料電 池への取り組みを紹介されました。
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大変わかりやすくかつ示唆に富む事柄が多く、後半50分間の質疑応答は技術論ばかりでなくわが国の新エネルギーの社会への浸透が遅れる原因がどこにあるか等の社会論まで出て、いいセミナーとなりました。

講演内容の目次と特記事項は以下です。
T再生可能エネルギーの現状と課題
 ・水力発電以外は累積導入量はほんのわずか。太陽光発電などは日本の天候条件があり、
  年間9,000時間中に日照時間は1,000時間しかない。風力は2,000時間。
 ・太陽熱発電は、太陽光と同じくらい普及する可能性。
 ・ドイツは太陽光発電の買い取り価格を引き上げて成果をあげているものの、コス増
  による国民の負担増をどう考えてゆくのか。
U個別分野の現状と取組
@太陽光発電
 ・日本は住宅用が中心だが、世界は他の用途が多い。
 ・太陽電池の種類は結晶系シリコン、薄膜系シリコン、化合物系、有機系とある。
  有機系は研究段階だが軽くて曲げることが出来、将来有望かも。
A太陽熱発電
B風力発電
 ・世界の導入量は太陽光を遥かに凌ぎ、2010年末までの累積で約2億GW。
 ・世界の風力発電機のマーケットシェア−は日本メーカはマイナー。しかし洋上
  風車の世界市場シェア−は「SIMES」と「VESTAS」の2社が独占の状況ー
  洋上につきものの技術上の障害がありそうで、今後の日本メーカーの参入余
  地はありそ う。
 ・コスト引き下げのため風車の大型化とそれに伴って洋上に展開する報告。
Cバイオマスエネルギー
 セルロース系エタノール革新的生産システムを2020年までの実用化すべく、王
  子製紙と帝人が取組中。
D海洋エネルギー
 ・ポテンシャルは波力、海洋温度差の2つが大きい。
 ・ただ海洋エネルギーによる発電を考える場合、如何に送電するかが難問で
  海洋温度差のポテンシャルの高い地域は沖縄などの南方。
 ・波力発電には機械式(三井造船)、空気タービン式(三菱重工エンジ等)、ジ
  ャイロ式(ジャイロダイナミクス等)がある。
V水素・燃料電池への取り組み
 家庭用燃料電池「エネファーム」が世界初の商用化。電極に白金などの触媒
 を使用 しないように出来れば価格を引き下げられるのだが・・。
 最後に「NEDO再生可能エネルギー技術白書」が無料でダウンロードできるこ
  との 紹介がありました。
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<質疑応答>
・NEDOの新技術の種まきを継続してもらいたいが近時の動向は?
 →スポンサーは経産省。今は必死に何でもやろうという姿勢。
・原発問題はさておいて、今後の我が国の基幹エネルギーは何に期待すべきと
 お考えですか?
 →まず省エネを徹底してトータルの価格を下げること、火力はCO2の問題があ
 り増やせない。とすると、燃料電池+風力+太陽光+(洋上風力)か、洋上風
 力で発電したらその場で海水を電気分解して水素にして、船で消費地に運べば
 よいと思う。
・地熱発電には環境省の規制が障害になってきた等ダイナミックな展開が見ら
 れない問題点。
・地熱発電には温泉街の横やり、海洋開発には漁協の横やり、この辺の改革も
 必要という意見。
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2012年06月04日

「核融合炉開発の現状と将来の展望」

7.EVFセミナー(5/24)の概要報告  (岡  昂)
開催日 : 2012年5月24日(木)
会場  : NPO法人新現役ネット 研修室
講師  :  九州大学名誉教授、九州大学大学院総合理工学研究院教授、
        九州大学工学部エネルギー科学科、
九州大学水素利用技術研究センター
西川 正史 氏
演題  : 「核融合炉開発の現状と将来の展望」

西川氏は京都大学の化学工学科卒業(1966年) 後、カナダのブリティッシュコロンビア大学でビタミンB-12の醗酵合成で修士号、京都の化学工学で代表的な化学反応装置である撹拌槽についての研究で博士号を得られております。
 1979年より九州大学で基礎的な反応や移動現象をまず理解し、これを装置やシステムでの挙動の解析に応用するという化学工学的手法で核融合炉の開発研究に取り組んでおられます。
 また、将来のエネルギーシステムは水素の利用が基軸になると考えられて、そのようなシステムを作り上げるためには
 1、水素を作るための一次エネルギー源の確保。
 2、燃料電池、水素エンジン等水素有効利用法の開発。
 3、貯蔵、運搬等水素インフラストラクチャーの確立
が必要との主張をお持ちの方です。
今回は夢のエネルギーといわれる核融合炉開発の現状と将来の展望についてわが国の将来のエネルギー需給、核融合の原理、実現に向けての各種技術的な課題、安全対策、開発に向けての戦略について分かりやすく解説していただきました。

1)我が国の将来の一次エネルギー需給の見通し
・なぜ核融合炉の研究開発が必要なのかを最初に説明されました。
・我が国の人口とコメの生産量を例にして、食糧生産を減らして外から食料を購入しつつ、その一方でエネルギー使用量は増加の一途をたどった。
・一次エネルギーでみると長中期的は化石燃料は入手困難となり、原子力(核分裂炉)も今後の増設は難しくなっている。その中で発電需要は1兆Kwh、全エネルギーで3兆Kwhの需要が見込まれるが孫の時代のエネルギーをどう考えるかということが我々に問われている。
・いづれ枯渇する化石燃料、安全性に課題のある核分裂、立地条件から限界に近い水力発電、基礎研究の段階にとどまる核融合などのエネルギー源だが資源量に全く制約のない水素エネルギーの活用を目指すべきである。
・エネルギーの最終利用形態を考えた時に基本エネルギーとしての熱源は生物的熱、活動活性化エネルギーとしての熱源(物理的熱)と動力源、そして思考活性化エネルギーとしての創造力、想像力、行動力の主体である人材の重要性を指摘する。

2)核融合の原理
・核融合の原理とは、核融合反応がおこると反応前後における原子核の静止質量の差に相当するエネルギーが放出されることである。
・分かりやすい例でいえば夜空の輝く太陽などの恒星はその中心部の高温高圧状態で水素とヘリウムを燃料とした核融合反応が起こっておりこれを地上で再現して熱エネルギーとして取り出そうということである。
・その反応を起こさせる材料として重水素(D)と三重水素(トリチウム)(T)の核融合反応がもっとも低温(といってもほぼ1億度のプラズマ)で得られるために、現在の核融合炉開発はD−T核融合炉の実現に力を注いでいる。
・反応炉は2つの方式が研究されており、一つは超電導磁石で強力な磁場を作り、その中に燃料ペレットを送り込んで爆縮で加熱してプラズマ化し増殖ブランケットと称する壁面から熱を回収する方式ともう一つは慣性炉と呼ばれる方式で真空炉で燃料ペレットに強力なレーザービームを照射してプラズマ化する方式である。
・現時点はITER(原型炉)の確認の時代である。

3)プラズマ制御の課題
・発電に利用するためには長時間安定して熱エネルギーを取り出す必要があるがそのために乗り越えるべき課題は多い。
・まずは高温高密度のプラズマの閉じ込め方法である。プラズマ安定制御にも課題がある。実用炉条件では荷電粒子束が増えて高温になるのでダイバータ板が耐熱的に持たないという問題もある。

4)核融合炉用材料開発の課題
・ 実用化のためには高温中性子場で使用に耐えうる低放射化フェライト鋼の開発が急がれているが、そのような状態での材料特性試験装置やトリチウム増殖試験装置が世界ないまだない。
・現在進められている改善対策としては、酸化金属分散型フェライト鋼の開発、SiCの開発、V合金の開発などである。
・さらに高温中性子場のプラズマ対向材料もプラズマに曝された材料は主として物理的スパッタリングにより損耗するが、そのスパッタされた対向材料が再付着する際に多くのトリチウムを取り込むことが分かってきておりトリチウム収支の観点から議論が出てきている。
 
5)トリチウム燃料確保における課題
・トリチウムは自然界にごく微量しか存在しない資源でありこれをどう作り出しその消費をいかに効率よくするかが重要である。
・核融合炉ではそのトリチウムの回収システムの構築が課題だが、その消費量は420gr/日/1GW発電であり年間では7.3Kgを確保しなければならない。
・トリチウム燃料の製造方法を列挙しておくと、炉内トリチウム増殖方式、複式炉方式、炉外トリチウム源(主として核分裂炉利用)がある。
・核融合炉の固体ブランケットからトリチウム増殖・回収する研究が行われている。
・研究開発促進のためには核分裂だが高温ガス炉を1台に我が国に作って欲しい。そうなればトリチウムは10Kgは確保できる。

6)放射線安全対策における課題
・ トリチウムは半減期約12年の放射性物質であり、事故が起きた時の放射能問題は現状の核分裂炉と変わらないのでその取扱い安全基準を考えなくてはならない。
・基準としては放射線安全性基準(空気中・排気中・排水中の濃度限度)、トリチウム燃料の自己補給性基準(経済性の観点から)、トリチウムの保有量制限(核施設として、安全面から)を決めて行かなければならない。

7)核融合炉開発に向けての戦略
・ 核融合炉は巨大エネルギーシステムであり、解析不十分の経験則応用の 危険性は避けなければならない。想定外はあってはならない。
・実用化への課題は山積しているが、その主たるものは1)燃焼プラズマの安定制御が可能か、燃焼率はどうか、2)核融合炉用材料の開発は可能か、3)トリチウムは資源確保できるか、安全性はどうか、4)実用化に向けての総合的開発戦略の検討などである。
・現在は研究者の80%がプラズマ研究、16%が材料研究の段階であり、これらを総合工学としてまとめられる人材がまだ現れていないことが最大の課題かもしれない。
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2012年04月30日

EVFセミナー(4/26)「水銀汚染―世界・水俣」

EVFセミナー(4/26)の概要報告   (小栗武治)
開催日 : 2012年4月26日(木)
会場  : JICA地球ひろば(広尾) セミナールーム 301号室
講師  :  (有)国際水銀ラボ 取締役所長 薬学博士 赤木洋勝氏
(元・環境省国立水俣病総合研究センター国際・総合研究部長(兼)疫学研究部長)
演題  : 「水銀汚染―世界・水俣」

赤木氏は1968年に厚生省国立公衆衛生院に入省、2004年に退官されるまで厚生省国立公衆衛生院、カナダ国立科学研究所、環境省国立水俣病総合研究センター等で研究者として数々の実績を残され、水銀汚染関係の第一人者として世界的な名声を博してこられました。退官後は有限会社国際水銀ラボの取締役所長として現在も水銀汚染に関わる研究に携わっておられます。今回はわが国や世界各地における水銀汚染の状況について、発生原因、メチル水銀による中毒性疾患、水銀除去技術などについて詳しく解説いただきました。
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1.水俣病事件の歴史:その発生原因
水俣では1956年頃から中枢神経系疾患が多発し始め、原因不明の奇病とされた。原因として諸説あったが、1959年に熊本大学の研究により有機水銀による中毒症状説が発表された。さらに1963年に熊本大学は、新日本窒素のアセトアルデヒド工場の廃液に含まれるメチル水銀が魚介類に蓄積され、それらを繰り返し摂取した人々に中毒が発症したと公式に発表した。メチル水銀発生源である新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド製造工程における反応液と廃液中のメチル水銀濃度を調べた結果、外部へのメチル水銀排出量が把握された。
住民の出産時のへその緒の汚染状況が時系列に分析され、その結果から両者の因果関係が突き止められた。その後1965年に新潟県で新潟水俣病が発生し、1968年政府は水俣病の原因はアセトアルデヒド製造設備内で生成されたメチル水銀であると公式見解を発表し、熊本水俣病、新潟水俣病を公害病と認定した。これまでの水俣病認定患者は両者合わせて約3000人になるが、そのほか1995年の政治解決で和解の対象となった未認定患者やその後の解決策で少なくとも四肢末端の感覚障害を有すると認められた患者を合せると、27,000人余に上る。さらに2011年5月から始まった水俣病特措法による救済策が現在進行中であるが、その申請者数は現時点で既に5万人を超えているのが現状である。会社への遠慮のため認定申請をしない人もおり、さらに今後の動向が注目される。
メチル水銀で汚染された水俣川河口付近のヘドロは除去されないまま表土をかぶせて埋め立てられている状態であり、地中には水銀が残ったままになっている。震災等によりこの水銀が今後漏出することも考えられ非常に懸念される。
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2.世界の水銀汚染
近年の最大の水銀汚染問題は水銀アマルガムを用いた金採掘現場からのものである。南米アマゾン川を取り巻く南米諸国、東南アフリカ諸国、フィリピン、インドネシア、中国等の国々で顕在化している。金採掘現場の労働者総数は500万人とも1000万人とも推定されている。また金採掘現場で用いられた水銀はほとんど回収されていないため、その汚染の深刻さは計り知れない。自然界に放出された無機水銀からメチル水銀への変換は水圏で比較的容易に進行するため、揮散性の高い水銀蒸気への直接暴露のみならず河川流域住民へのメチル水銀暴露による健康被害が懸念される。その代表例としてアマゾン川流域における調査結果を基に、汚染の実情について解説された。
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3.水銀汚染土・底泥の浄化技術
汚染土を加熱することで水銀を気化させる手法はドイツで開発されていたが、この手法では汚染土を1000度以上で加熱せねばならず、除染後の土は灰になってしまい再利用できない。国立水俣病研究センターは大成建設との共同研究により、加熱する時点で汚染土に鉄鉱石を混ぜることにより比較的低い250〜300度で20~30分という比較的短時間に水銀が蒸気になり、土は浄化された形で残ることを見出した。実験室レベルでの手法開発の後、ドラム状のキルンを回転させながら水銀を含む土砂をゆっくり過熱し水銀を気化させる実証プラントでこの手法の有効性を確認した。

4.メチル水銀による人体曝露への対処法
メチル水銀は難分解性で蓄積性があるため、生態系の食物連鎖によりとくに肉食系の魚類に高度に生物凝縮される。その魚介類を長期にわたり摂取すると人体に蓄積され、成人では特に顕著な毒性を示さない暴露量でも、感受性の高い胎児には無視できない神経毒性が現れる可能性がある。2005年に厚生労働省は水銀の蓄積量が比較的多いクジラ類、金目鯛、黒ムツ、マグロ等、計16種類の魚介類について食べ過ぎないための摂取量を提示した。
医学の世界では水俣病であるかどうかの病像解明とその診断判定に研究の焦点がおかれ、治療法の開発はほとんどやられていない。治療法がない現状では摂取する食物を選ぶなど、水銀を出来るだけ摂らない方法で自分を守るしか手はない。
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5.質疑応答
講演終了後約50分にわたり聴講者から次のような項目で、熱心な質疑応答が行なわれました。
・水銀のリサイクルの現状
・自然界に放出された水銀がメチル水銀になる割合
・水俣湾に残っているメチル水銀の量
・メチル水銀除去技術の放射性セシウム除去への応用性
・水銀中毒の治療法の現状
・他
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2012年04月01日

「省エネ、節電の視点から」

EVFセミナー(3/22)の概要報告   (深井 吉男)
開催日   2012年3月22日(木)
会場    東京田町 「新現役ネット」事務局 会議室
講 師 : EVF理事  立花 賢一様
講演テーマ:「省エネ、節電の視点から」
    
省エネ、少エネの観点から幅広く、有意義なプレゼンをいただきました。
結論として今後の主役は廃ガス、廃熱の利用とその為の新技術
スターリングエンジンなどと言えそうです。
あまりにも多くのご示唆をいただいたのですが、プレゼンの中から
特に“目から鱗の話”を抜き出しました
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1)省エネと少エネ
省エネはエネルギー効率の向上、少エネはエネルギー総量の削減
2)エネルギー効率は過去30年で40%改善
エネルギー消費は民生部門を中心に一貫して増加しているが、
省エネ政策により効率は40%改善
3)ネット・ゼロ・エネルギービル
2030年までに3階建以下のビルはゼロ化が可能、10階建では
80%削減可能
4)スマート・メーター
イタリア、スエーデン、オランダでは2012年までに完全導入
日本は2017年までに80%導入
5)発電コスト
原子力は\8.9/kwh+事故賠償費用、石炭=\10/kwh、
LNG=\11/kwh、石油=\39/kwh
6)再生可能エネルギー
陸上風力、地熱=\9~10/kwh、太陽光=\20/kwh、
ガスコジェネ(燃料電池)=\11.5/kw
7)エビと石油
『エビの豊富な所に石油がある、石油のある所はエビが豊富である』と
いうのは世界のその筋の通説である
8)Noble use of oil (1)
水力⇒石炭⇒石油、原油生焚き、重油⇒タールサンド⇒天然ガス
⇒原子力、水素
9)小型高速炉(出力2万キロワット程度の超安全原子炉)の将来性
・小型のナトリウム冷却高速炉
・最初に装荷した燃料を交換することなく30年間運転可能
・自然現象を活用した安全設計(人的操作がなくても自然に炉停止・除熱・空冷可)
・静的機器(電磁ポンプ等)の 採用によるメンテナンス低減
・水から水素を製造するシステムと接続可能
10)ガスエンジン
ホンダは世界最小の家庭用ガスエンジンを市販している
11)ヒートポンプ
・ヒートポンプは、欧米諸国では太陽起源の「再生可能エネルギー」の
一種として位置づけられている
・ヒートポンプ効率は190%、ボイラーは90%
12)高効率蛍光灯器具の選択
・蛍光灯でも2〜4割の省エネが可能
・有機EL 広範囲に最適な照明
13)大量の廃熱を電気エネルギーとして回収
熱電発電、スターリングエンジン
14)緊急節電の駅の照明はヨーロッパの鉄道駅に比べて 
充分明るい。日本人一人当たりの電力消費量はヨーロッパのそれ
よりも40%も多い。コンビニも明るすぎ、熱も多く発生するので
空調のための電気も追加的に必要になる
15)輸送エネルギー
自転車+人=0.15kcal/kg.km、人=0.75、自動車=0.82、
旅客機=0.6、ネズミ=16
16)お金があれば、買う状態がある限り、エコはエネルギーの
節約に何もやくにたたない。人間が努力して、より良い社会、
より好い生活を望むことを正しいとすると、省エネルギーは全体の
エネルギーの増大を招く。
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2012年03月01日

第5回EVF年次総会記念講演会 「スマートコミュニテイの現状と将来展望」

第5回EVF年次総会記念講演会
開催日   2012年2月24日(金)
会場    JICA地球ひろば(広尾) セミナールーム 401号室
演題    「スマートコミュニテイの現状と将来展望」
講師    新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)理事 渡邊宏様

渡邊様は34年通商産業省入省 以降基盤技術研究促進センター、工業技術院産業技術融合領域研究所、NEDO企画調整部、経産省産業技術環境局など、技術開発部門を中心とした業務に携わる。10年8月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の理事として、国際事業およびスマートグリッド関連部門を担当。
現在NEDOで実施しているスマートコミュニテイを中心に、それを取り巻く社会、技術、海外事情などを豊富な事例を交えてわかりやすくお話しいただいた。
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1 スマートコミュニテイの取り組み
 世界の人口は2011年70億人に対し、2050年には91億人、都市人口は2011年35億人に対し、2050年には64億人と増加、都市集中化が見込まれ,都市のエネルギー問題はかすます深刻化し、その解決策としてスマートコミュニテイがある。
(1)スマートコミュニテイには、
* 買い取り制度による再生可能エネルギー導入促進、
* 要素技術(蓄電池、EV、ヒートポンプ、太陽光、風力など)の位置づけの明確化、
などによって再生可能エネルギー参入を支えるシステムの構築が望まれる。
(2)海外の動きは
* 北米ではグリッドの構築に重点を置いている。テロ対策も考えられる。
 (記録者注)北米の現状グリッドは老朽化しているので、
新グリッドの導入により信頼度を向上
* 欧州では再生可能エネルギーが導入できるスマートシステム化に重点を置いている。
 全欧のネットワーク化、市場の統合化(標準化)
* 中国では2010年以降、成長重視から環境重視へ、この政策転換に従って各所で
スマートシテイを実験中
* 韓国では在来電気事業法に対抗するスマートグリッド促進法を法制化して
スマートコミュニテイを促進中
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2 スマートコミュニテイの将来展望
* 次世代の社会システムとして構築が必須。
* 構築のためのコスト分担は未定、基本的には受益者負担が望ましい。
* スマートコミュニテイは電力会社主導のデマンドコントロール型でなく、
住民本位の機能提言型でなければならない。
* 日本の技術を世界市場に展開するには、トータルシステムの提案能力が必須となる。
* スマートコミュニテイには要素技術の総合化、システム化((記録者注)運用も含め)が必須。NEDOの役割は、システム構築力を促すことにもありそうだ
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3 スマートコミュニテイのNEDOでの実証試験
 地域自立分散型、大量太陽光(不安定電源)導入、風力導入による系統安定化実証など、
テーマを定めて各所で実証試験に取り組んでいる
 国内  稚内市、太田市、北杜市、横浜市、豊田市、りんくう常滑、けいはんな、
北九州市など
 海外  ロスアラモス、アルバカーキ、リヨン、マラガ ハワイ 江西省など

4 スマートコミュニテイを構築する要素技術の一例としての蓄電池の開発状況
* 再生可能エネルギー導入に当たってはスマートコミュニテイでも大規模系統用でも(記録者注 マイクログリッドでも)蓄電池が必須である。
* 加えて系統用では、大規模大容量インバータが必要となり、国内では供給力を持つメーカがない。(記録者注 直流〜交流変換、電力安定化などのインバータが必要であり、実績としては周波数変換所、NaS電池変電所などがある。一方鉄道では新幹線などで大量に使用されている)
* 蓄電池は100w/kgを2030年には5倍〜7倍に高めるための開発を行っている。
5 (提言)ニュータウン再生
  多摩ニュータウンを始め、高齢化、老朽化が著しい
  ハード対策も必要だが、ソフト対策がより肝要である
  (近隣大学との連携によるホームステイ化、学生の受け入れ、町内会的
コミュニケーションの復活、スモールEVなどによるエリア価値の向上など)
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2012年02月05日

EVFセミナー:「大震災後のエネルギー政策の課題」

EVFセミナー(1/26)の概要報告 (三嶋 明)
開催日   2012年1月26日
会場    JICA地球ひろば(広尾) セミナールーム301号室
演題    「大震災後のエネルギー政策の課題」
講師    財団法人 日本エネルギー経済研究所 理事長 豊田正和様

豊田氏は、通商産業省 商務情報政策局長、通商政策局長等を歴任され、
現・経済産業審議官。我が国の通商戦略は、WTO、EPA/FTA、APECなど
多数の政策手段を組み合わせて進め、内経済の競争力の強化につなげる
べきとのお考え。
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日本エネルギー経済研究所は、現在4つのグループ(エネルギー/地球温暖化
/中東研究/定量経済分析)からなり、エネルギー政策の提言を行っている。
今回のセミナーでは、本年の我が国の予測経済成長率2%がエネルギー政策
次第である事、又中長期エネルギー政策の考慮点について、事実(実績)と
定量的分析をベースに解説して頂き、いわゆるエコノミストの話と異なり、
理科系の多い当セミナーの聴衆にも理解し易い内容であったのではないか。

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1、短期的課題
(1)福島第一の安定化
1/26現在、54基の原発のうち稼働中は4基のみ。最悪のケースでは、
本年夏のピーク時に産業活動などに深刻な事態に立ち至ることが懸念される。
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(2)電力不足への対応
昨年度は相対的に涼夏と節電により乗り切ったが、本年度は原発再稼動がない場合、
@ 全電力電力会社で12、2%の節電が必要であり、雇用問題へ発展する、
A発電用燃料費の大幅増加となり、工場の海外移転につながる、
Bエネルギー起源のCO2排出量も大幅増加となる。これらの2012年度の
マクロ的影響は、実質GDPで△1、8%であり、ゼロ成長におちいる可能性もある。
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(3)石油・ガスの需給対策
アラブの春(覚醒)の影響、イラン制裁によるホルムス海峡封鎖への懸念などもあり、
価格の高騰、エネルギー危機のシナリオも考えられる。
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2、中長期的課題
(1)エネルギー基本計画の見直しへの考慮点
* 我が国は、エネルギー自給率の低さと北東アジアネットワーク(送電網、パイプライン)
の実現の困難さから、エネルギー安全保障上、最も脆弱な国の一つであり、
それをベースにしてエネルギー構成と電源構成の見直しが必要。
* 基本的な考え方として、エネルギーの4つの視点を全て満たすエネルギーはなく、
組み合わせ(MIX)しか方法はないとの「総合的視点」と、アジアでは原発を
増加させているなどの「国際的視点」が必要。
* 4つのエネルギー政策(@更なる省エネ政策の推進、A最大限導入の再生エネルギー政策、
B化石燃料政策、C原子力政策)について、複数のシナリオを、例えばコスト/環境
/安全保障の視点から、定量的、客観的分析を行い、実現可能な解答を見出す必要がある。
(2)地球温暖化への対応
米国、中国を含めた新しい枠組みの形成を目指し、京都議定書の単純延長には参加しない。
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独り言:「科学する心」の少ない事(情緒的過ぎる)が我が国の弱点であり、大震災後の
対応もそれが試されている。今回のセミナーは、その意味でも「誠に時宜を得た
企画であった」と言うのは言い過ぎであろうか。
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2011年12月29日

EVFセミナー(12/22) 生物多様性と日本の森林

)の概要報告 (添田 眞峰)
開催日 2011年12月22日
会場  JICA地球ひろば(広尾) セミナルーム 402号室
演題  「生物多様性と日本の森林」
講師  国際環境NGO FoE Japan 理事       岡崎 時春 様

岡崎氏は、長年、NGOの立場から生物の多様性や地球環境問題に
幅広く取り組んでこられ、国連主催の国際会議に出席されるとともに、
日本政府や各国政府、国際機関に対し多くの政策提言をされてきました。
今回のセミナーではこのご経験を踏まえ、多くのエピソードを交えなが
興味深いお話をしていただきました。

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1) 生物多様性と地球環境問題の課題
生物多様性や地球環境問題は、きわめて地球規模の問題であるが、
我国の取組みは政府の担当部局が分散している事もあり、必ずしも
国際的な問題意識と合致することとなっていない。一方、国際間の
話し合いは、残念ながら超大国のエゴと発展途上国のエゴがぶつかり、
環境関係の条約、森林関係の条約、生物多様性に関連する国際条約も
遅々として進まない。

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2) 生物多様性、森林蓄積、食料、水資源
世界の森林資源をみると、開発の結果途上国では、森林伐採により
森林資源は大幅に減少。日本の森林は、これまでは、うまく管理されていたが、
今後は山の維持に関わるコストが問題。コスト負担から伐採放棄林が目立つ。
食糧問題では、穀物の生産を見ると、産出量は増加しているが、飼料や
肥料の投入による生産性向上の寄与が大部分で、生産量も人口増加に
追いつかない。水産資源は減少著しく、養殖依存だ。食糧生産に関わる、
薬物や化学合成物の投入が環境被害を増大させ人体へのリスクも懸念させる。
水資源の枯渇も深刻だ。生物多様性の問題では、企業活動と途上国の間に
遺伝資産の利益配分の問題が先鋭化している。製薬会社と自然界にある
薬種の分子構造をめぐる特許問題がその典型だ。

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3) エコスペースの考え方の重要性
この様に、文明の発展は地球環境問題を深刻にするという矛盾がつきまとう。
結局、人類はエコスペース(地球環境の維持を可能にするための一人当たりの
資源使用の許容限界)を意識して地球環境の管理をせざるを得ない。
だが、国と国、企業の経済活動と環境汚染、という利害の対立が問題解決の
壁となる。
また、自然環境保護活動には、行き過ぎが生態系を破壊することもある。
行政の無知による自然保全もかえって自然環境の破壊を進めてしまう事例も
事欠かない。経済界開発と環境保全を両立させる為にプロジェクト施工に
先立つ戦略的評価が必要である。 
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2011年12月01日

日本のエネルギーの将来と東工大でのエネルギー研究 2011年11月24日


開催日 2011年11月24日
会場  NPO法人 新現役ネット会議室
演題 日本のエネルギーの将来と東工大でのエネルギー研究
講師 東京工業大学ソリューション研究機構 特任教授 平井 利弘 氏

従来の枠を超えたエネルギーシステムの革新を進めるにあたって、温暖化ガス
排出の少ない高効率分散電源や再生可能エネルギー利用、清掃工場の廃熱利用
などを強力に促すためのキーワードである分散型ネットワークとスマート
コミュニティなどについて、大震災と原発の事故以降のエネルギーをめぐる
状況を分析し、SI単位などの説明も加え、取り組むべきエネルギー戦略に
ついて、どのような打ち手を考え、実行していく必要があるのか、
わかりやすく伝えていただいた。


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T) ソリューション研究とは
 低炭素化社会に向けた世界のイノベーション拠点としての先進エネルギー
国際研究センター(AES)は低炭素社会の実現に向け、東京工業大学が中心と
なって新たな社会インフラとなる先進エネルギーシステムを研究・実証する
産官学連携拠点として発足した。数年から十年程度先の将来ニーズ解決と
企業化あるいは社会システムの道筋をつけるため、中立性・公共性の観点から
設定されたプロジェクトの下に大学や企業の研究者が集まり、知識や
ノウハウを持ち寄る。オープンイノベーションのプラットフォームを構築して
社会の要請に応えるソリューション研究を推進する。

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U)日本のエネルギーの状況
 日本の生産年齢人口は1990年がピークでそれ以降税収も減少している。
21世紀の日本は低成長が続く。炭酸ガスを削減するために再生可能
エネルギーを推進する。そしてより効率的にエネルギーの使用量を
減らすことにより高騰していく燃料に耐えうる構造にしていく
震災で世の中は大きく変わった。まず原発に大きく依存しない新たな
ベストミックスの構築。そこで重要なのが再生可能エネルギーの導入と
天然ガスの高度利用の新たなエネルギーシステムの実現である。セキュリティを
考えれば集中型と分散型の連携によるエネルギー需給の全体最適化がかかせない
中長期的にはスマート化の推進が重要である。
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V)東工大AESセンターの提言
エネルギービジョンについて時間軸を持って定量的に描くことで、先進
エネルギーシステムは新たな社会インフラシステムとなる
。この新たな社会に対応した装置と制度の構築を目指して、産官学が
いったいとなって推進しうる体制をととのえる。
まず、AESセンターは池袋副都心に焦点を当てたプロジェクトを開始した。
これは、被災地だけでなく既存都市のスマート化も革新的な課題と考え、
産学官連携によって集団的知性を高め、こうした先進的なエネルギーシステムの
実現に取り組んでいく。

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2011年10月31日

今後の石油エネルギーの動向 -エネルギー政策の見直しを受けて 2011年10月27日


開催日 2011年10月27日
会場  JICA地球広場セミナールーム301号室
演題 今後の石油エネルギーの動向
(−エネルギー政策の見直しを受けてー)
講師 JX日鉱日石石油開発株式会社
   常務執行役員 岩井 篤 氏

日本のエネルギーの根幹を支えてきた石油について包括的かつ、詳細に解析し今後の動向について明快に解説をいただいた。
3月11日の大震災と原発の事故を受けて、これからの日本のエネルギー政策をどのように考えるのか議論が飛び交う中でまことに時宜を得た有意義なセミナーとなった。
講師は自宅では岩井ソーラー発電所所長として新エネルギーの実証にも取り組んでおられます。

石油.JPG

T) JXグループ紹介
     2010年新日本石油鰍ニ新日本ホールディングス鰍ヘ経営統合しJXホールディングスを設立し、エネルギー、石油開発、金属の3事業を展開している。
日本鉱業鰍ヘ1912年設立の久原鉱業(株)が前身であり、銅鉱山、精錬、加工など非鉄金属に携わってきた。
日本石油鰍ヘ1888年新潟県刈羽郡に有限責任会社日本石油として創立され、近年三菱石油、九州石油を合併していた。 
U) 日本のエネルギー
    *エネルギー源としての石油は昭和47年オイルショック時には総エネルギーの75%を占めていた。近年では天然ガス、原子力が台頭し42%とそのシェアを落としている。
    *原発事故は発電用燃料としての重油の需要を押し上げ、2011年4〜9月期の消費実績は3,970千KLとなり前年比121%となった。原油は3,469千KLで同135%である。ちなみにLNGは121%とやはり大きく伸張している。
V) 世界のエネルギー
    *資源としての石油は50年で枯渇すると言われ始めてから、50年を経過した。
    *可採埋蔵量で見ると2010年時点でOPEC、非OPECをあわせ56年分はあるとされ、確認埋蔵量は1兆4606億バレルと試算されている。
    *エネルギーシェアーは、石油が34.8%石炭29.4%、天然ガス23.8%、原子力5.5%、水力6.6%となっている。
     対して日本は、石油43.8%、石炭23.5%、天然ガス17.0%、原子力13.4%、水力2.3%である。



石油プレゼンテーション1.pdf


W) 今後の動向
    *日本
*石油製品の2010年内需は約2億KLとなった。20年後の2030年には33%減の1億3100万KLと見込まれている。
    *電源構成では、2009年原子力は29%、2030年では53%を占める見込みとしていた。
この見通しは2010年6月震災前の経済産業省の計画であり今後のエネルギー政策の方向によっては石油への依存の割合を大きく左右するものになろう。 
*世界
*消費量は1990年から2010年までは年率1.2%の伸びとなったが2030年まででは、年率0.8%の伸びに止まる見込みである。
       この中で、OECD諸国はわずかに低下すると見込まれ、非OECD諸国特に中国、インドでの消費が世界需要を押しあげると予測されている。
     *価格についてのOPEC予測では、2011年平均85〜95ドル。2035年133ドルとなっている。
        (これは生産者側の期待をこめての数字であるようだ。)
      *また、天然ガスへの需要は高まるだろう。
       シェールガス革命とでもいえる状況が進展しており頁岩の隙間のメタンガスの採掘技術が確立され、21世紀エネルギー技術革新となる可能性がある。
   2035年にはエネルギー需要の25%を超えるとの見込みも出てきた。
X)エネルギー基本計画の見直し
2010年6月政府はエネルギー基本計画を決定したが、今年3月11日の東北大震災を受けこの計画を見直す動きとなっている。


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Y)今後のエネルギー
*新エネ市場が市場規模を拡大する。
   2010年時点の太陽光、風力などの規模は30.3兆円。
   2020年には86兆円と見込む。
 太陽光、風力、太陽熱、蓄電池、燃料電池、省エネ住宅、建築物の6分野。
全量買取制度の導入は光発電関連だけで、44.8万人の雇用を創出するとの報告もある。
*高効率太陽電池の開発
現状のシリコンセルによる発電効率は実用16%。発電コストは23円kwh。
具体的には
@ 集光することで効率を向上させコストを低減する。
A 利用できる波長を増やすことで効率の向上とコスト低減を狙う。
東京大学先端研に共同研究拠点ENEOSラボを新設した。
NEDOから「ポストシリコン高効率太陽電池」研究を受託し有機系太陽電池の開発も進められている。

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