2011年10月17日

環境ビジネスと中国 2011年9月29日、田町

演題:  環境ビジネスと中国
講師:  東京工科大学 大学院ビジネススクール教授 尾崎弘之

尾崎先生は、バイオベンチャーの動向を研究されてきたが、3年前より環境ビジネス、なかんずく中国と米国を中心に調査してこられましたが、今回は中国の環境ビジネスに付き、問題提起された。
ご存知の通り、先生はTBSテレビの朝5:30−8:30;みのもんた朝ズバ!に出演され、そのシャープなコメントには定評があります。



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(1) レアアースの現状
レアアースの原鉱石は放射能を帯びているため、精製過程で除染を行う必要があり、環境規制のゆるい中国が米国、豪州を蹴落とし97%のシェアーを持つに至った。しかしながら、ダブルスタンダード(国内企業には甘く、外資に厳しい)の中国でも、環境規制が段々厳しくなり、中国の戦略として、レアアースを部品に加工し、更に付加価値を高めて輸出したいと、方向転換してきた。
つまり、レアアースを武器に世界から中枢技術を導入する“知財問題”に発展してきた。最近、東大の研究チームがハワイ沖とタヒチ島周辺海域で、地上の1000倍も高いレアアースが海底に存在することを証明し、話題になっている。南鳥島周辺も似たような状況で、レアアースの埋蔵が期待されている。

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(2) 中国でのEV(電気自動車)の動向と近未来
リーマンショック後でも、中国の自動車販売は増加し、昨年は1800万台になった。中国全土で小型EVメーカー(ベンチャー)が500社もあり、価格は30−40万円前後で、現在、欧米への輸出が中心である。これはゴルフカートの豪華版と思って置けばよい。小型EVとは別に、中型乗用EVとEVタクシーも開発中で、今後の動きに目が離せない。2020年目標として、小型EV15万台の普及を目指している。
EVはモバイル末端であり、メーカーが顧客の情報を全て吸い取ることが可能で、向こう10年間は壮大な社会実験のステージといえる。これらデーターを蓄積して行きEVの方向性がはっきりして来る見込みである。日本は誰もリスクと取らず、チャレンジもしないが、中国はすごいダイナミズムがある。
最近、中国で起こった高速鉄道事故を幼稚で稚拙と思っている日本人が居るが、日本で新幹線が開通した当初、日本でも由々しき事故が多数起きた。幸運にも死者が出なかっただけである。よくみると、中国が取った今回の対応は合理的でバランスが取れているとも言える。もって他山の石としたいものです。
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2011年08月30日

EVFセミナー8/25 メタンハイドレート資源の開発はどこまで来たか? 世界と日本の現状と将来

講師   :  東京大学  教授 松本 良 様
講演テーマ:「メタンハイドレート資源の開発はどこまで来たか?
          世界と日本の現状と将来」

最近数10年の研究で、氷のような見かけのメタンハイドレートが
深海底や海底から数百メートルの深い場所に広く分布することが
分かってきた。メタンハイドレートは大量のメタンを含むため、
将来、天然ガス資源として使えるのではないか、と言われてからも
既に10年以上たつ。3.11の原発事故をきっかけにして
エネルギー供給戦略の見直しが迫られている中、日本列島周辺に
豊富に存在する可能性のある新エネルギー、メタンハイドレートの
探査がどこまで進んでいるのか、世界の動向も併せて紹介したい。


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EVFセミナー報告(2011年8月25日)
演題:メタンハイドレート資源の開発はどこまで来たか?世界と日本の現状と将来。
講師:松本 良(東京大学大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻、地球環境進化学教授)

松本教授が研究する地球環境進化学とは、地球構造等から、歴史を解き明かし、地球環境の変遷と生物進化を明らかにする学問とのことです。その中から特筆すべき成果の一つが
燃える氷・メタンハイドレートです。
在来化石エネルギーの枯渇、CO2による温暖化、原子力発電の不安・不信のなか、
メタンハイドレートが注目されています。

メタンハイドレートが作られる過程は省略しますが、地球の長い歴史が生んだ有機物が原料になっています。それが海底地下でメタンと水が凍った状態で存在します。それは地球の海洋縁辺に多数確認され、日本でもいくつもの、地域で発見されています。
日本の領海内の南海トラフ(静岡沖から南九州沖までの広範囲区域)や日本海の上越沖、秋田沖等です。

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MADE IN JAPANのエネルギーとして注目され、現在のところ、日本の天然ガス(メタン)使用量の14年分が確認されています。今後は飛躍的に増えると期待されていますが、もちろん問題もたくさんあります。その中で、採掘・回収方法など技術課題がいくつかあります。そうしたなか、大変革新的なアイデアが考えられています。
それは高温のCO2流体でメタンハイドレートを分解し、メタンを採掘する。その上、CO2はハイドレートとして貯蔵するアイデアです。メタンとCO2を交換するということで、天然ガスを採掘しながら、CO2を封じ込める。なんともうれしくなる技術・アイデアです。

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最後に松本先生はこのように話されました。
@環境負荷の小さな天然ガス(メタンハイドレート)への転換と、国産エネルギーの開発
 を一層強化する。
Aメタンハイドレード開発は小規模・分散型開発で高能率化を図る。上越沖を期待。
BCO2の回収貯蔵とメタンハイドレート回収を合体させたハイブリッド開発の促進

節電・省エネ、再生可能エネルギーの活用も大切ですが、日本にある天然ガス・メタンハイドレートも明日のエネルギーの一員として参加してほしいものです。



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セミナー終了後も、懇親会の場でさらに突っ込んだ議論もさせていただきました。


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2011年07月29日

EVFセミナー(7/28) 省エネ・節電生活の鍵を握るスマートグリッド


EVF セミナー報告(2011年7月28日)
演題: 省エネ・節電生活のカギを握るスマートグリッド
講師: 伊藤 正昭様 (EVF正会員、東京電力OB、NEDO産業技術・企画担当理事を歴任)

講師はエネルギー事業に深い関係と経験をお持ちで、
当初「望ましい環境社会システムとその課題」の予定だったが、
東日本大震災後の状況を鑑みて我が国が現実的にとり得る
エネルギー政策とその技術的・社会的課題などについて
話をいただくことになった。


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― 東日本大震災に端を発した福島原発事故、浜岡原発運転中止、
定検中の各地の原発運転再開不許可などの連鎖の結果、
我が国は全国的な電力供給力不足に直面する事態となった。
現状は老朽火力の運転再開、自家発のフル活用などによる
電源の確保に努めつつ、一方では15%の節電を実施して
需給のバランスを保っているが、先行き需給に関しては、
従来のエネルギー政策による原子力依存を遂行することは
もはや現実的でなく、一刻も早い新たなエネルギー政策の
策定が必須である。





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― EVFとしての提言材料を獲得するため、
新たなエネルギー政策の骨格について以下のような試算や
考察が報告された。
@ エリアを東電供給区域とし、2020年までの需要
(概ね7200万KWと仮定)に対し、震災後の見込み可能電源
(5520万KW)との不足分は1680万KW
不足分を持続可能な無理のない節電(約15% 1000万KW)、
稼働可能原発の活用、太陽光、風力などの実現可能な規模の
開発導入(1000万KW)によって受給バランスを確保できる見通し。
A そのために送配電系統への大規模な太陽光・風力など
不安定電源の接続は必須、そのための線路増強や蓄電池などの
電圧安定化装置の設置や端末装置のきめ細かい情報制御システムの
付与(スマートグリッド化)、
新エネの大規模導入のための補助金制度、
買取制度の充実なども必要となろう。
B 太陽光、風力、スマートグリッドなどこれからの
エネルギー政策実現の鍵となる技術について、我が国での実施状況、
ロードマップ、とりわけ送配電系統をスマートグリッド化するための
ハード対策の解説。 
C CO2削減、環境社会の構築など理念的な省エネ活動が、
大震災を契機に節電という生活防衛の手段に変貌している。
EVFとしては、節電対策について省エネの観点から世に問うことが
有用との考えから、EVFメンバー各自が積極的に節電に
努めていること、そして得られた節電効果を集約し、具体的に示された。






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2011年06月29日

セミナー(6/24)の概要 開発途上国の環境整備

演題:開発途上国の環境整備――インドネシア 西ヌサテンガラ州
ロンボク島を例として
講師:前橋工科大学副学長 社会環境工学科 教授 尾崎益男殿
概要:尾崎教授は、学生時代ブラジルに半年滞在され、
強烈な貧富の差を体感。これが原体験となり、
1990年代前半から発展途上国の環境整備に係わる
下記のような小規模プロジェクトを数多く推進されてこられた。


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1993年 オーストラリア:乾燥地植林とCO2固定、
小規模分散排水処理と処理水再利用
1995年 ネパール:排水処理と河川浄化
(国際会議で出会った先生と共同で河川浄化の仕事を始めたが、
国王殺害事件でカウンターパートと連絡が取れなくなった)
2000年 インド:沙漠化防止と地域環境整備
2004年 チュニジア:環境研究所開設の手伝い
(JICA資金で、研究所開設するも、ジャスミン革命で中断)
2005年 インドネシア:ロンボク島環境整備
2010年 アルジェリア:乾燥地開発(これもジャスミン革命で中断)
プロジェクト資金としては、前橋工科大学予算、JICA資金等。

成功の具体例として、インドネシア ロンボク島環境整備プロジェクト
の紹介があった。
ニーズ=@畜産廃棄物による地下水汚染防止A薪を採るための森林破壊低減
解決方法=牛糞を原料とする個別型小規模バイオガスプラントの設置
(農家の炊事用メタンガス発生量約1m3/日)。
さらに地域にある技術と材料でバイオガスプラントを作ることによる
技術の定着を狙う。
結果=現状7基が稼働。
将来展望=薪に替わるエネルギーの提供/森林伐採の低減/
森林保全による乾期地下水確保、井戸水の確保/炊事時の煙による
健康被害の低減/薪の収集労働の低減/いつでも使えるエネルギーの確保/
生活環境の改善


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先生の長年の経験から、開発途上国での環境整備プロジェクト成功の
秘訣は次の諸点にありと総括された。
・ 作ってあげるというトップダウン式はだめ。
・ 現地での問題意識・意欲が無いと成功しない
(例えば、河川浄化の問題では、日本人の観点では汚染の極みと思われる
事象が、その国の「時間の流れ」、「宗教的価値観」からは、
解決すべき事柄・問題とは捉えられていない)
・ 問題の解決が、現地にメリットを生むと判断されたプロジェクトは
積極的に展開され、よい結果を生む。


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・ 現地で調達可能な機材・材料を使うこと。
製作と維持管理の技術・知識を十分に伝達しないと、
せっかくの移転技術が消滅する。

講演後、尾崎先生がこのような開発途上国向けのプロジェクトを
自らが手がけられていることに対し、
その動機や如何?バイオガス発酵槽の構造に関する質問等々、
活発の質応答があった。
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講師ご厚意により講演資料を掲載いたします

)尾崎セミナ20110626(PDF.pdf
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2011年05月27日

EVFセミナー5.26 現代の地球気候を極地から考える

EVFセミナー(5・26)概要報告
演題:現代の地球気候を極地から考える
講師:前 国立極地研究所長 渡邉 興亜 様
概要
北極と南極の両極地のそれぞれに特異な環境と自然の解説と、
人類の探検の歴史、極地研究データから見た気候変動メカニズムの解説など
時空間スケールの大きな話で2時間はあっという間であった。

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1、 極地の範囲
天文学的な極圏のほかに海水温などから決める極域がある。
ここに入ると極地手当が支給される。
2、 極地の地球気候における役割
赤道付近は加熱、極地は放熱(冷却)の役割を持つ。
加熱された大気は循環流となり
中緯度の高気圧帯で下降し、
極地周囲の暴風圏で再度上昇して極冠に下降するが
高緯度になるにつれて、面積が減少し空気中の物質が集中してくる。
大気循環のエンジンとなっている。
3、 極地探検の歴史
10世紀までは温暖な気候で、バイキングが北極を行き交っていた。
その後は寒冷化にはばまれて、探検は進まなかった。ピアりーやアムンゼンらの活躍で
20世紀初めになって極地の様子がわかってきた。
1908年ピアリーが北極点を確認した。(その時まで考えられていた島ではなく海であった)
1911年12月14日アムンゼン南極点到達、
遅れて12年1月にスコットも南極点に到達したが、
その時の競争や日本の白瀬の探検などが有名。
20世紀後半からは砕氷船の性能向上で国際的な観測が進むようになった。
最近は領土資源問題で各国が主張をするようになってきている。
4、 中間圏循環の観測計画
大気圏循環のはるか上で南極と北極を循環する中間圏循環があり
この構造を観測するためパンジーレーダー計画という
八木アンテナ500本を同期したレーダー観測が行われている。
5、 オゾンホールのできるメカニズム
とても低温の状態になる極成層圏雲の中でオゾン破壊が
進行するため低温領域が大陸中央に集中する南極で
オゾンホールが発達する。
北極は中央の海で暖かくなるので、低温領域が
周辺の陸上に分散して、オゾンホールができにくい。
6、 深層海水循環流
北極海は海洋のわずか3%だが、海流循環にたいして特異な役割を持つ。
北ユーラシアの川が淡水を流入し、表面で氷結することで、
太陽熱を反射して海水を凍らせる。
その直下で塩分濃度の高い冷たい海水が沈み込み深層循環流が始まる。


北極の溶けていく氷



7、 南極氷床のボーリング調査の示す気候変動
世界の淡水の90.6%は南極の氷床、9%はグリーンランド氷床であり、
この中に地球の気候変動の歴史を示すデータが埋もれている。
これを分析すると過去の温暖化は急激(50年ぐらい)であったことが分かる。
また温暖化とCO2増加は相関あるが、地球の歴史として気温とCO2濃度の推移をみると
時間的には数百年単位のずれも観測され、単純なメカニズムではない。
 南極は25%が3000mの高原であり、この斜面を下降風が吹き、
自己冷却作用を維持しており安定した極低温の気候である。
近年の温暖化はまだ南極には表れていない。
(南極の氷床が解けると海面は67メートル上がる)

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8、 質議
・磁極はなぜ地軸と違い、動いたりするのか? 
よくわかっていないが、地磁気が地軸と関連性を持つものの
不安定な構造なのではないかと思う。 
近くに行くとコンパスの精度は悪くなる。
北極に行きたいときは南極の方向を見て、その反対に行くことで方向の精度を高めた。
・地球が全面結氷することはありますか?  
大きな大陸(ウイルソン大陸やゴンドワナ大陸)がかつてあり、
そこから氷床が発達してアイスボールになると思われる。
大陸は離合繰り返しているので、いつか大きな大陸ができて、
アイスボールになるかもしれないが、今の地形ではならないと思う。
 以上の内容で、最近の気候温暖化議論も、
科学としては、単純なCO2温暖化比例計算ではなく、
時間空間を隔てた循環メカニズムをとらえ評価するとのお話であった。

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2011年05月05日

11.04.28CDMについて 〜カーボンオフセットを中心に〜

EVFセミナー(4/28)概要報告
演題:CDMについて 〜カーボンオフセットを中心に〜
講師:(株)サティスファクトリーインターナショナル 
取締役 羽山和行氏
1) 概要
京都議定書第1約束期間の終わる2012年末を控えた最新の
CDMの現状を、実際にCDM事業に参画している会社の目から
語っていただいた。
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1)CDM事業の事例紹介
 *ブラジルの小水力発電
 日本郵便事業会社(JP)のカーボンオフセット年賀状の排出
権プロジェクトにEVFと連携した事例を紹介した。
 *ケニヤのかまどプロジェクト
 ケニヤの炊事用かまどの設置による森林資源消費量の節減事例  
 *メキシコの電球型蛍光灯(CFL)プロジェクト
 メキシコにおける電力消費節減を目的とした3千万個のCFL
無料配布事例
 *カンボジアのバイオガスダイジェスタープロジェクト
 畜産糞尿からメタンガスを回収するダイジェスターの建設事例
2) CDM方法論および承認ステップ
 国連に承認され登録されるまでの概要説明があった。申請から
登録までの日数が2004年からの数年は70日台であったものが
2010年には300日を超えてしまい、時間がかかるのが問題だ。
3) CDM登録件数
 近年は毎月50〜100件が登録され、今年4/22現在の累計
は3017件となっている。ホスト国別では中国が44%、インド
が21%をこえ、突出している。投資国別ではイギリス、スイスに
次いで日本は3番目である。 
4) CDM事業収支
バイオガスダイジェスターを例に収支計算の事例紹介があった。


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5) 質疑応答
 非常に熱心で活発な討議が40分間にわたって行なわれた
 *プロジェクトの掘り起こし方は?
 現地のエネルギー改善、農村開発などを行っているNGOなどの
活動をインターネットで見つけてアプローチしていくのが良い。
現地生活方法を大きく変える活動はかえって長続きしない。
*震災の環境への影響は?
原発が稼働しない分を火力でカバーしていくと、CO2では悪化
する。環境省もCOP準備会で日本のCO2削減悪化を言っている。
*バイオガスダイジェスタープロジェクトの詳細は?
申請にあたって、気温、大きさなどの具体的な数字は前例に
倣って代表的なものを使うことが可能。申請はこれから行う。
登録前の初期費用は会社のリスクとして考える一方、会社の
活動PRとしてとらえることもできる。
*上記プロジェクトとEVFとの連携可能性は?
今後情報を交換して、連携の可能性を検討して行くこととした。
           以上
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2011年03月13日

2011.総会記念講演

6.EVF第4回年次総会記念講演会(2/25)の概要報告    
演題 :「岡目で見た地球環境問題」
講師 :林良造様 東京大学公共政策大学院教授、EVF顧問
概要 :
1)環境問題の推移と今後の見通し
最初に講師より大臣官房長時代のCOP6への係わり、東京大学公共政策大学院での
「エネルギーと環境」の講座開設、キャノングローバル研究所での
「地球環境の排出量削減のケースに応じた国民負担」の論議などで
環境問題に携わって来たことがエピソードとともに紹介された。
環境問題には中味そのものに係わるより周辺で係わってきた面が多いため演題を
「岡目で見た地球環境問題」としたとの披露があった。
その後、環境問題の推移と今後の見通しについて以下のような
見解が述べられた。


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コペンハーゲンで開かれたCOP15では「コペンハーゲン合意」が
取りまとめられたが南米のいくつかの国から反対があり正式決定には至らず
「留意」と言う形に留まってしまった。
このためカンクンで開催されたCOP16への期待水準は低いものとなったが、
結果的にはCOP16では「出来ることは何なのか」「途上国を支援する」
と言う点で地に足が着いた合意が形成された。
今年のダボス会議では環境問題がでて来ず急速に熱が冷めており、
実態的にはカンクン合意が成果を生み出せる唯一の合意となっている。
今後の環境問題は、アメリカが提供する国際公共財を中国が尊重しない中で
アメリカと中国が合意できるか、新しいルールと基本枠組みを形成出来るかが
決め手になろう。国際的安定のために中国が応分の負担をするかがポイントになる。
石油価格の高騰は環境問題への取り組み促進の作用があり、
石油の純輸入国になった中国も経済成長とCO2排出削減の両立が前提となれば
話に乗ってくるだろう。石油価格がどう推移してゆくかが今後のポイントとなる。
中国13億人の参入はすべての分野で桁違いの変化を与える。
日本では2012年で1990年比6%のCO2削減目標が達成できそうだが、
リーマンショックによる不況や政府の財政支出などによるところが大きい。
現在の雇用不安や経済の停滞、円高による日本企業の海外シフトなどを考えると
今後に対しては危うい面がある。
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2)日本の経済政策決定プロセスの課題
現在の財政赤字の中では合理的な政策決定が出来ないと改善の方向に進まない。
国の最高執政官たる首相は国民の負託を受けてリーダーシップをもって政策を執行し、
その結果に対して国民がそのリーダーを評価するという循環が必要だ。
しかし、国民がリーダーとの距離を近くしたがっている世界の流れに対し、
日本では国民の選択無しにリーダーが次々と変わっていくところが第1の問題である。
大臣と行政の間にある個別のIssueに対し担当省庁で縦割りの司司で合意が必要なのが
第2の問題である。また閣議で合意しないと前に進まないのが第3の問題である。
日本では関係者が多く縛りが強いカルチャーがあり、なるべく現状を変えないように
しようという力も働く。これらの問題が日本の改革を遅らせている。
全体を考えて定量的に分析・計算し、どういうリスクがあるか、どういう期待値があるか、
どういう対応方法があるかを考えてプライオリティを決めてゆく仕組みが必要。
担当省庁の司を超えて最適の対応をしようとする仕組みが日本では定着していない。


3)質疑応答
講演のあと9名の参加者から、現在の政治家の質の問題、TPPの問題、財政赤字の問題、
日本国債の格付け低下の問題、その他にも種々の問題提起があり侃々諤々の
意見交換があった。1時間に及ぶ熱心な論議はまさしくセミナーに相応しい雰囲気であった。
一例として地方の市会議員から「借金が右肩上がりで預金残高が少ない市の財政状況の中で、
いかに借金を減らし預金を増やすかと言う努力をしている。

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しかし、どんどんお金を使って経済を発展させる方が財政建て直しには効果がある
との意見もあるがどちらの道を選ぶべきか」との問いかけがあった。
これに対し講師からは本当に大きな見返りがあるアイテムには積極的に投資すべきだが、
そのようなアイテムは少ない。
何を切って何を残すかの選択と、投資と回収といった企業会計的観点に立っての
対処しかないとの見解が示された。




講師の林先生のご厚意により、講演資料を添付いたします。
岡目で見た地球環境問題.pdf
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2011年01月31日

EVFセミナー(1/27)「地球温暖化問題の今−ポスト京都議定書に向けて


5.EVFセミナー(1/27)の概要報告    (岡 昂)
演題: 「地球温暖化問題の今−ポスト京都議定書に向けて−」
講師: 澤 昭裕 様 21世紀政策研究所  研究主幹
 前東京大学先端科学技術研究センター教授、
前経済産業省産業技術環境局環境政策課長
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概要
  今回は気候変動枠組み条約の交渉の流れと国際交渉とは何か、
そして日本の25%削減のインパクトについて
政策立案の当事者であった澤 様から解説していただきました。
とても90分という短い時間では語りつくせない内容で、
関心のある方は当日使用された資料をEVFのホームページに掲載します
のでじっくりご覧ください。

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(1) 京都議定書と不利益をこうむった日本
日本は当初主張の2.5%ではなく結果として6%を飲まされ、
EUの交渉にしてやられた京都議定書の解説と経緯で国際交渉の
難しさを説明された。
忘れてならないのは京都議定書は厳しいペナルティー
(未達成の場合は1.3倍の次期繰り越し)付の条約ということである。
ただし、日本の京都議定書の目標はリーマンショックのお蔭で
結果的に達成できた。
(2) 国際交渉難航の本質的原因
国際交渉は2週間の会期の中の最後の3日間で決まる。
また交渉ではサプライズを出すことが必要である。
マラケシュのCOP7で法的拘束力が決まるがという中で
日本は国際的孤立を懸念しつつそれを蹴るという判断をしたが
それでよかった。交渉とはお互いに瀬踏みしつつ歩み寄る
ということがわからないとダメだ。
(3) コペンハーゲン合意からカンクン合意への流れ
中国の排出量の伸びを抑えよう、それを前提に日本は米国と組んで
ポスト京都議定書をまとめたいが、
EUは排出権取引に影響の大きい全員参加のゆるい内容には
したくないという立場である。
日本は京都議定書の継続ではなく、環境問題は開発途上国への
資金移転の問題と理解し、それ以外の枠組みを作るよう
もっていくことにしたい。
COP15のコペンハーゲン合意とは、自主的な削減(法的枠組みはない)、
ボトムアップアプローチ(トップダウンアプローチは交渉がまとまらないので、
やらないよりやったほうがまし)がポイントで、
COP16のカンクン合意とは、要は中国の扱いの問題だが、
EUは環境問題のリーダーという自負があるので京都議定書を延長という立場に対し、
日本はこれに反対で京都議定書の第二約束期間の目標設定はしないという主張であった。
カンクン合意はコペンハーゲン合意と基本的内容は同じだが半歩、
具体化したという面もあるということか

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(4) 日本の1990年比25%削減のインパクト
25%削減とは家計部門は50%の削減を意味していることを
理解されているだろうか。また、これにより国内に新産業が生まれると
いわれるが、それも国富の海外流出でしかない。
国民負担がどれほどもものになるかの情報開示が議論の前提である。

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(5) 国際環境経済研究所(IEEI)へ紹介
最後に国際環境経済研究所(IEEI)の紹介と産業界における
環境問題に対する取り組み情報の寄稿を募集されるそうですので
ieei.info@gmail.com
にお問い合わせください。

質疑の中では国際交渉力とは経済交渉はお金の問題だが、
環境問題は価値観が異なる国際世論の醸成という、
より高度な交渉力が必要とされる。
国際交渉とはパワー、スキル、大義名分の3本が揃わないと
リードできない。安全保障問題に関する国際交渉がもっとも
高度な交渉であろうということが印象に残りました。


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そしていつもの懇親会で活発な討論が続けられ
有意義なセミナーでした。

講師ご厚意により講演資料を掲載いたします。

地球温暖化問題の今.pdf
19901990年比▲25%削減義務問題.pdf
コペンハーゲン合意からカンクン合意へ.pdf
再生可能E買い取り.pdf
19901990年比▲25%経済.pdf
国際環境経済研究所(IEEI)へ.pdf
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2010年12月30日

12月16日 省エネ農業の現状と課題

EVFセミナーの概要報告(12 / 16)

演題 :「省エネ農業の現状と課題」
講師 :丸山清明様 前独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構理事
     前中央農業総合研究センター所長、東京農業大学客員教授
概要
(1) 人類と農業・穀物生産のかかわり
人類は800万年程前にアフリカで類人猿から分化して発生して以来、
食料の確保の技術と生産力の制約により人口の動態が決められてきた。
氷河期の来襲で食糧難が深刻になったが、人間の大脳の能力は爆発的に開花し、
知識の集積とともに狩猟の技術が進歩した。1万年位前に氷河期が終了すると
人類は牧畜と農耕を始めるようになった。
生物の原理として動物は食料があるだけ増える。
食糧確保の技術の進歩とともに、嘗て石器を狩猟道具としていた
時代には15万人であった世界の人口が、農耕を始めた頃には500万人に増え、
産業革命が始まる200年前には5億人となり、科学技術と工業が発展した
この150年で68億人まで増加した。最近の統計では1961年には
世界の人口は300億人であったものが2007年には68億人にまで増加した。
単位あたりの穀物の生産性も2.5倍に増加しており食料の生産と
人口増加が符合する。

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(2) 科学技術と農業
20世紀の農業の発展は化学と工業に支えられてきた。
ハーバーボッシュ法の考案により、空気中の窒素から硝酸アンモニュームを
合成できるようになると、肥料の生産は飛躍的に拡大した、
メンデルの遺伝法則の発見は品種改良を促進し機械技術は農業生産動力を
人や馬から機械に変え、ポンプやダム用水路の建設技術は大量の水の確保を
可能とし農業生産力を飛躍的に押し上げた。
だが、一方で自然環境、生態系には大きな影響を与え、
食物の安全性も危惧されるようになった。これまで、増加してきた食料の
生産収量の伸びも陰りが見える。
果たしてこのまま持続的な食糧生産増加が可能なのか疑問が生じている。

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(3) エネルギー多消費のこれまでの農業
農業は世界全体で見ると石油の消費量の約2%、日本では6%を消費している。
とりわけ、トラックターやハウス栽培に多くのエネルギーが使われ、
今の農業はエネルギーの投入によって支えられているといってよい。
機械化やハウス栽培は人々を重労働から解放し、
1年中色々な作物を食べることを可能にしたが、
その影で、多くのエネルギー化石燃料が湯水のごとく使われているのである。
(4)  今後の農業のあり方、情報技術を利用して環境との共生を目指す
窒素肥料の生産には世界の石油消費量の1%という大量の化石燃料が
消費されている。今後は省エネ型の農業、環境にやさしい農業を確立
することが課題だ。何より重要なのは肥料の節約だ。
研究は着実に進んでいる。植物がある細菌を介して、窒素を固定する
性質が発見され、遺伝子組み換えにより窒素固定細菌の遺伝子を
作物に導入する研究も進められている。
また、農業研究機構では局所施肥法を開発して
肥料の節約を進める工夫も進めている。
情報技術を農業の生産に応用し必要なときに必要なだけの
資材を使う技術もエネルギーの節約に資する。
コンピューター制御の百葉箱とでもいうべき、フィールドサーバー
という機械も開発され、田畑の多面的情報を農業作業や肥料、除虫約の
投入の時期の測定に貢献している。
こうした研究の積み重ねで省エネ農業を達成することが重要だ。
最後に、今後の農業ありかたとしてバイオマスの三原則という考え方を
提唱したい。「なるべく運ばない」「なるべく返還しない」「使いつくす」
ということである。これにより、環境と調和した農業を実現することが
今後の農業の持続性に何より必要と考えるのである。

質疑
<問い>農業と環境との共存のあり方は如何に?
<答え>なるべく多種の生物と共存できる農業が必要。
 そうでないと持続的でない
<問い>不耕起農法が注目されているが収穫量は?
<答え>結論的には少し下がるが9割程度だろう。
<問い>緑健農法の有効性は?
<答え>肥料も押さえられるし、例えばトマトを原産地に似た
 乾いた土地で栽培すると糖分が上がり美味しく出来る。
 経営の選択の問題である。

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 丸山先生は、国産食材を提供する(緑ちょうちん)運動の創始者です。
セミナー後には、参加された皆さんの多くと広尾の緑ちょうちんで
活発な討論が続けられました。


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2010年11月30日

2010.11.25 ギガワット時代の太陽光発電 現状と課題

演題「ギガワット時代の太陽光発電 現状と課題」
講師:昭和シェル石油潟\ーラー事業部担当副部長
  兼 ソーラーフロンティア且キ行役員技術戦略企画部長  櫛屋 勝巳 様 

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講演概要:
(1)太陽光発電技術の歴史と現状、太陽光発電を取り巻く状況
・1972,1980年のオイルショックを契機に世界で太陽光発電のR&Dが始まった。
・電池開発の流れ(材料から見た):シリコン(結晶系/薄膜系) →
化合物(薄膜第1世代(InGaAs系/多結晶薄膜(CdTe)→
 薄膜第2世代(CIS)→ 有機物(色素増感/有機薄膜)


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・現状では、CdTeまでが成熟技術であり、CIS、有機物は開発の最前線にある。
・ 日本では、サンシャイン計画以来、一貫してNEDOを中心とした
 オールジャパン+産学連携で成果を上げてきている。
(2)太陽光電池の分類と、世界の電池メーカーの技術および今後の方向
・世界の太陽光電池製造会社の生産量レベルは、
 2010〜13年時点でほぼ1〜1.5GW/年。
@ 結晶系Si:ドイツ(Q-Cells社)、中国(Suntech社)、
         日本(京セラ)、米国(SunPower)
A 薄膜Si:日本(シャープ、カネカ)
B CdTe:米国(First Solar社)
C CIS系:日本(ソーラーフロンティア社)


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・製造原価は、現状=100円/W、2017年目標=70円/W。
発電単価は、世界の共通目標として一般家庭電力代金並の
23円/kWh(2013年までに達成見込み)
・太陽光電池の市場:ドイツでは、Feed- in Tariff制度
(電気料金の固定価格での長期間の買取)導入で、
市場が一気に広がり、世界中の太陽光電池がドイツに流入。
市場開拓には、技術開発(コストダウン、寿命、
エネルギー転換効率向上および環境問題クリアー)が必須であるが、
企業努力に加えるに、Feed- in Tariff、補助金、グリーン電力証書、
RPS制度、税金優遇策等々の制度的補完も重要である。
中国の場合は、強力な国家補助の下に、最先端技術でなくても
原材料を押さえ人海戦術でコストダウンを図っている。

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(3)[環境の時代]の太陽電池、[環境の時代]に必要な発想(リサイクル)
・技術開発課題以外に電池の将来は、電池主要材料である
レアーメタルの確保、材料中の有害物(Cd等)のリサイクル等々、
世界が直面する課題を如何に解決するかが大きな課題であり、
環境の時代の電池に要請されるのは、省資源(→薄膜化)と
使用材料の安全性(→世界的な安全規格に合格すること)である。


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さいごに:
本日の講演では、膨大なデータベースを基にして、
講師が情熱を持って太陽光発電技術の歴史、現状、展望を語られた。
太陽光電池の世界は、要素技術、要素材料のシステム的インテグレートが
ベースであり、世界の政治・経済の影響下でトップクラスの企業が、
それぞれの技術とビジネスモデルを持って市場獲得競争にデッドヒートを
演じており、生き残るためにしのぎを削っているという、まことにシビアーな
世界であることを教えられた講演であった。
講演後の懇親会では、櫛屋講師には最後までお付き合いいただき、
太陽光電池をめぐるホットな話が尽きることがなかった。

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2010年11月20日

10.28 通信を介したスマートグリッド&スマートハウスと電気自動車との関係

演題『通信を介したスマートグリッド&スマートハウスと電気自動車との関係』
講師 日産自動車株式会社 ビークルインフォーメーションテクノロジー事業本部
   プログラム・ダイレクター  野辺 継男 様

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*今、車にコンピューティング化、ITの発想が必要とされている。
*エネルギー、環境問題から再生可能なクリーンエネルギーの
必要性が叫ばれており、末端の電力のネットワークに課題がある。
ネットワークされた車が、どういう役割になるかにも言及する。
1) インターネット環境の変遷                      
1995:ウインドウズ95で一般化(94にマイクロソフトがEXPLOREを開始)
    しかし、音声通信で通信速度遅く、更に従量課金で料金高く、使いづらかった。
 2010:ケイタイもPCと同じ環境に。ケイタイ=ワイヤレス化―>カーナビの世界へ。
*カーナビは、日本でのみ普及。(普及率:70%)            
*欧米ではカーナビではなくPND(ポータブルナビ)が普及しており、
米国では既に飽和状態でさえある。


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2)ハイブリッドカーの種類                       
◇シリーズ型:1902年にポルシェが開始した型。
 充電できるプラグインハイブリッド型もこの一種で、米国はこちらを目指す。
3)エネルギー問題から再生可能エネルギーが要請される。
*オバマ政権は、30%のアラブと10%のベネズエラからの輸入をストップする方針。
*バレル$200を超えたら、国家安全保障上の問題と位置付けている。
*中国政府も、CO2排出の抑制を覚悟。自動車の電気化の必要性。
*米国は、2025年までに、再生可能エネルギー25%にする
*中国は、再生可能エネルギー15%にする(中国も「積極的に」に変換)

4)スマートグリッドの必要性
*最近のソーラー発電により、電力の逆流現象が起きており問題化。
*家庭内発電で電圧は上がるが、EVへのチャージ(1台で家2軒分)で逆流を防止。
*EVを使って各家庭に蓄電する考え方を日産が提案しており、注目されている。                           
*米国では、EVの蓄電池利用により、送電網の信頼性向上が期待出来る。
5)ネットワークされた車の役割
*プローブシステムにより、リアルタイムに車から得られる情報を利用する。
:ライブの交通情報、スリップ情報、危険情報、充電スポット情報などを表示。         


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EV TAXI on DEMAND(運転手付きカーシェアリング)
流しによる無駄な走行を避け、稼働率を向上させる。
*Smart Energy:一般車は、9割停車。
EVを蓄電池として利用する事により、発電所のPEAK SHIFTが可能となる。
*日産は、Smart EnergyとSmart Mobilityをあわせ、
Community 横浜で、実証実験の予定。<YSCP+YMPZ>

6)BRICSでのWireless通信 
*通信インフラ揃っていない地域には、Wirelessの方が、急成長可能。
*Wirelessが前提なら、BRICSに入りうる。
*新しい道路の情報も、プローブデータがあれば、Real Timeに把握可能。

7)クルマ産業とICT産業が、統合化(まとめ)          
◎海外におけるEVとSmart Gridの統合は、千載一隅の機会を提供する。
迫られるVehicle TechとEnergy TechとInformation Technologyの融合。
日本産業の代表格である“クルマ”と“ICT”の融合は、
今後の日本の国際競争力のアップに対して絶好の機会。





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〔質疑〕
Q:このような動きは、業界全体で動くべきでは?
A;賛成、その方向で動いている。インフラは同一、サービスは各社独自がベストでは。
Q:費用の回収はどのように考えているのか?
A:通信費は安く、問題は無いのでは。車載側設備は、カーナビの一部としている。
〔三嶋コメント〕
発表の範囲が広く、専門性も高かったので、いつものような厳しい質問は
無かった。しかし、クルマのIT化、又はクルマとITの融合(テレマティクス)と、
CO2削減の関係を分かりやすく解説して下さり、大変興味深い内容であった。


講師ご厚意により 資料の一部を掲載いたします

[Japanese]スマートグリッドの目指す社会のイメージ_画像データ.pdf
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2010年10月04日

2010.09.02環境分野と官民連携の新しい方向

EVFセミナ 9月2日
演題 環境分野と官民連携の新しい方向
講師 独立行政法人 国際協力機構
   大島賢三副理事長

ODAの新しいあり方について、JICA 大島副理事長に講演願った。

基調は下記のとおり。
時代の変遷とともにODAのあり方も変わらなければならず、これまで以上に民間ビジネスとのパートナーシップを強化し、途上国における民間企業活動の環境を整備し、支援する。これにより途上国、民間企業、ODA三者間のWin−Win−Winの関係をつくりあげる。


大島講師



 
具体的には民間連携促進のため下記ツールを実施していく。
@ PPPインフラ事業における協力準備調査
途上国における開発効果や公益性が高い事業について、民間からの提案を公募し、円借款供与の候補となるPPPインフラ事業に必要な調査のプロポーザルを受ける。
プロポーザルにより事業の実現と、円借款供与に向け事業計画のフィジビリティスタディを行う。
支援規模  一件当たり上限 1.5億円。
A BOPビジネスにおける協力準備調査
 貧困層をターゲットとし社会課題(貧困、保健衛生など)改善に資するビジネスを支援する。
  提案者=調査実施者=BOPビジネスの主体者でなければならないとしており、調査範囲は@情報収集・市場調査 Aビジネスモデル構築 Bビジネスプラン策定 を対象としている。  
支援規模 一件当たり 5千万円まで。
B 海外投融資
平成22年6月閣議決定された新成長戦略を受けて、制度設計中である。
途上国で事業展開を図る民間セクターへの投資、融資を通じ途上国の開発課題を解決
する。
* この新制度は、先述したPPP支援、BOP支援で調査、立案された事業に対し資金的裏づけを図るものと期待できるのではないか。
C 草の根技術協力事業
  JICAがNGO、公益法人、地方自治体などを通し開発途上地域の住民が直接の受益者となる事業を支援する。
  支援規模 パートナー型 総額1億円以下(5年以内)
       支援型    2500万円以下(3年以内)
       地域提案型  3000万円以下(3年以内)
D シニア海外ボランティア
開発途上国の経済、社会の進展、復興等、国際協力を志す方々をボランティアへの参加を通じてサポートする。
2008年現在、環境分野でシニアボランティアは101名に達する。
資格:満40歳から69歳まで。

質疑応答では活発な意見が出され、格調高い議論となった。

ODA大島講師質問





ODA予算の削減を考えると厳しい状況であるが、日本の新しい方向を見つけるためにもこの制度を活用したい。
海外では日本の企業、ひいては日本の国に対する信頼度が高い。
中国などコストの安さにあおられ厳しい状況は続くがこの高い信頼を時にはよい意味での悪知恵を絞って、国益を確保する制度としたい。
また、ODAでは現地での雇用はあまり生まれない。やはり民間企業の現地進出のほうが大きく、長く続くものと考える。

以上

posted by EVF セミナー at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー紹介

2010年07月01日

EVFセミナー(6/24)内容報告(津田俊夫)



演題:エネルギー産業界における高経年化プラントの安全・安心
―リスクベース設備管理―
講師:日揮株式会社 技術開発本部副本部長 工学博士 山本勝美氏

今回は日本の代表的なエンジニアリングコントラクターで
活動されてきた山本勝美氏に講演していただいた。
金属材料の国内権威でもある同氏は、
化学プラントの事故に多くの見識を持たれており、
ガルフにおけるBPの深井戸プラットホーム事故についても
説明があった。

RBI聴講
講演は、自給や温暖化防止のために変わらなければならない
日本のエネルギー事情を背景に、世界的な石油製品の
需給事情の変化の中での、我が国の石油化学プラントの
老齢化を指摘された。
近年に多いプラント事故については、人的原因が主だが、
プラントの老齢化(劣化とまではいわない)も大きく影響
しているだろうという。
プラントの安全・安心のために講師らは、
RBI(Risk Based Inspection)を紹介普及させようとしている。


RBI 講義
「Riskを負としてとらえず、チャレンジととらえる。
過去事例を把握するデータベースをもとに、
オーナーがacceptable-riskを明確化することにより、
力(asset)を入れるべきところも見えてくる。
公的規格や規定による検査は、やや違った目的のために
作られているので、RBIとは目指すところが違う。」
このほか事故例が写真などで説明されたが、原因の多くが
腐食であり、「腐食防食」は産業を支える基盤技術の重要要素で、
更なる技術開発・確立が必要であることも強調された。
講演後のディスカッションの中では、日本ではリスクは
怖くて避けるべきものととられてきたが、
Enterprise Risk Managementのように積極的に取り組む
動きもある、とか地震被害のあった柏崎原発では
安全は確かめられたが、安心については大きな負債を
背負い込んだという安全と安心のどちらに重点を置くか
という話題があった。
講師の分かりやすい説明で、化学プラント業界には縁の薄い
参加者も新しい知識を持つことが出来て有意義な会となった。

その後の懇親会でも、講師を囲んで和やかに話が弾んでいた。
RBI懇親会場1

RBI 山本講師と

RBI懇親会場2
posted by EVF セミナー at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー紹介