2017年03月23日

EVFセミナー報告:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

[演題]:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために


日時:2017年3月23日(木) 15:30-17:30
場所:新現役ネットA 会議室
講師:WWF ジャパン山岸 尚之様

略歴:1997年に立命館大学国際関係学部入学。2001年3月に同大学を卒業。
同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連会議での情報収集ロビー活動などを担当。
2011年より気候変動・エネルギーグループ長

演題:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

要約:今回のパリ協定成立までの地球温暖化防止に係わる条約類の歴史を振り返り、パリ協定が示した方向性と特長の解説があった。その後現状についての認識、CO2削減に向 けた世界の潮流の紹介・解説が行われ、日本がやるべきことの提案があった。さらに 2050 年に化石燃料を使わず日本のエネルギーがすべて再生可能
エネルギーに よって供給されていることを前提とした長期シナリオについてのWWF 提案が紹介され、「自分・自社の身の回りでCO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”を通じての社会の変革」などへの各人の取り組みが促された。
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講演概要:
1. パリ協定が 示した方向性
1992年にリオデジャネイロサミットで交わされた「国際気候変動枠組み条約」から
今回の「パリ協定」に至るまでの数々の国際条約の歴史について、最初におさらいの
説明があった。国際社会が CO2 削減をしない場合は産業革命前と比較して 2100 年
には 4℃、頑張って削減すれば1.5〜2℃の気温上昇にとどまる予想であり、このため
には今世紀後半に化石燃料を使わず CO2 排出量をゼロにする必要がある。 京都議定
書では先進国のみにCO2削減目標が課せられたが、今回のパリ協定ではほぼ全ての国
が削減目標を持ったところに大きな意味がある。 気温上昇1.5〜2℃に抑えるために、
5 年ごとに進捗状況をチェックし PDCA サイクルを回して前回より良い目標値を
設定して行くと言う枠組みとなった。これにより新たな協定書を作る必要がなくなった。

2. 現状についての認識
これまで経済の発展には大量のエネルギー消費が伴ってきた。世界の CO2 排出量に
対して中国 25%、アメリカ 15%が大きな割合を占めている。日本は 3%でありこれ
以上の削減は難しいと言われてきた。しかし人口一人当たりのCO2 排出量で見ると
アメリカは20 トン、 韓国 14 トン、日本 11 トン、中国 8 トン、世界平均では
7 トンと、日本はまだ努力代が残 っている。

3 .世界の潮流
WWFおよびCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による
共同イニシアチブが、世界の平均気温の上昇を「2℃未満」に抑えるために企業に
対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めている。これに応えて
世界で220の企業が参加し、日本からも22企業が参加している。また、再生可能エネ
ルギー100%を宣言する企業も数多く出てきており、それぞれ達成目標年を定めている。
さらに投資や金融の面では化石燃料を使用するプロジェクトから資本を引き揚げると
いった動きも出てきており、種々の分野でCO2 削減への努力が始まっている。

4 .日本がやるべきこと
日本の温室効果ガス排出量は1990 年から見ても徐々に増えており、2013 年がピー
クになっている。日本では 2030年までに2013 年比で 26%削減、2050 年までに
80%削減の目標を掲げている。しかし、今後石炭火力発電所建設の計画が多くあり、
40年稼働するとすれば脱化石燃料の時代に入ってしまい矛盾がある。 これまでの
社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきた。 これに対し
て資源の再利用・循環利用を行い、一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネル
ギー消費を減らしていくデカップリングの考え方が出てきており、日本でも取り
入れていかなければならない。これらを含めた長期戦略の議論を進めなければなら
ない。 アメリカはじめ主要国はすでに国連に長期戦略を提出しているが、日本、
イタリアなどは未提出のままになっている。 WWF では 2050 年に日本のエネル
ギーがすべて再生可能エネルギーによって供給されていることを前提とした長期
シナリオを提案している。これによれば 2015 年に投資をした場合、2030 年には
初期投資を回収し終わり、2050年には大幅に黒字化する見通しとなっている。
私たちは「自分・自社の身の回りでの CO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”
を通じての社会の変革」を図って行かなければならない。Semi20170323R1.jpg

5. 質疑応答
講演終了後、聴講者から原発の必要性、日本の地の利を生かした自然エネルギーの活用、
カーボンニュートラルの考え方への疑問、液体バイオ燃料の輸送部門へのさらなる
活用、他、数多くの意見や質問が出され、活発な論議が交わされた。(写真 DSCN5426)
以上

以上 文責:小栗武治

講演資料:「パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために」

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2017年02月16日

EVFセミナー報告:日本海の謎

[演題]:日本海の謎  〜その深層で起こっていること〜

日時:平成29年2月16日(木)
場所:国際協力機構 市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)2階会議室
講師:東京大学大気海洋研究所 教授 理学博士 蒲生 俊敬 様

講演要旨
EVF第10回通常総会記念講演として、地球温暖化の影響が、すでに深海に及んでいるのか、私どもに馴染みの薄い基礎研究の成果からひも解いていただいた。
日本海の自然環境は、地形的な閉鎖性がとりわけ強く、また、冬季の季節風の存在があり、対馬暖流の流入という地理的特徴もある。この閉鎖性ゆえに、日本海は、独自の海水循環系を有している。
海水の循環スケールでは、全海洋で2000年かかるところが、約100年〜200年と速い。
表層の生物生産量が多く、下層への有機物輸送が活発であり、地球環境変化に敏感に反応している。先生自ら海水採取、分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
日本海での研究成果は世界に先駆けて警告を発することができるとの示唆に富む高話をお聞きした。

講演概要
1)日本海に関する基礎的事項(日本海の形成・地理的特徴・歴史的役割)
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日本海は約2000万年前から1500万年前にかけて拡大し、日本列島となる部分が、大陸から離れ、約500万年前は、ほぼ現在の姿に近い日本列島は形成された。
日本海は、いくつかの海峡で外海とつながってはいるが、海峡部分はごく浅い。最深部分で約3800mもある日本海の水のほとんどは、外洋との出入りができない。
冬季の季節風が、表面の海水を極限まで冷やして「重い水」をつくり、それが海底まで沈んでいくことで、熱塩循環が駆動され、表層水と深層水が入れ替わる、大規模に循環する仕組みがある。其れゆえ日本海の底層水に豊富な酸素がある。
また、日本海は、日本列島に温暖かつ湿潤な気候と豊かな水資源が育む美しい自然環境をもたらしている。そのことが、縄文時代以来、日本が独自の文化を発展させる上で大きく寄与した。

2)日本海の海洋観測研究から明らかになった、そのユニークな科学的特徴
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日本海を取り囲む四つの海峡はどれも浅い。そのため、海洋としての閉鎖性が高く、
独立した海水循環のメカニズムを持つ。その狭さと閉鎖性ゆえに一般の海洋よりも敏感に
地球環境の変化に反応する。
近年、日本海にわずかな変化が見え始めた。今はわずかでも、将来危険な変化になりかねない徴候だという。
自ら海水採取し分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
特に注目されるのは、溶存酸素濃度が年とともに減少を続け、過去30年間で約10%も減少したことである。
海洋表層では、酸素は植物プランクトンの光合成によって生産される。しかし光合成の起こらない深層では、酸素は海水の循環によって補強される。一方、海水中には有機物の酸化分解のため、酸素は常に消費されていく。もしこの消費に見合うだけの酸素が補充されないと、収支のバランスが崩れ、酸素濃度は次第に減少する。現在の日本海底層は、まさにこの状況にあるらしい。
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3)急激に変わりつつある地球環境の中で、日本海が今後果たすべき役割について
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日本海は全海洋の0.1%強の容積しかないが、全海洋と類似の熱塩循環系を独自に保有することから、全海洋のミニチュア版として注目されている。
ミニ海洋日本海で起こる現象は、世界の海でも同じように起こる可能性がある。地球全体でこれから起こることを先取りする「炭鉱のカナリア」としての役割が日本海には期待されている。と蒲生氏は結んだ
蒲生氏が持ち前の鋭い切り口と和やかな雰囲気で素晴らしいご講話を進められたおかげで、最先端のアカデミックな話もよく理解できた。
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この海の知られざる姿を解き明かす、
海洋科学ミステリーの本書をぜひご購読を。
以上 文責:立花 賢一

講演資料:「日本海の謎」
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2017年01月26日

EVFセミナー報告:自動運転への期待と課題

[演題]:自動運転への期待と課題・・自動車交通は今後どうなる


日時:平成29年1月26日(木)
場所:国際協力機構市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)会議室
講師:日産自動車(株) R&Dエンジニアリングマネージメント本部 グローバル技術渉外部 技術顧問  
福島 正夫 様

講演要旨
近年、一段と関心が高まっている自動運転技術につき、日産自動車の第一線で開発に携わっておられる講師をお招きし、自動運転技術の現状と課題、将来展望につき講演をいただいた。講演要旨は以下のとおりである。
1) 日産自動車のチャレンジ
”ゼロエミッション“と”死亡事故ゼロ“にチャレンジする。そのために、自動車の”電動化“と”知能化“を推進する
2) 運転支援について
ドライバーがやっている認知、判断、操作の一部をITS技術を用いて機械が補助する。その為に、車が人を守る“Safety Shield Concept”を導入し、通常運転から衝突後まで適切な技術を提供する。具体的にはACC(全車追従走行)、DCA(車間距離維持)、IBA(衝突被害軽減ブレーキ)、ESC(スタビリティコントロール)、LDW/P(車線逸脱防止)、LKS/A(車線維持)、BSW/I(車線変更時後側方車両検知)などがある。
この場合はあくまでもドライバーが主体的に責任を持って運転する
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「日産自動車HP 安全への取り組み」より

3) 自動運転について
ドライバーがやっている認知、判断、操作のうち、ステアリング、アクセル、ブレーキの操作を同時に機械が一部操作するものを言う。
米国SAEではLevel 0〜5の段階が定義されている。Level 0は全く自動運転無し。Level 5は完全無人運転。現在市販されている技術は日産セレナもBenz SクラスもLevel 2相当。
現在は高速道路単一車線の自動走行だが、2018年頃に車線変更も含めた自動化、2020年頃に交差点も含めた自動化を目指す。
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「日産自動車HP 日産が考える自動運転」より

大型トラックの自動運転による隊列走行は2008年にNEDO事業として開発を実施した。ドラーバーの負担低減、燃費の向上のメリットが大きいが、重量が重く制御が難しいなどの課題も大きい。
4) 自動運転実現化の課題
技術面では、人と車のインターフェース、外界を認識するセンサー、認識技術、地図データ収集、道路整備、通信インフラの普及、セキュリティなどがあげられる。
法規・社会面では法規整備、責任の所在の定義、社会のコンセンサス、国際協調などが課題となる。

以上の技術課題説明に加えて、内閣府主催の総合科学技術会議での総理試乗や、伊勢志摩サミット時の各国首脳試乗のいきさつ、軽井沢G7交通大臣会合での試乗エピソードなど、興味深い話題が紹介された。最後に時間が足りなくなるほど活発な質疑応答が交わされて、セミナーを終了した。
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以上 文責:深井吉男

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2016年12月15日

EVFセミナー:「自動式巨大津波減災装置の開発」

[演題]:「自動式巨大津波減災装置の開発」


日時:平成28年12月15日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:防波システム研究所 代表  濱田英外殿

講演要旨
 講師は2011年東日本大震災時の大津波災害から、自動式で経済的な新しい津波対策をと思った。2012年に発表された南海トラフの大震災の新聞記事で、自身の生まれ故郷の高知県黒潮町に日本最大の34mの大津波が到達すると想定されたので、更にその必要性を身にしみて思った。大学での専攻は反応で土木技術とは畑違いであったが、大プラントメーカーに身を置いたまま、2012年には近所の茅ヶ崎海岸、相模川の河原で自分の考えに基づく津波対策模型の実験を開始するという行動力と柔軟性を発揮され始めた。
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 そのアイデアは木造構造体自身の浮力で自動的に動作する可動する「防波扉」、「防波筏」、「防波門」および「津波警報装置」であり、津波来襲時にその力を利用しさらに逆手にとって、高い津波減災効果をより安いコストで実現しようとするものである。かつユニット形式で作製されるので、それらを多重に組み合わせることにより、巨大津波にも適用することを考慮している。完璧に津波の侵入を防ぐことはできないものの、通常は地表面に伏せて設置されていて生活や視界を妨げず、いざという時に作動して、防潮堤として機能し、津波の被害を固定式のコンクリート製防潮堤と比較して、その80%程度の高い津波低減効率で減災しようという新しいコンセプトの紹介があった。
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 現在、その装置が基本的に作動し、想定通りの波高低減効果を発揮することを、東京海洋大学および京都大学の協力の下で、小規模モデルで確認済であり、その実験結果の報告もあった。
 また、広くこの考えを理解してもらうためにも特許取得、国連世界防災会議などでの展示、日本自然災害学会誌などへの発表にも努め、その苦労話もあった。
 講演後の質疑応答でも、「津波メカニズムの理解の難しさ、減災設備の考えの難しさ」「新しい技術を実現するための課題」「スポンサーなど今後の支援体制」などについて熱心な意見・質問が出て、30分が短く感じるものであった。
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個人的な社会への思いとアイデアの実現に向けて、活動を起こした講師の熱意に感銘を受けた。海岸近辺での生活しやすさ、景観維持、建設費用の低減など現行の巨大防潮堤の欠点を補うことが期待できるものであり、うまく開発が進んで広く普及すれば良いなと思える興味の深い講演であった。
以上 文責:岡田康裕

講演資料:「自動式巨大津波減災装置の開発」
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2016年11月24日

EVFセミナー:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり

[演題]:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり


日時:平成28年11月24日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:横浜市文化観光局長 中山 こずゑ 様

講演要旨:

あうたびに、あたらしい。Find Your YOKOHAMA。講師は、日産自動車鰍フブランドマネジメントオフィス部長、ブランドコーディネーションディビジョン副本部長を歴任され、平成23年に横浜市の都市ブランド構築のために横浜市役所に移られたブランドマネジメントの数少ないプロです。ご講演は、民から官への転身で直面した組織文化の断絶から始まり、その中で着々と成果を上げてこられたその悪戦苦闘のご努力と横浜市が抱える文化観光面での課題と将来展望をざっくばらんに伺いました。
「やらされた方は戸惑っただろうが、さすがプロの仕事」「久しぶりに元気の出る明るい話を聞いた」「日本中の都市が横浜のようにブランド向上を図れば見える景色も随分変わるのでますます頑張ってほしい」などなどの聴講者の感想でした。
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講演概要:

1.横浜市を取り巻く状況
・ 横浜市民373万人のうち65歳以上の高齢者人口は2025年には100万人超え。税収構造は総額1兆4,955億円、市民一人当たり40万円と法人市民税の少ないのが特徴。
・ 都市間競争の激化でブランド価値が確立できないところは生き残れない。
2.横浜の成長戦略
・ 2011年文化観光局の発足。市長の方針は「国内外での横浜のプレゼンスを高めるため、文化芸術、そして観光MICEは非常に重要な政策分野と確信」「文化芸術のもたらす心の豊かさを、横浜のレガシーとして遺していきたい」
DSCN5200-2.jpg3.状況分析
・ データが不在、競合相手が不明、目標が不明確、ロゴやキャラが乱立という状況からスタート。マーケティング&ブランディング戦略は、自治体でも応用できると確信。
・ 横浜=中華街がなんと33%。国内魅力度ランクは第5位、住みたい街ランクは4年連続第1位だが。海外の評価はアジアの中で横浜は国内で9位、名前の認知度は96%と高いが、特徴までを認知している人は50%以下。
・ 横浜への期待は「ロマンチックな気持ち」「楽しい気持ちになれる」。
4.戦略的プロモーションの推進
・ まずトーン&マナーの統一から。その為に市内デザイナーの積極的活用、ターミナル駅での集中交通広告展開、露出度強化、祝祭感づくり、
・ その結果2012年から2015年で、広告価値換算で48%アップ。
5.ブランドスローガンの制定
・ 賑わいづくり、経済活性化、人的資源の充実、施策・事業に一貫性と持続性を持たせる。
・ 以上により「市民の誇り」や「都市全体のグレードアップの気運」を生み出す。
6.ブランドを伝えるプロモーション
・ シティーセールス/プロモーションツールにブランド表示、公民連携によるスローガンの掲出、ビジュアル中心のリーフレット、テレビによる国内外のプロモーション、時代の流れを捉えたプロモーションなどの戦略的展開
7.プロモーションの効果
・ 観光集客実人員15%アップ(対前年)、観光消費額9%アップ(対前年)
・ 外国人宿泊客数2011年に比較し2015年に約72万人と248%アップ。
・ その結果としての市内主要ホテルの稼働率も88.1%と伸長。
8.都市ブランド確立に向けた今後の展開
・ クリエイティブチルドレン活動、HAG(ハンドメイド・アニメーショングランプリ)横浜賞設立、スマートイルミネーション横浜活動などのコンテンツタイアップによる新たな魅力と賑わいの創出を目指す。
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以上
以上 文責:岡 昂

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2016年10月27日

EVFセミナー:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜

[演題]:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜


開催日:2016年10月27日(木) 15:30〜17:30
会場 :サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師 :日本塗装機械工業会専務理事 平野 克己 様

講演要旨:

講師は、50年間塗料・塗装の世界で活躍されてきて、なお現在もその第1線に立っておられる。ご講演は、塗装・塗料の技術的背景、その歴史と現状および将来の課題と展望等々大変に広く且つ深いお話を聞かせていただいた。
スマフォ、家屋、自動車等々、我々の身の回りに塗装のないものはない。一方、塗料・塗装は間違いなく環境負荷を有する。その原因は塗料を構成する化学物質にあり、これをうまく制御するのが塗料・塗装業界の課題であり、日本の技術を持ってすれば、塗装による地球環境負荷を低減することは可能であるとのメッセージを頂いた。
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講演概要:

1.塗料・塗装とは
日本での塗料生産量は年間約160万d。塗料原料は、顔料(40万d)、樹脂(40万d)、溶剤(80万d)であり、それぞれが廃水処理(50万d)、CO2とVOC発生(80万d)、塗膜等固体廃棄(30万d)という環境負荷原因を内在している(括弧内は年間の使用量乃至は廃棄量)。粉体塗料は溶剤を使わず環境に優しいが、その仕上げのきれいさでは溶剤塗料に及ばず、使用量は年間3万d程度。
因みに中国での塗料生産量は1700万d、粉体系は100万dとなっている。

塗装とは、材料表面を塗料皮膜で覆うこと。方法としては、ローラー等による直接塗装、スプレー等の間接塗装、電着塗装、浸漬塗装等々。工業製品での塗装方法はスプレー(噴霧)塗装が主流であるが、使用塗料の約50%がVOCとして外気汚染源となる。

日本での塗料工業界の状況は、1.国内生産量:160万トン/年 2.日本企業の海外生産量:200万トン/年(内、中国50%) 3.塗料製造会社:200社 4.従業員:2万名(塗装関連:20万人)5.国内出荷金額:7〜8千億円/年(世界10兆円) 6.販売店数:約5000店
となっており、一方、塗装工業に関しては、前処理10分、塗装10分、乾燥30分を1ユニットとする工業的塗装ラインが、製造業で10、000ライン、塗装業で3、000ラインある。自動車板金塗装業者数としては30、000社。

塗料業界(約200社)と塗装設備業界(約600社)は、ニーズと法律があれば課題解決に向けて一体となって対応できるが、現状では双方の共通課題とならないため共同で事に当たる体制にはなっていない。
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2.塗装の歴史
塗料の歴史は古い。1〜2万年前のアルタミラ洞窟やラスコー洞窟の壁画が鮮やかに現在まで残っている。日本では縄文時代に既に翡翠が顔料(薄い緑)として使われていた(因みに日本鉱物科学会が本年9月、翡翠を日本の石として認定している)。また、1300年前の高松塚古墳壁画がある。
日本での工業的塗装は明治初期の洋式軍艦の製造から始まり、日本特許第1号(明治18年)は「錆止塗料及ビ其塗法」である。

3. 塗装の役割
塗装の役割は美観、素材保護、機能性付加(防錆、断熱、遮熱、抗菌、防水、撥水、帯電防止、等。
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4.塗料・塗装の未来と環境対応
これからの塗料・塗装に要求される課題は、@素材の防蝕・保護、省エネ効果に優れ且つ長持ちする塗料・塗装技術の開発 A塗装が与える環境負荷の低減(CO2、VOC発生量低減、産廃排出量の削減) B塗装段階での省エネルギー)
等であるが、そのためには環境対応とグローバル化に耐えられる総合的技術革新が求められる。

これらのためには塗料・塗装システム工学という分野を形成しつつ、塗料及び塗装設備業界の壁を越えた技術革新を図る必要がある。さらに、中国のPM2.5問題の解決等をも視野に入れた海外との連携が一層重要になる。付言すると、中国では塗料中のVOC含有量を420g/L とし、それ以上の場合は使用料の4%の課税という厳しい規制を本年から課している。また、日本と違って中国では若手と女性の当該分野における活躍が見られることなど、優れた技術を有する日本も安閑としていられない状況にある。

以上
以上 文責:橋本 升

講演資料:「塗料・塗装と環境問題」
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2016年09月29日

EVFセミナー:「水のあと始末から資源化まで」

[演題]:「水のあと始末から資源化まで」〜トイレから見た世界〜


開催日:2016年9月29日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネット事務局会議室
講師 :亀田 泰武 様(NPO 21世紀水倶楽部 理事長 工学博士)、
講師略歴:
 昭和41年東京大学工学部都市工学科卒業、同年  建設省入省
 平成6年 大口径気液二相流に関する研究で博士号取得 
 平成15年 NPO21世紀水倶楽部理事
 平成23年 同理事長、現在に至る
 著書 DVD パソコンで見る「行きたくなる水辺景観」
DSCN5056-2.jpg要旨:講師は長年、水処理および利用の分野で先頭に立ってご活躍されてきた。水の汚れ/生活と下水/病原菌と下水道/活性汚泥法の誕生/下水処理/雨水と汚水/富栄養化/今後の課題などについて、分かり易く、丁寧に、そして我々の生活に則してご講演頂いた。又、活発な質疑応答の中でも、例えば、我が国の現状設備について、自然災害リスクも含め明快にお答え頂き、講師の見識の高さを垣間見る思いであった。
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講演概要:
「水の汚れ」
昭和40年代中頃の多摩川の水の汚れ、同じく隅田川の汚染による花火大会の中止など、当時の水の汚れを思いださせた。更に、セミナー会場の田町駅前の下水道管設置状況が下水道台帳を用いて説明された。

「生活と下水」
*水質悪化の原因は、有害物質/病原性微生物/有機物質/栄養塩類によるものに分類される。
*水の汚れは、有機物である。 
  <有機物と酸素>
  ☐酸素は1㎥に最大10g程度しか溶けない
  ☐水の汚れの指標BODは有機物を分解するのに必要な酸素量
  ☐BOD濃度≒有機物濃度
  ☐1gの酸素燃焼で4キロカロリーのエネルギーを生み出すと考える
  ☐人の1日のBOD量は500g
  ☐人のBOD除去率は97%
  
「病原菌と下水道」
ヨーロッパでは水系伝染病のコレラ、赤痢などの恐怖が下水道整備の推進となった。日本でも、大政奉還により関所が撤廃され、コレラのまん延に繋がったのではないかと言われている。上水道を整備すれば、怖い伝染病を防げるということが分かり、日本では下水道整備が後回しになった。

「活性汚泥法の誕生」
*19世紀後半より環境衛生上のニーズがあったが、本格的な下水処理プラントは活性汚泥法が発明された1914年以降急速に建設された。日本でも1930年に名古屋で運転開始され、覆蓋設置という独自の工夫を行い、当時の研究者の努力が評価されている。この土壌微生物を利用する方法が優れているので、100年後でも世界中で使われている。
*基本プロセスは変わっていないが、最近の進歩を紹介すると、
<窒素やリンなどの除去/微細気泡発生装置による省エネ/プラスチック膜ろ過方式による活性汚泥の分離>
 
「下水処理」
*一家庭/3人程度当たり、標準活性汚泥処理施設の容量は0.4㎥程度。
*下水処理のためのエネルギーは、標準家庭で常時15W程度の消費。
 *汚泥の発生しない下水処理法はない。

「雨水と汚水」
*年間総量では1:1だが、設計最大水量は雨水量が汚水量の100倍にもなる。
*大都市地域では従来は合流式だったが、S45年以降は新設の場合は分流式が採用された。分流式に改造は困難。
*合流式下水道の最近の課題としては、(1)お台場の衛生管理、(2)皇居のお堀水質改善、などがある。
*致死的でないが感染症を起こす水系病原微生物が現在も問題である。下水処理では病原微生物の90〜99%は除去されている。

「富栄養化」
*リンと窒素は、高度処理すれば90%程度の除去は可能。
*東京湾の水質は段々良くなっている。リン濃度は、洗濯機の普及により一時高くなったが(洗剤にリンが入っていた)、その後合成洗剤、無リン洗剤の普及により、改善された。しかし、残された干潟の元気がない。又、水温上昇(過去30年で約5°C上昇)によるお台場などの雨の後のノロウィルスの課題が残る。
*琵琶湖の水質は悪くなっており、原因は不明。
*諏訪湖の水質は良くなっており、ワカサギの魚体が小型化。
*霞ヶ浦の水質は、あまり改善されていない。

◎発生する汚泥は、一人一日4kg程度あり、その1%が固形分であり、有機物なので、潜在エネルギーの価値はある。しかし、汚泥の処理施設の「運転管理」と「最終処分」が一番大変な業務である。

「今後の課題」
(1)災害時トイレの確保、   (2)津波対策、水洗トイレの機能保持が必要、
(3)地域に根ざした水環境形成、(4)下水道資源の活用(例:コンポスト堆肥)、
以上
以上 文責:三嶋 明

講演資料:「水のあと始末から資源化まで」
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2016年08月25日

EVFセミナー:「まだまだ頼りになるエネルギー=石炭」

[演題]まだまだ頼りになるエネルギー=石炭
   −地球温暖化対策に貢献する日本の最新石炭利用技術について−



開催日:2016年8月25日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネット事務局会議室
参加 :27名
講師 :原田 道昭 様(財団法人 石炭エネルギーセンター上席調査役 工学博士)、
講師略歴 :
 早稲田大学大学院理工学研究科資源及金属工学専攻博士課程後期修了
 1978年 第20次南極地域観測隊員(博士課程在学中に休学)
 1983年 早稲田大学理工学研究所奨励研究員
 1984年 (財)石炭技術研究所、 (財)石炭利用総合センター、 (財)石炭エネルギーセンター
 所属機関の統合が進む中、現職に至る。
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要約 :石炭利用分野に長年情熱を注いで来た第一人者にお話し頂いた。石炭の分類を導入に、発電での広汎性や製鉄での不可欠性と価格の安価性・安定性、および近年の環境対策の必要性の高まりに及んだ。次いで、世界の主要関係各国の状況、およびわが国の状況が説明された。更に、主題の「地球温暖化対策に貢献するわが国の石炭利用技術」が詳しく述べられ、最後に今後の石炭利用状況の見通し等が説明された。

講演概要:
 石炭利用について下記の順序で幅広く網羅的にお話し頂いた。

1. 今石炭はどのように使われているか

●石炭は以下の様に分類される。
1)石炭化(炭素の濃縮)の程度: 無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭
2)用途: 原料炭(製鉄)、一般炭(発電燃料、セメント燃料)、無煙炭
3)粘結性: 粘結炭、非粘結炭
●石炭による火力発電は世界各国で広く行われている。
1)褐炭露天掘りと山元発電の例: ドイツ、ポーランド、豪州、等
2)高い日本のクリーンコール技術: J-POWER磯子石炭火力、勿来IGCCプラント
●高炉法による製鉄には石炭(コークス)が不可欠である。
 コークス用には粘結性の高さが必要だが事前の判別は不可能
●石炭の輸入価格は安価で安定している。
 一般炭に比べ、原油は2.6倍、LNGは2.9倍(2015年12月)
●石炭利用における環境対策の必要性が高まっている。
1)熱量当りのCO2排出量: 石炭5:石油4:LNG 3
2)日本の石炭火力の排ガスは、ガスおよび石油火力の排出基準以下

2. 世界の中での石炭

●世界の確認可採埋蔵量(2010年)は8,609億3,800万トンである。
 国別に、米国(27.6%)、ロシア(18.2%)、中国(13.3%)、豪州(8.9%)、インド(7.0%)
●世界の石炭生産量(2014年)は増加傾向に歯止めがかかっている。
 豪州、インドは順調に生産増だが、インドネシアは急成長後2014年に減少に転じた。
 米国は2012年以降大幅減であり、最大生産国の中国も前年比1億トン近い減である。
●世界の石炭消費量(2014年)も増加傾向に歯止めがかかっている。
 米国、EUの落ち込みが激しく、最大消費国の中国も前年比1億トン以上の減である。
 一方インドの消費は大幅に増加し、インドネシア、韓国、ベトナム等も増加傾向である。
●主要各国の状況は以下の如くである。
1)豪州
 重要な輸出国(国内消費は1/4弱)で、日本の要求に合う高品質炭を1億トン以上輸出
 石炭産業の持続的成長・環境対策を重視しているが、インフラ整備に課題がある。
2)インドネシア
 低品位炭が多い。石炭生産は増産から抑制に転じた。一般炭の大輸出国である。
 石油生産の減少に伴い、石炭の高付加価値化や国内供給の義務化の動きが生じている。
3)中国
 世界生産の半分近くを占めるが、2009年に純輸入国に、2011年は世界一の輸入国に近年の経済成長減速で輸入が激減しており、今後の石炭需給動向は不透明である。
4)米国
 消費の9割は電力向けでシェールガス台頭の影響を受け、2015年に一時首位を転落
 政府規制で老朽石炭火力は閉鎖、新規石炭火力建設も困難。石炭火力は40%を割込み
5)インド
 生産量、消費量共に近年急増している。今後も積極的に石炭を利用する方針である。
 日本を抜き世界第二位の石炭輸入国になったが、政府は輸入を抑える方針である。
●世界の石炭輸出/輸入は堅調に増加している。
  主要輸出国: インドネシア、豪州、ロシア、米国、コロンビア、等
  主要輸入国: 中国、インド、日本、韓国、台湾、等

3. わが国における石炭

●日本の石炭生産は供給の0.7%に過ぎず、近年ほぼ100%を海外炭で供給している。
 石炭政策による合理化やエネルギーミックスの多様化が進み海外炭の使用が増加した。
●我が国の一次エネルギー供給構成の変遷
 オイルショック等を踏まえ、石油依存度(最高1973年75%)の低減を推進して来ている。
●震災後の発電構成
 原子力発電停止で電力需給がひっ迫、代替火力発電燃料費は約3.8兆円増加(2013年度)
●産業別石炭消費(2010年度)
 電力:43.3%、鉄鋼:37.6%、窯業土石:5.5%、紙・パルプ3.0%、その他:10.6%
●石炭輸入推移は2007年以降ほぼ同一水準。輸入先は豪州が大半で2位はインドネシア
 豪州:63.4%、インドネシア:18.7%、ロシア:8.0%、カナダ:4.9%
●長期エネルギー需給見通し(目標水準)
1)安全性の確保が大前提
2)温室効果ガス排出量の削減は欧米と比較して遜色ないレベルの削減目標に
3)自給率の向上は現状の6%から震災前(20%)を上回る25%に
4)原子力比率の可能な限りの削減と徹底した省エネ
5)電力コストの現状よりの引き下げ
 2030年発電比率:石油2%、石炭26%、LNG27%、原子力22~20%、再生エネ22~24%
 石炭火力発電は、高効率化を促進し、環境負荷低減と両立しながら有効活用を図る。

4. 地球温暖化対策に貢献するわが国の石炭利用技術

状況分析:
●日本の石炭火力の発電効率は世界最高レベルである。
 中国、インドの石炭火力の発電効率は低い。但し、中国はここ数年高くなって来ている。
●開発目標〜高効率発電・低炭素化
 IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)等で更なる高効率化を目指している。
●石炭火力の国際展開(技術移転による低炭素化の推進)
 今後も石炭火力発電需要の増加中、高効率発電の技術移転やシステム輸出で競争力維持
●世界の石炭火力の導入見通し(2012年→2035年)
 世界需要は約129兆円で、特にアジアでは約79兆円であり需要が拡大する見込みである。
 具体的推進事項:
●石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業(大崎クールジェン)
 酸素吹IGCCの確立と燃料電池との組合せ発電技術を見越した実証。発電端効率55%
●石炭とバイオマスの混焼
 バイオマスのカーボンオフセットを利用した低炭素化だが、採算上の課題が多い。
●インドネシアで進めている低品位炭(褐炭)活用事業
1)UBC(改質褐炭)実証事業(神戸製鋼所): 瀝青炭同等発熱量の改質炭にする
2)JCF(JGC Clean Fuel)事業(日揮): 低品位炭原料の新液体燃料を製造
3)二塔式ガス化炉利用事業(IHI): 褐炭をガス化し、水素、メタン、DME等に転換
●褐炭から水素を製造する事業(川崎重工)
 豪州で水素を製造し、日本等に輸出する。
●CCS(CO2地中貯留技術)への取組
 石炭火力発電等で排出されるCO2を分離回収し、地中帯水層に圧入貯留する技術
 苫小牧でCCS大規模実証試験を実施中。今後技術開発や潜在的CCS適地の選定を実施
 但し、CO2削減シナリオでのCCSの2035年目標(WEO2013)の達成は極めて困難

5. 今後の石炭

●石炭資源(長期契約)価格の推移
 比較的安定に推移していたが、アジアを始めとした世界的石炭需要の増加等で上昇傾向。
 但し、近年は世界的景気後退での供給過多により、ピークは過ぎて下落傾向にある。
●米国の天然ガス生産シェアの予測
 シェールガスのシェアは近年急激に増加し、2035年に49%に達するとの予測も(EIA)
●米国シェールガスの影響
 一時石炭と天然ガスの発電比率は略同じになったが、その後の天然ガス価格増で石炭比率上昇。政府は石炭火力が40%程度維持と予測。むしろ水銀・有害物質規制やオバマ大統領の気候変動対策(Clean Power Plan)の方がシェールガスより影響大かも知れない。
●アジア圏の石炭需要
 日本、韓国、台湾に加え、中国、インドの輸入量が増加し、限られた貿易対象の石炭の獲得競争が生じている。石炭輸入世界一になった中国の動向により石炭価格が変動する。

6. まとめ

 地球温暖化対策に貢献しつつ、将来的にわが国の石炭利用を持続的に発展させて行きたい。

7.その他

 質疑応答の中で、現状の石炭火力発電のCO2排出量は、最高効率でも700g/KWh程度で、英国、米国、カナダ等の要求する450g/KWhにはCCS採用が不可避とのお話があった。
以上 文責:岩崎力

講演資料:「日本の石炭利用技術とJCOALの役割」
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2016年07月28日

EVFセミナー:「地デジの日本方式を最初に採用したブラジルに於けるリオ五輪」

[演題]地デジの日本方式を最初に採用したブラジルに於けるリオ五輪
   −そして、テレビはどこへゆくのか?−

(文責:和田政信)


開催日:2016年7月28日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネットA会議室
講師 :杉本 篤実氏(元NECエグゼクティブ・エキスパート)、
略歴 :室蘭工業大学を卒業、東京オリンピックが開催された1964年にNECに入社。1973~1985年はデジタル映像機器の開発。1990~2001年はハイビジョンの推進とデジタル化の推進。1997~2007年はDiBEG(デジタル放送技術国際共同研究連絡会)の初代議長やコンサルタントなどを務めて日本の地デジ方式の国際普及に取り組み、南米ブラジルをはじめ18ヶ国での日本方式採用に結びつけた。
デジタル映像機器(フレームシンクロナイザーおよびデジタルビデオエフェクト)の開発により、NECは米国テレビ芸術科学アカデミーより二度のエミー賞を受賞。
現在は、室蘭工業大学同窓会関東支部東京EEC会長、日本ビデオコミュニケーション協会理事、映像情報メディア学会フェローなどの立場で活躍している。
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要約 :テレビ放送のデジタル化の歴史と、その過程で日本方式のデジタル放送技術をブラジル筆頭に世界に広めていった取組を解説いただいた。ブラジルが日本方式を採用した背景には、日本方式が技術的にブラジルの環境に適していた面もあるが、ブラジルにおいて定着しているジャポネース・ガランチード(日本人は保証付き)という、移民が築いた日本人への信頼感が大きく貢献したとのことであった。
ブラジルの国情、リオデジャネイロオリンピックの見どころなどブラジルに関する話題を提供いただくとともに、テレビ放送の歴史を振り返りと今後のテレビ放送の方向性などのテーマについても解説いただいた。
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講演概要:
日本のテレビ放送は1953年に白黒で開始され、その後カラーの導入、ハイビジョンの導入に取り組んできた。その間、テレビ信号はアナログ方式を採用してきた。1973年より映像システムがデジタル化され、1990年頃より送信系以外のシステムのオールデジタル化が進んだ。
デジタル化により、(i)ハイビジョン放送や多チャンネル放送が可能となる、(ii)ゴーストのない鮮明な映像を見ることが出来る、(iii)移動時も安定した画像の受信が可能となる、(iv)周波数の有効利用、(v)データ放送など高機能化を図れることなど、ユーザーに大きなメリットがある。

2000年当時、世界の地デジでは日本方式と呼ばれるISDB-T、欧州方式のDVB-T、米国方式のATSCの3方式がありました。そのような状況の中で、日本の業界はデジタル放送技術国際共同研究連絡会(DiBEG)を設立、アジア、太平洋地域、南米への日本方式の展開を強力に推進した。2000年からブラジルと交渉を開始し、2006年にブラジル政府が採用を決定した。その後南米での採用国が拡大、さらにアジア・アフリカでの採用活動を行い現在は世界で18ヶ国が採用するまで大きく展開した。
規格策定の分野で日本は常に欧州の後塵を拝しているが、地デジの分野で日本方式(ISDB-T)を作りそれを18ヶ国採用にこぎつけた素晴らしい成果は杉本篤実氏の強力な指導力と関係業界・政府連携の賜物と考えます。

ブラジルの面積は日本の23倍、人口は206百万人でともに世界第5位の規模です。最初の日本からの集団移民は1908年でした。100年を超える移民の歴史で日系人は190万人を数え、人口の約1%に相当するそうです。日本方式の地デジがブラジルで採用された背景には100年を超えた日系人が培ってきた信頼と日本に対する信用が大きく貢献したことといえます。地デジの日本方式の採用の背景には技術やコストだけでなく、国家間の信頼感のみならず民族間の信頼感が大きく貢献していました。 なお、ブラジルのGDPは世界7位の規模ですが、貧困線未満の人口が31%を占め、全体の生活レベルの向上が大きな課題といえます。

リオデジャネイロオリンピック競技施設や見どころを伺ったが、中でもNHKが取り組んでいるスーパーハイビジョンでの配信計画は今後のテレビ受信機のあり方を考えさせられたものでした。 またNHKと民放で合わせた2500時間以上を共同サイトでネット配信するとのこと、今後の映像配信は、ネットやオンデマンドと地デジ放送が並行して進んでいくことを感じさせるものでした。

今後のテレビの進む方向として、超高精細テレビ放送(4Kと8K)はいまだに、アナログテレビ受信機をデジアナ変換して利用している人間にとっては何故ここまでやらねばいけないのか、理解に苦しむところもありました。今後の動画配信ビジネスそれもVideo on Demandが成長分野であるとの説明は納得できました。

デジタル映技術開発一筋に取り組んでこられた杉本篤実さんが、DiBEGの代表として日本方式を海外に展開してゆく姿には感心させられました。 製品を売り込むのではなく、相手先の国をよく理解し、その国に役立つ技術システムを導入しようとする姿勢は素晴らしいものです。このようなアプローチが地デジの日本方式採用国が18ヶ国にも拡大した要因でしょう。

杉本篤実さま本当にありがとうございました。
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講演後のQ&A:
Q1 地デジの方式は今後どのように変わってくるのか
A1 地デジは開始されてから欧米では18年、日本では13年が経過した。通信と違って放送方式は簡単には変えられない。通信との対比において地デジの存在価値は変わるかもしれないが、日・米・欧の3方式はしばらくこのまま使われる。4k放送はCATVや衛星が使われる。
Q2 動画の配信、ビデオ・オン・デマンドの今後は?
A2 スマホなどの発達などによってオン・デマンドな動画配信ビジネスは、ますます発達するだろう。しかしながら、最大の広告媒体としてのテレビはまだ続くのではないか?
Q3 日本方式をブラジルが採用した技術的な理由は何か?
A3 日本方式はノイズへの強さとワンセグを見られる点をブラジルが評価した点と理解している。
Q4 日本方式でノイズへの強さを、どのような技術的手段で成功させたのか?
A4 タイムインターリービングという、電波の強さが時間的変化による影響を抑止する技術を採用したことが大きい。
Q5 今後の電気技術者の生き方は?
A5 私が卒業した頃には、電気工学を学んだ者には回路設計という仕事があった。現在では、電気通信技術の世界では、多様な標準規格を理解して目的とするシステムの構築を論理的に行える。いわゆる回路設計はもはや必要ない。アンテナ、送電、配電の仕事ではアナログ的な回路設計の仕事は残っている。
ビジネス成功のためには、標準化されている技術の上に新しいサービスを生み出すアイデアが重要。その典型がGoogleやAppleだ。
Q6 4Kテレビ受信機はいつごろ購入すればよいのか?
A6 2018年から本格放送が開始されるので、このタイミングよいのではないか?
以上
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2016年06月23日

EVFセミナー報告:不安の海の羅針盤―環境リスク学

[演題] 不安の海の羅針盤―環境リスク学
(桑原 敏行)


開催日時:平成28年6月23日(木) 午後3時30分〜6時00分
場  所:新現役ネット事務局A会議室
講  師:中西 準子 氏  
(国立研究開発法人産業技術総合研究所名誉フェロー・横浜国大名誉教授)

 今回講師をお願いした中西準子氏は、横浜国立大学化学工業科卒業、東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程修了後、東京大学工学部都市工学科において、公害問題・下水道を研究され、さらには環境リスク論の研究を深めてこられました。東京大学環境安全研究センター教授、横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長、同安全科学研究部門長、フェローを経て、現在は、国立研究開発法人産業技術総合研究所名誉フェロー・横浜国大名誉教授・横浜県立医科大学客員教授としてご活躍されています。定量的な環境リスク評価と環境リスクマネジメントの研究において優れた業績を上げ、2003年春の褒章で紫綬褒章。2010年文化功労者顕彰、2013年瑞宝重光章を受章されています。
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 今回の講演についてですが、新聞・テレビなどでも、多く取り上げられている”リスク”という問題について分かりやすく説明をしていただきました。講師は、環境影響を環境リスクと表現し、数値で評価することの必要性を主張してきました。講師が言うリスクは、個々のリスクをゼロにすること、少なくすることが、リスク管理の目的ではなく、総体としてのリスクを低下させることが目標だという点です。この世には、種々のリスクがあり、それらは、”リスクトレードオフ”の関係にあるので、総体としてのリスクを減らすためには、従来のリスク評価法や管理原則では事態を打開できません。では、どういうリスク評価や管理をすべきなのか?今回は、講師がこれまでに行ってきた、下水道、化学物質、放射性物質などを例にして、判りやすく解説して戴きました。

講演概要:
 先ず初めに、下水道の研究からスタート。工場排水の処理に当たっては、異種の工場排水の混合処理よりも個別に工場毎に処理したほうが効率的であり、流域下水道システムよりも単独公共下水道が水循環の観点から優れている、また人口密度が小さい農村部においては個人下水道のほうが効率的。
 下水道の処理を考える場合、水循環(水の多面的な効用)の点で良くても水質(きれいな飲み水)の点ではマイナスということもあり、一つの目的を達成すると別のリスクが出てくるというRisk Tradeoffs関係にある。それは下水道の問題だけでなく、我々が直面している多くの問題で、Risk Tradeoffs関係がある。多面的に見る必要がある。
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 二つのいい目的がぶつかってしまう問題を解決するには、異種のリスクをあえて共通の尺度で評価する必要があり。その評価方法を開発すべき。
 環境影響評価で考慮すべき項目は、経済的な損失(P1)、人の健康への影響(P2)、生態系への影響(P3)、資源の消費(P4)、ベネフィット(P4)の5項目に絞るとして、P1、P4,P5はコストで換算し、P3は影響の深刻度を「損失余命」で、P4は「種の存続確立」で表現することにより、定量化すべき。
 リスクの和が最小になるようにすることが最もリスクを少なくする方法であり、何らかのリスクを許容するという考え方がない限り安全対策は進まない。
 福島の除染目標値については、日本政府の態度は右往左往という状況である。公式には、ICRPの考え方で20mSv/年と言いつつ、現場では1mSv/年と説明している。1mSv/年でもリスクはあるのだが、恰もそれがリスクゼロであるかのような説明になっている。しかしリクゼロにこだわっていては問題が解決しない。正解はないが、まずは、当面の目標値を、リスクの数値を基礎に決めるべきである。例えば除染目標値5mSv/年というように解を見つけるべきではないか。
 また福島第一原発事故の経過とその後の対策については、事故後に原子炉などの性能要求溶融は決められたが、安全目標としての健康リスクの数字の明示が必要。

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Q1:自動車や飛行機の場合はリスクがあるとわかって、メリットを享受している。環境問題でも同様に考えるべきなのに、リスクはOでなければと考えるのはおかしいのではないか。
A:確かにその通りで、そういうことを国が主張しなければならない。国はまずは補償しますと言ってからリスクを説明すべきところを、補償は言わずにこの程度の放射線なら大丈夫という言い方をしてしまったのがまずかった。
Q2:そもそも性格の異なるリスクの定量化ができるものなのか。
 A:温暖化のリスクと原子力のリスクを比較するような場合には、正確な定量化は確かに困難であるが、一定の過程の下に計算し、国が政策選択をし、経過を見ながら、その定量化で使われた仮定などが正しいか、否かを検証していくべきである。
Q3:原発のリスクは、他のリスクとは質的に異なるのではないか。
 A:違いを言い出すとみな違うことになる。環境問題で何を問題にするかを決めておき、多少無理はあっても、健康リスクについては、損失余命という数量化で一本化してはどうかと主張している。
Q4:福島の女性とは結婚してはならない等のデマにはどう対処すればよいのか。
 A:デマの解決方
Q5:「種の絶滅命」というのは果たしてリスクなのか。数量化が困難ではないか。
 A:その種を大切にしどの種を軽視するかは難しいが、議論しながら進めていかざるを得ない。
Q6:環境問題のリスクの数量化で国際的な合意形成の仕組みはないのか
 A:学者や研究の分野で葉合意形成ができつつあるが、各国の行政レベルではできていない。今後努力継続の必要がある。

 セミナー後、多くの方から、リスク問題を数量化して総体としてリスクを少なくするという考え方は非常に分かりやすく、リーズナブルで、このような考え方に感銘を受けたとの感謝の言葉が聞かれました。
中西先生、本当にありがとうございました。
以上
posted by EVF セミナー at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | seminer