2017年06月22日

EVFセミナー報告:ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−

[演題]:ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−
日時:2017年6月22日15:30〜17:30
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:株式会社キュリオン ジャパンProject Director Japan 沼田 守 殿

講演要旨:
 2011.3.11の大地震と津波が福島第一発電所を襲った結果、使用済み燃料プール、炉心、デブリという3つの高放射能発生源を同時に抱えるという世界でも例のない事故となった。事故当初から数年間は、炉心冷却水とこれに合わさって発電所地下へ流入する地下水の除染および外部へ漏れないようにすることが喫緊の課題であった。そして現段階では、汚染水処理は技術的に見通しが立ってきた。これからは使用済み燃料とデブリの安全な取り出しが最大の課題である。
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 廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議は2011年5月にロードマップを作成、福島第一原発を廃炉にすることを決定し、その後、2014年8月に原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が設立され、ロードマップで示された基本方針の下に、廃炉事業を進めるための具体的技術戦略プランを作成。東京電力廃炉カンパニーが中心となり、廃炉作業が進められている。
 NDFの中で廃炉に関わる戦略プラン策定に深く関わられ、また現在は汚染水問題解決技術をはじめ廃炉に関する技術を提供しているキュリオンジャパンに移られ、継続的に福島問題の解決に携わっておられる沼田講師をお招きして、「福島題意原子力発電所の廃炉事業――技術的進展と今後の展望――」についてご講演頂いた。
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講演概要:
1)福島における解決すべき課題(廃炉の基本的考え方)
廃炉・汚染水問題は、大きく分類すると下記の4点から構成される。
@汚染水対策
A使用済み燃料プールからの燃料取り出し
B燃料デブリの取り出し
C廃棄物対策

2)廃炉に携わる機関組織
この大きな課題解決に関わっている組織とそのミッションは下記のようである。
政府「大方針の策定=中長期ロードマップの策定、課題解決の進捗管理」
原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)「戦略プラン作成と技術的支援、国際連携の強化」
東京電力「廃炉に係わる上記の4つの課題の着実な実施」
原子力規制委員会「安全規制の実施、実施計画の認可」
研究開発機関(国際廃炉研究開発機構(IRID)、日本原子力研究開発機構(JAEA)等「研究開発の実施」

3)中長期ロードマップ;その基本原則と工程
@福島における解決すべきすべての課題に取り組む際の基本原則
原則1.安全確保
原則2.透明性
原則3.見直し
原則4.政府が前面に立つ
A課題解決への工程
第1期(2011年12月から):燃料プールからの燃料取り出し開始までの期間(2年以内)
第2期(10年以内):燃料デブリ取り出しが開始されるまでの期間
第3期(2021年12月から30-40年後):廃炉終了までの期間


4)戦略プラン
中長期ロードマップの着実な実効や改定の検討に資することを目的に、下記の項目に対する戦略の策定。
@戦略プランの中身
・ リスク低減戦略(基本となる考え=安全、確実、合理的、迅速、現場指向)
・ 燃料デブリ取り出し分野の戦略プラン
・ 廃棄物対策分野の戦略プラン
・ 研究開発への取組
・ 今後の進め方
A廃炉に関わるリスク源の分類と対応方針
【分類T】プール内燃料と建屋内汚染水:可及的速やかに対処すべきリスク源。
4号機プール内燃料は取り出し済み。1,2,3号機からの取り出しにおける最大優先課題は、ダスト飛散防止対策、作業員の被曝線量低減対策。
汚染水対策のポイントは、@汚染源に水を近づけない。A汚染源を取り除く。B汚染水を漏らさない。
【分類U】燃料デブリ:周到な準備と技術によって安全・確実・慎重に対処し、より安定な状態に持ち込むべきリスク源。デブリ取り出しは、人類未経験のこと。目下デブリの状況はブラックボックスであり、取り出し方法は水中か気中か、それらの組み合わせか等々は各号機の状況次第.
【分類V】濃縮廃液、廃スラッジ、HICスラリー、一時保管固体廃棄物の一部、PCV内構造物等:より安定な状態に向けて措置すべきリスク源。放射性廃棄物の処分に対する安全確保の基本的考え方
・廃棄物を閉じ込める。
・廃棄物を生活環境から隔離する。
・放射性物質の生活環境への移行を抑制し、遅らせる。
・放射性物質の生活環境への移行量が、有意な健康影響を与えないこと。

5)廃炉に関連する研究開発への取り組み
@研究組織機関:
基礎研究・基盤研究:大学、他の研究機関(文部科学省:叡智を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業)               
応用開発:JAEA(JAEA運営費交付金による基礎基盤研究)
実用研究:IRID(経産省:廃炉・汚染水対策事業費)
A具体的な研究施設:
廃炉に関する研究開発については、日本原子力研究開発機構(JAEA)が中心となり、現在までに下記のような研究機関が設立され活動が開始されている。
・廃炉国際共同研究センター(富岡町;世界の叡智を結集した研究開発・人材育成拠点)
・楢葉遠隔技術開発センター(楢葉町;遠隔操作機器(ロボット等)の開発・実証試験を行う施設)
・大熊分析・研究センター(大熊町;ガレキや燃料デブリ等の放射性物質の分析・研究拠点)
B国際協力
廃炉を巡る国際協力は東電、NDF(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)、JAEA(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)等の機関が、海外の原子力関連研究機関や企業の専門家を招聘し、定期的に会議や共同研究を行っている。このような動きは福島県内の新聞等ではよく取り上げられるが、首都圏におけるマスコミが報道することは少ない。
また、事故直後の応急的対応に関していえば、フランスやアメリカの政府や民間企業からの人材を含め技術や設備機器の提供によって初動対応に大きな効果があったことは記憶にとどめておくべきことである。

おわりに
「福島事故の歴史・現在までの対応と今後の展望につき、事実に基づいたお話(ファクトファインディング)をしたい」との説明から講演は開始され、講演の終わりに当たっては以下の言葉で講演を締めくくられた。
・政策及び大きな方針(技術を含む)が存在し、それが細分化・具体化されて現場で作業が行われている。
・マスコミ情報が無い時は、何もなされていないのではない。粛々と作業が順調に行われている証である。
・事実の確認、収集に努力を惜しまない。価値判断はそれから。
・国内外の関係者との情報交換に努力を惜しまない。いろんな知恵が出てくる。事故の教訓は人類共通の財産。

以上 文責:橋本 升

講演資料:講演資料:「ここまできた福島第一原子力発電所の廃炉事業−技術的進展と今後の展望−」

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2017年05月25日

EVFセミナー報告:気象情報のビジネスへの活かし方 ―潟Eエザーニューズでの実例をもとに―

[演題]:気象情報のビジネスへの活かし方
―潟Eエザーニューズでの実例をもとに―

日時:平成29年5月25日(木)午後3時30分〜5時00分
場所:新現役ネット9F会議席

講師紹介:
   三枝茂様 一般財団法人 WNI 気象文化創造センター事務局長Semi20150525r2.jpg
略歴
1994年7月〜8月 北極域スピッツベルゲン調査隊に参加。
1995年11月から第37次日本南極地域観測隊に学生隊員として参加。
1997年 総合研究大学院大学極域科学専攻博士課程(国立極地研究所)単位取得終了。その後、土木系コンサルタント会社勤務。
2002年より潟Eエザーニューズ勤務。
2010年 元南極観測船「しらせ」を同社にて購入したことで活用に向けたプロジェクトに携わり、2013年 WNI 気象文化創造センター事務局長に就任した。*「しらせ」は SHIRASE と改称し、財団法人の所有となっている。

概要
  ウエザーニューズ社のサービスは多岐に亘って提供されているのであるが、実際の予報はどのように作られているのだろうか。
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  同社は「70億人の情報交信台」を目指すとして 13ヶ国 27拠点に展開、WNI 衛星 1機、TUNAMI レーダー 30基、WITH レーダー 80基、ポールンロボ 1000台、Yure Station 1000台を展開し、一日平均13万人ものサポーターから現況報告を受けて、予報の確度を高めようとしている。ポールンロボは花粉、PM2.5を観測するもので、この他、ネットワークとしての WITH センサーは全国3000台に達し、アメダスの約3.5倍の高密度なデータを収集している。

 また、夢として掲げる「70億人の情報交信台」を実現する手段として次のプロジェクトに注力している。
 ・衛星プロジェクト (WNI 衛星)
北極海の海氷の動向を捉え、当海域を航行する船舶の安全性向上を目的とするもので衛星は独自開発により打ち上げた。今後最低10機を計画。・WITH レーダープロジェクト
小型の気象レーダーを交通の要衝に配置し、目まぐるしく変化する雷雲の動向等をいち早く捉えることにより、気象による被害を未然に防ぐためのもの。
 ・津波レーダープロジェクト (TUNAMI レーダー)
沿岸域に津波観測用のレーダーを設置し、地震後における津波の動きを迅速に捉え、これによる被害を軽減していこうというもの.
 
 このように非常に公益性の高い企業活動ではあるが、メセナ活動にも注目すべきだろう。
この財団法人はウエザーニューズ社の創業者石橋博良氏により、アジア・太平洋地域における気象リテラシー向上を目的として立ち上げられ、ビジネスとは一線を画した取り組みを行っている。「SHIRASE」を紹介したい。
 ・SHIRASE
スクラップ寸前の元南極観測船「しらせ」を活用し、いろんなイベント、体験を通して気象、海象等に興味を持ってもらうことを目的としている。チャレンジング SHIRASE として、7月17日(日)にイベントを開催する予定がある。
       詳細はhttp://shirase.info/をクリックしてください。

 今回は「ビジネス」が中心であったが、日常生活にも欠かせない天候の情報を、24時間365日データを集め、分析、管理し情報として提供する現場に触れることができた貴重な時間であった。


以上 文責:工藤 宣雄

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2017年04月20日

EVFセミナー報告:京で草木染屋をやっています〜染めの実演を交えて〜

[演題]:京で草木染屋をやっています
    〜染めの実演を交えて〜

日時:平成29年4月20日(木)午後3時45分〜5時45分
場所:NPO法人「新現役ネット」A会議室
講師:青木 正明 氏(天然色工房手染メ屋 主宰)

講師紹介:
 1991年、東京大学医学部保健学科を卒業後、(株)ワコールに入社しナイトウエア及びスポーツアンダーウエア企画業務・ブランドMD業務に携わり、仕事で奈良の染色研究所を訪問した時に初めて草木色の染め色を目にして染色に興味を持ち始め同社を9年で退社、(株)益久染色研究所に転職された。
 転職3ヶ月後、古代染色家故前田雨城氏の上代染色復元絹地展示会の手伝いをした時に前田氏の染め色を観て涙が止まらない現象を体験し、自分でもこのような色目を染め出したいと強く思い同所を一年半で退所され、
 2002年1月、京都市中京区麩屋町で「天然色工房手染メ屋」を主宰しながらこれまで京都造形芸術大学で非常勤講師として染色概論座学、天然染料の染色技法実習や天然染料を使用した伎楽装束復元実習などにも携わって現在に至っている。

要約:
 草木染めとは植物の色を繊維に染めつける作業で、現代では比較的珍しい技術だが、19世紀に合成染料が開発されるまでは世界中で当たり前の染色方法だった。
 今回はムラサキの根、「紫根(しこん)」を使った染の実演をしながら、プロジェクターを使って草木染めの概要(染色とは?、高貴な紫色の歴史、紫根の特殊な染め方、薬用利用、化学的薬効評価など)を分かり易く説明して頂いた。

講演概要:
 今回は京浜東北線と山手線のトラブルの影響で多くの出席予定者の会場到着が遅れ、セミナー開始時間を15分遅らせての開始で、その間青木先生には「ムラサキの染め実演」の準備をして頂いた。
 先ず、紫根は地上部が可憐な多年草だが根は紫色で太い直根でこの根が乾燥すると染料になり、チップ状になった原料は少し匂いがし、かじると甘い(ブドウ糖)とのこと。
色をよく出すため、使う前にミルで出来るだけ細かく曳き、300ccの消毒用エタノールを混ぜ30分ほど浸け置く。次いで椿灰に熱湯を200cc注ぎ、かき混ぜて30分ほど静置しておく。ここで一旦実演を中断して、あらためて大学での進路選定の経過から草木染めに関わって来た経緯を交えて軽快な話し方で自己紹介された後、先ず「染め」とは何ぞやの説明となった。
染色とは?
 染色とは、繊維(細長くてしなやかである物質)と染料(色を持っていて、水に溶けて、手を持ってる分子の集合)が手をつなぐことで、繊維の細長い分子には+、−の「手」があり、染料にも+、−の「手」があって、繊維の分子の手に色素分子の手が磁石の力で引っ付くことと染色の現象を図を使って判り易く説明された。
 合成染料は1856年に英国の若き化学者パーキンが間違って紫色の染料を創ったのが始まりで、それまでは全て草木染めであったとのこと。
2.ムラサキの根と染め方
 ムラサキの根は古来より高貴な紫色を染め出す染料として重用されてきた。
染め方は、927年に編纂された「延喜式」第14巻“縫殿寮”章の雑染用土(くさぐさのそめようど)に38色の染め式の記述があり、高貴な紫色の染め方として紫草、酢、灰(椿灰)、薪の配分が示されていて青木先生はこれらを類推して草木染に供しているとのこと。
Semi20170420r1.jpg 先ほどエタノールに漬け置いた容器からごみ取りネットで紫根だけを取り除いて濃い赤紫のエタノール溶液に出来るだけ熱い湯を注ぎ2リットルに嵩上げし絹地を入れ、動かしながら染めた。
ムラサキを綺麗にしたいので椿に入っているアルミニウムを使い、このアルミニウムは光合成を阻害する働きがあり媒染効果による色素定着と発色するとのこと。
 紫根は特殊な染め方で、湯に入れて潰したり揉んだりしながら色を出し、次いで絹地を染め液に入れ浸け染めし、時間を置いて絹地を椿灰で作った灰汁に浸けて「媒染」する。
紫根の紫色の成分はシコニンとその誘導体で、リトマス試験紙のようにアルカリ性で青みに、酸性で赤みになるのでこれを20分から30分交互にしていく。江戸紫は青み系で京紫は赤み系で何方で終わらせるかで色を出す。シコニンは水に溶けにくく70℃、80℃のお湯の中に長時間(30分位)浸されると灰色になってしまう。またシコニンはアルコールには直ぐ出て生地には付きにくいので水で調整すると化学結合で生地に上手く付くようになる。
 次に何故灰は椿なのか?「延喜式」には灰としか記述がなく「万葉集」第12巻にある“紫は灰さすものぞ海石榴市(ツバイチ)の八十のちまたに逢える児や誰”の歌から古代染色家の仲間で類推されてきたとのこと。
3.紫根の薬用利用
 紫根は古来より薬用にも利用されている。古代中国の漢方原書「神農本草経」(西暦150〜160年)に紫根は中品(毒にもなり得る養生薬)として“味苦寒。心腹の邪気や五疸の病を治す”と掲載され、お腹に良い薬で、同じく古代中国の医学書「名医別録」に“膏を作り小児の瘡および顔のできものを治療する”と記載され軟膏としても利用されている。わが国でも江戸時代後半に華岡青洲が考案した万能軟膏「紫雲膏」が利用されてきた。
Semi20170420r2.jpg4.紫根の化学的な薬効評価
 紫根は天然染料の中では比較的言及されている物質で、シコニンとその誘導体(ナフトキノン誘導体)は薬理活性を持つものが多く、抗ウィルス薬、抗炎症薬などに利用されているが作用機能はよく分かっていないとのこと。
 日本には染色専用の植物という概念がなく、藍染の藍は元々日本原産植物ではなく紅花と同じく中国から来たもので、有用な植物として管理しながら育てて来たとのこと。

 ご講演後、今回の染め実演で出来た高貴なムラサキ色に染まった絹地を女性参加者と青木先生とのジャンケン勝負でお一人にプレゼントされた。

質疑応答
Q1:紫色は貝からとるのですごく値段が高いので高貴とされると聞いたことがあるが、その紫と今回のムラサキとの違いは?
 A:物質として全く違い、紫は洋の東西を問わず高貴なものとされているが、西の方は貝が使われていた。藍のインディゴに臭素(Br)が2つ付くとジブロムインディゴの貝紫となり全く違うものだが色はよく似た紫色。貝紫は赤みの強い紫色だが染め方やタイミング、個体差でいろいろ変わり、酸化して染まるが反応は遅く、日に当たって発色するのが特殊。一方、藍は空気中でも簡単に酸化して染まる。ほかに紫に染まる物質は知らない。珍しいからどちらも高貴と言われる。
Q2:シコニンは合成化学で作れないのか?また作れるなら利害得失はどうか?
 A:化学屋がナフサやコールタールからではなく植物の根に着いている微生物をシャーレで培養して作っているという論文を見たことがあるが、天然物と合成物とでは経済性に問題があって、紫根が使われているのが現状との事。
以上 文責:立花 賢一

講演資料:「京都で草木染め屋をやってます」〜ムラサキの染め実演と染の話〜
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2017年03月23日

EVFセミナー報告:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

[演題]:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために


日時:2017年3月23日(木) 15:30-17:30
場所:新現役ネットA 会議室
講師:WWF ジャパン山岸 尚之様

略歴:1997年に立命館大学国際関係学部入学。2001年3月に同大学を卒業。
同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連会議での情報収集ロビー活動などを担当。
2011年より気候変動・エネルギーグループ長

演題:パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために

要約:今回のパリ協定成立までの地球温暖化防止に係わる条約類の歴史を振り返り、パリ協定が示した方向性と特長の解説があった。その後現状についての認識、CO2削減に向 けた世界の潮流の紹介・解説が行われ、日本がやるべきことの提案があった。さらに 2050 年に化石燃料を使わず日本のエネルギーがすべて再生可能
エネルギーに よって供給されていることを前提とした長期シナリオについてのWWF 提案が紹介され、「自分・自社の身の回りでCO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”を通じての社会の変革」などへの各人の取り組みが促された。
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講演概要:
1. パリ協定が 示した方向性
1992年にリオデジャネイロサミットで交わされた「国際気候変動枠組み条約」から
今回の「パリ協定」に至るまでの数々の国際条約の歴史について、最初におさらいの
説明があった。国際社会が CO2 削減をしない場合は産業革命前と比較して 2100 年
には 4℃、頑張って削減すれば1.5〜2℃の気温上昇にとどまる予想であり、このため
には今世紀後半に化石燃料を使わず CO2 排出量をゼロにする必要がある。 京都議定
書では先進国のみにCO2削減目標が課せられたが、今回のパリ協定ではほぼ全ての国
が削減目標を持ったところに大きな意味がある。 気温上昇1.5〜2℃に抑えるために、
5 年ごとに進捗状況をチェックし PDCA サイクルを回して前回より良い目標値を
設定して行くと言う枠組みとなった。これにより新たな協定書を作る必要がなくなった。

2. 現状についての認識
これまで経済の発展には大量のエネルギー消費が伴ってきた。世界の CO2 排出量に
対して中国 25%、アメリカ 15%が大きな割合を占めている。日本は 3%でありこれ
以上の削減は難しいと言われてきた。しかし人口一人当たりのCO2 排出量で見ると
アメリカは20 トン、 韓国 14 トン、日本 11 トン、中国 8 トン、世界平均では
7 トンと、日本はまだ努力代が残 っている。

3 .世界の潮流
WWFおよびCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による
共同イニシアチブが、世界の平均気温の上昇を「2℃未満」に抑えるために企業に
対して科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めている。これに応えて
世界で220の企業が参加し、日本からも22企業が参加している。また、再生可能エネ
ルギー100%を宣言する企業も数多く出てきており、それぞれ達成目標年を定めている。
さらに投資や金融の面では化石燃料を使用するプロジェクトから資本を引き揚げると
いった動きも出てきており、種々の分野でCO2 削減への努力が始まっている。

4 .日本がやるべきこと
日本の温室効果ガス排出量は1990 年から見ても徐々に増えており、2013 年がピー
クになっている。日本では 2030年までに2013 年比で 26%削減、2050 年までに
80%削減の目標を掲げている。しかし、今後石炭火力発電所建設の計画が多くあり、
40年稼働するとすれば脱化石燃料の時代に入ってしまい矛盾がある。 これまでの
社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきた。 これに対し
て資源の再利用・循環利用を行い、一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネル
ギー消費を減らしていくデカップリングの考え方が出てきており、日本でも取り
入れていかなければならない。これらを含めた長期戦略の議論を進めなければなら
ない。 アメリカはじめ主要国はすでに国連に長期戦略を提出しているが、日本、
イタリアなどは未提出のままになっている。 WWF では 2050 年に日本のエネル
ギーがすべて再生可能エネルギーによって供給されていることを前提とした長期
シナリオを提案している。これによれば 2015 年に投資をした場合、2030 年には
初期投資を回収し終わり、2050年には大幅に黒字化する見通しとなっている。
私たちは「自分・自社の身の回りでの CO2/温室効果ガスの排出量削減」「“選択”
を通じての社会の変革」を図って行かなければならない。Semi20170323R1.jpg

5. 質疑応答
講演終了後、聴講者から原発の必要性、日本の地の利を生かした自然エネルギーの活用、
カーボンニュートラルの考え方への疑問、液体バイオ燃料の輸送部門へのさらなる
活用、他、数多くの意見や質問が出され、活発な論議が交わされた。(写真 DSCN5426)
以上

以上 文責:小栗武治

講演資料:「パリ協定が示した脱炭素化の流れに日本が貢献するために」

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2017年02月16日

EVFセミナー報告:日本海の謎

[演題]:日本海の謎  〜その深層で起こっていること〜

日時:平成29年2月16日(木)
場所:国際協力機構 市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)2階会議室
講師:東京大学大気海洋研究所 教授 理学博士 蒲生 俊敬 様

講演要旨
EVF第10回通常総会記念講演として、地球温暖化の影響が、すでに深海に及んでいるのか、私どもに馴染みの薄い基礎研究の成果からひも解いていただいた。
日本海の自然環境は、地形的な閉鎖性がとりわけ強く、また、冬季の季節風の存在があり、対馬暖流の流入という地理的特徴もある。この閉鎖性ゆえに、日本海は、独自の海水循環系を有している。
海水の循環スケールでは、全海洋で2000年かかるところが、約100年〜200年と速い。
表層の生物生産量が多く、下層への有機物輸送が活発であり、地球環境変化に敏感に反応している。先生自ら海水採取、分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
日本海での研究成果は世界に先駆けて警告を発することができるとの示唆に富む高話をお聞きした。

講演概要
1)日本海に関する基礎的事項(日本海の形成・地理的特徴・歴史的役割)
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日本海は約2000万年前から1500万年前にかけて拡大し、日本列島となる部分が、大陸から離れ、約500万年前は、ほぼ現在の姿に近い日本列島は形成された。
日本海は、いくつかの海峡で外海とつながってはいるが、海峡部分はごく浅い。最深部分で約3800mもある日本海の水のほとんどは、外洋との出入りができない。
冬季の季節風が、表面の海水を極限まで冷やして「重い水」をつくり、それが海底まで沈んでいくことで、熱塩循環が駆動され、表層水と深層水が入れ替わる、大規模に循環する仕組みがある。其れゆえ日本海の底層水に豊富な酸素がある。
また、日本海は、日本列島に温暖かつ湿潤な気候と豊かな水資源が育む美しい自然環境をもたらしている。そのことが、縄文時代以来、日本が独自の文化を発展させる上で大きく寄与した。

2)日本海の海洋観測研究から明らかになった、そのユニークな科学的特徴
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日本海を取り囲む四つの海峡はどれも浅い。そのため、海洋としての閉鎖性が高く、
独立した海水循環のメカニズムを持つ。その狭さと閉鎖性ゆえに一般の海洋よりも敏感に
地球環境の変化に反応する。
近年、日本海にわずかな変化が見え始めた。今はわずかでも、将来危険な変化になりかねない徴候だという。
自ら海水採取し分析し、1977年以来蓄積された時系列データは、日本海底層水の驚くべき実態を明らかにした。
特に注目されるのは、溶存酸素濃度が年とともに減少を続け、過去30年間で約10%も減少したことである。
海洋表層では、酸素は植物プランクトンの光合成によって生産される。しかし光合成の起こらない深層では、酸素は海水の循環によって補強される。一方、海水中には有機物の酸化分解のため、酸素は常に消費されていく。もしこの消費に見合うだけの酸素が補充されないと、収支のバランスが崩れ、酸素濃度は次第に減少する。現在の日本海底層は、まさにこの状況にあるらしい。
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3)急激に変わりつつある地球環境の中で、日本海が今後果たすべき役割について
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日本海は全海洋の0.1%強の容積しかないが、全海洋と類似の熱塩循環系を独自に保有することから、全海洋のミニチュア版として注目されている。
ミニ海洋日本海で起こる現象は、世界の海でも同じように起こる可能性がある。地球全体でこれから起こることを先取りする「炭鉱のカナリア」としての役割が日本海には期待されている。と蒲生氏は結んだ
蒲生氏が持ち前の鋭い切り口と和やかな雰囲気で素晴らしいご講話を進められたおかげで、最先端のアカデミックな話もよく理解できた。
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この海の知られざる姿を解き明かす、
海洋科学ミステリーの本書をぜひご購読を。
以上 文責:立花 賢一

講演資料:「日本海の謎」
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2017年01月26日

EVFセミナー報告:自動運転への期待と課題

[演題]:自動運転への期待と課題・・自動車交通は今後どうなる


日時:平成29年1月26日(木)
場所:国際協力機構市ヶ谷ビル(JICA市ヶ谷ビル)会議室
講師:日産自動車(株) R&Dエンジニアリングマネージメント本部 グローバル技術渉外部 技術顧問  
福島 正夫 様

講演要旨
近年、一段と関心が高まっている自動運転技術につき、日産自動車の第一線で開発に携わっておられる講師をお招きし、自動運転技術の現状と課題、将来展望につき講演をいただいた。講演要旨は以下のとおりである。
1) 日産自動車のチャレンジ
”ゼロエミッション“と”死亡事故ゼロ“にチャレンジする。そのために、自動車の”電動化“と”知能化“を推進する
2) 運転支援について
ドライバーがやっている認知、判断、操作の一部をITS技術を用いて機械が補助する。その為に、車が人を守る“Safety Shield Concept”を導入し、通常運転から衝突後まで適切な技術を提供する。具体的にはACC(全車追従走行)、DCA(車間距離維持)、IBA(衝突被害軽減ブレーキ)、ESC(スタビリティコントロール)、LDW/P(車線逸脱防止)、LKS/A(車線維持)、BSW/I(車線変更時後側方車両検知)などがある。
この場合はあくまでもドライバーが主体的に責任を持って運転する
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「日産自動車HP 安全への取り組み」より

3) 自動運転について
ドライバーがやっている認知、判断、操作のうち、ステアリング、アクセル、ブレーキの操作を同時に機械が一部操作するものを言う。
米国SAEではLevel 0〜5の段階が定義されている。Level 0は全く自動運転無し。Level 5は完全無人運転。現在市販されている技術は日産セレナもBenz SクラスもLevel 2相当。
現在は高速道路単一車線の自動走行だが、2018年頃に車線変更も含めた自動化、2020年頃に交差点も含めた自動化を目指す。
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「日産自動車HP 日産が考える自動運転」より

大型トラックの自動運転による隊列走行は2008年にNEDO事業として開発を実施した。ドラーバーの負担低減、燃費の向上のメリットが大きいが、重量が重く制御が難しいなどの課題も大きい。
4) 自動運転実現化の課題
技術面では、人と車のインターフェース、外界を認識するセンサー、認識技術、地図データ収集、道路整備、通信インフラの普及、セキュリティなどがあげられる。
法規・社会面では法規整備、責任の所在の定義、社会のコンセンサス、国際協調などが課題となる。

以上の技術課題説明に加えて、内閣府主催の総合科学技術会議での総理試乗や、伊勢志摩サミット時の各国首脳試乗のいきさつ、軽井沢G7交通大臣会合での試乗エピソードなど、興味深い話題が紹介された。最後に時間が足りなくなるほど活発な質疑応答が交わされて、セミナーを終了した。
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以上 文責:深井吉男

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2016年12月15日

EVFセミナー:「自動式巨大津波減災装置の開発」

[演題]:「自動式巨大津波減災装置の開発」


日時:平成28年12月15日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:防波システム研究所 代表  濱田英外殿

講演要旨
 講師は2011年東日本大震災時の大津波災害から、自動式で経済的な新しい津波対策をと思った。2012年に発表された南海トラフの大震災の新聞記事で、自身の生まれ故郷の高知県黒潮町に日本最大の34mの大津波が到達すると想定されたので、更にその必要性を身にしみて思った。大学での専攻は反応で土木技術とは畑違いであったが、大プラントメーカーに身を置いたまま、2012年には近所の茅ヶ崎海岸、相模川の河原で自分の考えに基づく津波対策模型の実験を開始するという行動力と柔軟性を発揮され始めた。
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 そのアイデアは木造構造体自身の浮力で自動的に動作する可動する「防波扉」、「防波筏」、「防波門」および「津波警報装置」であり、津波来襲時にその力を利用しさらに逆手にとって、高い津波減災効果をより安いコストで実現しようとするものである。かつユニット形式で作製されるので、それらを多重に組み合わせることにより、巨大津波にも適用することを考慮している。完璧に津波の侵入を防ぐことはできないものの、通常は地表面に伏せて設置されていて生活や視界を妨げず、いざという時に作動して、防潮堤として機能し、津波の被害を固定式のコンクリート製防潮堤と比較して、その80%程度の高い津波低減効率で減災しようという新しいコンセプトの紹介があった。
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 現在、その装置が基本的に作動し、想定通りの波高低減効果を発揮することを、東京海洋大学および京都大学の協力の下で、小規模モデルで確認済であり、その実験結果の報告もあった。
 また、広くこの考えを理解してもらうためにも特許取得、国連世界防災会議などでの展示、日本自然災害学会誌などへの発表にも努め、その苦労話もあった。
 講演後の質疑応答でも、「津波メカニズムの理解の難しさ、減災設備の考えの難しさ」「新しい技術を実現するための課題」「スポンサーなど今後の支援体制」などについて熱心な意見・質問が出て、30分が短く感じるものであった。
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個人的な社会への思いとアイデアの実現に向けて、活動を起こした講師の熱意に感銘を受けた。海岸近辺での生活しやすさ、景観維持、建設費用の低減など現行の巨大防潮堤の欠点を補うことが期待できるものであり、うまく開発が進んで広く普及すれば良いなと思える興味の深い講演であった。
以上 文責:岡田康裕

講演資料:「自動式巨大津波減災装置の開発」
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2016年11月24日

EVFセミナー:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり

[演題]:「選ばれる都市 横浜」を目指した都市ブランドづくり


日時:平成28年11月24日(木)
場所:東京サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師:横浜市文化観光局長 中山 こずゑ 様

講演要旨:

あうたびに、あたらしい。Find Your YOKOHAMA。講師は、日産自動車鰍フブランドマネジメントオフィス部長、ブランドコーディネーションディビジョン副本部長を歴任され、平成23年に横浜市の都市ブランド構築のために横浜市役所に移られたブランドマネジメントの数少ないプロです。ご講演は、民から官への転身で直面した組織文化の断絶から始まり、その中で着々と成果を上げてこられたその悪戦苦闘のご努力と横浜市が抱える文化観光面での課題と将来展望をざっくばらんに伺いました。
「やらされた方は戸惑っただろうが、さすがプロの仕事」「久しぶりに元気の出る明るい話を聞いた」「日本中の都市が横浜のようにブランド向上を図れば見える景色も随分変わるのでますます頑張ってほしい」などなどの聴講者の感想でした。
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講演概要:

1.横浜市を取り巻く状況
・ 横浜市民373万人のうち65歳以上の高齢者人口は2025年には100万人超え。税収構造は総額1兆4,955億円、市民一人当たり40万円と法人市民税の少ないのが特徴。
・ 都市間競争の激化でブランド価値が確立できないところは生き残れない。
2.横浜の成長戦略
・ 2011年文化観光局の発足。市長の方針は「国内外での横浜のプレゼンスを高めるため、文化芸術、そして観光MICEは非常に重要な政策分野と確信」「文化芸術のもたらす心の豊かさを、横浜のレガシーとして遺していきたい」
DSCN5200-2.jpg3.状況分析
・ データが不在、競合相手が不明、目標が不明確、ロゴやキャラが乱立という状況からスタート。マーケティング&ブランディング戦略は、自治体でも応用できると確信。
・ 横浜=中華街がなんと33%。国内魅力度ランクは第5位、住みたい街ランクは4年連続第1位だが。海外の評価はアジアの中で横浜は国内で9位、名前の認知度は96%と高いが、特徴までを認知している人は50%以下。
・ 横浜への期待は「ロマンチックな気持ち」「楽しい気持ちになれる」。
4.戦略的プロモーションの推進
・ まずトーン&マナーの統一から。その為に市内デザイナーの積極的活用、ターミナル駅での集中交通広告展開、露出度強化、祝祭感づくり、
・ その結果2012年から2015年で、広告価値換算で48%アップ。
5.ブランドスローガンの制定
・ 賑わいづくり、経済活性化、人的資源の充実、施策・事業に一貫性と持続性を持たせる。
・ 以上により「市民の誇り」や「都市全体のグレードアップの気運」を生み出す。
6.ブランドを伝えるプロモーション
・ シティーセールス/プロモーションツールにブランド表示、公民連携によるスローガンの掲出、ビジュアル中心のリーフレット、テレビによる国内外のプロモーション、時代の流れを捉えたプロモーションなどの戦略的展開
7.プロモーションの効果
・ 観光集客実人員15%アップ(対前年)、観光消費額9%アップ(対前年)
・ 外国人宿泊客数2011年に比較し2015年に約72万人と248%アップ。
・ その結果としての市内主要ホテルの稼働率も88.1%と伸長。
8.都市ブランド確立に向けた今後の展開
・ クリエイティブチルドレン活動、HAG(ハンドメイド・アニメーショングランプリ)横浜賞設立、スマートイルミネーション横浜活動などのコンテンツタイアップによる新たな魅力と賑わいの創出を目指す。
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以上
以上 文責:岡 昂

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2016年10月27日

EVFセミナー:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜

[演題]:「塗料・塗装と環境問題」〜その現状と未来〜


開催日:2016年10月27日(木) 15:30〜17:30
会場 :サンシャインビル9F 新現役ネット会議室
講師 :日本塗装機械工業会専務理事 平野 克己 様

講演要旨:

講師は、50年間塗料・塗装の世界で活躍されてきて、なお現在もその第1線に立っておられる。ご講演は、塗装・塗料の技術的背景、その歴史と現状および将来の課題と展望等々大変に広く且つ深いお話を聞かせていただいた。
スマフォ、家屋、自動車等々、我々の身の回りに塗装のないものはない。一方、塗料・塗装は間違いなく環境負荷を有する。その原因は塗料を構成する化学物質にあり、これをうまく制御するのが塗料・塗装業界の課題であり、日本の技術を持ってすれば、塗装による地球環境負荷を低減することは可能であるとのメッセージを頂いた。
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講演概要:

1.塗料・塗装とは
日本での塗料生産量は年間約160万d。塗料原料は、顔料(40万d)、樹脂(40万d)、溶剤(80万d)であり、それぞれが廃水処理(50万d)、CO2とVOC発生(80万d)、塗膜等固体廃棄(30万d)という環境負荷原因を内在している(括弧内は年間の使用量乃至は廃棄量)。粉体塗料は溶剤を使わず環境に優しいが、その仕上げのきれいさでは溶剤塗料に及ばず、使用量は年間3万d程度。
因みに中国での塗料生産量は1700万d、粉体系は100万dとなっている。

塗装とは、材料表面を塗料皮膜で覆うこと。方法としては、ローラー等による直接塗装、スプレー等の間接塗装、電着塗装、浸漬塗装等々。工業製品での塗装方法はスプレー(噴霧)塗装が主流であるが、使用塗料の約50%がVOCとして外気汚染源となる。

日本での塗料工業界の状況は、1.国内生産量:160万トン/年 2.日本企業の海外生産量:200万トン/年(内、中国50%) 3.塗料製造会社:200社 4.従業員:2万名(塗装関連:20万人)5.国内出荷金額:7〜8千億円/年(世界10兆円) 6.販売店数:約5000店
となっており、一方、塗装工業に関しては、前処理10分、塗装10分、乾燥30分を1ユニットとする工業的塗装ラインが、製造業で10、000ライン、塗装業で3、000ラインある。自動車板金塗装業者数としては30、000社。

塗料業界(約200社)と塗装設備業界(約600社)は、ニーズと法律があれば課題解決に向けて一体となって対応できるが、現状では双方の共通課題とならないため共同で事に当たる体制にはなっていない。
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2.塗装の歴史
塗料の歴史は古い。1〜2万年前のアルタミラ洞窟やラスコー洞窟の壁画が鮮やかに現在まで残っている。日本では縄文時代に既に翡翠が顔料(薄い緑)として使われていた(因みに日本鉱物科学会が本年9月、翡翠を日本の石として認定している)。また、1300年前の高松塚古墳壁画がある。
日本での工業的塗装は明治初期の洋式軍艦の製造から始まり、日本特許第1号(明治18年)は「錆止塗料及ビ其塗法」である。

3. 塗装の役割
塗装の役割は美観、素材保護、機能性付加(防錆、断熱、遮熱、抗菌、防水、撥水、帯電防止、等。
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4.塗料・塗装の未来と環境対応
これからの塗料・塗装に要求される課題は、@素材の防蝕・保護、省エネ効果に優れ且つ長持ちする塗料・塗装技術の開発 A塗装が与える環境負荷の低減(CO2、VOC発生量低減、産廃排出量の削減) B塗装段階での省エネルギー)
等であるが、そのためには環境対応とグローバル化に耐えられる総合的技術革新が求められる。

これらのためには塗料・塗装システム工学という分野を形成しつつ、塗料及び塗装設備業界の壁を越えた技術革新を図る必要がある。さらに、中国のPM2.5問題の解決等をも視野に入れた海外との連携が一層重要になる。付言すると、中国では塗料中のVOC含有量を420g/L とし、それ以上の場合は使用料の4%の課税という厳しい規制を本年から課している。また、日本と違って中国では若手と女性の当該分野における活躍が見られることなど、優れた技術を有する日本も安閑としていられない状況にある。

以上
以上 文責:橋本 升

講演資料:「塗料・塗装と環境問題」
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2016年09月29日

EVFセミナー:「水のあと始末から資源化まで」

[演題]:「水のあと始末から資源化まで」〜トイレから見た世界〜


開催日:2016年9月29日(木) 15:30〜17:30
会場 :新現役ネット事務局会議室
講師 :亀田 泰武 様(NPO 21世紀水倶楽部 理事長 工学博士)、
講師略歴:
 昭和41年東京大学工学部都市工学科卒業、同年  建設省入省
 平成6年 大口径気液二相流に関する研究で博士号取得 
 平成15年 NPO21世紀水倶楽部理事
 平成23年 同理事長、現在に至る
 著書 DVD パソコンで見る「行きたくなる水辺景観」
DSCN5056-2.jpg要旨:講師は長年、水処理および利用の分野で先頭に立ってご活躍されてきた。水の汚れ/生活と下水/病原菌と下水道/活性汚泥法の誕生/下水処理/雨水と汚水/富栄養化/今後の課題などについて、分かり易く、丁寧に、そして我々の生活に則してご講演頂いた。又、活発な質疑応答の中でも、例えば、我が国の現状設備について、自然災害リスクも含め明快にお答え頂き、講師の見識の高さを垣間見る思いであった。
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講演概要:
「水の汚れ」
昭和40年代中頃の多摩川の水の汚れ、同じく隅田川の汚染による花火大会の中止など、当時の水の汚れを思いださせた。更に、セミナー会場の田町駅前の下水道管設置状況が下水道台帳を用いて説明された。

「生活と下水」
*水質悪化の原因は、有害物質/病原性微生物/有機物質/栄養塩類によるものに分類される。
*水の汚れは、有機物である。 
  <有機物と酸素>
  ☐酸素は1㎥に最大10g程度しか溶けない
  ☐水の汚れの指標BODは有機物を分解するのに必要な酸素量
  ☐BOD濃度≒有機物濃度
  ☐1gの酸素燃焼で4キロカロリーのエネルギーを生み出すと考える
  ☐人の1日のBOD量は500g
  ☐人のBOD除去率は97%
  
「病原菌と下水道」
ヨーロッパでは水系伝染病のコレラ、赤痢などの恐怖が下水道整備の推進となった。日本でも、大政奉還により関所が撤廃され、コレラのまん延に繋がったのではないかと言われている。上水道を整備すれば、怖い伝染病を防げるということが分かり、日本では下水道整備が後回しになった。

「活性汚泥法の誕生」
*19世紀後半より環境衛生上のニーズがあったが、本格的な下水処理プラントは活性汚泥法が発明された1914年以降急速に建設された。日本でも1930年に名古屋で運転開始され、覆蓋設置という独自の工夫を行い、当時の研究者の努力が評価されている。この土壌微生物を利用する方法が優れているので、100年後でも世界中で使われている。
*基本プロセスは変わっていないが、最近の進歩を紹介すると、
<窒素やリンなどの除去/微細気泡発生装置による省エネ/プラスチック膜ろ過方式による活性汚泥の分離>
 
「下水処理」
*一家庭/3人程度当たり、標準活性汚泥処理施設の容量は0.4㎥程度。
*下水処理のためのエネルギーは、標準家庭で常時15W程度の消費。
 *汚泥の発生しない下水処理法はない。

「雨水と汚水」
*年間総量では1:1だが、設計最大水量は雨水量が汚水量の100倍にもなる。
*大都市地域では従来は合流式だったが、S45年以降は新設の場合は分流式が採用された。分流式に改造は困難。
*合流式下水道の最近の課題としては、(1)お台場の衛生管理、(2)皇居のお堀水質改善、などがある。
*致死的でないが感染症を起こす水系病原微生物が現在も問題である。下水処理では病原微生物の90〜99%は除去されている。

「富栄養化」
*リンと窒素は、高度処理すれば90%程度の除去は可能。
*東京湾の水質は段々良くなっている。リン濃度は、洗濯機の普及により一時高くなったが(洗剤にリンが入っていた)、その後合成洗剤、無リン洗剤の普及により、改善された。しかし、残された干潟の元気がない。又、水温上昇(過去30年で約5°C上昇)によるお台場などの雨の後のノロウィルスの課題が残る。
*琵琶湖の水質は悪くなっており、原因は不明。
*諏訪湖の水質は良くなっており、ワカサギの魚体が小型化。
*霞ヶ浦の水質は、あまり改善されていない。

◎発生する汚泥は、一人一日4kg程度あり、その1%が固形分であり、有機物なので、潜在エネルギーの価値はある。しかし、汚泥の処理施設の「運転管理」と「最終処分」が一番大変な業務である。

「今後の課題」
(1)災害時トイレの確保、   (2)津波対策、水洗トイレの機能保持が必要、
(3)地域に根ざした水環境形成、(4)下水道資源の活用(例:コンポスト堆肥)、
以上
以上 文責:三嶋 明

講演資料:「水のあと始末から資源化まで」
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