2014年11月27日

EVFセミナー報告「いま、原子力発電を考える―地球温暖化の現状を踏まえて―」

平成26年11月27日
EVFセミナー報告
演題:  いま、原子力発電を考える
――地球温暖化の現状を踏まえて――
開催日: 平成26年11月27日(木) 午後3時30分〜5時30分
場所:  新現役ネット事務局会議室
講師:  木元 教子 氏
      元内閣府原子力委員会委員、評論家
講師は、テレビ等を通じて我々新現役にはあまりにも有名な方であるが、1998年から2006年まで9年間にわたり原子力委員会委員をつとめられた。ジャーナリスト出身のことから「広聴」に力を入れたという。2011年の東日本大震災・福島原発事故後に強まった脱原子力の動きに対して、日本の総合的なエネルギー環境を踏まえて原子力発電に取り組まなければならない考えで活動されている。
今回はこの考えの背景になったことなどをお話しいただいたのだが、何よりも想像する年齢を感じさせない元気の良さにEVFのベテランズも圧倒された会であった。
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講演概要:
演題に対する講師の思いをスライドや冊子(「暮らしの中のエネルギー」)を交えて話されたが次のようにまとめる。
・まずは、地球温暖化を止めなければならないということである。このためにCO2を削減しなければならない。世界的な人口増、開発途上国のエネルギー使用量の増大、そして現在のわれわれの生活レベルを極端には落とせないことからエネルギー使用量を減らすことに無理がある。また再生可能エネルギー・新エネルギーの利用推進だけでは需要に間に合わない。現段階では、CO2削減は原子力発電に頼らざるを得ない。
講師も新エネルギー雪氷冷熱利用のために、NPO法人雪氷環境プロジェクトの会長として活動されているが、これに賛同する参加者の間で「氷室」に盛り上りがあった。
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・さらに、日本の置かれている位置である。原発を外せば、石油・石炭・LNGのエネルギーの自給率があまりにも小さい。外貨流失が3.6兆円である。また、他国から電線を繋ぎ、電力の融通を受けることのできない島国である。
・原子力発電の可能性はある。安定・安全・安心に向けて、国も電力も安全対策・安全施策を進めている。使用済み核燃料に対しての核燃料リサイクルは実現できる。
・何事にも絶対間違いがない、絶対に安全だとは言えない。原子力発電も同じである。その意味で、ただ単純に脱原発で済むことでもない。国は国民の生活を守り、国力の維持を考えながら、真実を隠さず知らせ、本音で話し合うべきである。
参加者の中からは、「原発を必要としないエネルギー供給力の中で生活はできる」とか「使用済み核燃料の始末ができるようになるまで原発はやめておいた方が良い」などいくつかの意見があったが、限られた時間内で話は済まない。
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安全を最大に考慮しても、自然災害をはじめ、予想されなかった危険が発生する事を、今回の事故で明らかになり、原発は信頼を失ったのだが、国は原発の仕組みを、改めて分かりやすく提示し、国民との忌憚のない話し合いの中から、エネルギー問題解決の適確な道が開かれるという講師の姿勢を感じたセミナーであった。(津田俊夫)
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2014年10月23日

EVFセミナー「国際都市、川崎を御存知ですか?」

EVFセミナー(2014/10/23)の概要報告(三嶋 明)

開催日時 : 平成26年10月23日(木)14:30〜17:30(質疑応答含む)
演題 : 国際環境都市、川崎をご存知ですか?
場所 : 新現役ネット事務局会議室
講師 : 川崎市国際環境施策担当コーディネータ― 牧 葉子氏(前川崎市環境総合研究所所長)     <<川崎市に軸足を置きながら、国レベルの政策委員会などにもご参加>
概要 : アジアの新興国では、急激な工業化に伴う深刻な公害問題を抱えており、経済と環境を両立させたモデルとして川崎が注目されています。 今回は、川崎市自身がその注目の自覚のもとに、環境技術による国際貢献をすすめるとともに、地域の産業活性化を行っている状況を具体的に詳しくご説明頂きました。特に、質疑応答の中で、川崎市の成功は行政と民間の協調、そしてその市長を選んだ川崎市民が主要因との指摘は、国際比較という意味でも意義深いものでした。
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     国際環境都市、川崎をご存知ですか?

「変われば変わる」 ―日本も昔は―
*公害の町から環境先進都市へ、現在では川崎市から富士山が見える。
*キングスカイフロント:市内殿町における国際戦略拠点、Sky Frontは、対岸の羽田空港に面している事より。
*川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)=ライズ・・・・<EVF見学会で、明年1月に訪問予定>
 LiSEに取り入れられた環境技術:共用部のLED証明、太陽熱利用給湯、地中熱空調利用、太陽光発電等。

「ものごとには始まりがある」 ―振り返って―
*いすゞ自動車の例:2001/11/19と2003/7/30の例  

「かわさきエコツアー」 ―自然環境だけがエコツアーでなく―
*川崎エネルギ―パーク:川崎市の環境技術をショーケース化し、国内外に情報発信。次世代エネルギーパーク。
*川崎臨海部のエネルギー関連施設:メガソーラー・2011年に運転開始、浮島及び扇島陽光発電所。
*かわさきエコ暮らし未来館:2011年開館。地球温暖化/再生可能エネルギー/資源循環が学習できる。
*焼却灰埋立地の上の大規模太陽光発電所:埋立地なので掘ってはいけない事などから、埋立地の有効利用として、今後国内で脚光をあびるのでは。

「デカップリング」 
*経済発展と環境のデカップリング(非連動)
*川崎市のGDPは1990年頃よりほぼ横這い、又人口も増加しているのに、ごみの量は‘90をピークに減少。
*環境技術を活かした中国の瀋陽市との連携(環境5機関の協力に関する覚書)。
*アジア太平洋エコビジネスフォーラム。
*PM2、5の監視体制と成分分析調査。
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「リスクに備えて」 −川崎市知的財産戦略―  ―かわさき知的財産スクール―
*国連グローバルコンパクト及びかわさきコンパクト:国際連合が提唱する企業・団体の自主行動原則で、川崎市は都市として日本で初めてこのプログラムに参加。
*法的根拠をいつも念頭に:国際協力・貢献は、地域のため、市民のためになっていることを念頭に。

「エコタウン思潮」
*川崎エコタウン:背景には、川崎市の産業構造の変換・地域経済の活性化、臨海工業地帯の再生、ごみ非常事態宣言などがあり、1997年に通産大臣からエコタウン地域の承認を受ける。
*先進的なリサイクル施設の集積:半径約1、5kmに主要企業のリサイクル施設。
*影響を与えた人:Gunter Pauli氏(ゼロエミッション構想)、吉川弘之氏(元東大総長、産総研理事長)
*国レベルでは、経産省と環境省のエコタウンがあり、地方自治体が策定するエコタウンを共同承認する。
*川崎市の優位性は、幅広い産業構造、工業専用地域、大消費地(環境について高い市民意識)。

「臨海部の動き」―今から見てもダイナミックだった―
◎危機意識の共有、◎低未利用地の減少(前年比較、横浜市との比較)、◎川崎臨海部再生リエゾン研究会(学識経験者、企業で構成され、21世紀型の新たな産業立地促進と新たな街作りを推進)、◎かわさき逆工場ネットワーク(臨海部製造業は環境負荷がほぼゼロの産業に変身するとともに、その産業競争力を飛躍的に高める)、◎都市再生緊急整備地域、◎構造改革特区、◎川崎臨海部再生プログラム(産業再生・環境再生・都市再生)、◎アジア環境テクノハブ、◎都市のサスティナビリティの実現、◎国際連携によるエコタウンコンセプト移転の取組(2009年、瀋陽市と協定)、国際環境計画UNEPとの連携、◎国際貢献と地域振興(環境技術での貢献)、
◎UNEP連携(国際的に、環境は川崎に行けばわかる、ビジネスになる)

川崎の果たすべき役割:
--川崎市は50年間かけて順次培った環境技術が産業発展の負の部分に対応できたが、これからの新興国は大変。
--川崎市は、経済援助はしないが、ビジネスベースを基本に川崎の経験を海外に移転し、地球規模の環境問題の解決に貢献する。

主な質疑応答
質:行政と民間のありかたについて?
答:川崎の成功例は、行政と民間が一緒に考え始めたことから始まった。

質:国際環境都市川崎のコアな部分の推進者は?
答:市長のリーダーシップと、それを支えた市民(選挙民)。川崎の次のステップは、文化都市への推進。
以上

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2014年09月26日

EVF創立7周年記念セミナー「持続可能な海」

    ―資源の枯渇を防ぐための海洋利用の国際ルールはどうなるのか―
演題;  「公海の持続可能なガバナンスを目指して」
         〜問題解決のための一つの取り組みに参加して〜
開催日時:  平成26年9月26日(金) 14:30〜16:30
場所:  東京都品川区総合区民会館「きゅりあん」大会議室
講師:  明治大学国際総合研究所特任教授 川口順子氏
     略歴;元外務大臣、元環境大臣、元通産省大臣官房審議官、元在米日本大使館公使
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今回は、国際政治、環境問題に精通され現在「世界海洋委員会」の委員を務められる川口先生から、海洋とくに公海が直面する魚類をはじめとする水産資源の枯渇、遺伝子資源の喪失、ごみによる汚染等々の諸問題について解説して頂きました。さらにこのままで推移すると将来後戻りできない状況にあるので、これを防ぐための「世界海洋委員会」から国連に提言された内容や今後の活動について詳しくご説明頂きました。また質疑応答では会場からの活発な意見や質問に対し、川口先生から非常に明快かつ一貫性のある回答をして頂きました。
<講演概要>
1.世界海洋委員会とは
 海洋の悪化に歯止めをかけ海洋の完全なる健全性と生産性を取り戻すため、国際的なリーダーをメンバーとする独立団体で2013年2月に設立された。先進国、途上国からビジネスリーダー、開発の専門家、大臣級を含む政治家等がバランス良く参集。公海が直面する以下の重要問題に対処するために政治的、技術的に可能な短期、中期、長期の勧告を策定することが使命。
 1)過剰漁獲 
 2)生息環境と生物多様性の喪失
 3)有効な管理と強制力の不備
 4)公海ガバナンスの不備
同委員会は今年6月24日に「劣化から再生へ~世界の海洋レスキューパッケージ~」と言う報告書を発表し、精力的にフォローアップ活動を進めている。世界各地で要所に説明、「海洋の保護の交渉を2014年9月から始まる国連総会の会期中に始めるべきである」との請願募集なども行なっている。

2.人類にとって海とは何か?
  海洋は以下の観点から人類にとって非常に大切な存在。
 1)海洋漁業と養殖は数百万人もの人々に生活手段を提供し、数十億人もの人たちに食料を提供。
 2)海は地球の生態系に大きな役割を果たし地球上のすべての生命を支える。人間の健康、社会、経済を直接的に支えるサービスと資源を提供。
 3)海は森よりはるかに大きなCO2吸収源。森の9億炭素トン/年に対し、海は22億炭素トン/年を吸収する。また人間が呼吸する酸素のほぼ1/2を生産し、排出するCO2のほぼ1/4以上を吸収。
 4)温室効果ガスによって地球上に蓄えられた熱の90%以上が海洋に貯蔵される。
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3.問題の認識
 現在の海洋は以下のような問題に直面している。
 1)60年後には日本近海では造礁サンゴが全滅する可能性がある。海水温度が上昇するとサンゴが白化して棲めなくなるためサンゴ虫は北に逃げようとするが、北の海は冷たいためCO2の吸収が盛んであり海水が酸性化してサンゴが棲息できない。
 2)海洋資源への増大する需要
  ・世界人口の増大のため海洋漁業の漁獲量は1900年には3百万トンだったが現在では80百万トン。すでに満限までの漁獲、ないしは枯渇に瀕している。再生産ができない状況まで獲られている。
  ・ニシン、イワシ、サバ等、大型魚類の餌になる魚種が減少し食物連鎖への影響が大。
  ・原油、天然ガス、鉱物資源への需要が増大。海洋汚染発生の可能性も大。
  ・遺伝資源の重要性に対する認識と需要の高まり。生物多様性に関する名古屋議定書(1992年)ができたが批准する国が少なく発効できなかった。しかしこの10月に発効することになり前進した。
 3)技術の進歩
  ・海洋法条約ができた1980年代には想定していなかった「船舶の性能向上+冷凍技術の進歩」等による漁業の大規模商業化。
  ・原油採掘、分子生物学等々の技術進歩により海洋からの資源採取の増大。
 4)漁業資源の減少
  ・漁船の増加、技術の進歩による最先端の集魚装置の搭載や漁船の大型化、政府補助金等々に起因する過剰な漁獲能力の現出、等により漁業資源が減少。
  ・IUU(違法、無報告、無規制)漁業の横行などにより漁業資源が減少。
  ・クロマグロの資源管理の失敗も漁業資源減少の一因。
 5) 気候変動、生物多様性の減少と生息地の破壊
  ・海水酸性化、海水温上昇、貧酸素化が主な要因。
  ・肥料、殺虫剤、下水、ごみ、プラスティック、放射性物質、石油などによる陸由来の海洋汚染。
  ・海水温度の低い極域でCO2吸収が進み、海水の酸性化が進行。
 6) 脆弱な公海ガバナンス
  ・海洋の環境問題は問題点があるかどうか見えない場合が多い。分かった時では遅いため「エコシステムアプローチ」、「予防的アプローチ」、「汚染者負担」の原則が肝要だが、取り入れられていない。
  ・海洋は総合的に管理されておらず、漁業、貿易、海底採掘の管理は別々。国連でも担当している部署がバラバラで、マネージする組織が分断されており組織的欠陥がある。
  ・現状は「旗国主義」であるため、他国の船には規則を守らせる権限がなく取り締まりもできない。寄港国措置協定は寄港国に権限を与えようとする方向への動き。
  ・まじめに取り組んできた先進国に加えて、ルール策定時の想定されていなかった発展途上国が進出し始めており、主役が変わってきた。今回の国連総会会期期間に実態に合うように海洋法条約を見直すか否かの決定をしなければならない。
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4.問題意識の特徴
 1)海を総合的に管理する必要のある一つのシステムとしてとらえるべき。
 2)海洋が窮状にあるのは公海のガバナンスが不適切であるのが原因。人類の生存にかかわる問題。
 3)現状は、技術や資金を持つ者の自由になっており、次世代や発展途上国の権利が守られておらず、衡平性に欠ける。
 4)国連海洋法条約で加えられた「公海の自由の原則に一定の制約を」 との流れをさらに推し進める等。

5.回復の推進方法 
現状の問題を解決し、海洋を回復するためには次のような方策を取らなくてはならない。
 1)海洋の持続可能な詳細目標や明確な指標を策定し、開発目標の中心に据える。
 2)ケアと回復を促進するための公海の統治を実現する。
 3)政府の補助金を廃止し、乱獲ができないようにする。
 4)違法、無報告、無規制な漁業に対し、海、港、市場を遮断する。
 5)市場(スーパーマーケット、サプライチェーン)、水族館、などにおいて、魚のさまざまな状況に関する
情報を消費者に知らせるための啓蒙システムを導入する。
 6)プラスティック類の海洋への流入を阻止する。
 7)海底石油・ガスの採掘に対して、法的拘束力のある国際安全基準と法的責任を導入する。
 8)「世界海洋アカウンタビリティ委員会」を設置し、健全な海洋状況をモニタリングする。
 9)公海再生ゾーンを創設し、5年間十分な行動がとられなければ産業漁業を禁止する。
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6.最後に
   川口先生から本日の聴講生に対して以下の様なご期待が示された。
 1)海に多くの問題があるにもかかわらず現在は過小に取り扱われている。このまま放っておくと生態系の変化等から地球が守られなくなることを認識して欲しい。
 2)大きな仕組みで世論喚起をしようと世界が動いていることを知って欲しい。
 3)海洋保全のために消費者一人一人がやるべきことが沢山あり、是非とも実践してほしい。
                                                               以上 (文責:小栗武治)

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2014年08月28日

EVFセミナー「地球温暖化の現状と異常気象について」

演 題 ;地球温暖化の現状と異常気象について
    〜異常気象の経年変化と将来予測〜
開催日時  平成26年8月28日(木)
場 所   新現役ネット事務局会議室
講 師   東京管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課
      地球温暖化情報官 戸川祐樹様

今回のセミナーでは、地球環境予測情報第8巻(2013年)などをベースに地球温暖化について最新の知見を分かりやすく非常にためになる話を紹介していただきました。

講演概要
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1.IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは 
 国連の下で、各国の専門家が参加して気象変動についての最新の科学的知見を取りまとめている。
 3つの作業部会があり、日本では第1作業部会の自然科学的根拠は気象庁、第2作業部会の影響・適応脆弱性は環境省、第3作業部会の気候変動の緩和は経済産業省がそれぞれおもな担当をしている。
2.IPCCとUNFCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)の関係は
 IPCCは世界中の研究成果の取りまとめを行い、UNFCCでは温暖化対策を話し合っている。
3.東京都の気候の将来変化
 日本の年平均気温は過去100年あたり1.14℃のペースで上昇しているが、東京(大手町)の年平均気温は2.5℃の割合で上昇している。東京では21世紀末は今より、約3℃上昇すると予測されている。これは、東京の気温が屋久島になるくらいの変化である。また真夏日日数が倍以上に増え約70日になる。熱帯夜である日最低気温25℃以上の日が約50日になる。東京では最高気温が33℃を超えると熱中症が急増する。
 21世紀には、1時間降水量50mm以上の短期間強雨の発生頻度が増加するが、雨の降らない日も増加する。
4.どうして詳しい予測ができたか
スーパーコンピュータ使って、格子間隔5kmの細かさにすることにより、日本列島の細かな地形の影響を従来のモデルより現実に近い形に計算に反映させている。高解像度な気候モデルとしては世界最高水準である。
 気象庁による温室効果ガス等の観測には、僻地での地上観測の他に、観測船で観測を行う航海コースと航空機で観測を行う飛行コースがある。
 温暖化予測の方法はまず気候システムを理解しコンビュ―タ上に地球を再現して、時計を進め日々の天気予報と同じ原理で計算結果を出す。
5.気候変動に関するIPCCまとめ
二酸化炭素は人間活動により産業革命以降に40%増加して、現在は約390ppmで過去80万年間において前例のない水準になっている。
 二酸化炭素等の増加で、地球から宇宙に出てゆくエネルギーが減少し、収支のバランスが崩れ地球温暖化は進む。地球温暖化は大気だけではなく、蓄積されたエネルギーの90%以上は海洋へ。上部に加え海洋深層でも水温上昇している。地球温暖化で、21世紀末頃に世界海面水位が26cm〜82cm位上昇し高潮等へのリスクが増加する。第4次評価報告書(2013年)での評価によると、気候システムの温暖化には疑う余地がなく、人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的要因であつた可能性が極めて高い。最新の研究を踏まえ、確度が着実に上がってきた。
6.地球温暖化の将来
今後の我々の行動により、将来の気温の上昇幅は変わってくる。深刻な影響を避けるためには、産業革命以降の気温上昇を+2℃以内に抑えることを目指す国際合意が出されている。地球温暖化がどうなるかは、今後の我々の行動で決まる。根治療法としては、温室効果ガスの排出を抑制し、対症療法としては自然や人間社会の在り方を調整する方法がある。気象庁は、科学的根拠に基づき、判断に必要な観測や予測の情報を提供していく。
7.質疑
(問)過去に氷河期から間氷期へ移行した際や、縄文時代などはかなり早く温暖化が進行したこともあった。現在の問題となっている温暖化も同じと考えられないのか?
(答)過去の数千年で数℃というペースと比べると、現状はオーダーが1桁大きい速さになっている。生物が気候変動に伴って生息域を変える(温暖化で北上する)場合、植物などは移動可能なスピードが遅いので、温暖化のペースが速すぎると追随できず絶滅のおそれが増す。スピードの違いというのは無視できない。また、気候変動が人間活動に影響を与えるということを考えると、温暖化は地球環境だけに留まらない問題である。
(問)第8巻の結果には温暖化対策の有無は考慮されているのか?
(答)気象庁による地球温暖化予測情報 第8巻は、排出シナリオはSRESシナリオのAIBに固定されているため、対策の有無は考慮されていない。この結果は、現状のままあまり対策を取らないようなシナリオと見ていただいて、対策を取ればこれよりも影響を抑えられるのだと考えて欲しい。また、モデルの解像度は荒くなるが、環境省は第8巻の気候モデルを使用して、シナリオごとに予測結果がどのように変わるのかを計算して公表しているので、併せて参照していただきたい。

(問)気候モデルによる将来予測は、信用できるのか?普通の天気予報ならば日々の結果を見て検証できると思うが?
(答)気候モデルの検証には、それを過去の地球において再現実験を行うことにより、モデルの結果と実際の観測値を比較するということを行っている。また、各機関のモデルの結果を相互比較する、アンサンブル化してモデルの不確実性を見積もるなど、IPCCに採用されているモデルには一定の信頼性があると考えられる。

以上

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2014年07月24日

EVFセミナー「我が国の地熱発電の現状と将来の課題」

演題;我が国の地熱発電の現状と 将来の課題
講師; 産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 
      安川 香澄 様
開催日時  平成26年7月24日(木)
場所    新現役ネット事務局会議室
講師    産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 
       安川 香澄 様
講演テーマ 我が国の地熱発電の現状と将来の課題

セミナー概要報告
1、地熱発電とは
 特徴は3つ、ライフサイクルのCO2排出量が少なく、純国産エネルギー、安定電源。
2、3.11の震災ではすべて無事。送電系統のトラブルのあったところも3日以内に復旧し送電開始。特に奥会津(柳津)は送電も無事で、福島をささえた。
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3、しくみ
 地下の熱+地下水+ボイラー(やかん)としての地層 を有する土地に建設する。
4、日本の地熱資源
 世界3位の規模で発電設備容量 23470MWのポテンシャルがあり、その10分の1は開発可能。
5、なぜ開発が進まないのか
 原子力や火力のようなスケールメリットが無く、電力会社にとって魅力がない。
 初期コストが大きく、立地が限られ、送電コストが高い。
 鉱区設定ができず井戸掘りのリスクおおきい。
 国立公園法の開発規制。
 温泉業者との対話不足。持続可能な開発との理解不足と、都会の電力不足対策が目的と考えられ、地元の安定電源との理解がされなかった。
6、技術開発
EGS 地下を刺激して人工的に亀裂を作ってボイラーとなるようにする。
 ねらいは 1、消費地の近くでできれば、送電コスト下がる。
        2、既存の温泉地や公園地域をさける
        3、既設発電所の出力向上
 課題は 技術開発、誘発地震の心配
まとめ
エネルギー政策として一律の経済原理でない推進方策が必要。
小規模出力(2−3万kW)や更に小規模のバイナリに対してコスト減となるようなインセンティブのある制度設計が必要。
 海外事業に対する技術移転をサポートする制度設計を行い、開発継続と人材育成サポートが急務。地熱技術者は絶滅危惧。
 稼働特性を生かし、地域の分散安定電源として、電力、熱をあわせて供給し地域エネルギー自立を目指すべきではないか。
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質疑
・原発と比べてコスト高いのか→計算方式による。
・地下を掘る開発では温泉周りから金がでませんか?→場所によっては出ることもあり、海外ではレアメタル生産で稼いでいる地熱発電の事例がある。
・ニュージーランドマオリトラストのような利益地元還元政策のようなベースポリシーが必要では→あればよいと思う。今のエネルギー政策は政府が短期経済性から判断しており、長期的ではない点が問題。
・還元水は温泉にならないのか→既存の温泉にとっては、混ぜ物のイメージになるので利用されにくい。温水(熱)としての利用は可能。
・東京では地熱発電できないか→温度不足。将来の超深度EGSなら可能だが、現状では経済性がなさそう。
・アイスランドの状況は→発電量の30%は地熱。これで国民生活をすべてまかなえる。残りの70%は水力だが、このぶんは外国資本のアルミ工場に販売。

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2014年06月26日

EVFセミナー「日本のこれからを考える」

1)開催日時  平成26年6月26日(木)
2)場所     新現役ネット事務局会議室
3)講師     内閣府参事官(兼)経済産業省 研究開発課長
          渡邊 昇治様
4)講演テーマ 「日本のこれからを考える」
5)参加者数  48名
6)セミナー概要報告
  今回のセミナー講師をお願いした渡邊様は2012年8月に「これからの新エネルギー政策、新エネルギーの可能性と課題」というテーマでご講演をいただき、大変好評で折に触れてお話を伺いたいということから、お忙しいところ再度のご講演をお願いした次第です。
  今回は経済産業省というお立場を離れて個人的に思うところをお話しいただきたいということでお願いしましたので、ご講演の記録は残しませんがご準備頂いたレジメに従って筆者の感想を書き加えるということで報告とさせていただきます。

日本のこれからを考える
1)少子高齢化とロボット
    生産年齢人口の減少は避けようがないが、それだけに高齢者、女性が本格的に働く時代が到来する。高齢者はともかく元気で働き続け、逆に働くことによって健康も維持できる。しかしながら通勤の問題もあり、在宅勤務をサポートする情報システムがさらに高度化するだけでなくサービス業でも働けるロボットが登場するかもしれない。社会でロボットが多用されるようになった時のことを踏まえて事故、犯罪、個人情報保護などに対して早期に検討をしておく必要があろう。
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2)ものづくり革命の予感
    コンピュータによる第3次産業の次に来るものは何か。それを本格的ネットワーク社会の到来ということでインダストリー4.0と呼ぶ。これにより企業という概念が変わる可能性もあり、その兆しが随所に表れ始めていると思われる。

3)ダブルメジャーの必要性
    そのような社会で生きていくためには人は複数の専門分野を習得する必要があるであろう。そのためには企業の仕組みや教育システムも変わらざるを得ないが、それだけでなく高齢者と若い人との融合によるオープンイノベーションの創発に期待したい。多様な能力を持った人々のミックスが重要との指摘が興味深い。

4)エネルギーのベストミックス
    これからのエネルギーを考えるうえで重要なことは安全性、エネルギー保障、経済性、環境維持の
S+3Eのバランスが重要である。
    エネルギー利用では電気だけでなくエネルギー利用の大半を占める熱利用に目を向けなければならないが「国産+無尽蔵+CO2フリー」な熱利用技術は現時点ではほとんど不在といえる。その面では研究課題は多いが水素エネルギーにもっと注目した方がよい。太陽光などの再生可能エネルギーの技術革新には期待大だが、技術革新とそれを踏まえた政策のベストミックスを追求すべきであろう。
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以上の項目に関して実例を交えながら大変わかりやすく解説していただきましたが、その目指すところは洞察力にとんだ骨太な想いがあったように感じました。
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2014年05月22日

EVFセミナー「首都直下地震は来るのか?そして富士山の噴火の可能性は?」

実施日:2014年5月22日(木)
演 題:「 首都直下地震は来るのか?
     そして富士山の噴火の可能性は? 」
講 師: 神奈川県温泉地学研究所長
静岡大学名誉教授 
理学博士 里 村 幹 夫 様  
開催場所: NPO法人新現役ネット  A会議室
参加人員: 44名

 里村先生には直接お答えにくいテーマをお願いしたにも拘らず快くお引き受けいただき、ほぼ満席の会場は最初から一言も聞き逃したくないという熱気がいっぱいでした。

1、 地震とは? 「地震」は自然現象、「震災」は社会現象という定義から始まりました。だから普通言われている“東日本大震災”の地震名は“東北地方太平洋沖地震”と呼ばれます。震度は0〜7まで10段階あり、現在は震度計で震度を計測していること、マグニチュードの計算方法には複数あり、Mが1大きくなるとエネルギーが30倍大きくなるとのこと。
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2、 関東地方に想定される地震について :南関東は北からの北米プレート、東からの太平洋プレート、南西からのフィリピン海プレートの交叉する複雑な構造をしており、地震が発生する場所をプレートをもとに分類するだけで6種類にもなる。昨年の中央防災会議では、どの地震が起こるかわからないので被害の最も大きくなる都心南部直下地震で被害想定が作成されている。

首都圏でM8を超える地震の発生予想としては、@大正関東地震タイプ(M8.2)→発生は100年先とされているが、1996年以降スロースリップイベントが5回発生、その間隔がだんだん短くなってきており不気味。A延宝房総沖地震タイプ(M8.5)→東北地方太平洋沖地震によって誘発されないか心配。B元禄地震タイプ(M8.7)→しばらくのところ発生の可能性はない。

3、 東海地震とは :南海トラフの地震帯には歴史的に幾度か大地震が起こっている。1944年の昭和東南海地震、1946年に昭和南海地震が発生した。そのとき地震が起きなかった空白域の東海沖が危険とされ、東海地震対策がクローズアップされた。2001年〜2005年の異常地殻変動が観測されたときにはそれがきっかけで東海地震が発生するのではないかと心配された。

4、 東南海・南海地震 :最大クラスの巨大な地震・津波を検討したものであり、防災対策の基礎にすることは重要だが、必ずこの大きさの地震が来るとは限らない。

5、 富士山の噴火 :東北地方太平洋沖地震直後、富士山の活動が一時的に活発化したが、今は富士山の噴火の前兆と考えられる現象は起こっていないとのことでした。

6、 大地震発生時に一番大事なこと :死なないこと。阪神淡路大震災のときはほとんどの人が即死、その凶器はマイホームだったそうです。救助された人は警察、消防などからよりも近隣住民に助けられたとのことです。大地震で死なないためには、@倒壊しにくい家に住む、A家具を固定する、B寝る場所の安全に特に気をつかう、みなさんはっと我に返ったような顔をされ、深く納得したのでした。
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主な質疑応答)
Q1最近深海魚がよく捕獲されることと地震の兆候との関係
→ 直接の関係はないとおもう。ただし学問的に全く関係ないと言い切るのも難しいことを理解して欲しい。
Q2地震の計測器は変位を計測しているとのことだが、どのように計測しているのか。
   → 地震計以外にも長期的な変動はGPS装置を使った計測をしている。
Q3日本全国に地震計はどれくらい設置されているのか。
   → 全市町村1,700には最低1箇所設置されているので、4,000〜5,000箇所、いや1万箇所くらいに設置されていると思う。

                                      以上

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2014年04月24日

EVFセミナー「世界における施設園芸の現状と展望」

EVFセミナー「世界における施設園芸の現状と展望」(4月24日実施)報告

実施日:2014年4月24日
講師: 富田啓明 様  トミタテクノロジー株式会社 社長
開催場所: JICA研究所(市ヶ谷) 201AB会議室
参加人員: 29名

 講師はオランダの技術を吸収しながら独自の施設園芸技術を蓄積し、実際に自ら農業に会社として参入しながら、成長してきた。リッチフィールド栗原、リッチフィールド由布、リッチフィールド美浦など農業生産法人、販売会社を次々と設立し、高効率で計画性の高い施設園芸および販売までを実現してきている。リッチフィールドは「独自性の高い企画」「独自性の高い生産」「独自性の高い販売」の3つを柱に活動している。
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 施設園芸の規模の現状は全世界で250万ha、内中国が220万haで、残りは韓国5.6万ha、スペイン5.2万ha、日本4.9万haなどとなっている。 オランダは1.0万haだが、ガラス温室を利用し技術が高い。まず、メキシコのパプリカ、ノルウェーのキュウリ、ベトナムの菊、エクアドルのバラ、ジンバブエの生花など各国の園芸施設を写真を交えた紹介があった。

 次に、リッチフィールドの3つの柱の解説があった。「独自性の高い企画」はパプリカなどこれまで国内で作られていなかった農産物や加工品を提供する。リコピントマトもその例である。「独自性の高い生産」はグローバルGAPの手法やオランダなど最新の海外の技術を取り入れて活動する。閉鎖型温室において、暖房時の燃焼CO2を利用したり、LED照明による成長促進制御をするなどの様々な事例の紹介があった。「独自性の高い販売」は直接ユーザーにアプローチし、市場ニーズを把握できる販売体制を確立する。リッチフィールドは法人組織の農業への参入を支援するなど、活発な活動を行っていることの説明があった。
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講演後約30分間、下記を始めとする多くの活発な質疑応答があった。
・企業として農業に参入する場合の課題、解決方法。
・植物工場の将来性は? 輸出を狙う植物工場への補助金は?
・CO2利用の閉鎖温室は地球温暖化防止に寄与するのではないか?
・どのようなものを作ると良いか?
                            以上
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2014年03月27日

EVFセミナー「What will accelerate the EV diffusion(何がEV普及を加速するか)」

>EVFセミナー「What will accelerate the EV diffusion(何がEV普及を加速するか)」

実施日:2014年3月27日(木)
講師:日産自動車グローバルデザインセンター シニアスタッフマネジャー 
井上眞人氏
演題:What will accelerate the EV diffusion(何がEV普及を加速するか)
参加人員:38名
開催場所:新現役ネット会議室    
 
講師は1979日産自動車デザイン本部入社、日産LEAFを初めとする日産系電気自動車(以下EV)デザイン及びEV関連デザインを統括。世界初の大規模量産EVとなる日産LEAFのデザインを最初から手がけ、発売、マイナーチェンジまで担当。数多くの賞を受賞している。
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2011年に日産LEAFが発売され本格的EVの時代が幕を開けた。2014年1月にはLEAFの世界累計販売台数が10万台に達し、着実に市場に浸透しつつある。しかしながら、まだまだ発展途上にあるEVは爆発的な販売を見せているとまでは言えない。ゼロエミッションの重要な役割を担うEVが更に普及していくには何が必要とされるのだろうか。今後のEV普及の鍵は何か、EVならではの新しい付加価値の可能性などにつきご講演いただいた。

講演概要:
バッテリーのコストが1kWhあたり$100以下になればEVは従来の内燃機関自動車との競争に打ち勝つと言われる。しかし現状では2030年になっても実現しそうにない。
従ってEVは従来の内燃機関自動車の代替機能を狙うのではなく、EVの得意分野を最適に生かした新しい守備範囲を創造して行くことでEVのベネフィットを得るべき。これはギターの変遷の歴史に似ている。在来型のAcousticギターからElectric ギターへの“革新“は必ずしも”置き換え“ではなく、技術の進歩による新しい分野の創造であった。EVについても多分同じストーリーが当てはまると思う。
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EVは航続距離が短いという固定観念があり普及の足かせになっている。しかし次に示すEVの強みを生かせば内燃機関自動車にない新しい守備範囲が創造できる。
・抜群のエネルギー効率の良さ:
LEAFの場合、ガソリン2.7リッター相当の電気エネルギーで160q走行でき、
驚異的な経済性を発揮する。日本には年に2万キロ以上走行するドライバーが22.5%おり、この人たちは4年でEVの割高分を十分に回収できる。とくに
年間走行距離が大きい地方のドライバーにはベネフィットが大きい。
・強大な低速トルク
   内燃機関に比べて低回転時のトルクが強大であり、強力な加速感がある。
・静粛で振動が少ない
    内燃機関に比べ往復運動がないため、非常に静粛で振動がなく疲労が少ない。

さらに、充電設備を自宅と勤務先の両方に設置すれば、行動範囲が両点を焦点とする楕円形の範囲に広がり、日常の通勤や週末の外出にも十分に対応できる。停めたら逃げないように馬を繋ぐ行為と同様に、EVも停めたら充電プラグにつなぐのが良い。
EVの経済性を生かすには、車両の大きさ(バッテリー搭載量)と1日の行動範囲にバランスした最適のEVサイズを選択することが重要。行動範囲が小さければ小さい車両を、行動範囲が大きければ大きい車両を選択するのが良い。それぞれの車両にはそれぞれに見合った守備範囲がある。
EVはトランスミッションが不要であり、バッテリーとモーターのみで制御されているため、来たるべき自動運転時代には最も対応しやすいと言うアドバンテージを持っている。
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講演終了後、聴講者と講師の間で活発な質疑応答があった。話題の例は以下の通り。
  ・インホイールモーターの実用時期の見通し
  ・聴講者が所有するLEAFのバッテリー寿命の懸念
  ・外観からEVとわかる記号性のあるデザイン適用の是非
  ・各地での急速充電の料率比較、他     
以上
                           (文責:小栗武治)

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2014年02月27日

EVFセミナー「福島新拠点における再生可能エネルギーの研究開発」

EVFセミナー講演概要 (2014年2月27日)/JICA地球ひろば・会議室

    福島新拠点における再生可能エネルギーの研究開発
    
講師:産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所長 大和田野芳郎殿

産総研は、永年の蓄積のある再生可能エネルギーに係わる技術を生かし福島復興に寄与すべく、再生可能エネルギー研究開発の新拠点を福島県郡山市に2014年4月に開所する。
講演において、講師は世界の再生可能エネルギー技術の現状と今後の展望を総括されるとともに、福島新拠点の理念・狙いを述べられた。
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長期持続可能なエネルギー源である再生可能自然エネルギーの日本における位置づけとしては、必ずしもエネルギー問題解決のオールマイティではないが、化石燃料調達のバーゲニングパワーとなり、且つ世界の課題である炭酸ガス排出削減のための手持ちカードの増加としての価値が大きい。

再生可能自然エネルギーは、エネルギー密度が低く、偏在し、時間的に変動する等の欠点があるが、個別の技術をシステム化・ネットワーク化すれば有効なエネルギー源となる。例えば北欧での揚水発電等の電力貯蔵とアフリカでの太陽発電を結びつけるような広域スーパーグリッド構想も可能となる。また風力発電と蓄電池を組み合わせれば出力の平準化が可能となるし、電力と水素(化学キャリア)の相補的ネットワークが再生可能エネルギーの規模の拡大、高効率利用を可能とする。
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講師は講演の最後を、「福島新拠点の研究開発のコンセプトは、再生可能エネルギー大量導入を支える技術の開発・実証・システム化研究であり、太陽電池、風力、地熱、地中熱、水素キャリア等々の研究設備を自前で持ち、実証とシステム化研究を国内外の企業や大学との連携のもと、且つ地元企業との連携も強め、復興と持続的発展に貢献すべく、賑やかに活発に研究を進めたい」と結ばれた。
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講演の後、下記のようなトピックスに関し活発な質疑応答が為された。
○再生可能自然エネルギーの固定価格買い取り制度の今後の展望
○電池、バイオマス、海藻、海洋発電等の将来性
○出力用電池と貯蔵用電池のコスト比較について
○再生可能エネルギーの最適ミックスはあり得るか?
(文責:橋本 升)
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